きょんちゃみさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

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チューリングテストというのは、そもそも、「機械かどうかわからないやつが提示されて、それが機械だということにどれだけ気づかれないか」を試すテストで、そのテストで試されているのは機械であり、そして機械だと>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

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そもそも人間になりたくない人が、少しずつ死ぬことの素晴らしさ(=有限性が諸価値の成立を可能にしていること)を理解していくことで、不死から可死となるプロセスが描かれていましたね。

木の精霊とクリケット
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アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)

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とてもいい映画でしたね。障がい者や、マイノリティたちに対する扱いがこのようになっていけば、いまよりもずっといい社会になると僕は思います。

この映画はフェスターに起こった適応的選好形成を、これ以上ない
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オールド(2021年製作の映画)

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ホラーには常に、その時代が抑圧している無意識が噴出してくるのだと思います。「老化」が怖いというのは、まさしく人が長寿になった現代ならではの恐怖だと思います。本来は、ポール・ヴァーホーベンのような有能な>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

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非常に良い映画でしたね。あらゆる宗教的な予言や奇跡や超常現象についてはこの映画の中でポール・ヴァーホーベン監督が分かりやすく見せてくれたような理論で説明ができると僕は考えています。さらにいえば、「全部>>続きを読む

ドキュメンタリー映画 岡本太郎の沖縄(2019年製作の映画)

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【⓪「一度死んだ人間になれ!」】

①「人類全体の運命もいつかは消える。それで良いのだ。無目的に膨らみ、輝いて、最後に爆発する。そして平然と人類がこの世から去るとしたら、それがぼくには栄光だと思える。
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ヘラクレス(1997年製作の映画)

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メガラがマジでかわいいと思います。アリアナ・グランデ版も神です。冒頭のギリシア神話解説の手際の良さといい、いたるところに散りばめられたブラックミュージックといい、本当に最高の映画です。私の一番好きなデ>>続きを読む

インビジブル(2000年製作の映画)

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透明になるとき血管などが透けて見えていくヴィジュアルのところ、まさにすべてを視覚的に描き切るヴァーホーベンらしさ全開だなと思いました。実は「ギュゲースの指輪」で調べると、この作品の主題は古代ギリシアか>>続きを読む

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣(1985年製作の映画)

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ヴァーホーベンの中世観っていいですよね。「キリスト教を信じていますか」という質問に対しては全員YESと答えると思うんですよね。ただ、「どのくらい信じているのか」ということに関しては、ほぼ信じていないや>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

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あの父親は退役軍人で、原発労働者だという描写が劇中にありますよね。本当は誰よりも娘と息子のことを愛していて、娘と息子のことはどんな手段を使ってでも守りたいと思っているからああいう態度になってしまうので>>続きを読む

スターシップ・トゥルーパーズ(1997年製作の映画)

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【『スターシップ・トゥルーパーズ』について】

『スターシップ・トゥルーパーズ』は、「訓練を受けていない人が自分の頭で考えること」の危険さと、「権利は義務を果たす能力がある人にだけ、その能力に応じて与
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娼婦ケティ(1976年製作の映画)

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【『娼婦ケティ』について】

『娼婦ケティ』、冒頭5分のカメラワークだけでもカッコ良すぎました。ヴァーホーベンに特有の苛烈な即物主義と表現主義が全開の映画です。

19世紀末のアムステルダムの雰囲気が
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

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ジェームズ・キャメロンとかいう人は、「はるか彼方の惑星パンドラ」とかいうところにさえ、極めて地球的な家父長制がないと耐えられない人なんだな、ということだけは理解した。

アメリカの白人男性の欲望が反映
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日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

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ちなみにこれ実話がベースだというところが一番恐ろしいなと思いました。しかも稲葉事件が明るみに出ているのは2002年とかなのでそれほど古い話だとは言えない気がします。アクラム・ラシードという名前で「デニ>>続きを読む

LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)

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フィル・ロード監督とクリストファー・ミラー監督のコンビはとんでもなくセンスのいい人たちで、ポップカルチャーを誰よりも幅広く理解しつつ、それをまったく鵜呑みにはしてないところがとてもクールで大好きな監督>>続きを読む

モテキ(2011年製作の映画)

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【「モテ」について】

 「恋愛は自分と同じ考え方の人とやる方がうまくいく」とか言う人がいるが、そこでうまく行っているものは、「恋愛」の定義からして恋愛ではないと思う。同じ考え方の人などそもそもひとり
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スヌーピーの選挙活動(1972年製作の映画)

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⑴. 【スヌーピーを絶対に舐めてはいけない問題】

正直、今後の人生で、家でインスタントコーヒーを飲みながらひとりで『PEANUTS』のチョコエッグをあけるときより幸福なタイミングがあるとは思えない。
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アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

