ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 63ページ目

ベビーパウダー山崎

ベビーパウダー山崎

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.0

久しぶりに見直したが、あまりにも達観した、人間は不条理なほど醜く、その歪な世界を浄化するのは「死」しかないと本気で信じているエドワード・ヤンの極まった思想に怖くなった。空虚やpessimismでは語り>>続きを読む

ふたりにクギづけ(2003年製作の映画)

4.0

障害者の感動ポルノを垂れ流す24時間テレビに抗うように久しぶりに見た。結合双生児、知的障害者などをお決まりの社会的弱者に当てはめず、ジャンル映画(コメディ)の枠組みで、できるだけ自然に(誰でも抱える将>>続きを読む

刑事ラヴァルダン(1986年製作の映画)

2.5

通俗的で軽薄な二時間ドラマ。シャブロルに映画的な才能など端から期待しておらず、求めるのは唖然とするような暴力、死、道徳や倫理観を無視したショックなんだと改めて思った。

ベティ Betty(1992年製作の映画)

3.5

映画が安易にベティに傾きすぎて世界が安っぽく映る。それならばベティに迫れば迫るほどフィクションは加速し破滅するべきだが(『フィメール・トラブル』のディヴァインばりに)、その先がオードランとの対比(関係>>続きを読む

つかのまの愛人(2017年製作の映画)

3.0

ガレル新作、前作以上にますますホン・サンス。ホン・サンス映画を見て(おそらく『教授とわたし、そして映画』あたり)撮ったとしか思えない。唐突に挟み込まれる状況説明なモノローグ、二人の女性の立場が入れ替わ>>続きを読む

彼氏がステキになったワケ(2003年製作の映画)

4.5

表層での対話、形式上(お約束)の関係性から、最後の最後でその皮を破り、内側にある男と女の剥き出しな姿(根っこにある変わりようがない部分)を映していく。普遍的な恋愛劇として進めながら、あまりにも個人的な>>続きを読む

ハウス・バイ・ザ・リバー(1950年製作の映画)

3.5

例え裁判で無罪だったとしても足が不自由で陰気な人だからという偏見から犯人だと決めつけ、家の窓を割り、陰口を叩く民衆、勝手な正義を掲げ他人を追い込む名もなき人々こそラングが一貫して描いてきた真の恐ろしさ>>続きを読む

ドイツチェーンソー大量虐殺(1990年製作の映画)

3.5

それが正しかろうが間違っていようが、その思想(表現)はどこまでも自由であるべき。

クレアのカメラ(2017年製作の映画)

2.5

こういった他国の大女優に媚び、己の好きなものだけで囲んだ(周りを拒絶し、相容れない他人をバカだと思っている)世界を早撮りと手癖だけで撮ってしまうのは作家性が腐るのでやめたほうがいい。キム・ミニの調子は>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

3.0

『それから』や『あなた自身とあなたのこと』のような映画を撮り、頭の良さそうな人たちに褒められてその道を進んだからといってそいつらはその先、極まった先にあるたんなる「つまらない映画」に陥った時点で誰も助>>続きを読む

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

4.0

死にきれなかった女性が現世を彷徨う亡霊記。チャプター2での飲みの席での話はすべて虚勢。まずチャプター1が外国のどこかであるという浮遊。窓を拭く男はあざとい(-0.5)。

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

3.0

技法が表現より強い。もちろん恋愛映画の形式ではあるが、個人、ワタシがワタシと向き合えるかどうかの映画。

レッド・スパロー(2017年製作の映画)

3.5

ロシア側のジェレミー・アイアンズ、シャーロット・ランプリングという狙ったキャスティングがきちんと上手くいっている。フランシス・ローレンスはそこまで悪い監督ではないが、骨太な演出と日和った(妥協した)シ>>続きを読む

セントラル・インテリジェンス(2016年製作の映画)

2.5

設定も展開も王道すぎるぐらい王道なので、いくらコメディだとしてもスパイ要素もあるし二転三転ぐらいするはずだ、このまま進むはずがない、馬鹿にするのもいい加減にしろと独りごちながら見続けていたが、モチロン>>続きを読む

馬泥棒のバラード(1971年製作の映画)

3.0

セルジュ・ゲンスブールの戸惑い、場違いな面構え。ユル・ブリンナーの口笛。

危険な戯れ(1975年製作の映画)

2.5

エロスもスラップスティック(ドタバタ)も半端、どちらも「映画」の幻影で遊んでいるだけのファッションでしかない。美しい女優が脱ぎまくっていても、その大胆さが映画本来の興奮に繋がっていかないのは残念(あえ>>続きを読む

昼下りの女 挑発!!(1979年製作の映画)

4.5

終盤に人妻がゲイの青年を抱きしめながら「キミは強い」と繰り返すつぶやきが、この旅で出会ってしまった数々のクズたち、薄っペらな欲望に流されている「弱い」人たちとワタシとキミは違うのだと訴え続ける、この不>>続きを読む

デ・パルマ(2015年製作の映画)

4.0

ヒッチコックに心酔してヨーロッパ映画にかぶれて、自信家で適度に嫌な奴で、戦争に行かないため同性愛者だと嘯き逃げながら、平然と反戦映画を撮ってしまう図々しさもあったりして正にデ・パルマはデ・パルマ。「監>>続きを読む

夕なぎ(1968年製作の映画)

