経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

テラスで松村北斗の立ち振舞いを見たキーさんの(おそらくは自身の喪失と重ねながら)「こいつならもう大丈夫だ」と言わんばかりのあの表情で全俺が泣いた。しばらくあの空間の余韻に浸っていたい

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.4

エリセが忘却の彼方のあの光へと旅をしている。もうそれだけで胸に迫るものがある。没個性的な立て付けが残念でならないが、今このショットで終われというところでちゃんと終わってくれたので安心はした。ドライヤー>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.2

細やかな叙述が下地となって衝動アクションへと繋がるあの一瞬には無類の美しさがあった。コット、強くあれ

Here(2023年製作の映画)

4.4

そのへんに群生する苔の生態研究という着眼点が作品の主題とオーバーラップしてくる滋味深さ。映画=人生の等式が成り立つ稀有な存在。カットが変わってまた戻ってきた時に「はっ、寝てた」ってなるところ好きすぎる>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.4

なんかもう俳句の趣そのものって感じ。身近な至るところに物語を豊かに彩る人や物が点在する。そんな気づきと共に、円環を成すショットによって時間すらも超越してしまう大胆さに痺れる。“見知らぬどこかへ”

家畜追いの妻 モリー・ジョンソンの伝説(2021年製作の映画)

3.8

BGMの主張が強すぎるきらいはあるけど監督主演リア・パーセルの常に震源地であり続けるパフォーマンスにはひれ伏すしかない。ライフル銃を構える姿が『ミークス・カットオフ』のM・ウィリアムズを彷彿とさせる>>続きを読む

ヌラヌラ(2014年製作の映画)

3.4

なんならもっとフルボッコにされてもよかった

オーストラリア先住民映画祭

マイベッド、ユアベッド(1998年製作の映画)

3.4

このあとちゃんと幸せな結婚生活を送ったんだよね

オーストラリア先住民映画祭

グリーン・ブッシュ(2005年製作の映画)

3.6

元風景。ずっとそこにあってほしいと願う場所

オーストラリア先住民映画祭

フィンク 悠久の大地を駆ける(2018年製作の映画)

3.6

走った者だけが到達できる域。極上の現実逃避

オーストラリア先住民映画祭

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

リプスキーやヘルツの諸作を想起しながら。初速が素晴らしかっただけにずっと奇妙奇天烈であってほしかったんだけど中盤以降の陳腐なSEX祭りにやや胃もたれも。それでも娯楽性と作家性が同居する活劇には円熟味を>>続きを読む

憎しみ(1995年製作の映画)

4.2

ここから『レ・ミゼラブル』までを切り取ってみたときに、何も変わっていないという半ば諦念めいた思いが事の根深さを再認識させる

愛を止めないで(1991年製作の映画)

3.6

極私的バスジャック映画。厨二くさいカジュアルさが共感の妨げになったけど、そうなればなるほどエリック・ロシャンの射程距離内に入っていくような感覚。実生活ではイヴァン・アタルとシャルロット・ゲンズブールが>>続きを読む

街の中の地獄(1959年製作の映画)

4.0

ネオレアリズモの残香。アンナ・マニャーニとジュリエッタ・マシーナの関係性の変容によって際立つ寄る辺無さが刺さる

ウイザード(1988年製作の映画)

4.2

この持ち上げてから一気に叩きつけてくる感じ…。カール・ゴッチにジャーマンスープレックスホールドくらった時の衝撃に近かったです

悪魔のシスター デジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.2

『殺しのドレス』『レイジング・ケイン』の源流。『歓びの毒牙』との親和性もうれしい。魔術師たる所以のカメラ捌きとバーナード・ハーマンのスコアとの調和に浸る

死体強奪(1992年製作の映画)

3.2

TV畑下積み時代のやつ。IRAテロものかと思いきやむしろそれは副旋律の役割。ジャケットイメージと内容との乖離っぷりに戸惑う。有名どころだとイアン・バネンが出てくる

