シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 34ページ目

シャチ状球体

シャチ状球体

フィアー・ストリート Part 1: 1994(2021年製作の映画)

2.9

色々な意味で型にはまった映画だ。

60年代ホラーのように押し付けがましいBGM、"いつものエンディング"、個性と道徳心の欠如したキャラクター。魔女の呪いという設定も、3部作に引き伸ばすため以上の必要
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

5.0

この映画は、『悪魔のいけにえ』のようにリアリスティックだ。

自分が歩いているのが床なのか天井なのか、目薬が落ちているのか上がっていくのか。LSDによって見当識を失ったダンサー達は、現実と精神の境目を
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プライムタイム(2021年製作の映画)

2.8

テレビ局に男が立て籠るというシンプルなストーリーで、早朝に見る夢ぐらい内容が薄いのが特徴の映画。

時間の無駄という言葉を映像化したかのように物語性が存在せず、犯人のバックボーンが判明するかと思いきや
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ヒッチャー ニューマスター版(1986年製作の映画)

4.1

この映画、ルトガー・ハウアーが出演しているシーン"だけ"は超大作サイコスリラーを観ているような感覚に陥る。ジムとかいうヘナチョコ主人公が映る度にそれが幻だったと落胆するのだが、ジョン・ライダーが画面を>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

3.4

第三者(=政府)の介入がなければ絶対に格差は縮まらない。この建物(=国)では食糧(=通貨)は個人で作り出すことはできないから、皆で限られた資源を分け合って暮らしている。

この映画は資本主義(特に新自
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.6

"今から数年後"という、あらゆる描写に対する免罪符のようなテロップからもわかる通り、この映画は"道理を血の池に沈めた映画"である。

物語の展開に全く必然性がなく、観客の意表を突くことだけに終始した作
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.9

前から気になってた作品だけど今さら視聴。

冒頭から何故か音に怯える主人公家族の姿を描き、否応なしにこの世界観に引き込まれる演出は見事。
音楽はイヤホンで、会話は手話で、泣くときも無言で。我々が普段当
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激突!(1971年製作の映画)

3.9

スティーヴン・スピルバーグの初期監督作品。

テレビ映画ということもあってか、主人公の心情をナレーションで説明するシーンが何度もあったり、(死の)ドライブシークエンスは冗長で同じような絵面が続く。これ
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ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.2

ビデオとは、一方通行のことである。観る側が何を思うのか、感じるのか。そんなことはお構い無しにビデオは映る。それを恐怖と言わずして何と言えよう。

この映画の支離滅裂な脚本こそが相互不達そのものであり、
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ファザーフッド(2021年製作の映画)

4.6

この社会に蔓延るジェンダーロールの紐を一つ一つ解いていく映画。
子どもと一緒にいるといつも「ママはどこ?」と聞かれたり、子育てという言葉の中に父親が排除されている"当たり前"の皮を剝がしていく脚本は痛
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怪物はささやく(2016年製作の映画)

4.0

"怪物"の言動が少年の想像力を明らかに上回っていて不自然な点もあるけど、全体的には一人の少年が現実に適応するまでを丁寧に描いた佳作。

お父さんの「世の中にはいい奴も悪い奴もいない(うろ覚え)」みたい
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活きる(1994年製作の映画)

5.0

1940年代から60年代の中国で生きる福貴とその家族を描いた映画。

恐らく二度と戻ってこないであろう町長や春生、消えてしまった思い出……。無常感漂う映像と、"未来は今日よりもずっと良くなる"という福
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ホリデイズ(2016年製作の映画)

2.7

この作品がホラーなのだとすれば、全ての映画をホラー映画と呼ばなければいけなくなるだろう。

8つの短編を(寄せ)集めたオムニバス形式の映画なんだけど、内容は下ネタと半分一発ギャグみたいな不条理+超展開
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.3

テッド・バンディの裁判とその最期までを描いているが、再現ドラマ以上の出来になっていない。事実をなぞっているだけで、まるでWikipediaの映像化だ。

1978年、冬。(2007年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

長回しで遠景を映すシーンが印象的で、工場、灰色の壁といった乾いた光景が、いくら時が流れようと変わらないと思えるような街全体の閉塞感と、スーピンにとって西幹道とシュエンへの思いが入り交じった倒錯した叙情>>続きを読む

ブレイド3(2004年製作の映画)

