くまがいさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

3.8

この三部作で描かれた出来事、交わされた言葉たちを振り返って真っ先に思い浮かんだのは、『エロティシズム』のあまりに有名な冒頭、エロティシズムとは死におけるまで生を称えること、だった。その言葉の意味を体感>>続きを読む

恋の秋(1998年製作の映画)

3.6

偶然を装った企みの交錯する地点に真の偶然が生まれ、しかしそれを乗り越える意志がたしかな実感を掴みとる。
とりわけどうしても惹かれあってしまう男女が友だちどうしであるには互いが恋人をもってそこに禁忌を設
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夏物語(1996年製作の映画)

4.2

なんとなく観たいとずっと思っていたのをようやく観られた、船乗りの歌が女たちを巡り、最後は立ち去る船の姿で終わる、マルゴがかなり素敵

春のソナタ(1989年製作の映画)

3.8

あなたが怒ったら冷静なひとがいなくなる!のところで笑った、フランスって義務教育で哲学の授業があるのまじでいいな、成績Aだから!でやり返すナターシャがいい

冬物語(1992年製作の映画)

3.6

「頭でっかち」の男はちょっとやりすぎぐらいに感じるけど、でもすっごい効いてくる

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.6

対他存在、不安、公園内でタクシーをおりた背後で玩具にまたがる子どもたちとかバス乗っているときの会話、移動、町並み、乗客の乗降、のながれるような映像好き。

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.6

センスがやばすぎる、ほとんど悲観の色を見せない幸福の画が、男のエゴイズムを皮肉に浮き立たせる、この距離感、世界観、リズム、まじですごい。子ども超かわいい、結婚式の写真撮影シーン好き。

落穂拾い(2000年製作の映画)

3.8

主題とそこからの拡がりがすごい、ラカンの分析を受けたひとが出てきた、サラリーマンやりながら拾うひといい

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.6

教員が捲し立てるときの目と笑みがこわくてすごい、政治も偶然、いつからはじまっていたのか知らないけど三日前ぐらいにロメールが配信されているのにまさに偶然気づいてどうにかマラソンを完走した

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.4

カフェのボーイやばすぎる、でも派遣バイトとかって結構あの手のがいる

パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.3

二話めの、普段恋人といるのと同じやり方で別の男といるのがバレたら自身の独創性を疑われる、というの、すごいと思った。三話めのあの女性めっちゃ好き。

友だちの恋人(1987年製作の映画)

3.6

ロメールの描く人間の弱さとか孤独とか、いやだなと思いつつ思い当たる節がある、みたいなことばかりだけど、今回はあの白くて清潔すぎる部屋とそこから見渡される整備されきった芝生がそれだった

緑の光線(1986年製作の映画)

3.6

あのふたりがめちゃくちゃ盛り上がっているときのいやさ、わかる

飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.2

寝ちゃうフランソワ、リュシーとの偶然の出会いから手紙を送ってまでの流れ、が好き。この物語に核みたいなものはなくて、ものごとの不在、見えないもの、語られないもの、それらを補う想像の周縁で、さまざまの粒子>>続きを読む

美しき結婚(1981年製作の映画)

3.7

自身に才と価値があると信じ込み他者を凡庸と見下しながらその実なにごとをもなし得ない自尊心ばかりが肥大化した人間、から渡される幼少期に描いた絵、そりゃ置いていきたくなる。

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.0

第一話、過度に非芝居的な会話のくり広げられるタクシーのリアガラスは、高速道路の黄色い灯りに染められ、それが玄里がおりて古川琴音ひとりになると、下道の白い街灯と夜空の黒にとって替わられる。あの静謐さ、寂>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

4.0

キリスト教を題材にとってはいるけれど普遍性のある話。画がずっとよくて、特に夫妻が牧師を訪ねてきて三人で向かい合って座るところとか、こんな、空間としてはなんでもない場面でもここまでの画にできるんだなと思>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

3.4

また一緒に寝ようね、で、首藤凛の自意識さすがにどうなのと思ったら原作にもある台詞らしい。山田杏奈と萩原聖人がやばすぎてよかった。

映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

3.5

あの広場がいい、群衆への指示もめっちゃわかると思い嬉しかった、私情を持ちこんでもつれる俳優たちに関してはトレンディドラマを観たときに近い、職場でなにしてるんだという感じがある

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.5

セックスのあとで語られる物語、身体を動かすことで入ってくるテクスト、そして手話、と、これまで濱口作品のなかでもどかしい探り合いを繰り返してきた身体と言語がひとつの融和を遂げたような感を受けた。ただ目薬>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

4.8

毎度のことで言語や身体、暴力といった問題にめちゃめちゃ共感しちゃうんだけど、でもそれはそういう振る舞いに惑わされているだけなんじゃないかという気もして、今回はそれがメタ化されたり虚構の外部=現実への眼>>続きを読む

Playback(2012年製作の映画)

3.7

かっこいいんだけどよくわからない、車内の会話とスケボーの集団がすごくよかった。

うたうひと(2013年製作の映画)

3.7

サンクスシアターで観たけどなんでこれだけあるんだ? ともあれいきなりの切り返しとかめちゃくちゃ揺れるバスがトンネルの赤い光を抜けてすっと引きになるところとか好きだった。

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.2

結局言葉しかない、誓いのキスのとこなんか笑いそうだった

PASSION(2008年製作の映画)

4.7

他者と他者が言葉を通じて関わり合うことの事件性、あるいはそれこそ暴力性のようなものが、濱口竜介の映画には常に感じられるけど、それがものすごく明確に描かれていると思った。物語も画面も、ある種の秩序が備わ>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.5

背骨とか頭の瘤って気持ちわるいよな〜、人間の身体というイメージが生なましく剥がされた箇所に触れる感じがするというか

the place named(2012年製作の映画)

3.5

『空に聞く』のテンションで臨んだらわけがわからないという感想で終わってしまいその後のトークをきいてもう一度観させてくれと思った、もう一度、観たいです……

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.0

虚構のなかで虚構が現実性を高めること、即ち言語からイメージへの移行が為されるにつれ、その虚構性が強まり、言語で成り立った彼女たちの王国が遠のいてゆく。64分版はそういうことが理論というかわかりやすい物>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.2

観ていて体温があがった。あんまり核心の部分ではないけれど三島が(大嫌いだという)サルトルを引用して大江にも触れながら他者とエロティシズムの話をしていたので嬉しくなってしまった。

按摩と女(1938年製作の映画)

3.6

東京から単身温泉地へ逃げてきた女、としてあまりに理想的な高峰三枝子。すれ違って逃げるところがよかった。