きょんちゃみさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2017-2018 「コッペリア」(2018年製作の映画)

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ギリシア神話のピュグマリオン伝説という原型は、人形目線の作品としては、①カルロ・コッローディ(1826-1890)の『ピノッキオの冒険』(1883)へと結実し、②SF映画『A.I.』(2001)へと受>>続きを読む

ヴェニスの商人(2004年製作の映画)

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シェイクスピア(1564-1616)の喜劇『ヴェニスの商人 The Merchant of Venice』で、本来金が必要なのは、ヴェニスの商人であるアントーニオの友人の、バサーニオである。バサーニオ>>続きを読む

嵐が丘(1970年製作の映画)

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『嵐が丘(Wuthering Heights)』は、エミリ・ブロンテ(1818-1848)が書いたキャサリンとヒースクリフの愛の物語でもあるが、ヒースクリフによる復讐の物語でもある。嵐が丘に住むキャサ>>続きを読む

坊っちゃん(1958年製作の映画)

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『坊ちゃん』(1906)の英訳をした毛利八十太郎は大正時代に英語のジョークを研究していた人物。

カラマーゾフ兄弟(2008年製作の映画)

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【大審問官編について】

「熱があればキツい」というのは正しい。しかし、「熱がなければキツくない」というのは正しくない。これが「裏は必ずしも真ならず」である。

「P⇒Q(PならばQ)」が成立するから
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わたしを離さないで(2010年製作の映画)

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カズオ・イシグロは長崎県出身だがイギリス国籍を取得し、2017年にノーベル文学賞を受賞した。この映画の主人公のキャシーは臓器提供のために生み出されたクローン人間のひとりである。この世界では、クローン人>>続きを読む

クイズ・ショウ(1994年製作の映画)

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【マルバツクイズ】

【Q1】
「玉に瑕(タマニキズ)」という言葉の対義語は、「瑕に玉(キズニタマ)」である。

まるかばつか。


【Q2】
ヒラメの両目が肉体の片側にしかないのは、成長過程で少しず
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

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今年一番面白かったです。完璧な映画だと思いました。無駄なシーンがひとつもない。オスカー・アイザックは水も滴るいい男でしたね。最後に絶望の表情を見せるが、しかし全てをやり通したあとで、独房から出て女と面>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

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このふたりの子どもは水蒸気の子どもになるのではないかと思います。それから、風のエレメントと地のエレメントはちっとも映画内で描かれていなかったので、今後スピンオフなどで描かれたらよいのにと思います。>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

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『ポゼッサー』は❶お仕事のなかで培った職業意識、プロ意識というのは本当に大切だということと、❷肉体の生存本能は本当に強いということが言いたい映画だと思いますが、それに対して『RAW』は、①人間というの>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

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この映画の中で登場するポスト・トラウマ・ベースライン・テストで、「高く白い噴水は?」とKはコンピューターに聞かれている。これはKがジョイにプレゼントされたウラジミール・ナボコフの小説『青白い炎』(19>>続きを読む

ラースと、その彼女(2007年製作の映画)

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今をときめくライアン・ゴスリングがダッチワイフを愛する引きこもりをやっていて面白い。

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

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この映画は、1971年6月10日に起きた「聖体祝日(コーパス・クリスティ)の虐殺」を描いている。犠牲者は最大で120人だという。舞台はイタリアのローマではなくメキシコシティの中心部にあるコロニア・ロー>>続きを読む

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

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2004年6月4日に発生したいわゆるキルドーザー事件に影響を受けて作られた作品。セメント工場に対する反対運動を始めた自動車修理工のマーヴィン・ヒーマイヤーさんが、裁判で敗訴したあと、業務停止命令まで受>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

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ペデラスティを描いた映画。古代ギリシアのパイデラスティアを現代でやろうとしているかのよう。音楽や文学についてエリオとオリバーが語り合うのも知的交流を重視するからだろう。桃の実を使って自慰をするシーン、>>続きを読む

アルプス(2011年製作の映画)

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ルイジ・ピランデルロの『御意にまかす』(1917)という戯曲とよく似ている。

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

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【貧民が裕福家庭に侵入系映画】
①『テオレマ』(1968)
②『ボーグマン』(2013)
③『聖なる鹿殺し』(2017)
④『パラサイト』(2019)

ロブスター(2015年製作の映画)

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恋愛ができない生産性のない男女は動物に改造されてしまう世界が舞台の物語。主人公はなにに改造されたいか聞かれてロブスターと答える。

