経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

リドル・オブ・ファイヤー(原題)(2023年製作の映画)

4.0

血湧き肉躍る冒険譚。遊び人×3のパーティで無茶旅してたら途中で魔法使いが仲間になるくだりに歓喜。初期の『ストレンジャー・シングス』みもある。しょうもないんだけど何だか壮大なものをみた気分

リアリティ(2023年製作の映画)

3.8

仕上がりが想像の域を出ることはなかったけども、台詞と表情の温度差であったり絶妙に保たれる距離感なんかが没入を加速させてくれた

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.6

虚実のあわいを往来する体の子供達の一挙手一投足に釘付け。ドキュメンタルな視座によって言葉の質量は増す

市子(2023年製作の映画)

4.0

渇望する未来、横溢する生命力。プロポーズ直後の市子の涙のワケを今もずっと考えている。この映画はきっとそういう映画なのだと思う

夏の嵐(1944年製作の映画)

3.6

チェーホフの真髄、愚者を通して描かれる魂の本質。逡巡する姿を介して親密さすら感じる瞬間があった

スペードの女王(1949年製作の映画)

3.8

ナチュラルに逝くところからの老婆の顔圧に仰け反る。怪奇譚たらしめているそれらの描写に納得の一本。調度品の美しさとのコントラスト

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を想起させるただならぬ不穏な空気にガクブル身構えてたら、それを嘲笑うの様に別地点へと着地させる確信犯。ただそこにアルジェント御>>続きを読む

これで三度目(1952年製作の映画)

4.2

抱腹絶倒。皮肉にもギトリが一旦フェードアウトしてから物語は勢いを得始めるんだけどちゃんと最後に美味しいところを持っていく。ギトリのラストダンスが名残惜しい

(1932年製作の映画)

3.8

16mm。通俗的なジョーン・クロフォードと偏執的なウォルター・ヒューストン、この異種属性の掛け合いだけで白飯3杯余裕です

拳銃貸します(1942年製作の映画)

3.6

軽やかでありながら濃密。ヴェロニカ・レイクの美しさは言わずもがなだが哀愁漂うアラン・ラッドの佇まいが塩梅良くハマってる

破局(1950年製作の映画)

3.8

娘たちが扉をバタンッ!って閉めてからの夫婦でイチャコラするとこたまんない。こんなにも献身的な妻を腕1本で取り戻せるのなら喜んでくれてやれな佳編

二日間の出会い(1945年製作の映画)

4.0

序盤のロマコメ応酬で青臭さを感じさせながらも徐々に滋味深い関係性へと転調していく運びの巧さ。多くを口にせずとも表情からは未来への決意表明が窺える。お幸せに!

僕たちは変わらない朝を迎える(2021年製作の映画)

3.6

「恋愛ってようわからんなあ」この一点に限ればなかなか上手く可視化されていて色々思うところはあった

ほかげ(2023年製作の映画)

3.4

横たわり続ける禍々しさのなかで、いつだって自分の足でその一歩を踏み出さんとする少年には風通しの良さすら感じる。須賀健太の再来

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.4

日常に点在するちょっとした一段落っていう何気無いスパンをこうも感情豊かに彩ってしまう見事なケリー劇場。性格も作品の趣も対照的なジョー(ホン・チャウ)が配置され鳩の闖入によって提示され始める鏡像関係。水>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.8

マネーとマンパワー炸裂の戦闘シークエンスよりもむしろナポレオンB面の描写に陶酔。彼自身の人生の顛末こそがスペクタクルアクションなのである、とリドリーが言っているかのよう

青春(2023年製作の映画)

4.2

『苦い銭』の姉妹編。消費者が受ける恩恵の裏で末端(最前線)が悲鳴をあげていますの図。どの裁縫工場においても様相の激変を捉える後半、編集の妙も手伝って歪な風土をダイレクトに射抜く。安定のヤニカス、上半身>>続きを読む

水の中で(2023年製作の映画)