2.9

前作と代わり映えしないオープニングで始まるブレイドシリーズ最終章は、ヴァンパイアにネガティブキャンペーンを打たれるブレイド、揃いも揃って無個性なヴァンパイア・ハンターたちと演技力までヴァンパイアなドミ>>続きを読む

ブレイド2(2002年製作の映画)

3.7

何故かギレルモ・デル・トロが監督しているブレイドシリーズ二作目は、えらく適当な原理で生き返ったウィスラー、パワーパフガールズを見ながら仕事をするノーマン・リーダス演じるスカッド、そしてブレイドとまさか>>続きを読む

ブレイド(1998年製作の映画)

3.6

超が付くほどスタイリッシュなアクションシーンが単調な脚本をカバーしていて、個性と魅力の欠如したヴァンパイアのキャラクター造形も味があるように錯覚してしまうような出来の良さだ。
アクションと主人公のビジ
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ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男(2018年製作の映画)

3.4

ヒトラーもビッグフットもあまり関係ないというか、従軍経験のある一人の老人の人生を振り替えるという構成がタイトルとミスマッチ。
かといって人間ドラマに振りきっているわけでもなく、病原菌を持ったビッグフッ
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樹海村(2021年製作の映画)

2.5

この映画最大の問題は、恐怖の対象が曖昧な上に"全然恐くない"という点に尽きる。

コトリバコ、自殺に失敗した人たちが樹海に作ったといわれる村、次々と不審な死を遂げる登場人物達。こうして羅列すると何だか
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ヴァンパイアvsザ・ブロンクス(2020年製作の映画)

4.0

ブロンクスに住む三人の少年がヴァンパイアと戦うティーン向けのホラー(?)映画。

短い時間で起承転結のはっきりした手堅い脚本が特長である本作は、少々強引な展開はあるものの町を支配しようとするヴァンパイ
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WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス(2019年製作の映画)

3.5

外人嫌いラップ、日の丸メイク、スーパーの安売り弁当、街頭モニターに映し出されるプロパガンダCM、2020東京オリンピックを大東亜体育大会と表現したり、全編に渡って皮肉の嵐。

"死ぬほど長い"(タイト
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TENET テネット(2020年製作の映画)

2.5

激しいアクションと連続性の欠如した時間感覚が新感覚の映像を体験させてくれるものの、世界観の説明に終始して実在感のない空虚な登場人物の言動と脚本は退屈極まりない。

最終的にはロバート・パティンソン以外
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未来のミライ(2018年製作の映画)

2.0

この世界では、くうちゃんはミライのお兄ちゃんでなければいけない。"くうちゃん"であってはいけないのである。駅でくうちゃんがミライのお兄ちゃんだと自覚するシーンが特に顕著で、自分を捨てて家族のために奉仕>>続きを読む

ブーブル(2020年製作の映画)

4.1

女性が12歳前後になると知らない男性と結婚しなければならないインドを舞台に、その悪しき伝統から生まれる悲恋、そして社会構造に対する問題提起をファンタジー風に描く映画。

視聴者が知っていることを登場人
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ティングラー/背すじに潜む恐怖(1959年製作の映画)

3.4

そもそも人が恐怖を感じたときは叫ぶんじゃなくて何も言葉を発せられなくなると思うし、ティングラーよりも良心の欠如した主人公の方が怖いんだけど、細かいことは気にしてはいけない。


糸が丸見えのティングラ
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移動都市/モータル・エンジン(2018年製作の映画)

2.6

ミニオンズが古代アメリカの神々として祀られてたり、賞味期限が1000年前のトゥインキーといった小ネタは面白かったけど、移動要塞という興味深い設定の割には市井の人々の生活がほぼ描かれずに主人公中心に物語>>続きを読む

パージ:大統領令(2016年製作の映画)

2.7

過剰な演技、現実離れしたキャラクター描写が足を引っ張っているものの、パージを廃止しようとする野党党首とそのボディーガードが12時間を生き延びようとするという、明確で筋の通った目的が明示されているために>>続きを読む

AWAKE アウェイク(2021年製作の映画)

3.3

全人類が眠れなくなるという面白い設定の割には、脚本がありきたりなポストアポカリプスの枠に収まっているのが残念なところ。眠ることのできる女の子の立ち位置が、ゾンビ映画でよくあるウイルスに抗体がある人とほ>>続きを読む