シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

シャチ状球体

シャチ状球体

こどもしょくどう(2017年製作の映画)

2.8

子どもの貧困をテーマにしているのにも関わらず、本質的な部分を全く描けていない。
子どもの貧困は親の貧困である。しかし、この映画では大人の目線は殆ど描かれない。そして、キャラクターも"聡明で純粋な貧しい
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ショート・ターム(2013年製作の映画)

5.0

この映画に登場する子ども(大人)たちは、様々な問題を抱えている。そして、その問題は最後まで解決しない。
入居する未成年の子どもに対して同じ目線で接し、禁止も処罰も叱責もしないショート・タームの職員たち
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.3

タイムループ要素と捻りすぎた脚本も相まって、アメリカにおける白人至上主義者の警官の横暴やそれに対してマイノリティが日々感じる恐怖、差別が社会構造の中に組み込まれているという理不尽さに対する怒りといった>>続きを読む

メランコリック(2018年製作の映画)

2.5

この映画には警察が出てこない。主人公の家族は最後まで本筋に関わってこないし、特に不幸なことも起こらない。
"こんな世界があってもいいよね"という現実からの逃避以上の意味がない物語なので、主人公にとって
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イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)

4.2

カプリ島の大自然の中、パブロ・ネルーダの力強い詩と人間性がマリオという人間に多大な影響を与えていく様子を描いた映画。

カプリ島の外部の世界を極力映さないことで、一時の夢を見ているかのような気持ちにさ
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

2.3

性欲丸出しで猿のような登場人物達のおかげで、誰が殺されようが殺されていまいがどうでもよくなってくる演出が見事(……)。

日常から一歩足を踏み出したことで非日常に入り込んでしまう恐怖を描こうとしたのだ
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恋のエチュード(1971年製作の映画)

4.2

「あなたから離れてると私は別なのよ」

この映画に登場する人間達は、距離を離すことによってアイデンティティを確認しているのだ。
愛情は稲妻であり、地面に落ちれば消えてなくなる。なのに何度も降り注ぐ。そ
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クレヴァニ、愛のトンネル(2014年製作の映画)

2.4

とにかく役者が演劇みたいな話し方をしていて、とても不自然。双方が1音1音ハキハキと喋る会話シーンは悪夢のようだ。

亡くなった彼女を追い求める主人公を異国の地だけが受け入れてくれるというのは、殆ど理由
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グッド・ボーイズ(2019年製作の映画)

3.6

ノンストップで炸裂する下ネタとコメディシーンに段々と頭が痛くなってくるけど、"大人にさせられてしまう"子ども達を描いているという意味では妙に頭に残る映画だ。

キッズ・リベンジ(2012年製作の映画)

3.0

起伏のない展開とあまりにも人間離れした弟の設定のおかげで物語に吸引力がないものの、家にやってきた犯罪グループを撃退するという必要最低限の興味の持続はある。それ以上のものは何もない。

愛と希望の街(1959年製作の映画)

4.6

愛も希望も無い街、そして格差社会を痛烈に描いた名作。

絶対に相互理解のできない"身分"の異なる二人がすれ違っていくのが見ていて痛々しいが、これがまたリアル。
息をすれば生きていける家に育った人と、犯
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さようならCP(1972年製作の映画)

4.6

劇中、カンパをした人にインタビューをするシーン。皆が「気の毒」、「可哀想」、「普通の人と違って……」と異口同音に言い放つ。まるで障害者が住んでいる世界は我々の社会と別の場所にあると言わんばかりに。>>続きを読む

ディス/コネクト(2012年製作の映画)

3.0

この映画、脚本や構成が2004年のポール・ハギス監督の『クラッシュ』にそっくりである。主人公のいない群像劇、誤解やすれ違いで悲劇が起きる、最終的に感動的な終わり方をする……と、何から何まで同じ。激昂し>>続きを読む

ザ・ヴォイド 変異世界(2016年製作の映画)

3.9

ラヴクラフトとクライヴ・パーカーの世界観をミックスしたような不条理ホラー映画で、"そこそこ個性的"なキャラクター達が謎の集団に包囲された片田舎の病院から脱出しようとする話なんだけど、段々と話が思いもよ>>続きを読む

