全体的に説明が抑えられていてうれしい、ホームビデオの映像が当時のながれのなかに置かれることで次つぎ過去になってゆく瞬間たちとその余剰、そして撮影する者の眼差しが浮かびあがってくる、こういうのはたのしい>>続きを読む
よほどの知己というのでもない限りひとのことをいいやつだと思ったりいやなやつだと思ったりするけどそんな感じの映画だった、60分で派手な展開があるわけでないけど綿密に作られていて、こういう映画がたくさんあ>>続きを読む
台詞が少なくてうれしい、煙のなかで超出を夢見ながら諦めるひとびと。汽車と自転車のところとか子どもふたりの前を汽車が通り過ぎるところか荒地に消える子どもふたりとか額に揺れる火影とかぐっとくる画が多かった>>続きを読む
あの渋滞はこれまで観てきた長回しのなかでももっとも興奮するものだった、冒頭から繰り返されてきた残虐さと陽気さ、滑稽さの共存が、あの長い長い横移動のあとの事故現場の画において結実していた……。
映画館で観られてほんとにうれしい、映画に含まれる様ざまなイメージについての揺さぶり、踊るところがよすぎて始終にやにやしてしまった、もちろんひと回りする席も耐えきれない1分間の(二重の)沈黙も9分43秒>>続きを読む
こちらのカーテンを開ければくらげみたいな建物が遠くに見え、あちらのカーテンを開ければ草木と路地がすぐそこに見え、というあの家のロケーションがすごい。証券取引所はどういう仕組みで成り立っているのかまるで>>続きを読む
画が常に良いしとりわけモニカ・ヴィッティとの画がきまりすぎていてすごい、ただ心情の演出も物語も「誰の手紙?」もありきたりな感があって画以外はあんまりだった
なにもかもが唐突で理由がなくてすごい、中盤以降の関係の深化にはもはや映像的な流れすらない、しばしば繰りかえされるなぜなぜなぜの問は無効化される。寂しさを埋め合わせるため、といえばそうなのかもしれないが>>続きを読む
キアロスタミは「黄桃の味」とジグザグ道三部作しか見ていないからなんとなくあの世界観でもって日本を描くのだろうかと思っていたのだけれど、別にそういうわけではなかった、舞台も年代も隔たっているのだから当然>>続きを読む
始終映像がたのしい、工場とか船とかとにかくなんかよくわからないでかい機械がたくさん出てきてアガる、そのなかに人間を配し、それらの得体の知れなさや一見したところの無縁さを演出する画がたまらない、身体もま>>続きを読む
原題と異なる欲望という邦題には多分に作品への解釈がはいってしまっている気がするけれども、そういった見ることや欲望にまつわる理論もさることながら、なにより画がいいのと、それから映像のテンポ、とりわけ写真>>続きを読む
あまりにもすごい、芝居ってこんなふうに作られるんだと思った。会話がはじまったらなにかが起きてしまう、というのはベケットの小説三部作なんかにも見られる言葉のとめどない(そして空回りし続けぜるを得ない)運>>続きを読む
最後があれなの苦しい、男の正体を知ったあとの遠ざかる景色に悲哀が滲み出ていてよかった、バーのところ最高
反体制ではなく逃避、もはや対他的ですらないような実存を脅かす存在、子どもがかわいい、語りの形式もいい
水の描写や施設内の世界観、人間の思考を反映する自然という要素は最高だけど、それらに潜む主題や会話に特別の魅力や目新しさを感じなかった、オチが思いのほかしっかりオチでびっくりした
最初の20分ほどはピアノが置かれたり姉たちから電話が殺到したり住宅の窓硝子を割ったりプリンを買い込んだりして楽しかったけれど、途中からおさまりのいい感じになってきて、そっかあという気分になってしまった
冒頭、互いの画に映りこまない男と女、その境界を横断してカウンターの向こうを行き交う店員、女の手が男の画にすっとあらわれて鏡に相貌が映る、これだけでもう最高、生きているみたいなカメラワーク。キスを躱し続>>続きを読む
「社会人」のあれこれをここまで良質なエンタメに昇華させるのに嫉妬してしまう
聞こえることと聞くこと、見えることと見ることの違い、すなわち世界の雑多さ(それは豊かでもあれば暴力的でもある)を思い知らされる。ただ最後の河川敷での再会はまちがいなく豊かさだ。リング上での練習がもつ行>>続きを読む
冒頭から絶えず編集・演出への恥ずかしさが付きまとい(四組を比較するためのあらゆる編集・演出があざとくて耐え難い)、それが終盤に至って最悪のかたちで爆発してしまった。となりのひとが途中で席を立ち、ぼくも>>続きを読む
中上健次は三、四冊しか読んでいなくて熱心な読者というわけでもないのに、過去には旅行のついでに中上健次の墓を訪ね、とうとうこの映像まで観てしまった、朗読ってほんとにいい、これがあの息苦しい文体を生んだ景>>続きを読む
「路地へ」が観たくてついでになにか上映されるなくらいの気持ちでいたけどすごくたのしい映画だった、食卓、船着場への階段、船、など。
赤ちゃんの泣き声が野良猫の喧嘩みたいでまじでびびった。フェミニズム映画として紹介されることが多いけれど、それは単にふつう描かれない家事労働を執拗に映し出したことのみにおいて言うのではなく、われわれの見>>続きを読む
視線の物語、別れ話の切り返しはかなりドキッとした。撮り方の妙もあってシモンの豪邸は迷宮みたいなたのしさがある。
教育的な物語。胸糞わるい結末ではあるんだけど全然しんどくないというか残るものがなくて、それは史実を題材にとりながらあまりにも作り物感が強すぎるからかもしれないと思った。
自分と他人を隔てるものなどなにもないように見えてそこには硝子の膜がある、見ようともしないのに自身の姿が映りこんで疎外される、それはまったくの不意打ちで、即興の芝居にあらわれてしまうなにかとも通ずるかも>>続きを読む
画も音もやばいことやってやるという気概が漲っている。東家の裏の死体、喫茶店のトイレ、トンネル前の電話、あたりのながれは特に好きだった、二度の病院のカーテンもかっこいい。
海軍士官の視線が欲望の原因となって働く物語、回転扉の撮り方好きだった、儀式中に歌われる歌まじで吸いこまれる感じがする
解放された若者たちのたわむれ、みんなかわいくて愛おしい。一夜限りのことはやはりその限りで、その夏はたしかにあった、しかしいまはもう過ぎ去った、と言わなければならない。君はクソ女ではない、愛される価値の>>続きを読む
もう何年ものあいだ観たいと思いながら機会のなかったのをようやく観られた、すごくいいキスシーンだった
省略の妙だと思った、飲酒運転のところすごくよかった、自転車乗りの男にとってはいつかは来るとわかっていながら拒むふりをしてその実招き寄せようとしている時、それをシルヴァンの短くも印象的な介入が結実させる
仮装舞踏会のところはあちゃちゃちゃ……となっていた、不在の人物の存在感みたいなのっていまとなってはありふれた手法だけれど当時としては斬新だったりしたのだろうか