このレビューはネタバレを含みます
後半の戦闘シーンにおける、双軍の位置関係や空間把握の映像的処理が不安定に感じられた。戦地に残りいわば隠密行動で負傷兵を救い続けるアンドリュー・ガーフィールドの位置を日本軍が「越えて」崖側の方へ行ってし>>続きを読む
プライベートビーチで、ロバート・デ・ニーロが上着を脱ぐ瞬間以降の二人の距離感の空間的処理。ロング・ショットで実際の距離を見せることはせず、淡々と、ウェズリー・スナイプスが家に逃げ込むまでひたすら、追う>>続きを読む
人間の視野の限界を翻弄する、双眼分離のカーチェイスが抜群に面白かった。遠隔操作のオフボイスやトニー・スコット得意の高速カッティングも状況把握を妨げる共犯に加わる。
記録性に満ちたドヤ街(釜ヶ崎)の煩雑な表象と、女優たちの身体の強靭さの対比。それと相反するように頼りなく揺れるラブドールの頭部から目が離せない。
高層地帯とエレベーターの空間的関係を周到に活用したクライマックスの立ち回りが最高。
序盤に最も息子を苦しめたあのヒルのような悍ましさを持つ「未知」の外敵が、もっと登場してほしかった。星が人類を殺しにかかる、って演出のみをより鋭敏にしていたら、物語の矮小さもこれほど身勝手な方向に浮き彫>>続きを読む
前半の、執拗に繰り返される捕食のシーンが、少しずつ変化していくリズム。
男を誘惑しながら文字通り「後退」していくスカーレット・ヨハンソンの体の妙に硬さのある不自然な動きに注目(終盤に内部から現れる本体>>続きを読む
猿を捕獲する装置の成功っぷりと、その記録性!固定されたショット内を多数の人間と動物たちが駆け回るあの至高の瞬間を、いつかスクリーンで目にしたい。
ラストシーンのなんでもないような橋の位置と、犯人組織・デンゼルワシントン・母のこれしかないという空間的対置。拳銃の音を恐れるな、という台詞を何度も思い出す。
こんなに悪趣味な映画内映画の用い方も珍しい。あまりに唐突な切株ホラー描写と、善悪の彼岸に立つ少年のマージナルな視線の切り返しが見事だった。
どの作品でもそうなのだが、女優としての本田翼には、まるで奇跡のような瞬間がある。
今作では、病棟の男の子二人と陽の当たるベランダ場所で戯れるシーンで発するとある台詞の抑揚の強引さに心を奪われるものがあ>>続きを読む
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実写パートの家族描写がとても美しく描かれており、さも温かな記憶の原風景として後から再登場するのだろうと期待していたが、最後に登場したのは極限的にアニメーション化され、矮小化された風景の数々だった。「キ>>続きを読む
今回も何人死んでるんだ、とスクリーンを指差し数えながら見るのも一興。
上映時間があと10分ほど短ければ尚好きだったなあという印象。それでも楽しいものは楽しい。
フラッシュをたく度に近付く追っ手の影の演出が凄まじい。日本各地にひょっこり現れる野原一家の姿に胸が熱くなる(ロードムービーをうたっているのはこれがやりたかったからでは)。
クレしん劇場版に定番的な、物>>続きを読む
モーニングショーのねむけ眼で見に行って、油断して、息が苦しくなるほど号泣させられた。たしかに脚本が緻密に行きとどきすぎているきらいがあるように感じられるものの、そういった作為によって緩慢になりがちなナ>>続きを読む
息子に銃を向けられるシーンや、スタジアムの列に並ぶ群衆から件の男が立ち去るショットなど、シャマランがサスペンスの画を作るのに長けていることを再確認させられる映画。むしろ能力を発揮するときの、ストップモ>>続きを読む
第五話の警察署の不明瞭すぎる構造と、供述の最中に何度も別の机を渡り歩くシークエンスが面白い。「(次は)あちらです」と丁寧に誘導さえする。
小池栄子が講壇にいるときに移ろう光と影の演出は、『クリーピー』>>続きを読む
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監禁部屋の先が徐々に明かされていき、ヘドウィクの部屋にたどり着く頃には、まるで蟻の巣のように各人格に各部屋が与えられているのだろうかと期待させられたが、アジトの構造に関しては結局明かされなかった(位置>>続きを読む
