文字さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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アポロンの地獄(1967年製作の映画)

3.3

 初めてのパゾリーニ作品鑑賞。ソフォクレスの『オイディプス王』を映画化した作品。邦題には不満が残る。内容についてここで深く掘り下げるつもりはないが、映像美は流石というか、光の使い方がとても綺麗だった。>>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

3.7

 ラウル・ペック監督によるドキュメンタリー作品。ジェームズ・ボールドウィンの"Remenber This House"が原作となっている。とりとめもなく流れてくる映像と音楽。現在と過去の往還。もの悲し>>続きを読む

ルワンダ 流血の4月(2005年製作の映画)

4.9

 ずっと見たかったラウル・ペック監督の作品。時折実際の映像も交えながら、ルワンダ内戦の惨禍とその後の平和構築過程を描いている。やはりどこか政治的である。単なる内戦として描き出すのではなく、フランスやア>>続きを読む

デザート・フラワー(2009年製作の映画)

4.4

 アディス出身の美しすぎるスーパーモデルLiya Kebedeが演じるワリス・ディリーの半生を描いた作品。FGM根絶が作品のメッセージとして込められている。途中目を背けたくなるシーンもあったが、反復強>>続きを読む

ABCアフリカ(2001年製作の映画)

3.9

 初めてキアロスタミ作品を見た。正直ウガンダ人の英語を半分も理解することができなかったが、その分異化作用は大きかった気がする。わずか10日間の取材でこれだけの長編ドキュメンタリーを作ったことに感銘を受>>続きを読む

霧の中のハリネズミ/霧につつまれたハリネズミ(1975年製作の映画)

5.0

非の打ち所がないソ連を代表するアニメーション作品。
ヨージクの可愛さ。こぐまがただただ愛おしい。

ケルジェネツの戦い(1971年製作の映画)

5.0

中世フレスコ画やイコンを利用した緻密な映像表現に圧倒される。音楽も素晴らしい。
戦争の恐ろしさや儚さ、空しさと平和の尊さがわずか10分間の作品に込められている。

25日・最初の日(1968年製作の映画)

5.0

天才ユーリー・ノルシュテインの十月革命を描いたデビュー作。
映像・音楽どれを取っても文句なしに素晴らしい。
特にレーニンの実際の声を入れているあたりがいい。

Учиться, учиться и у
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これがロシヤだ/カメラを持った男(1929年製作の映画)

4.8

 打ちのめされるようなすごい映像だった。おそらく、このような作品はもう二度と作れないだろう。ゴダールがジャン=ピエール・ゴランらと作ったグループの名前の由来でもあるジガ・ヴェルトフのアヴァンギャルドを>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 なんとも不思議で、言明し難い映画だった。ラザロは金枝を折ることができる存在なのだろうか。神聖にして愚かなるラザロをどのように解釈すればいいのか整理がつかない。聖化した人という表現が一番しっくりくる気>>続きを読む

天皇と軍隊(2009年製作の映画)

3.0

戦後オールスター総登場のフランス発日本版アベンジャーズ。多分エンドゲームよりも面白い。2009年制作とのことだが、どこか懐かしさを感じた。
この作品を見たフランスの人々は何を思ったのだろうか。

海の沈黙(1947年製作の映画)

5.0


“残忍なナチス・ドイツの犯した犯罪が、人々の記憶からぬぐい去られない限り、この映画は仏独関係の改善に寄与しない。”

 ヴェルコール作の同名のレジスタンス文学『海の沈黙』が原作である本作品は、この巻
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マンハッタンの二人の男(1958年製作の映画)

4.0

 1950年代のマンハッタンの夜を舞台に繰り広げられるサスペンス。ストーリーこそ単調なものではあったが、軽快なジャズとハイコントラストのモノクローム映像が作品の緊張感を高めていた。とにかく洒落で美しく>>続きを読む

名探偵コナン ゼロの執行人(2018年製作の映画)

3.6

 「真実はいつも一つ、しかし正義は人の数だけある」という、まるでカントに喧嘩を売っているかのような作品だった。ということで、私なりにこの作品が取り扱う主題についてトランスクリティークを試みてみようと思>>続きを読む

ブリティッシュ・サウンズ(1969年製作の映画)

4.2

 イギリスで撮影され、イギリスで放映することを予定していたがテレビでの放映を拒否された曰くつきの作品。ドキュメンタリーのような「映像」に対して、歪とも解釈できる様々な「音声」。普段映像作品を見ていて「>>続きを読む

ジェーンへの手紙(1972年製作の映画)

4.5

 映像であって映像でない。この作品を形容するとするならば、この様な表現が妥当だろうか。映像が持つ潜勢力に対して極力抗おうとしたプラクシスに思えた。まさしく「直線的な迂回」だろう。レクスプレス誌に掲載さ>>続きを読む

アレクセイと泉(2002年製作の映画)

4.2

 ベラルーシにあるブジシチェという小さな村の日常を写したドキュメンタリー。チェルノブイリ原子力発電所事故の影響で多くの人が村を去り、村には一人の青年と老人しか残っていない。これだけ聞けば悲劇的なもので>>続きを読む

12か月の未来図(2017年製作の映画)

3.2

 移民。貧困。周縁化する知識人。教育格差。知へのアクセス。正義。現代フランスが抱える問題をユーモラスに描いた良作。若干の脚色こそあるものの、生徒の自然な振る舞いを見るとドキュメンタリーに近いと感じた。>>続きを読む

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)

3.4

 2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起きた銃乱射事件を描いた作品。恥ずかしながらこの作品を知るまで事件の存在を知らなかった。作品はワンカットで撮影されており、自身がまるで事件を経験しているよ>>続きを読む

みえない雲(2006年製作の映画)

3.7

 人災たる原発事故が引き起こす限界状況を克明に描くドイツ映画。1986年のチェルノブイリ原発事故の翌年にドイツで発表されたベストセラー小説が原案らしい。この作品が公開されたのはチェルノブイリ原発事故か>>続きを読む

エビータは眠らない(2015年製作の映画)

3.6

 ここまで多くの国民に愛され、その死後も偶像として機能した人物はナショナリズムの時代においてもあまりいないのではないだろうか。
 エビータことエヴァ・ペロンの死後、彼女の遺体をめぐる話をオムニバス形式
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.2

 アルジェリア戦争の最中で、独立を求めるFLNアルジェリア解放戦線の対抗運動を描いた作品。この作品が制作されたのはアルジェリア独立からわずか四年後のことであるが、当時の状況が緻密に再現されており、緊迫>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

3.2

 得も言われぬ、神秘的で不思議な、そして見る人を安眠へと誘う作品。本作も難解だったが、やはりSFは示唆に富んでいていい。作品は二部構成となっており、第一部では主に地上での話を、第二部ではソラリスとの対>>続きを読む

1984(1984年製作の映画)

3.6

 言わずと知れたジョージ・オーウェルの小説『1984』の映像化作品。1984年に制作された。笑えない。
 合理主義を追求したディストピア的世界観がよく描かれていると感じた。諸個人が思考すること。考える
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.2

 ジム・クロウ法が依然として残る中での南部への旅。実話を元に制作されたとのことだが、旅の最後がアラバマ州バーミングハムだったことは興味深い。当時米国で最も人種分離が激しかった都市であるが、キング牧師や>>続きを読む