きゃんちょめさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

百年恋歌(2005年製作の映画)

4.7

冒頭の3分間のカメラの動きと音楽だけで一切のセリフなくエモーションを作り出すシーンが本当に素晴らしい。

電球を写すショット、人々のショット、動く球のショット。刻一刻と被写体が変わっていく。ショット自
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スノーケーキを君に(2006年製作の映画)

5.0

まずはじめに、大学の英語の授業で、他のクラスは、TOEICやTOEFLの対策をしているというのに、上質な映画作品を毎回上映し続けてくださったR・B教授に感謝したい。

次に、TEDのスピーチで、私を心
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ゾンビ/米国劇場公開版(1978年製作の映画)

3.0


この作品の意義は、これから上げる3つの点を『ついに言っちゃった』ということにあると思う。よく言及される資本主義や物質文明への痛烈な批判という角度からではなく、違う角度からこの評論は書いてみた。てかゾ
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ショーガール(1995年製作の映画)

4.5

この映画に最低映画賞であるラジー賞を与えた奴ら、それに投票した奴らは、この映画よりずっと下品だと思う。

「エリザベス・バークリーがおっぱいだけで演技してる」とかふざけたことを言ってはばからない映画評
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ザ・フライ(1986年製作の映画)

4.5

「人間は、天使でも、獣でもない。そして、不幸なことには、天使のまねをしようとおもうと、獣になってしまう」

(パスカル『パンセ』358、前田陽一・由木康訳、中公文庫)

「われを忘れたい、人間であるこ
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バタリアン(1985年製作の映画)

3.0

The events portrayed in this film are all true. The names are real names of real people and real org>>続きを読む

未来惑星ザルドス(1974年製作の映画)

3.0

人間にとって大切なエロスとタナトスを、永遠の命と交換した世界に住む不死人(エターナルズ)たちと、そこに迷い込んだ男性性の象徴ショーン=コネリーの話。

戯画化された寓意的な話。永遠の命を手にした世界(
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ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生(1968年製作の映画)

4.9

最初の口論だけで家庭や母親について説明するのも面白い。しかもこの口論だけで、兄は死者をバカにしてて、バーバラはリスペクトしてるのが分かっちゃうんだよね。てか、フィルム BY トム=サビーニ、ディレクテ>>続きを読む

ドラキュラ(1992年製作の映画)

4.0

序盤から現地(ルーマニアのトランシルベニア、カルパチア山脈のワラキア)の言語なのが素晴らしい。

妻が誤って自殺しちゃって悲しんでいるときに、「自殺したので、あなたの妻は神の法律によると、地獄に落ちま
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プロデューサーズ(2005年製作の映画)

3.0

ユージン・オニールの戯曲『氷屋来るThe Iceman Cometh』が引用されていた。

むしろ『春の日のヒトラー』という映画を見たい。『プロデューサーズ』よりもむしろ『春の日のヒトラー』が見たい観
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ペット・セメタリー(1989年製作の映画)

3.0

死から学ぶものがある。

という序盤のジャドの言葉に撃たれた。

ゼルダの寓話を見るだけでも価値がある映画。あれは怖い。脊髄の髄膜炎ってあんなに苦しいのか。

頭が半分割れて血だらけのパスカウ君がとて
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ガタカ(1997年製作の映画)

3.9

人は決められた運命があると必ずそれを逃れようとする。

なぜ、ジェロームとヴィンセントがあんなにもシンクロできたのか。それは、動機が同じだからだよ。ふたりとも自分のレファレンスグループから、どうしても
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.5

典型的な表現主義ホラー。いびつで絵画的な背景、その背景と溶けこむような奇怪なメイクや衣装。とにかくこの映画は美術が素晴らしい。

⑴.【表現主義とは何か】
いま表現主義っていったらティム・バートンとか
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教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)

4.5

やべぇ。
この映画、すんげぇ好き。

カントの定言命法の話。それは冒頭から分かる。『カントいわく理性では片付かない問題がある。それは何か?道徳観か?選択か?人生のランダムネスか?美学か?殺人か?』
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ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)

3.0

片方のヒレがないニモ
心配性のマーリン
足が一本ないハンク
視力が弱いディスティニー
エコーが出来ないベイリー
記憶が続かないドリー

登場人物がみんな何か欠けている。

絶対に英語で見るべき。
なぜ
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ネットワーク(1976年製作の映画)

