シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 38ページ目

シャチ状球体

シャチ状球体

危険な情事(1987年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

マイケル・ダグラス演じるダンが不倫をしなければこんなことにはならなかったのでは……という疑問が最後まで消えないまま映画が終わってしまった。

というか、アレックスと一晩過ごした後にわざわざ一緒に犬の散
>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.9

ピーター・フォンダが最高にイカす映画なんだけど、LSDを吸ってトリップするシーンが強烈。

清々しいほどのラストはヒッピー達による自己批判にも思える。もしくは、諦念。

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

4.5

アメリカンニューシネマの名作。

社会から排除された人達が銀行強盗を繰り返すんだけど、ラストへ以外は悲壮感が全くない。どころかボニー&クライドのラブストーリーのようだ。

(公開当時は)衝撃的だったラ
>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.5

アリータのビジュアルや手に汗握るアクションシーン、漫画原作らしく広大な世界観は魅力的なものの、肝心の物語は起承転結の起で終わってしまう。この映画単体では何も得るものがない未完成の作品だ。

熱帯魚(1995年製作の映画)

3.8

一応ジャンルとしてはコメディなんだけど、テストの点が悪かっただけで体罰をする教師とか、高校入試のために4時間睡眠で猛勉強をしないと社会からフェードアウトしてしまうという台北の地獄の学生事情が描かれてい>>続きを読む

イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.2

冷たく暗い世界の中で、暖かい月の光のように辺りを照らすイゴールの優しさが映画全体を包む。

ロゼッタ(1999年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

劇中、ロゼッタがリケに行っている行為は試し行動である。
沼に落ちたリケを最後の最後で助けたのも、奪った仕事をすぐに辞めたのも、ロゼッタが自分の思いを表に出すことを極端に恐れているから。
自分が沼に落ち
>>続きを読む

デッドゾーン(1983年製作の映画)

4.5

事故によって全てを失った代わりに予知能力を手に入れてしまった男の悲哀を叙情詩のように映す名作。

クリストファー・ウォーケンが目で語る喪失、上記の全てを表現するマイケル・ケイメンのメインテーマ。街に降
>>続きを読む

サマーフィーリング(2016年製作の映画)

4.0

劇中、セキトオ・シゲオのThe WordⅡのカバー(たぶんMac DeMarcoのChamber of Reflection)が演奏されるシーンがあるのでおすすめです。

次の朝は他人(2011年製作の映画)

4.6

過去はいつまでも記憶のままにしておきたいもの。現在になった瞬間に思い出は変わってしまうから。
"初めて"は一回きりではなく、 呼吸の度に生まれていく偶然の一部なのである。花が枯れては咲くように。
>>続きを読む

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

4.1

愛が老いていく。

お互いを知り尽くしてしまった二人が、男の故郷である漁村で夫婦関係を見つめ直す。都会では夫婦だったのに、ここでは二人の人間。全てを知り尽くしていたはずなのに、初めて知った故郷での彼。
>>続きを読む

キル・チーム(2019年製作の映画)

3.5

アフガニスタンで実際に起きた米軍による民間人殺害事件を描いた映画。
部隊の仲間が違法行為を隠蔽し、第三者機関(?)に通報した別の仲間をリンチするという異常な状況の中、まともな主人公が孤立していく。
>>続きを読む

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.6

第一次世界大戦当時に撮られた実際の記録映像を使い、その映像と退役軍人のインタビュー(?)を同時に流すドキュメンタリー映画。

戦争の始まりから終わりまでにイギリス軍兵士達が体験した出来事が鮮やかかつ丁
>>続きを読む

グリーンルーム(2015年製作の映画)

4.2

物語がどこに向かって走っていくのか、最後の最後まで分からない。まるで動き出した電車を追いかけるように、1時間半の短い旅が始まる。

少しキャラクターを活かしきれていないところはあるけど、売れないバンド
>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.6

