アクセルガツキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

アクセルガツキー

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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

わたし達は分断されている。
ロベール・ブレッソン『バルタザール」を思い出すのは当然のことだけれど、あくまで「濃密な」人間ドラマが描かれる彼の作に対して、ここに描かれる人間達は「薄っぺらく」あっさりと欲
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新喜劇王(2019年製作の映画)

4.7

本当に素晴らしい。
作品の密度としてはオリジナルの方が高いのは当然、香港返還直後に大きな力に抗うように作られた奇跡の作品にはかなわない(かなう訳ない)。あの時は確かに神が降りていた。だけど、20年がた
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.3

はあ…良かった。
なんと幸せな気持ちになるのだろう。ふざけてるようできわめて真面目だし、逆に言うと真面目すぎるからふざけてるように見えるとも言えるし、作り手がこの作品を(決して自己愛でなく)愛している
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.6

こちらも。母を二重に演じる安藤サクラさんがズバ抜けて良かったと思う(さすが樹木希林さんは出るだけで中心になる存在感だけども)。終盤の「社会的な通念・強迫」に対して漏らす述懐は、この作品の中で最も良質な>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

3.7

友人に薦めて貰って、見ました。
とても良かった。前半の安藤サクラさんの、自分を含めて身の回りの世界と事象をまるで遠い星の出来事のように、不思議なものを見るような眼差しがすごく良かった。それに説得力がな
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へんしんっ!(2020年製作の映画)

4.1

とても豊かで、とても深い印象を残した。
出てくるひと達の語る言葉にどれも力があり、ドキュメントとして一級品。その言葉を今でも反芻している。
そして、監督自ら踏み出すことで、ドキュメントを越えた。表現す
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ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

4.1

素晴らしい。
「古い革袋に新しい酒」の喩えがあるけど、これはさしずめ「新しい革袋にオーソドックスな酒」と言ったところか。否、「新しい革袋に古い革紐、オーソドックな酒」が正確かも。

現代的なモチーフを
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静かな生活(1995年製作の映画)

4.0

すごく良かったです…。
伊丹監督の作品って、あまりに単純化というか、わかりやすい図式にしてしまうところが個人的にはちょっと…(いろいろな事情があると思いますが)な印象なんですけど、この作品では原作への
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.7

なんか…すごく落ち込んでしまった。

公開当時、ご多聞に漏れず僕もまたイーニド(ソーラ・バーチ)に萌えまくった訳だけれど…(「世界中の男は、私じゃなくアンタ(スカーレット・ヨハンソン)が好みなのよ」←
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.0

いいですね。やっぱりPTAは、こういう小さな世界から、そこを窓に大きな世界を見渡すような作品がいいですよね。
ヒロインがどんどん成長して行くのに、主人公はあんま成長してかない(子供なのにね 笑)。どう
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.6

やっとみた。
ある種のホラーとしてみました。
次に何が、何が…というドライブが…。ちょっと昔のクローネンバーグっぽいと思いました。
隠喩として読めば幾重にも読めるけれど、まあ、読み始めるとドツボに嵌る
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アムステルダム(2022年製作の映画)

4.1

すごくよかった…
深刻な題材を扱いながらどこか喜劇的なところも、情報詰め込みすぎでアップビートで展開させるところも、悪を描きながら吹き出してしまうほど滑稽なところも。どれも好み、どれも愛おしい。
また
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.5

うーん…舞台を映画にするとどうしてこうもしめっぽくなり、かつ説明くさくなってしまうんだろう…

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「このメタファーに意味はあるか?」

うーん…面白いとは思えなかったです。
いや、わかるよ。最初の映画はBlackのスタントだった→いわば彼は幾代も経て、改めて今スタントを(同時に主演を)務めている訳
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アイヌモシリ(2020年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

すみません、僕には中途半端に見えた。

多分、いまの北海道の、アイヌの、その文化を継承する人たちのリアルに近いのだろう…だけど、あまりにも作り物感が強すぎる。どこか図式的ですらある。
反面、(これがリ
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空に住む(2020年製作の映画)