バロッコ(1976年製作の映画)

3.4

滑稽な状況がずっと続く禍々しさとI・アジャーニの美貌のコントラストが楽しめる。ブリアリ兄さんが不憫…笑

他人の血(1984年製作の映画)

3.6

ジョディ・フォスターの芯が強すぎるために戦時下でありながら焦燥・緊張の共体験は無いに等しい。そんな不満を蹴散らす様にある種の威が備わった彼女の佇まいを堪能。サム・ニールも魅せる

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.4

『ターミネーター』前夜。全てが予定調和に進行するのでながら観ぐらいが丁度いい

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.4

尊厳を取り戻す/失う家族を対置する定石手法ながら本作の主題においてのそれは頗る効果的。思想をコントロールされた状態の発言には驚くとともに寒心に堪えないものがあった。
作品そのものが全人類必修科目

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.8

てっきりファミカセのスーパーマリオブラザーズ編の映画化なのかと思ってたら任天堂全部乗せラーメンで嬉しい。プクプク、ヨッシー登場に歓喜、キラー登場に大歓喜。吹替で

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.6

自分を映画沼に引きずり込んでくれた記念的作品。リアタイ鑑賞世代ではないんだけど、何度もレンタルしてサントラやらポスターやら買い集めたあの日々を回想しながら。終始震えてた

Saltburn(2023年製作の映画)

3.8

愛憎をずっと同時に放ち続けるバリー・コーガンのキナ臭さが強烈。『パラサイト』の変奏

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.4

杉田監督が描く「喪失」がすきだ。希望はなくてもそこにはいつだって温もりが存在する。今回もずっと大切にしておきたいと思える作品。ありがとうございます

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.2

原作ではそこまで刺さらなかったのにまあ不思議。社会の新陳代謝から爪弾きにされた男、自分が宇宙の中心だと言わんばかりに立ち振る舞う男、この客観と主観のズレが喚起するものはあまりにも重い。爆心地として機能>>続きを読む

アース・ママ(2023年製作の映画)

3.8

立ち戻る事はおろかその場に立ち竦む事さえ許してくれない世界。ちゃんとその苛烈さを、憐憫の眼差しを誘う事なく焼き付けた明解な俯瞰視座が好印象な一本。君よ強くあれ

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

4.2

往年のゴシック小説と世界観を共有する様な画面の連続に多幸感。ティルダ様の贅沢な一人二役。会話の場面はほぼ切り返しのみで構築されるんだろうなと予想はしていたけど、それ自体が映画の様式美の一要素として寄与>>続きを読む

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)

3.2

最後のドリフみたいなコントが常軌を逸していて戦慄した。和製『死霊の盆踊り』

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.4

思い返せば「選択」の物語だったように思う。それを象徴するのがあのラストシーンだ。あそこだけでも観る価値がある

香港の流れ者たち(2021年製作の映画)

3.2

いや原題のままでいいのよ…。あまりにもフィクション然とした物語の構築に早々から興を削がれてしまった

サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.0

数々の凝った調理法を提供してくれただけでもう感謝。人体の強度を下げたスプラッシュ祭りで名作群への愛を宣言し続ける姿勢。猛烈にローストターキーが食べたい

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

3.4

逆恨みが過ぎる笑。犬のマダニ画像を思い出してしまった。終盤の畳み掛けは楽しめました

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.6

ホラーはツカミが命、という点ではそれなりに満足させてもらえた。あんなんケラケラ笑いながら楽しんでる連中が一番怖い説ある。行雄ちゃんならキレながらチビって逃げ出してます

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

日本人の琴線にしか触れないような演出が随所に施されていてヴェンダースの日本愛を全身で受け止めた感じがする。名優二人にChoo Choo TRAINさせちゃうだなんて。でもって相変わらず絶妙なサウンドチ>>続きを読む