カウボーイと僕と惑星さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.4

洋菓子チックな箱庭空間が全編に爆発してる、ウェス・アンダーソンの大傑作。後半、実は観客を熱狂させる熱い映画でもあります。

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.5

希望はこの世に存在するのか。極限状態のブラックユーモアは、魂を揺さぶる。

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.4

古典期的プロットから、ヨルゴス・ランティモスもエマ・ストーンもレイチェル・ワイズもオリビア・コールマンも、最高に優秀な才能にずっとずっと愛したい気分(カメラマンもだよ)。傑作!

パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.7

カジュアルな日常描写の中に、不意に突く言葉が好き。「男はみんなくるりの『東京』が好きだから」。chelmicoの歌詞を映像化した感じ。

イメージの本(2018年製作の映画)

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圧倒的にわからない。映画史の先駆者ジャン=リュック・ゴダールの実験は、10年代も続いてる。やりたいことはなんとなくわかる。領域を伐採していき、それでも映画の芯を残す。撮影を除き、俳優を除く。イーストは>>続きを読む

シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

3.4

簡略化された映画的演出に、少々勿体なさを感じてしまった。アートフォームをドラマに移行すれば、また違った味わい、なんなら傑作にもなっただろう。そんな中、新しいアナ・ケンドリックが見れ、ブレイク・ライヴリ>>続きを読む

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)

4.1

家族は自分を支えてくれて、保護してくれて、見守ってくれる。もちろん、それだけではない。裏切りがあり、ヒエラルキーがあり、そこから逃れたい気持ちがある。ウェルメイドに纏いながら、ものすごく毒々しい。名匠>>続きを読む

サムワン・グレート ~輝く人に~(2019年製作の映画)

2.3

何気なく、実にパーソナルでいるからこその愛おしい若者同士のグルーヴを映画で作り出すのはとても高度なことで、きっと才能以上の努力がなされているのだろうと思った。グレタ・ガーウィグも、リチャード・リンクレ>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.9

事件的な密度の高さに、もう二度は見返したくないくらい。究極に洗練された画作りは、ノワール映画、もしくはホラー映画の到達点ではないかと言えるほど、人間の一線をグリグリ揺さぶってくる。戦慄が消えない。

オアシス(2002年製作の映画)

4.7

愛は無条件で人を動かす。そのうっとりするほど美しい名画。

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.5

ポランスキーの狂気的演出の凄みは、観客をも巻き込み、歴史を記憶に植え付けながら、当事者としてかつてのあなたを変えてしまう。鬼名作。

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

4.1

北野武のキャリア史上、おそらく最高潮の技巧に爽快。ニヒリズムの果て、突発的に生が死に変わる北野作品はネクストレベルへ。クールで儚い世界は、多くの人が恐れ、多くの人が惹かれる。

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.3

パンデミック後もなお、ケン・ローチの映画が頭をよぎる。彼はどんなに辛い状況下でも、僕らの友のように、そっと囁き優しい自分を蘇らせる。今、多くの人が彼の映画を無意識にも求めているだろう。彼の救いが清き心>>続きを読む

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)

4.0

本作、「がんばれ!ベアーズ」と共に並べる文句なしのスポーツ映画は、「ちはやふる 上の句/下の句」登場以前の日本映画で唯一の作品だろう。

デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.7

神がかりすぎ。クエンティン・タランティーノの夢、才能、知性がありえないほど結合した宝石のような映画。

お葬式(1984年製作の映画)

4.1

晴れ渡る空の下で、喜怒哀楽の嵐に巻き込まれながら、僕らを彩る生活が日々始まり終わる。冠婚葬祭の非日常的特別感を、124分に封じ込め、繰り返し楽しい瞬間として映画を利用した伊丹十三は天才だ。

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

4.5

イースト「グラン・トリノ」や黒澤明「生きる」や高畑勲「おもひでぽろぽろ」の趣、風情に軽々と到達するピクサーの手腕に脱帽してしまう。ゆっくりと、だが確実に進んでいくこの映画時間は、何年ごとに輪郭を変え、>>続きを読む

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.2

他者の感情は、理解するものではなく、常に読み取っていくものだ。

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

4.0

確信した。パニック映画ならではのサスペンスと高揚感がある文句なしに面白い本作を見て、今後の埋もれゆく往年のジャンル映画を復興し、支えていく希望ある映画作家は、イーライ・ロスとアレクサンドル・アジャの2>>続きを読む

サイドウェイ(2004年製作の映画)