4.7

素晴らしい!
本当に。傑出している作品だ。
判りやすくいうと、映画としては『ドライブ・マイ・カー』より、10000倍すごい。(嘘だと思ったらくらべて見て欲しいです。ただ、別に『ドライブ…』をおとしめる
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ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

3.8

この頃のイーストウッド御大はなんでもありで良いですね。
(新しい映画も見なきゃね)

トゥルー・クライム(1999年製作の映画)

4.0

「真夜中の死線」いい小説(タイムリミット・サスペンス)でしたよね…。
原作が好きだったので、映画はちょっと緊張感が落ちるな、と思いました。けど、十分じゃないかな。細かい設定を変えているところはあります
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人生の特等席(2012年製作の映画)

4.0

封切り時にはいまいち…?という感じだったのですが、いま見るといいですね。端的に当時は野球をあまり知らなかったからかも。
野球の土地勘があるとすごく判りますし、いまみるとエンタメとしてオーソドックスかつ
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.2

見直しました。
映画館で号泣したようにはならなかったけど、やはり良いですね…
「とにかくここにいないやつの悪口を言うんだ」というところが好き。
いま見ると結構、オーソドックスに作られているのが判る。
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スティング(1973年製作の映画)

4.0

な、な、なるほど…

確かに観てたのに騙された。楽しい。今のシネフィル文脈ではほとんど言及されないけれど、この楽しさ、有効なのでは…?

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)

3.6

見直しました。
いま見るとリモート化・効率化の流れ(と抵抗)が描かれていておどろく。結末は忘れてたけど、まあ、こうなるわな…と(ちょっと保守的だな、と思いました)。個人的にはそこが刺さって、だからこそ
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.1

良かったです。面白かった!
正直、不適合者の適合/不適合が軸で、殺し屋とかどうでもいいように見えるけど、実はとても大事なのです(何と豊かなことだろうか)。
で、その大事なことが(同世代の女の子たちに観
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

1.9

好きな人がいらっしゃるかもしれませんので、見ないで下さい。ただ、映画って、何かを表現するってこんなに貧しいものではないです。絶対に。
他のものをご覧になって下さい。

ひどい。いいところを見つけるのが
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トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)

3.9

見返しました。
何を置いてもデニス・ホッパーが素晴らしい。
デニス・ホッパーのシーンは脚本(台詞)もいい。

北京ヴァイオリン(2002年製作の映画)

3.6

見返しました。
やっぱ先生が良かった。
この先生の造型って、たとえば「コーダ」とかもそうなんですよね。
ある種の貴種流離譚というか(実力通り評価されなくてあきらめてるというか)。こうせざるを得ないのか
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.5

めっちゃ良かったです。
想像の100倍くらい、良かった…



にしても、河合優実さんはすごい。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

うーん…企画として間違っている、と思う。
同時に「ウェス・アンダーソン」という存在は、そういう企画でも通してしまえるような絶対的な存在になったのだということを知る。そして、この企画の間違いは、その絶対
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

4.1

まあ、劇場で封切り日に観て、号泣した訳ですが…その思い出がいろいろつらすぎて、あまり見返すことをしかったんですけど、いま見直してもいいですね! W.アンダーソンで一番いいかも。
(当時は客観的に見てど
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.0

イーストウッド御大の久しぶりの主演作は、びっくりするくらいのファタジーなジュヴナイル。
さすがに都合良すぎるだろー! あまりにも! とつっこみ所満載だし、感情の流れが判らないところがあるけど、全部許せ
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.6

面白い!
アンドレイ・タルコフスキーは子供の時に子供なりに熱心に観てたつもりだったのだけど、これは観ていなかったのです(俺の熱心って…?)。こんなに平易でポップな作品もあるんですね!
数限りなく批評が
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.1

面白い! これはまったく予測できなかった!
ハイ・コンセプトでこんなに上手くはまること自体至難の業だし、ハイ・コンセプトって大体「こうなって欲しいなぁ」って予測ができるものだけど、まったく予測ができな
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