シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 39ページ目

シャチ状球体

シャチ状球体

朝が来る(2020年製作の映画)

4.4

まるで黒くて”赤い”タールが肺の中に溜まっていくみたいに、出会いと喪失の物語が繰り返される。それが段々と混じり合っていくんだけど、ラストは自然と涙が出ていた。悪人も善人もいない、等身大の登場人物。たま>>続きを読む

インペリアル・ドリーム(2014年製作の映画)

4.3

養育費を払うために働きたくても免許証がないと仕事に就くことが出来ない。仕事に就きたくても、養育費を払わなければ免許証が取れない。叔父がやっている闇の仕事をすれば刑務所に逆戻り。しなければ家を追い出され>>続きを読む

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け(2020年製作の映画)

4.5

キャンプで初めて自分らしく過ごすことが出来た障害者たちが、本来は誰もが持っていなければいけない人権を求めて闘った実話を描いたドキュメンタリー。

行動して声を上げなければ何も変わらない。無言は現状の肯
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フューリーズ 復讐の女神(2019年製作の映画)

2.9

拉致されてどこかの森に連れていかれた女性達が凡庸な造形の殺人鬼達に襲われるという、世界に7000本くらい存在するであろう映画の一つ。
ゲームのルールが独特なのは少し面白いけど、それだけ。これより酷い映
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ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

2.6

ジャンルとしてのトーチャーポルノの域を出ない、不快さの先に空虚な時間しか広がっていない映画。

おぎゃあ。(2002年製作の映画)

3.7

人は何故生まれてきて、人を生むのか。

この映画では、全ての出来事を意図的にデフォルメして映している。
主人公の心情を全部ナレーションとテロップ、独り言で表してしまうというある意味潔い演出も、後半で出
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そして俺は、ここにいない。(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

生まれ育ったメキシコにも、国境を越えたアメリカにも居場所が"なくなっていく"ウリセス。すごく地味な映画でエモーショナルなシーンもほぼ無いし、とにかく全編孤立していくウリセスの様子を見せられる作品だ。す>>続きを読む

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)

2.0

映画の冒頭で
「劇場を出られましたら、これから映画をご覧になる方のためにどうか"秘密"を明かさないでくださいネ♡」(原文ママ)
という、一体何を食べて生きてきたらこんな文章が書けるのかという心底寒いテ
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最初に言っておくと、この映画は主人公の女性が段々と現実と妄想の区別が付かなくなっていくという映画ではない。

ニナは"白鳥の湖"で、白鳥と黒鳥の両方を演じることになる。この白鳥と黒鳥というのは、抑圧と
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スプライス(2008年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

最近は監督として活動しているサラ・ポーリーと、何故か長髪のエイドリアン・ブロディが主演の映画。

この映画の問題点は、ドレンの視点が描かれていないことに尽きる。ドレンは科学者のエゴによって生み出された
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エイリアン3 完全版(1992年製作の映画)

3.7

ブルーレイで劇場公開版と完全版を1回ずつ視聴。

完全版で追加されたシーンでは、キリスト教原理主義を信仰するディロンの描写がかなり増えている。リプリーが不時着した囚人惑星では、信仰心を持つ者だけが神に
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プロメテウス(2012年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブルーレイで再視聴。

改めて見ると、リドリー・スコットはデイヴィッドを中心に描きたかったんだと思った。このアンドロイドは『アラビアのロレンス』に強い影響を受けていて、映画の台詞を引用して喋ったりする
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おもかげ(2019年製作の映画)

3.8

冒頭15分の真に迫るワンカットがピークの映画。その後は年代と舞台を移してヴュー=ブコー=レ=バンでの出会いを描くんだけど、中盤以降は冗長なうえにあまりテーマを描き切れていない消化不良感が目立つ。

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プリズン・エクスペリメント(2015年製作の映画)

3.5

スタンフォード監獄実験を基にした映画の中では最もリアリティがあり、かつ最も地味な映画。
『es』みたいに囚人側が暴動を起こすというカタルシスを生む展開は全くなく、『エクスペリメント』のように実験が始ま
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エイリアンVS. プレデター(2004年製作の映画)

3.3

17年前、人生で初めて観たエイリアンシリーズを再視聴。

改めて思ったのは、ポール・アンダーソン監督作品の中では結構マシな方の映画だったということ。映画の前半は調査隊が南極に隠されていたピラミッドに足
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ザ・ウェイバック(2020年製作の映画)

3.4

仕事中や運転中、シャワーを浴びながら飲むほどのアルコール依存症の主人公が母校のバスケットボールチームのコーチとして頑張ろうとする映画。

とにかく全編全カットに既視感が漂う作品で、一番の問題は主人公を
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エイリアン2(1986年製作の映画)

4.2

Huluで劇場公開版を初視聴。

完全版と比べるとニュートの家族が出てこなかったり、セントリーガンのシーンがカットされてたり、かなりスッキリした印象。その分エイリアンが出てくるまでの恐怖とアクションシ
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再会(2016年製作の映画)

3.5

これ以上ないくらいシンプルで、正直検索し辛いのでやめてほしいタイトルの映画。

内容は『ブルー・ジェイ』とか『ラブソングに乾杯』に似ているけど、本作はこの二つとは真逆のストーリーが展開される。久しぶり
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

