揺蕩する乙羽信子の悩ましい姿態が出色。愛すらも引き裂かんとする戦争の不条理は『ひまわり』や『ある愛の風景』とも通底し気鬱にさせるのだけど、この破滅的ラストは格別美しい
アクションとメロドラマの塩梅が素晴らしい。空から降りしきる雨、鉄塔をよじ登るEGロビンソン、暫しの横移動、落下するロビンソン。この流れに隙は無い。やっぱりウォルシュはアクションのひとだ
『バーバリー·コースト』同様、男の悲哀を纏わせたらEGロビンソンの右に出る者は居ない
小さな共同体、職業俳優を起用せず、言葉の熱量、切り貼りされたシークエンス、いつの間にかワイズマンあたりの長尺ドキュメンタリーを観ている感覚に陥っていた。勿論歓迎の意味で。あくまでも家族の座標を示すにと>>続きを読む
師から薫陶を受けたかの様に気が引き締まる。食い気味「イエス」の返答に全俺が泣いた。「人間万歳」
銃という物騒なモチーフに一体どの様な意味を持たせるのか、この一点で最後まで引っ張ってしまう脚本が巧み。自由と民主主義の国アメリカ人のドンマイな顛末もちゃんと設計済み。それでいてこの清涼感。今の世界には>>続きを読む
不穏、不愉快、滑稽、痛快。物語の特性上、空間は常に閉塞的で不健全、徐々に赤裸々になっていく家族のある意味純粋な姿。突然の悪夢的結末には思わず「なんの因果だよ…」と。年の暮れにこんな映画観るもんじゃない>>続きを読む
音への嫉妬という観点は興味深い。半ば会話劇でもあるので翻訳で損をしている印象
ずっとそこに滞留していた節さえある日常系ながら、走るというアクションが駆動力となってほんの少しだけ関係性が変容するという建て付け、その反復の緩さがなかなか好み。健康的すぎる山本奈衣瑠が間違いなく映画を>>続きを読む
複層的な語り口はイーストウッドの真骨頂だし、最初にどかんと一発提示して、それに対して各々が逡巡する姿をシンプルに煮詰めていくというアプローチに好感。うーん、手練。でもやっぱりこんな偶然あるわけ…
デトックス効果あり。心が澄み切る。豊かに生きるためのの創意工夫一つ一つが好奇心を刺激する。90年代イラン、ドキュドラマの趣
有産階級が渾然一体となっての一夜の狂騒、同時多発的に発生する悲喜こもごもの出来事、ほぼ肉弾戦な恋の鞘当て、やはり妙な中毒性がある。不徳に対する風刺の匙加減。今観るとすごく衣装がいい。クマの着ぐるみがい>>続きを読む
今回は被写体が限定的なので解像度も上がり愛着に溢れた時間を堪能。どんなに生意気でどんなにグータラでも全員尊い。もう後ろ姿だけで誰だか分かるようになっている。スミス君が気合い入れなきゃあの最後の画は実現>>続きを読む
一滴の涙すら出ない衝撃の家族史。これを因果応報と突き放すのも少し違うと思った。客観視すればある程度の正解は見えてくるのだけどそれは今この立ち位置だから言える話。いざ当事者となった時に正面から受け止めら>>続きを読む
ミイラ取りがミイラになる、を地で行くような顛末にガクブル。孤独の映画。サックスの音色を聴くたびにあのラストシーンを思い出してしまいそう。
ヴィンテージのメガネが見られるのもうれしい。ジーン·ハックマン>>続きを読む
とち狂ってる。絶対にスクリーン案件。虚飾を排した人間くさい感情と人工的な背景の不調和がかえって余韻を残す。先日亡くなったテリー·ガーの舞いを網膜に焼き付けて。スタントンが運転する車にナスキンが乗ってる>>続きを読む
悲観と焦燥そして渇望が綯い交ぜになった衝動の青春譚。色褪せない。「Stay Gold」が沁みる。10代の時にこれを観ていたらどうにかなっていそう!
このタイトルは言い得て妙。
(地鳴りのような音)
渡辺真起子のTシャツ!
(地鳴りのような音)
集客力ありそうな役者を起用してシネコンでかける。『ルート29』なんかがそうだったように篩にかけられ脱落者多しな印象。終盤のこねくり回しはややストレス。つげ義春好きにとってはファーストシークエンスがハイ>>続きを読む
うん。いつものホン·サンス。心が潤う。夕飯はトッポギ確定。
TOKYO FILMeX 2024
別角度からみるとこれは完全に山田孝之の独壇場。粛々と職務を全うする厳格さから垣間見える僅かな揺れを目だけで体現し、生きててよかったに対する正しきことを信じてよかったが寡黙さのなかから滲み出ててやっぱす>>続きを読む
至高の鑑賞体験。
あれから10年、そろそろ理解できるだろと思ったけど無理だった。それでもいい。これは壮大な愛についての物語なのだから。
「親になるというのは子どもたちの未来の幽霊になることなんだ」>>続きを読む
今なお戦禍にさらされているウクライナ国民が渇望するもの。平穏な暮らし。ただそれだけなのにどうにもならないもどかしさ、悔しさ、悲しみ。全員の顔をしっかりみておかねば。
ニコラス史上最もピュアなニコラス。それだけにラストはドンマイ以外の言葉が見つからない。正視できない
スピリチュアルに舵を切っていくまでは没入できた。大場みなみ映画としてかなり魅力的。でも感性だけで映画は撮れないとも思う。監督としての哲学を感じさせてほしかった。
TOKYO FILMeX 2024
完全なる上意下達組織において既定路線であるかの様に長い物に巻かれていく。当然彼女も裁かれるべき人間なのだけど…そこ含めて社会の暗部なのだと読み取る。終始“抗えなさ”が横たわっていた。
もう少しタイトな>>続きを読む
現実と虚構、自己と他者のあわいをたゆたうような浮遊感。アピチャッポン的空間を間借りしつつ、ついぞ辿り着いた彼女なりの境地。ちゃんと進んでいける事を示唆する様な画を前に、私は大丈夫を確信した。
現代中>>続きを読む
実在配信者の実話が下地となっているのでそれなりの清涼感は担保されているものの記号的な人物造形、饒舌な音楽に少しの不満は残る。郷愁掻き立てる情感をこれっぽっちももたらさないただ残酷なだけの時制の往来。3>>続きを読む
メガネ映画!綾瀬はるか、河井青葉、村上由規乃、高良健吾、杉田協士、森井勇佑
今なにしてんの枠の豪華な面々を活写しながら来たるべき終末へとなだれ込むグルーヴ感。あまりにもカオス。それでも彼等の乱痴気騒ぎをみているだけで何だか得した気分になるのであった。
入場特典のポストカード>>続きを読む
金も演者も揃ってるのに本がハマってなくてちょっと勿体ない。もはやデンゼルの映画。彼が居なかったらと考えると恐ろしい。とりあえず…ドンドゥス万歳!
マッシモ·トロイージと言えば本作や『BARに灯ともる頃』での純朴な表情が今も忘れられずにいる。会いに行かない理由はない。言葉の美しさ、強さ、その無限大の可能性。彼等が紡ぐ世界と詩情を高める音楽が見事に>>続きを読む
点描されるありふれた日々が説得力を帯びながら円環を成す。何も起こらなくても何かが少しずつ確実に変化していく。鋭い観察眼ゆえの叙述で「良い映画は細部に魂が宿る」を立証。前作同様の余白と、不器用に生きるし>>続きを読む
ポップな作画に反してビターな着地。でも辛くはない。ララランドよりは花束みたいな恋をしたの後味