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二時間映画の構造そのものが、飛来者の時間理論の実践となっているという実験的な試みが用いられている。ただ、それを表現するために繰り返されるモンタージュのパターンがさすがに一様で(過去に見せかけた未来の映>>続きを読む
AI視点で、しんのすけに未来の成長を約束されるクライマックスの1ショットは、あまりに希望に満ちている。良くも悪くも。劇場版を続けて鑑賞すると、しんのすけの「涙」がシリーズ映画の構造的にどれ程の含意を持>>続きを読む
三度目の鑑賞。日本語字幕付き、巨大スクリーンでの鑑賞は初。
リマスター作業の見事な達成により、明滅する光一つひとつの質量と輪郭の際立ちにいちいち視線を揺さぶられ、とても穏やかに鑑賞することは叶わず。酒>>続きを読む
恐ろしいほど丁寧に、緻密に構成された劇場版シリーズ屈指の名作。全シリーズ必ず登場する「エネミー」が史上初めて非人間=天災的な存在となり、悪巧みを働こうとする「悪人」が身内に内在するという設定が組まれる>>続きを読む
対比されうる落下死のイメージが二度登場する。一度目は冒頭、追っ手との視線の交錯や死に際の表情のクロースアップ、迫り来る地面等、状況を雄弁に語る模範的なモンタージュによって作られたもの。二度目は中盤、追>>続きを読む
波打ち際の「二人」を置いてけぼりにして何度も走り去ろうとするカメラワークが印象的だった。各ショットにおいて偏執的なまでに直線的な動きが繰り返され、その運動は決して退行することがない。
木村大作の獰猛なカメラの視線が、昼夜の東京を駆け抜け、刑事ものの構造の典型を食い破らんばかり。
黒の戦線の男女と警察犬の攻防のシークエンスの躍動感。
池袋でライフルが強奪される展開が最高。
国境を越え、縦横無尽に映し出される二つの民族のいる風景が、それぞれに等価なものとして漂白され、並べられていく。
しかし幸福の映像として提示される三人の子供の映像は、作為的に破壊と炎上のイメージと重ねら>>続きを読む
カメラの固定されたスタンダードサイズのスクリーン上を、菱形に畳まれた一枚の着物がくるくると回りながら水上を流れていくショットの息を飲む美しさ。
有村架純の冒頭のギャル姿が素晴らしい。『ビリギャル』のギャルメイクよりも、有村架純の放つ独特の「空虚さ」にハマっていて、劇中何度も「もう一度戻ってくれ…!」と期待してしまった。
川を挟んだ向こう側、『クリーピー 偽りの隣人』で再登場する重い鉄のドア、会社の外階段、半透明のカーテンに覆われた室内と擦りガラス付きの扉。
彼岸へ誘う入り口の黒沢的なイメージが、今作でほぼ登場している>>続きを読む
セックスと機関車のイメージの交錯に笑う。
銃器の物質性を映画的にとらえることへ、まっ正面から挑んでいる。
世紀末の沖縄のどこか空虚な観光イメージと、ハリボテのようなキュートなヤクザたちの渇いたミスマッチが、現実味を欠いた異国情緒ラブコメのテーマにぴったり合致。面白いちぐはぐさがある。
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積まれた砂利の上を、作中あれだけ画面上を動き回っていた阿部サダヲら演じる部下たちが、生命活動を著しく奪われた状態でずり落ちていく過酷なショット。死と運動の連関のイメージが最高潮に結晶化される素晴らしい>>続きを読む
二人の主人公は同格に描かれておらず、主軸は「内海サイドにいる人間たち」の救済に置かれている物語。内面を明かすことのないセトは、周囲の家族と家族の話をしつこく何度も登場させられている。
なぜこんなにBL>>続きを読む
春〜秋編と冬編でスタッフが分かれていたことに納得。冬編における画面の暗さは、中盤までの画面上の色彩と明らかに異質なものだった。皆が「風邪」をひき、人気のなくなった朝方の町を歩く黒髪の乙女の力強さに惹か>>続きを読む
クライマックスですら「見せない」というかなり特殊な手法がとられる。現実で何が起こっていたかはいつも「見せない」し、物語上の二重構造の重要性についても「見せない」。
案内人がホームビデオの視界から消える瞬間のカットに思わず絶句。怖かった。
何もここまで、というぐらい完璧に全伏線を回収する真面目な映画。