くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

くろいひと

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グーニーズ(1985年製作の映画)

2.1


王道といえば王道の冒険もの。
いわゆるドキドキ、ワクワクのツボを心得ている作品。

ただ、メインターゲットが子供だとはいえ、もうすこしていねいに作れなかったものかとおもわせるのは時代か。

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.8


黒沢清と濱口竜介がコンビを組んだ、ていねいなつくりが印象に残る秀作。

作中に挿入されるいくつものモティーフが、まさに「虚構」という意味でこのものがたりのメタファーになっており、それがごく自然である
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続・深夜食堂(2016年製作の映画)

2.2


たんにショートエピソードを三つ集めただけという前作の愚を、またもや繰り返している。
脚本も部分によって出来不出来の差がありすぎ、寄せ集めの感が拭えない。

ただ、ふたつめの「焼きうどん」エピソードの
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キャノンボール(1980年製作の映画)

1.6


スター俳優が顔を揃えてくりひろげるコメディ。

部分的に面白いギャグもあるが、バラエティ番組的なコントの域を出ない内容。

メジャーリーグ2(1994年製作の映画)

2.5


良くも悪くも「続編」らしい一本で、さすがに一作目の完成度と面白さには遠くおよばない、いささか残念な作品。

ドラマの要素に必然性が乏しく、全体に継ぎ接ぎ感は否めない。
もちろん気楽に観るにはじゅうぶ
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プリティ・リーグ(1992年製作の映画)

3.4


『プリティ・リーグ』というふざけた(そして作品の本質をまったく理解していない)邦題とは無縁な良作。

戦時下の女性と、かつて実在した女性リーグへの真摯なリスペクトが感じられ、かつそれがコメディタッチ
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メジャーリーグ(1989年製作の映画)

3.8


王道中の王道を行く名作。

ストーリーも展開もベタすぎるほどベタだが、いま見直してもさすがに面白い。
野球が好きなひとなら、何度観ても興奮するだろうし、端的にエンターテインメント映画として必須なもの
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私を野球につれてって(1949年製作の映画)

3.9


最高のウデをもったプロフェッショナルたちによる、最高のエンターテインメント。

フランク・シナトラが歌でも踊りでもやや影がうすいが、ジーン・ケリーの見事な芸とたくみな芝居に引き込まれっぱなし。
エス
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ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

3.5


前作『ワンダーウーマン』とおなじく、明快かつ真摯につくられた良作。

人間の欲望とトレードオフされるものという、ふるくからある神話の典型的なものがたりと、ワンダーウーマンの魅力がシンプルに結びついて
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ラストベガス(2013年製作の映画)

2.7


ベテランの名優たちのリラックスしたアンサンブルが魅力の一本。

肩の凝らないエンターテインメントだが、なかなか見どころあって楽しめる。
マイケル・ダグラスをちょっと見直した。

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.0


ポップでレトロな美しい世界観のなかでくりひろげられる複雑な結構のものがたり。

何重ものメタ構造によってかたられるその形式にこそ、この作品のメッセージをとく鍵がある。
かたられなければならない歴史は
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アクアマン(2018年製作の映画)

1.8


いったいなんなのだろうか、この浅薄なキャラクターものの域を出ない凡作は。

『ジャスティスの誕生』の暗雲たる低迷は別にしても、『マン・オブ・スティール』『ジャスティス・リーグ』『ワンダーウーマン』と
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男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

1.3


恥知らずのひとこと。

学芸会のような脚本、雑な演出と編集、ファンの想いを踏みにじるかのような矛盾だらけの設定、そして一部の例外をのぞいてお世辞にもうまいとは言えないメインの俳優陣の演技。

偉大な
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マラヴィータ(2013年製作の映画)

2.7


証人保護プログラムで身を隠して生活する、元マフィアとその家族のものがたり。

彼らにとって隠遁生活もまた"Malavita"(裏社会)であり、また"Ma la vita"(でもやはり人生)であるとい
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おとなのけんか(2011年製作の映画)

3.5


戯曲がもとになっているだけあって、あるアパートの部屋のみで進行するシンプルな会話劇。

子供の喧嘩をよそにおとなたちがみせる無意味でナンセンスなやりとりは、まるで目的という凧の糸が切れたゲームのよう
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

2.9


第二次世界大戦下のポーランドに住むユダヤ人ピアニストのものがたり。

見ればたじろぎ聞けばおののくものを陳列すればひとのこころを動かすだろうという、いささか安易で甘えたつくりに違和感。
クライマック
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ナインスゲート(1999年製作の映画)

2.4


ある種のオカルトミステリーの定石ともいえる形式をもった作品。

やや停滞気味なテンポ感ながらていねいにつくられている前半部では、雰囲気ある映像によって引き込まれる。

だが、しだいに安易な方向へと(
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赤い航路(1992年製作の映画)

2.0


みずからの妻エマニュエル・セニエの魅力を世界に見せつけたいという、ポランスキー自身のある種の欲望をみたすためのような作品。

いたるところに文学的・宗教的なメタファーを入れ込んでくるのも彼らしいが、
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.4