4.5

「死神」リチャード・バートンが着物をまとい刀を持ち歩いているのは、おそらく死を見届ける「介錯人」としての正装(日本人にしか分からない目配せだと思う)。シナリオがテネシー・ウィリアムズなのでエリザベス・>>続きを読む

雪崩(1970年製作の映画)

3.5

逃げ切るのが目的のマルコム・マクダウェルとは違って、闘い、そして殺されるために逃げ続けてきたようなロバート・ショウ。白雪に飛び散る鮮血。ロバート・ショウが語る妻や娘の話もどこまでが真実なのか。私たちは>>続きを読む

アガサ/愛の失踪事件(1979年製作の映画)

3.5

20年代のイギリスを舞台にストラーロの美しすぎるキャメラが圧倒するが、その中心で動き回るのはキザっぽい振る舞いで変な芝居をしている爬虫類似の小男…。ドラマを壊しかねないほど不釣り合いだが、70年代のダ>>続きを読む

王になろうとした男(1975年製作の映画)

4.0

愚かさは人の業。どうしようもない己を受け入れて、虚勢やはったりが信念として見えてくるのがジョン・ヒューストン映画(70年代)の素晴らしさ。

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.0

善悪の曖昧さを見せたいがために、逆に人物の配置には驚きがなく、見た目通りの分かりやすいキャラクターしか出てこなかったのは残念。電通ぽいパリピ宣伝マンがバカみたいな「拡散」動画を作ったり、日常の不条理「>>続きを読む

死刑執行ウルトラクイズ/おだぶつTV(1987年製作の映画)

3.5

全編の「処刑ギャグ」、両手にガソリンを持たされて火の輪くぐりをさせられる老婆のくだりが最高。死刑囚なら遊びで殺しても問題ない、その不道徳さに、どこかで罰がくだったり、結局は良心に目覚めたりするのかと適>>続きを読む

パパVS新しいパパ 2(2017年製作の映画)

3.5

前作も良かったけど、今作も十分楽しめる。マーク・ウォールバーグの父親にメル・ギブソン、ウィル・フェレルの父親にジョン・リスゴー。それだけで100点。映画館でChristmasを過ごすクライマックス、ス>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.5

男女の心理的な駆け引きと一流であるからこその閉鎖的な仕事、個(家族)と社会、いずれも半端で映画に勢いがつかない。ダニエル・デイ=ルイスでもレスリー・マンヴィルでも、どちらでも良いからもっと狂わないと。>>続きを読む

立ち去った女(2016年製作の映画)

2.0

強者と弱者なら、弱者側に立った表現から社会を見つめていくのは至極当然の流れ(作家性が強い作品ならなおさら)、現代的な表現とはその先、それからの世界をどのように映すのか(新しい何かをどのように生み出すの>>続きを読む

デッドプール2(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

『アトミック・ブロンド』が最高だったデビッド・リーチの「痛み」ありきのアクションは好き、前作よりかは楽しめた。それにしても、ギャグがほぼ内輪向けでしつこく垂れ流し(日本のお笑いと違ってアメリカンコメデ>>続きを読む

私のパパはマフィアの首領(ドン)(1989年製作の映画)

3.0

シナリオがノーラ・エフロン、監督がスーザン・シーデルマン。ヤクザ(親分)のヤンキー娘が最後まで自分の生き方を曲げず、突っ張ったまま人生を好転させていくのは、それがコメディだとしても強引すぎて明らかに失>>続きを読む

ベイウォッチ(2017年製作の映画)

2.0

コメディとアクション、どちらも半端で五分で飽きる。協調性に欠けている闇を抱えたザック・エフロンが仲間になる、それこそが物語の肝だと思うが、その辺りが弱いので後半の悪党退治のくだりがどうでもよくなる。海>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

突き詰めると貧困と、その地続きにある教育の問題に行き着く。頭が空っぽな人たちの間抜けな騒動をブラックコメディとして扱うのは当然すぎて、それほど驚きはないが、ふと見えてしまうトーニャ・ハーディングのどう>>続きを読む

前科 ドス嵐(1969年製作の映画)

3.0

宍戸錠の死から唐突に始まる本作は前作『前科 仮釈放』よりかは楽しめる。渡哲也とつかず離れずで脇(役)の物語をしっかりと完結させる佐藤允はいつでも最高。ドスで斬り合う、ラストのやり過ぎな殴り込みも悪くな>>続きを読む

前科 仮釈放(1969年製作の映画)

2.5

大木実がいつもの調子で出ているだけで嫌な予感はしたが、任侠映画の型どおりでしかなく退屈。渡哲也と杉本エマ(棒演技)、すらりとした二人は絵になる。ドスを片手にラストのアクションが新宿駅西口でのゲリラ撮影>>続きを読む

ビッグ・マグナム77(1976年製作の映画)

2.5

ジャーロの臭いさえする内向きな犯人探し(サスペンス)が強く、いまいち弾けず。おっぱい丸出しで婦人をぶち殺す適当なスロー映像は良かった。『ビッグマグナム黒岩先生』と二本立て希望。

シェイクダウン(1988年製作の映画)

3.0

それほど暇でもないのにまた見てしまった。自分の日記を見返すと2016年01月31日以来の再見。度を超した無意味な暴力と腐りきった悪人、そして大して面白くない悪ふざけ(ジョーク)…ポリコレ時代の表現を逆>>続きを読む