4.7

悲しい時もあっただろう。君の振り返る生涯は、実に愚かで儚い。勘違いしてしまう自分勝手な冗談や気軽なユーモアで、多くの人を傷つけた。懺悔を続け、その後悔の中で、優しさを掴み、彼女や彼を思いやる。僕は何も>>続きを読む

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

4.8

これほど骨太で、野太く、優雅な映画が存在している限り、21世紀もまだアメリカ映画は絶滅していなかったと、何年経っても証明されることだろう。偉大なジェームズ・マンゴールドと、勇敢な名作。

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.3

フリッパーズ・ギターやクエンティン・タランティーノやダフト・パンクがそうであるように、膨大な参照物を自分の言語に変え、カルチャーを愛する世界中の人々を巻き込むくらい、そのジャンルを代表するマスターピー>>続きを読む

愛しのべス・クーパー(2009年製作の映画)

2.0

ヘイデン・パネッティーアの圧倒的カリスマ性をすべてドブに捨てる演出の無骨さに怒りが湧く。本作を観たことで、きっと多大な影響を受けたであろう「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の偉大さに改めて気づかされる。>>続きを読む

ブラックブック(2006年製作の映画)

4.7

これほど、僕の理念を揺るがし、痛快でいて、脳裏に焼き付く戦争映画、もしくは娯楽映画は稀にない。ホロコーストをモチーフに、強烈な客観的視点を植え付け、才能を全開させるポール・ヴァーホーヴェンはバケモノだ>>続きを読む

でーれーガールズ(2015年製作の映画)

3.8

この前会った時よりも、彼女は髪が伸びていた。毎日毎日、誰かの何かは変化して、誰かの嘆きは気づけば消える。時間の存在は、人を完成させ、人を完結させる。過ぎた事を思う。その時にはいつも、前世が生まれ、虚し>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.5

映画を、詩を、倫理を、すべて破壊しにかかってる。イ・チャンドンによる、文句なしの問題作にして、驚異の傑作。

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.2

言語も違い、様式も違い、風習も違う。そんな異世界へ放り込まれる映画体験は、いつか出会う夢の空間なのか?。それとも、見てる世界が夢なのか?。軽妙洒脱なスラップスティック劇が、もはやサイケデリックな色合い>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

4.0

見た目のパッケージングからは到底想像もできない味わいと出来栄えにアドレナリンが出た。端的に正統な「グッドフェローズ」フォロワー作品の一つである本作が、男性社会の冷笑から、退廃し行く時代への再戦にシフト>>続きを読む

バースデー・ワンダーランド(2019年製作の映画)

1.9

我慢できないので言います。
つまり原恵一は全くファンタジーに興味がなく、アニメーションを逃避として利用することを徹底的に拒みたい人。テリー・ギリアムのようにあえて皮肉ることも出来ず、用意されたお題をと
>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.5

サム・メンデスによる「ダンケルク」への回答。
驚嘆するほどスリリングでダイナミックで極上の映画体験に動揺する。これは完全に頭一つ抜けた傑作。

よこがお(2019年製作の映画)

3.5

観賞後の自分を翻弄する不完全な真相と、曖昧な真実。いま一つなカメラの質が低い理由を突き詰めると、日本映画産業の貧しさが浮かび上がる。だが確実に、目に見える深田晃司の鋭い牙には、微かに山田洋次が存在して>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

4.4

アメリカの社会派エンターテインメント作品は再び先を行った。声を上げることへの憂惧。被害者レッテルを貼られる抵抗。告訴人同士の内部闘争。複雑に入り混じる鋭利な視点にひたすら打ちのめされる。めちゃくちゃ面>>続きを読む

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

4.0

納得して涙が出た。マリリン・モンローが見ている景色は、アリアナ・グランデ 、フランソワーズ・アルヌール 、YUKI、芳根京子、chelmicoがそうであるように、きっと平和で美しい場所なのだろう。ハワ>>続きを読む

スペル(2009年製作の映画)

4.3

「死霊のはらわた」以来のサム・ライミの高鳴り。アバンタイトルからの愉快さはエンドロールまで持続していて、アイデアの豊かさと美術の上品さに目を奪われる99分は時間が止まる。ポップコーン片手に1日分の幸あ>>続きを読む

家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.3

躍動感溢れる森田芳光。キャスティングもシナリオもカメラワークもカッティングも、すべて完璧。

インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

4.3

娯楽の存在は、陰鬱な時代へと突入する時でさえ、いつも僕らを自滅させない。それは、常に存在する1人1人の相互理解。1人1人の心に寄り添う細やかな慰め。娯楽は偉大だと気づかせてくれたイーストウッドはやはり>>続きを読む