2.4

ラース・フォン・トリアー作品初視聴。

主人公をサイコパスに設定すると行動原理が適当でも"サイコパスだから"という理由付けができて作り手としては楽なんだろうけど、"サイコパスが人を殺すだけ"の映画に中
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サンシャイン2057(2007年製作の映画)

3.4

訓練されてるはずの乗組員たち(あらすじにはエキスパートと書いてある……)が"問題が発生する前から喧嘩"をしたり、菜園が燃えて取り乱したりとか、とにかくすぐに感情的になるキャラクターが多すぎる。こんな短>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ワインを顔にぶっかけたくなるような過干渉の両親に育てられた主人公・テルマのお話かと思いきや、どんどん想定外の展開になっていく。

テルマの体を這う蛇は抑圧の象徴。逆にアンニャという存在はテルマにとって
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ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖(1973年製作の映画)

3.3

住民たちを強制退去させるシーンで、町全体を鎮圧しに来た兵士達が女の子の大切にしている人形を一緒に連れて行ってあげるとか、主人公達が兵士と戦うシーンで何故か空手チョップを炸裂させたり、焼身自殺をする神父>>続きを読む

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

2.1

せっかく4で綺麗に終わったのに、何故か作られてしまったランボー最終作。

やけに"スケールダウンした敵にランボーが苦しめられた後に復讐をするだけ"の映画なので、無理して見る必要は全くない。

最後は今
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ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

タイトルに"ハピエスト"と入っているけど、ハッピーの最上級というほどの終わり方じゃないような……。
クリステン・スチュアートとマッケンジー・デイヴィスの二人は間違いなく素敵だし、映画の後味が良い"風"
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

5.0

阿部寛演じる男が過去と決別する話だけど、その描き方が優しくて詩的。
登場人物たちが"あれ"という言葉を多用することで、視聴者が"あれ”の意味を解釈しなければならない。意味自体は簡単なんだけど、それで作
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雪の轍(2014年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 自分とは何者であり、どこにいて、何によって構成されているのか。仮に自立した思考こそが自分自身なのだと言うのならば、寝ている時の自分は自分とは言えないのではないか。思考ができないくらいに怒っていたり、>>続きを読む

イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち(2014年製作の映画)

3.9

感覚を共有する男女のラブストーリー。簡単に言うとテレパシー。何故そんな超能力が出てくるのかを気にしてはいけない。

独り言を喋れば周りに怪しがられることを二人ともあまり気にしなかったり、人に危害を加え
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戦国自衛隊(1979年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

聞くのが恥ずかしくなってくる無理やりな使い方の挿入歌。必要以上に自衛隊を美化するような演出で、戦意高揚映画なのかと思ってしまうほど。

複数人で村の女性に夜這いをかけに行くシーンで、何故か郷愁感漂うB
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ピーチガール(2017年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

何の脈略もなく開始40秒で唐突にタイトルバックが現れたり、CMみたいなキャラクター紹介テロップを出してみたり、登場早々クラスメイトの机を叩く”爽やか男子"とか、心の声を全部言っちゃうとか、"どうかして>>続きを読む

ハルフウェイ(2008年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

"自然な演技というよりは自然風演技"のような気もするけど、登場人物の台詞や展開のぎこちなさが逆に"リアルっぽさ"を醸し出している。リアルっぽい何か。

気になるところは、カメラが無駄にガタガタ揺れると
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君に届け(2010年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

コミュニケーションが"著しく"苦手だった爽子が、風早や矢野、吉田に出会ったことで段々と自分らしさを表に出せるようになってくる。ここら辺の流れは素直に感動的で、三浦春馬演じる風早の人間離れした聖人っぷり>>続きを読む

心のカルテ(2017年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

リリー・コリンズ含め役者陣の演技のおかげで何とか体裁を保てている映画。

「これ以上体重が減れば門出の家から出す」とか、脅しとか根性論ばかりで、患者に全く寄り添ってないような……。

「先生なら立ち直
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.6

映画が始まって0秒で始まる一連のシーンはとても衝撃的だし、殺人鬼の顔や背中に密着するようなカメラワークのおかげで得体の知れない息苦しさや不安を与えてくれる映画。

この上映時間でも少し冗長なところがあ
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日曜日の憂鬱(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

去年に一度観ていて、レビューを残しておきたかったので再度視聴。箇条書きのメモから書き足してます。

冒頭、ハイヒールで躓く母親は、この人物が完璧ではないことを表している。

母親が自分の娘を8歳の時に
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砂の器(1974年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画の残念なところは、中盤までの聞き込みシーンが本筋と関係がないという点。それと、犯人の動機が分かりづらい。ハンセン病になった父親に会わせようとした三木を殺すんだけど、差別と偏見から父親と生き別れ>>続きを読む

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)

1.8

高畑充希演じる亜紀子が、あまりにも幼すぎて気持ち悪い。これで23歳ってのはあまりにも現実的じゃない。

あと、漫画だとファンタジー的な世界観と鎌倉という現実的な舞台がうまく融合していたからそんなに気に
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