5.0

俺のオールタイムベスト。民主主義とか国民なんてものはない。あるのは、IBMやマクドナルドだ。個人に力はない。ロシアの議会でマルクス主義なんか論じられてはいない。統計学や金融工学だ。イデオロギー対立なん>>続きを読む

ノトーリアスB.I.G.(2009年製作の映画)

4.5

いや待て待て。これは泣くだろ。泣くために映画見てるわけじゃないけど、ビギーの生涯とか見せられたらそりゃ泣くわ。号泣してしもうた。いや、映画評とかもうできましぇん。

ほんと、ビギーって天才だったよな。
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フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

5.0

熱い!
とにかく気温が高くて、だるい!

韓国人の店員は英語がヘタだ!
値段は意味なくあがってる!
電話はかけても話し中!
チンピラは意味もなく絡んでくる!

娘の誕生日なのに会うこともできない!
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悪魔のいけにえ2(1986年製作の映画)

5.0

本当の家族愛に生きた男たちの物語。おばあちゃんへの愛。おじいちゃんへの愛。家族経営の中小企業の悲哀を描いた、ほろりと切ない、笑って泣ける最高のエンターテイメント。オールタイムベスト。

顔面の皮と半身
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

4.7

非常にいい映画である。


カント哲学というのは、人間は決して外すことのできない色メガネをかけており、それを通してしか現実世界の現象が現れてくることはないという考えだ。(ここで注意せねばならないのは、
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マシニスト(2004年製作の映画)

2.9

ドストエフスキーの『罪と罰』を映画でやってみたらこうなりましたという映画。

伏線がたくさんあって面白かった。

でも、

【ここが、ここの伏線になってる!】


みたいな解説は俺は映画批評だとは思っ
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.8

【イット・フォローズについて】

イットが性病のメタファーであるという解釈があるらしい。性行為に対する後ろめたさもあるのだろうし、性交渉によって伝染する恐怖はまさしく性病として解釈するのに打ってつけだ
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ハロウィン(2007年製作の映画)

4.7

極めていい映画。
この映画で震え上がった。

そして見終わった後は監督の手腕にただ拍手をしていた。

幼少期のマイケル君のアブノーマルさと、その成長過程を「順序」という俺が大好きなコンセプトに着目して
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.5

【服毒自殺のシーン】

アンドレ・バザンがジャン=ポール・サルトルによる批判からオーソン・ウェルズを擁護する著作『オーソンウェルズ』(堀潤之訳、2015年発行)を読んだら、面白かった。この映画の根幹に
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アイアン・スカイ(2012年製作の映画)

4.0

うーん素晴らしい!

サラペイリンが大統領!
とてもいいコメディ。

最初の5分間は奇跡のよう。好奇心とイマジネーションを刺激してくれるいい映画。スチームパンク好きにはたまらない。

最終的にはとても
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華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

3.0

なぜ僕がアメリカの高校生の平均的な課題図書で"20世紀最高の小説"と一般にされている『グレートギャッツビー』にこんなにも惹かれているかというと、アメリカという国がものすごくよくわかるから。

もしこの
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リトル・マーメイド(1989年製作の映画)

4.0

【ウルスラについて】

たった16歳の少女がひと目見ただけの初恋の男と結婚する。しかしそれを阻むのは、かつて王国を追放されて、みにくく太った老婆のタコである。そして彼女の行動原理は明らかにルサンチマン
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モンスター・ホテル(2012年製作の映画)

4.0

あらゆるアメリカのコメディ映画に言えることかもしれないが、英語音声、英語字幕がおすすめ。なぜなら、もしそうでないと、キーワードのZingとかカジモドのフレンチアクセントとか、色々なネタを取りこぼすこと>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.9

【感想】

この作品、それぞれの人にそれぞれの人なりの正義がありますね。そして、みんなが嘘を頼りにして生きている。ある意味でそれは、みんなが各人なりのフィクションを信じているのだと言えそうです。という
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

5.0

タイトル:『天井桟敷の人々』がどうして詩的レアリズム映画群の中でも特異的な傑作なのかを再解釈する。


1.冒頭シーンと問題提起
ファンファーレとともに劇場の垂幕が現れる。メインテーマが流れ垂れ幕には
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