コモドVSキングコブラ(2005年製作の映画)

1.4

これも小学生の時に見てしまった地獄の映画。『ザ・グリード』をテレビで見て、興奮してTSUTAYAでモンスターパニックものであるコレを借りたんだけど、ショボいCGのヘビと何かがショボい俳優と戦うだけの映>>続きを読む

ZVC ゾンビVSチアガール(2007年製作の映画)

1.4

小学生の時に(確か)TSUTAYAで借りた映画なんだけど、世の中にこんな酷い映画があるのかと思った記憶がある。当時は金曜ロードショーや日曜洋画劇場の影響もあって洋画は吹替えで観てたんだけど、とにかく日>>続きを読む

危険な情事(1987年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

マイケル・ダグラス演じるダンが不倫をしなければこんなことにはならなかったのでは……という疑問が最後まで消えないまま映画が終わってしまった。

というか、アレックスと一晩過ごした後にわざわざ一緒に犬の散
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.9

ピーター・フォンダが最高にイカす映画なんだけど、LSDを吸ってトリップするシーンが強烈。

清々しいほどのラストはヒッピー達による自己批判にも思える。もしくは、諦念。

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

4.5

アメリカンニューシネマの名作。

社会から排除された人達が銀行強盗を繰り返すんだけど、ラストへ以外は悲壮感が全くない。どころかボニー&クライドのラブストーリーのようだ。

(公開当時は)衝撃的だったラ
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アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.5

アリータのビジュアルや手に汗握るアクションシーン、漫画原作らしく広大な世界観は魅力的なものの、肝心の物語は起承転結の起で終わってしまう。この映画単体では何も得るものがない未完成の作品だ。

熱帯魚(1995年製作の映画)

3.8

一応ジャンルとしてはコメディなんだけど、テストの点が悪かっただけで体罰をする教師とか、高校入試のために4時間睡眠で猛勉強をしないと社会からフェードアウトしてしまうという台北の地獄の学生事情が描かれてい>>続きを読む

イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.2

冷たく暗い世界の中で、暖かい月の光のように辺りを照らすイゴールの優しさが映画全体を包む。

ロゼッタ(1999年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

劇中、ロゼッタがリケに行っている行為は試し行動である。
沼に落ちたリケを最後の最後で助けたのも、奪った仕事をすぐに辞めたのも、ロゼッタが自分の思いを表に出すことを極端に恐れているから。
自分が沼に落ち
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デッドゾーン(1983年製作の映画)

4.5

事故によって全てを失った代わりに予知能力を手に入れてしまった男の悲哀を叙情詩のように映す名作。

クリストファー・ウォーケンが目で語る喪失、上記の全てを表現するマイケル・ケイメンのメインテーマ。街に降
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サマーフィーリング(2016年製作の映画)

4.0

劇中、セキトオ・シゲオのThe WordⅡのカバー(たぶんMac DeMarcoのChamber of Reflection)が演奏されるシーンがあるのでおすすめです。

次の朝は他人(2011年製作の映画)

4.6

過去はいつまでも記憶のままにしておきたいもの。現在になった瞬間に思い出は変わってしまうから。
"初めて"は一回きりではなく、 呼吸の度に生まれていく偶然の一部なのである。花が枯れては咲くように。
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

4.1

愛が老いていく。

お互いを知り尽くしてしまった二人が、男の故郷である漁村で夫婦関係を見つめ直す。都会では夫婦だったのに、ここでは二人の人間。全てを知り尽くしていたはずなのに、初めて知った故郷での彼。
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キル・チーム(2019年製作の映画)

3.5

アフガニスタンで実際に起きた米軍による民間人殺害事件を描いた映画。
部隊の仲間が違法行為を隠蔽し、第三者機関(?)に通報した別の仲間をリンチするという異常な状況の中、まともな主人公が孤立していく。
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.6

第一次世界大戦当時に撮られた実際の記録映像を使い、その映像と退役軍人のインタビュー(?)を同時に流すドキュメンタリー映画。

戦争の始まりから終わりまでにイギリス軍兵士達が体験した出来事が鮮やかかつ丁
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