シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 36ページ目

シャチ状球体

シャチ状球体

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

セックスワーカーの女性たちが置かれた状況を露悪的に描くことで問題提起をしようとしているが、本質的な部分を絵が毛例無いためにエンターテイメント以上の作品にはなれていない。

まず、女性が性風俗で働かなけ
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

この映画は一度レールを外れてしまった人間に対する救済がない(どころか更に追い詰める)社会の在り方を問うているが、所々にクエスチョンマークの浮かぶ描写がある。

まず、舘ひろし演じる組長が聖人のように描
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激流(1994年製作の映画)

3.5

適度なアクション、適度なサスペンス、適度な人間ドラマ。全てがうまくまとまっている映画だ。
激流どころか殆ど滝……。

ディケイド 腐敗する者たち(2015年製作の映画)

3.0

主人公の見ている、抑圧と虚構にまみれた世界を表現することはできていると思う。幼少期の虐待されていた記憶から逃れられないというストーリーはありがちだが、そこに"自分を傷付けることのない理想的な他者"の要>>続きを読む

マイ・ガール(1991年製作の映画)

2.5

何のために出てるのかよく分からないマコーレー・カルキンが、この映画そのものを象徴している。

世界を変えたテレビゲーム戦争(2019年製作の映画)

3.7

PONGの発明からプレイステーションの発売までという、"微妙な期間の歴史をめちゃくちゃ端折って紹介する"ドキュメンタリー映画。ATARIや任天堂、セガといった会社で活躍する(した)社員や役員のインタビ>>続きを読む

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2021年製作の映画)

2.6

隣人が人を殺す瞬間を見てしまったけれどもそれが現実なのか妄想なのか分からないという、どこかで見たことのあるストーリー。そして個性のないキャラクターと何の捻りもない脚本のおかげで、豪華キャスト陣の演技も>>続きを読む

フライトナイト(1985年製作の映画)

4.1

ストーリー自体は特に捻りがないものの、古き良き怪奇映画にオマージュを捧げた演出が秀逸。

隣の家に引っ越してきた怪しげな隣人二人がヴァンパイアではないかと疑いをかけ、誰にも信じてもらえないまま孤独に奮
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ミスター・ミセス・ミス・ロンリー(1980年製作の映画)

3.1

あまりストーリーのない割には上映時間が2時間18分もあって冗長な場面が多いものの、原田美枝子筆頭に役者陣の濃密な人間関係には一見の価値ありかも。

ビンタ合戦のシーンは好き。

TOURISM(2018年製作の映画)

4.4

目的もなくシンガポールに向かう二人のあてなき旅は、無国籍感溢れる環境音楽(Vaporwave)の中での孤独な放浪へと変わっていく。

特に書くことがないと「スーを演じるSUMIREの瞳がこの映像世界に
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

4.6

人間はどこでだって誰かに"映されている"。テロ対策の名目で街中に設置された監視カメラ、行き交う人々の持つスマートフォンには皆カメラが搭載されているし、服屋には鏡が。

自分が誰で、どこにいるのか。誰に
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もう頬づえはつかない(1979年製作の映画)

3.5

共感性の欠如した若者達が傷つけ合い、別れていく。
ただそれだけなんだけど、桃井かおりの実在感が世界観に説得力を与えている。

サード(1978年製作の映画)

3.6

少年院に入ったサードの心中が描かれることがないので、メインのテーマが曖昧なままスタッフロールが流れてしまった。
軍隊のような少年院も、サードが犯した殺人も、全て表面しか描写されない。"非行少年"の置か
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血を吸う粘土~派生(2019年製作の映画)

2.4

アンニュイなキャラクター達が粘土の怪物に一人ずつ殺されていくだけの映画……の続編だけど、ストーリー展開は前作とほぼ同じ。

出演しているキャストのファンでもなければ、無理して観る必要はないかも。

オキシジェン(2021年製作の映画)

3.4

いわゆるソリッド・シチュエーションスリラーものの新作。

この映画の最も良くない点は、劇中で謎が全て明かされてしまうということ。観客が世界観を想像する余地がなく、驚くほどすっきりした終わり方をする。そ
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青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.2

ストーリーラインをぶったぎるような爽やかすぎるゴダイゴの挿入歌は少し残念。

しかし、青年が抱える両親との鬱屈した生活の中で、画面から飛び出してきそうなほどの厭世観を漂わせる水谷豊の存在によってこの映
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空に住む(2020年製作の映画)