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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裕福な両親に家の中に閉じ込められて育ち、嘘の言語を教えられて育った子どもたちの物語。

シャイニング(1980年製作の映画)

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スタンリー・キューブリックは、幽霊がもし存在するとしたらそれは愛する人に死後も再び会えるのだから素晴らしいことだと語る。つまり、幽霊を信じる、というのは楽観的なことなのだと言う。なぜなら、幽霊を信じる>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

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シャーロット・ブロンテの小説『ジェーン・エア』と、ダフネ・デュ・モーリアの小説『レベッカ』に話の構造がよく似ている。どちらも、後から来た女性が前の女性の淡い存在に苦しめられるという話。フリッツラング監>>続きを読む

リダクテッド 真実の価値(2007年製作の映画)

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2006年3月12日に、イラクで5人の米兵が14歳の少女をレイプし、その少女の家族ごとガソリンをかけて焼いたことが描かれている。いわゆるマフムーディーヤ虐殺事件である。殺害された少女の家族は45歳の父>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

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この映画の中で半魚人は「復活」をする。そもそも魚はイエス・キリストの象徴。ギリシア語で魚はイクテュスである。イクテュスΙΧΘΥΣはギリシャ語で「魚」という意味を持つが、ΙΗΣΟΥΣ→ΧΡΙΣΤΟΣ→Θ>>続きを読む

砂漠の女王(1960年製作の映画)

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旧約聖書「ルツ記」を下敷きにした物語。ユダヤ人にとって異教徒であるモアブ族の少女ルツが生け贄にされそうになって逃亡。心優しい大地主と恋におち、民族の壁を超えて結婚する。そしてそのひ孫がイスラエル王のタ>>続きを読む

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)

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1952年ラルフ・エリソンという黒人作家が『見えない人間』という小説を書いている。これは透明人間のことではなく、黒人のことだ。歴代大統領の執事はずっと黒人であり、国家機密に関係する話題を聞いても理解で>>続きを読む

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

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開始から2時間8分7秒のところで、「Fifty grand」を「50万」と翻訳している公式字幕を発見して驚愕した。ありえない翻訳ミスだと思う。それは、初歩的な英文法にまつわるミスだからという理由でそう>>続きを読む

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

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【顔と雰囲気が似過ぎている俳優】
①サノスをやったのがジョシュ・ブローリン
②『トゥルー・グリット』でルースター・コグバーンをやったのがジェフ・ブリッジス。
③ピーター・クイルのお父さんのエゴをやって
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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)

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この映画の脚本に名を連ねている批評家の町山智浩は、自著『映画と本の意外な関係』の中で「たぶん自分は映画そのものより、映画について調べる方がもっと好きなのかもしれません。」(p.220)と述べている。こ>>続きを読む

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

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「I want to still be me when I wake up one fine morning and have breakfast at Tiffany’s.」というセリフ、非常によい>>続きを読む

きみに読む物語(2004年製作の映画)

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ノアとアリーの長い恋愛物語は、ウォルター・ホイットマンの詩「継続」で閉じられていた。

成功の甘き香り(1957年製作の映画)

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エミリー・ディキンソンの詩が元になってこの映画のタイトルは作られた。エミリー・ディキンソンはアマーストという田舎町に1830年に生まれ、そこからほとんど出なかった詩人である。生前に発表された詩は10編>>続きを読む

インデペンデンス・デイ(1996年製作の映画)

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「あの心地よい夜に穏やかに身を任せるな
老いたる命こそ日暮れに燃え 荒ぶれ
怒れ 死にゆく光に抗って怒れ」というディラン・トマスの詩が作中で引用される。

キャロル(2015年製作の映画)

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1952年に出た原作『The price of salt』は原作者が長らく不明だった小説なのだが、あるとき『太陽がいっぱい』や『見知らぬ乗客』などを書いた大作家のパトリシア・ハイスミスがこれは自分の体>>続きを読む

エデンより彼方に(2002年製作の映画)

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1957年に夫が同性愛者だと知った白人女性が黒人庭師と恋に落ちるという話。

インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

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Nina SimoneのSinnermanという曲を流しながらエンディングでコールガールが群舞するシーンが印象的。

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

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この映画は、1981年に起きた三浦和義事件に構造が非常によく似ている。ただし、この映画の原作者ギリアン・フリンが元ネタにしているのは2002年に起きたスコット・ピーターソン事件。