3.6

各風景に埋没しそうな朧げな輪郭がまだ何者にもなれない若者像をかえって前傾化させる。思いのほか拒絶反応がおこらなかった奇手

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.8

siriさんへ、今まで役立たずとか言ってバカにしててごめんなさい

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.6

『田舎司祭の日記』や『はなればなれに』を思わせる名画。争いが絶えず不条理が横たわるこの世界で純度100%の愛を抽出してくれるカウリスマキさんおかえりなさい。人間を信じてやまない彼の哲学が沁みる。そんな>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

3.8

両者の過去が僅かな差異を接点としながら鏡像関係を成していく過程が楽しい。過去/現在における人物の運動量の圧倒的な差がラストの地獄絵図で横並びになり色づきを取り戻す光景にある種のカタルシスを感じた。った>>続きを読む

ライト・ライト・ライト(2023年製作の映画)

3.4

頻繁に時制を往来する叙述構成でちょっと散文的。興を削がれていく一方で、余白を埋めることなくあの日々をカプセル化する手並みに唸ってみたりも

正欲(2023年製作の映画)

3.8

個人的に、改変が改悪になってないしちゃんと意図が実感できるそれで安心した。原作でのハイライトだと思っている神戸八重子と諸橋大也の対話の熱量にも驚く。今後の東野絢香には期待しかない

非常宣言(2020年製作の映画)

3.4

自衛と不寛容のキワを突いてくる演出の施しは良かったけど何が何でも感動させまっせな着地にやや拒絶反応も

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.4

肝心の本編はニャーベルズかわいいなで終わってしまったんだけど、その後の2発ですよ。こないだのワイスピみたいにワクワクさせてきよる

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

日本版ID4。この時代背景ならではの絶望・希望の追体験ってことで敗戦国が主体性を取り戻していく骨格にはなかなか滾るものがあった。ステレオタイプの話法と人物造形が没入の妨げにはなったけどアイスブルーに光>>続きを読む

ドリー・ベルを覚えているかい?(1981年製作の映画)

4.0

後の諸作への萌芽というより、まずは『パパは、出張中!』への直線的な繋がりが色濃い。父親の不在と子供たちのこれから。よく雨が降り、水を浴びる。
今も私の映画ライフがあるのは常にクストリッツァがそこに居て
>>続きを読む

ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)

4.0

再上映満席。シャープな編集で多面的に街を立体化してみせる地を這うような目線。そういった親密さと共に笑顔もたくさん見られるんだけど心底からのそれは一つとして無かった気がする。「暴力から自由は生まれない」>>続きを読む

タタミ(2023年製作の映画)

4.6

両国共闘作品という事前情報だけですでにプルプル震えてたんだけど期待を裏切らない出来。想像しえない覚悟と犠牲の賜物。修飾や作為性を削ぎ落としタイトな画角で抑圧と抵抗がせめぎ合い続ける立て付けが見事

マリア(2023年製作の映画)

3.2

撮影に対する意識は高め。被写体の動線含めてよく設計されているなと。

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.2

半ば自虐的な内幕の摩擦模様は面白おかしく観させてもらったんだけど、物語が変容してからは商業映画の悪いところ全部乗せの過剰サービスで胃もたれ不可避。アベノマスク装備してアベンジャーズ結成するところは◎

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.6

それ以上やると『アバター』になっちゃうぞってところで『ID4』へと舵を切り『ローグワン』へと着地。カミカゼロボがダッシュしてくる時の絶望感。映画泥棒の映像みる度にこの作品思い出しそう

死霊館のシスター 呪いの秘密(2023年製作の映画)

3.6

前作はただのお化け屋敷でしかなかったけど、物語ることを放棄せずそれなりに取り返してきた今作。タイッサ・ファーミガがただただ神々しい。祓われたい…

(2023年製作の映画)

3.4

個人としても社会としてもなおざりにしてきたと言ってもいい問題にこのタイミングだからこそ素通りは出来ないと発信する作り手の覚悟・姿勢が全てかなと。夫婦関係の再構築という副旋律の方が刺さってきたのはちょっ>>続きを読む