2.7

無味乾燥という言葉がここまで似合う映画も珍しい。

まず、この映画の良いところから。
Amazonプライムビデオで再生すると、日本語字幕が出てくるから台詞を聞き逃さずに済む。
以上。

観ても観なくて
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パキスタンに見棄てられて(2015年製作の映画)

4.2

貧困、麻薬、売春。社会的弱者になった途端に社会から排除される国、パキスタン。ある意味究極の自己責任社会である。一言で言えばディストピアだ。

そんな彼ら、彼女らを支援する個人がいるのが唯一の救いだが、
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.8

この映画を一言で表すと、"原体験"である。
永遠に続いているかのような砂漠、山、森、岩。世界中に自分一人しか存在していないかのような、地球上に一つのアイデンティティだけがぽつんと置かれているかのような
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人間機械(2016年製作の映画)

4.3

1日12時間労働。機械を動かしているのか、動かされているのか。経営者はどんどん豊かになり、労働者は働けば働くほど身も心も貧しくなっていく。

最後の方で労働者達が撮影者に詰め寄るシーンがあるけど、
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「A」(1998年製作の映画)

4.2

社会に排除された人間に対して、社会に戻る(まともな職に就く)よう説得をするシーン。そして、公安が転び公妨でオウム信者を逮捕するシーン。ここにこの映画の全てが詰まっている。

"自分達が住んでいる社会に
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徘徊 ママリン87歳の夏(2015年製作の映画)

5.0

ママリンは電柱と娘の違いも理解できない。毎日自分の家が分からなくなって、毎日もう存在しない家に帰ろうとする。花が枯れてそこにまた別の花が咲くように、アサヨさんとアッコちゃんの生活は続いていく。

この
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ズーム/見えない参加者(2020年製作の映画)

4.1

最初に言っておくと、この映画はあまり怖くない。恐怖シーンの殆どがジャンプスケアだし、上映時間が短いうえにテンポも速いので、怖さを感じる前に映画自体が終わってしまう。あまりいる意味の感じられない登場人物>>続きを読む

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.2

あるタコの一生を追ったドキュメンタリー映画。
被写体であるタコが天敵に襲われそうになっても、なるべく自然に対して干渉しない監督の学者魂(?)が印象的だ。

生の循環、地球上に存在する生命同士としての対
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おいしい家族(2019年製作の映画)

3.8

登場人物それぞれがコミュニケーションによって初めて自分らしさを肯定し、それに伴って他者のことも尊重できるようになっていく展開は理想的な社会を描いているようで感動的だ。

ダリア役のモトーラ世理奈のダン
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

3.8

親しい人を突然失ってしまった喪失感を描くパートが短いため、受容のプロセスをうまく物語に落とし込めていないのは残念な点。特に、死んでしまったことを理解できないアマンダのシークエンスはもう少し長尺にしない>>続きを読む

ロードキラー(2001年製作の映画)

3.6

CB無線で男を釣ったら腹いせに粘着される兄弟のお話。

正体不明の殺人鬼からの逃走劇は手に汗握る展開を繰り広げてくれるものの、中途半端にしか描かれない人間ドラマが残念。

メイジーの瞳(2012年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

何て優しく、美しい映画だろう。

この作品には、完璧な善人も悪人も出てこない。少し感情的で、少し余裕が無くて、少し共同生活に向いてなくて、少し優しくて少し優しくない。これほどキャラクターという言葉の似
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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.5

前半は5秒に一度のコメディ演出、後半は息もつかせぬアクションシーンが観客の心を鷲掴みにする。
近距離で撃っても風穴一つしか開かないショットガンとか、細かすぎるギャグが星の数ほど散りばめられていて、しか
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ホムンクルス(2021年製作の映画)

2.0

人間は脳の10パーセントしか使っていないというとっくに否定された論説を物語に盛り込んでいるのも、JKリフレのことを「現代の見世物小屋」と表現する差別感情溢れた人権意識皆無の脚本も、思春期の少女が性にの>>続きを読む

彼女(2021年製作の映画)

1.3

現実を必要以上に露悪的に描くことで登場人物が置かれた状況の悲惨さを強調するという陳腐な演出のために、恐らく作り手が表現したかったのであろう"悲劇性だけ”が観客の頭に残る出来の悪いドラマになってしまって>>続きを読む