全編にわたって密度の高い、なかなかよく作り込まれたハードボイルド・サスペンス。

展開や結末はいっけん典型的なアメリカ的フィルム・ノワールと言ってよく、ジャック・ニコルソンの野性味がそこにスパイスと
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.3


古典的ホラーというよりも、むしろ心理的サスペンスとしてうまくつくられていて、興味がなくても面白く観られる。

集合住宅ならではの他人からの干渉、無言の社会的な規範への追随、妊娠への期待と不安と、それ
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袋小路(1965年製作の映画)

3.7


ポランスキーの周到なたくらみが生きた異色作にして、おそらく彼の監督作でもっとも完成度のたかい一本。

「袋小路」に追い詰められたのは、はたして誰だったか、そのみごとな構成は見事。
心理劇の要素を、心
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反撥(1964年製作の映画)

3.4


精神が崩壊していくひとりの女性をえがいた傑作サイコサスペンス。

周到なポランスキーの演出と、圧倒的なカトリーヌ・ドヌーヴの演技によって、スタイリッシュな世界に引き込まれる。
どこまでが現実でどこま
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

3.5


わずか三人の登場人物が、かぎられた時間と空間のなかでみせる心理劇。

終盤ちかくまでは特におおきな出来事があるわけではないが、そこで積み重ねられた緊張感がクライマックスにリアリティをもたらすという、
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オーシャンズ13(2007年製作の映画)

3.4


爽快なる第二作「オーシャンズ12」にはおよばないかもしれないが、こちらも見応えある良作。

舞台となる場所も犯行実行の時間もごくかぎられているために、すばらしく密度ある作品になっている。
過去作とこ
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オーシャンズ12(2004年製作の映画)

3.5


続編はそうじて第一作を超えることがないという、映画業界の定説をみごとにくつがえしてくれる快作。

盗んだ金を返すために盗みを計画するという設定からして面白い。
くわえて、徹底的にエンターテインメント
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シャーロック・ホームズ 殺しのドレス(1946年製作の映画)

2.6


伝説のシャーロック・ホームズ役者ベイジル・ラスボーンの一本。

『六つのナポレオン像』的なプロットに、映像作品ならではの暗号。
馬車ではなく自動車だったり、X線での調査があったりと、20世紀に時代を
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オーシャンズ11(2001年製作の映画)

2.6


気楽に観るエンターテインメントとしては過不足ない一本ながら、あまりといえばあまりにひねりがない。

ストーリーから展開、演出にいたるまで、いちども裏切られることなく典型中の典型をゆく。
何人かの俳優
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

3.5


シンプルかつライトな一作ながら、なかなかに引き込まれる秀作。

ひねったストーリーも演出もなく、あまりに都合の良い展開なのにもかかわらずすてきな出来栄えになっているのは、ひとえにデ・ニーロとアン・ハ
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スティング(1973年製作の映画)

3.9


テンポのよいオシャレな演出が光るコメディの傑作。

裏の裏をかく男たちのたくらみに、映画を観るものもよろこんで騙されてやろうという気になるものだ。

旧き良き時代の町並み、ファッション、そして音楽も
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スクランブル(2017年製作の映画)

3.3


ライトに観るにはなかなか楽しめるエンターテインメント。

こういった作品では典型的な展開のオンパレードだし、ツッコミどころも随所にあるのだが、それがシンプルかつ軽快なテンポでつながっていくので小気味
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ヴィジット(2015年製作の映画)

1.7


自撮りをふくめた映像、開けてはならない地下室、破綻した親子関係のタブー、意味ありげな古井戸。
そこにならべられた素材は古典的な精神分析のモティーフばかりで、そこからどんな癒しと再生のものがたりが構築
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グランドピアノ 狙われた黒鍵(2013年製作の映画)

1.7


構想、脚本、演出において、まれにみる噴飯ものの駄作。

コンサートへ復帰するピアニストの本番中に起こるサスペンスだが、ヒッチコックへのオマージュとして肝心のマクガフィンが明かされず、犯人の動機もすべ
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エアベンダー(2010年製作の映画)

1.8


ファンタジーの世界観と中華系アクションとがむすびつけられた作品。

かなり3Dも使用されているが、これが2010年の作品ということを考えると、中途半端感は否めない。
ここにはほとんどなにもドラマたる
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レディ・イン・ザ・ウォーター(2006年製作の映画)

2.6


水の世界へ帰るナーフという童話的構造が、そのままある人物が「戻るべきところ」へ戻る話になっているというみごとな寓話。
ある意味で村上春樹的な世界ともいえ、作中で言及されるように、雨による癒しと再生の
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すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

3.0


映画音楽史を、作曲家の話や録音風景などをおりまぜてかたるドキュメンタリー。
どの作曲家たちの音楽もとても面白くひきこまれる。

ただ、いくつか問題も。
これほど音楽をテーマにしているにもかかわらず、
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グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

4.0


ひきさかれた国で「作られた」歴史、つまり「嘘」についてのものがたりであり、このうえなく周到につくりこまれた作品。

「あった/あり得た」歴史を「語る/騙る」ことの欺瞞と、信じていたさまざまなものがあ
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