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【良いゾンビ映画の条件だと私には思われる10の条件】

①ゾンビ映画の中で、ゾンビではなく人間が重要になっていること(なんなら最初と最後だけにゾンビがチラリと映るくらいであってすら構わない)。
②ゾン
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恋するリベラーチェ(2013年製作の映画)

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【マクシマリストのリベラーチェ】
リベラーチェはミニマリストではなく、マクシマリストである。「良いものは引き算で作り出される」という発想ではなく、「良いものは足し算で作り出される」という発想をする人が
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

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【『マリアンヌ(原題:Allied)』について】

「恋愛は自分と同じ考え方の人とやる方がうまくいく」とか言う人がいるが、そこでうまく行っているものは、「恋愛」の定義からして恋愛ではないと思う。同じ考
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氷の微笑(1992年製作の映画)

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【エロース:「愛は惜しみなく奪う」】

【健康なエロースで恋をする人は自分と同等になるように他人を愛そうとする】

「アポロンをはじめそれぞれの神の従者だった人たちも、その神にならって道を歩み、自分た
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ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

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デヴィッド・クローネンバーグ監督は私が本当に憧れている人である。この人は、親を早くに亡くした。そのとき、デヴィッド・クローネンバーグ監督は、自分が昔からもっていた「世界では、ちっとも納得できる理屈も理>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

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【『シン・ウルトラマン』について】

私は昔からほとんど自分が見た映画を酷評することはない。そういうポリシーだからである。しかし、あえて言うが、『シン・ウルトラマン』は酷い作品だと思う。

私は『シン
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毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)

4.0

⑴. 【劇場の外が映るのは冒頭とラストだけ】
 ポランスキーの『毛皮のヴィーナス』は、冒頭のもうワンカット目からうまい。木立と道が映るシーン、あれでもう引き込まれる。誰もいない劇場という深層心理が裸に
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

5.0

【『フォレスト・ガンプ』について】

⑴. [『フォレスト・ガンプ』は気になる映画である]
 この映画、「僕の名前はフォレスト・ガンプで、みんな僕をフォレスト・ガンプと呼ぶ」というセリフが序盤に出てく
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テス(1979年製作の映画)

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【感想】
現代の価値観からすると、アレクもエンジェルも、どっちにしろロクでもない男ですよね。ウェッティなシーンはとことんカットされて、不条理で冷酷な事実が淡々と続いていく映画でしたね。そのような淡々と
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

5.0

【『あの子は貴族』について】

以下、この映画を見て私が個人的に考えたことを6点に分けて論点ごとに述べる。

⑴. [お見合いアプリの階級的意義]
 この映画には、「マリーズ」というお見合いアプリ、し
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ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行(2021年製作の映画)

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【映画史のノート】

【1945年】
🗓9月 第二次世界大戦 終結


【1946年】
🗓1月 昭和天皇の人間宣言
🗓3月 鉄のカーテン演説


【1947年】
🗓3月 トルーマン大統領 共産主義封じ
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シカゴ(2002年製作の映画)

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劇中で流れる「We both reached for the gun」と、ロキシーの「Nowadays」独唱は、何回見ても最高だなと思います。

というのも、前者は世論操作というものの仕組みが分かりや
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RENT/レント(2005年製作の映画)

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大人気のseasons of loveだけじゃなくて、Ia vie bohèmeとかlight my candleもめちゃくちゃ良いのがRENTっていう作品の魅力ですよね。They call me m>>続きを読む

バーレスク(2010年製作の映画)

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この映画はcher(シェール)が素晴らし過ぎますよね。シェールっていう伝説の名女優の経歴は、とても長いし重要なのでアメリカの現代芸能史を理解するのに実は穴場だなと思っています。少し調べればわかる通り、>>続きを読む

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(2003年製作の映画)

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【遺族感情を考えるならむしろ死刑廃止では】

【無神論者で死刑廃止を訴える被害者遺族:2016年7月9日の朝日新聞の記事から引用】

先月下旬、自民党が政権に戻ってからは12人目となる死刑執行が行われ
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

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途中で、⑴オレンジの液体がピンクの液体やホワイトの液体からは遠いところに置かれている背景のカットがあったり、⑵オレンジ色の風船がひとつだけ飛んでいるカットが一瞬だけあったりすることで、この映画はよりオ>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

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【狂人(陰謀論者)とは理性を失ったものではなく理性以外の全てを失ったもののことである】

「原因がない行為ができるなどとは、狂人については絶対に言えないことである。もし何らかの人間の行為が、大雑把に原
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

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I think this movie has one of the sharpest ending scenes that were ever made in the film history. Ev>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

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ホラーというのはそもそも、常に同時代人たちが無意識に恐怖しているものを描くものだと思います。①フランケンシュタインならば生命への畏敬を忘れた科学文明に対する強烈な違和感を、②ゾンビならば搾取されて怒る>>続きを読む