例えば、恋愛とは理性の放棄である。朝起きた時の気怠い自分と、誰かを愛している時の自分は果たして同じ自分なのだろうか。

外面と内面の解離を経験したことのない人間はほぼ存在しない。自分とは何者で、どこに
>>続きを読む

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

心底不愉快な映画。
まず、"人間にとって都合の良い犬像"を批判的な視点なしに描いていること。犬のベイリーは再びイーサンに会うために何度も生まれ変わるんだけど、そもそも生まれ変わるって何?どうしてベイリ
>>続きを読む

ラスト・エクソシズム(2010年製作の映画)

2.9

悪魔の存在を否定するためにエクソシズムの欺瞞を暴く映像を撮ろうとする牧師の話。

最初から最後までクソ真面目に作られた映画で、前半に行われる偽のエクソシズムがこの作品で一番盛り上がる場面である。悪魔に
>>続きを読む

アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

3.8

主人公のアリスがファットマンに大人顔負けの悪態をつくシーンがこの映画で最も楽しいシーンである。

ストーリーの話をすると、メインの殺人事件よりもこじれ切ったアリスの家族のドラマの方が面白いので段々殺人
>>続きを読む

マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

3.8

ラブクラフト小説の”人間にはどうすることもできない存在に対する畏怖の念を自分以外の誰にも共有できない根元的な恐怖”はあまり表現できていないものの、インスマウスをモチーフにしたであろうホブの街は十分に不>>続きを読む

アラビアのロレンス/完全版(1988年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最初は高潔で慈悲深く、博識でかつ勇敢で理想家だったロレンスが、理想家であるがゆえに現実に直面するに連れて段々と自己を見失っていく様が非常に丁寧に描写されており、あっという間の227分だった。

映画の
>>続きを読む

ビタースウィート(2002年製作の映画)

3.7

題名通りビタースウィートな青春劇。17歳という多感な時期で自分がどこにいるかもまだ分からない少女達の、時には衝突しながらも消えない友情を描く。

本当に普遍的な話で、誰にでもこういった時間があったかも
>>続きを読む

地球の静止する日(1951年製作の映画)

3.8

4億キロ離れた場所からやってきたはずの宇宙人が何故か人間そっくりの姿をしていたり、地球のラジオを傍受して言語を覚えるという適当な設定(全ての国の言葉を覚えたの?英語だけだとしたら、何故アメリカが英語を>>続きを読む

ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.5

アサド政権から国民を守る……かと思いきや、ラッカを支配して敵対するものを処刑・暗殺するISの実態を世界に広めようとする人たちのドキュメンタリー映画。
家を変えても変えても特定されて、玄関の写真をISの
>>続きを読む

あなた、その川を渡らないで(2014年製作の映画)

4.0

これ以上ないくらいの純愛。
70年以上連れ添った夫婦を追っていくドキュメンタリーで、花が咲いて枯れるように二人に老いが訪れる。服を燃やすシーンや犬に関する一連の流れは"時間の流れ"の残酷さが、これでも
>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

2.3

作り手の用意した悲劇のレールに乗って走っていくだけの映画。殆ど見世物小屋だ。
主人公であるセルマは一点の曇りもない純粋な人間として描かれ、それ以外の人物は不自然なほどに利己的、もしくはセルマに同情する
>>続きを読む

欲望の翼(1990年製作の映画)

4.5

レスリー・チャンの今にも消えてしまいそうな透明感。
脚のない鳥~の詩が秀逸。この映画全体が叙情詩のような構造になっていて、主人公自身の儚さが当時の香港の無国籍感を象徴しているかのよう。

レジェンド/光と闇の伝説(1985年製作の映画)

2.2

"あんまり怖くない悪夢"を見ているかのような映画。全ての台詞が耳を通り過ぎていって、奥行きのないいつものトム・クルーズが活躍っぽい何かをする。
それだけ。

異端の鳥(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

暴力、差別、反知性。1秒たりとも居たくない空間を2時間49分13秒ものあいだ見せられる。
劇中で主人公に優しく接してくれるのは、決まって孤独な大人だ。その人たちは、様々な理由ですぐに画面から消えてしま
>>続きを読む

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

4.5

青春、音楽、80年代。カタルシスとエモーショナルが詰まった映画。こんなレビューなんて読んでないで、再生ボタンを押そう。