カウボーイと僕と惑星さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

デトロイト(2017年製作の映画)

4.7

涙を犠牲に、星条旗に立ち向かったキャスリン・ビグローをはじめとする全ての製作者たち。怒りを無駄にしてはいけない。映画の意義、魂を揺さぶる歴史的大傑作。

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.5

僕は日々絶望している。大きな組織は既に腐敗し、奴らは常に声を殺す。国家も同じ。毎日僕はレディオ・ヘッドで溜飲を下げ、口を塞いで絶叫している自分を想像している。そんな僕が、このタイミングでイーストウッド>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.6

勇敢さは、命を奪うことではない。命を救うことだ。だから大丈夫、素晴らしい日は、きっと明日に待っている。また一つ、偉大な作品が生まれた。

マッチポイント(2005年製作の映画)

4.6

結局、罪は風と共に去っていくのかな?。クリント・イーストウッド「ミスティック・リバー」や村上春樹「納屋を焼く」が問うてきたテーマを、繰り返しウディ・アレンは背負っていた。無機質な語り口とは対照的な邪悪>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

4.7

卓越したアート作品は、常に自分を無にしてくれる。今まで見ていた街や雲や人は、一体何だったのだろう。この感情を表す言葉は存在しないが、何処で放たれ、僕に行き着いた。

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.6

たくさんの人の中から、君を探す僕がいる。大勢の声の中から、言葉を探す君がいる。安心した、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の情感や、「渚のシンドバット」の息苦しさは、今もどこかで受け継がれている。完>>続きを読む

シーズ・ガッタ・ハヴ・イット(1985年製作の映画)

4.1

ジャン=リュック・ゴダールリスペクトを強く感じさせるスパイク・リー監督作品。でも今見ると、SZA「The Weekend」のリリック世界を追体験できる感じ。つまり、大好きが詰まってる。

宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.7

かつて「ロッキー」がそうであったように、深く心に刺さった人にとって、取り返しがつかないくらい大事な作品になるのだろうと思った。それくらい、強度を持つ映画。

天然コケッコー(2007年製作の映画)

4.3

君が若く、無垢な時期を思うと、とてつもなくセンチメンタルな気分になる。輝く今はあっという間で、明くる日君は羽ばたいていく。あの瞬間を刻印した、とってもとっても素敵な映画。

イット・カムズ・アット・ナイト(2017年製作の映画)

4.1

歴史の点に僕らは居て、人を疑い恐れる瞬間は何れ過去となる。分裂は長く続くだろう。でも僕に、理解があるのなら。でも僕に、正気があるのなら。

転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)

5.0

アートは常に、己の内部にある感情が受け手に届く瞬間を意味する。大林宣彦というアーティストは、映画というメディアで「記憶」を描いてきた。記憶の中には時に反戦、時に死、そして愛する心を写し、見るもの全ての>>続きを読む

マーゴット・ウェディング(2007年製作の映画)

4.2

滅びゆく話なのにめっちゃ清々しい気分。バランスが崩れても、結局時間は進んでいく。死ぬことはなく、生きてゆけと言われたような、ラース・フォン・トリアーの「メランコリア」同様に熱いメッセージを感じた。

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.1

歴史的傑作マンガの映画化。いくら吉田恵輔とはいえ、それは不可能だと僕は見なしていた。そんな少なくない意見に打撃を喰らわすような、勇気ある傑作が誕生。アイリーンを映像に蘇らせたこと、魂を揺さぶるラストを>>続きを読む

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

4.4

いつもは優しいあの子だって、普段は見せない弱さがある。誰だって居場所を模索し、孤独を共有する仲間を探す。テキサスでもパリでも、若者のテーマは常にそこにある。

ファミリー・ツリー(2011年製作の映画)

4.7

誰も傷つけないペインの演出は美しく、登場人物や場面が愛おしくなるような、そんな全てが麗しくて素晴らしくて。たまらなく最高の映画です。

おとなのけんか(2011年製作の映画)

4.3

「ゴーストライター」とは180度異なる、ポランスキーの再びの傑作に熱狂。サプライズの連続に舞い上がり、削ぎ落とされた語り口に惚れ惚れ。

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.7

最高密度の映画体験!
役者のポテンシャルを引き出す能力、抑制したショットと美術や人物配置で示す情報量、唖然として目撃するしかないアクションと、現役の映画監督でポン・ジュノと肩を並べる存在は、もはやアリ
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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007年製作の映画)

4.4

「バットマン リターンズ」にせよ「シザーハンズ」にせよ、ティム・バートンが描くメロドラマはどれも不憫で悲痛。前述した作品に競り合う映画ではないが、おそらく完璧で傑作。

先生を流産させる会(2011年製作の映画)

3.6

剥き出しの暴力と悪質な邪気。中島哲也に喧嘩を売ったような内藤瑛亮監督の教育への思い。本作はインディー故の拙さはあるが、攻めた日本映画の作家として、彼は飛び抜けてる。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

3.7

キュアロンのフェリーニ思考。気持ち悪い!、という映画の悦び。拝物愛が強すぎて、めっちゃ歪な作品です。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.9

弱った心は、美しいものを生み、美しいものは弱い心に届く。すべてはぐるりと回っている。
人生は続き、怒り、笑み、悲しみは渾然一体に同居し、世界の姿を固める。
21世紀最高の日本映画。歪な形を美しいと、僕
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アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

4.5

中毒的なエレクトロサウンドとドラッギーで暴発した緊張感。秩序を無にするサフディ兄弟の映画に対する異常な愛情。圧倒的な傑作。

コンテイジョン(2011年製作の映画)

4.0

スティーヴン・ソダーバーグが送る感染パニックムービー。ジャンルを内包するリアリズム思考と無慈悲な世界の終末。まさに今、写し鏡となってしまうのか?

の・ようなもの(1981年製作の映画)

4.6

横浜から見た東京の灯りにはきっと日々に挫けた夫婦がいるし、今日にも出会う男女がいる。
森田芳光は、全人類の生活に愛情を注ぎ、世慣れない老若男女を信じる。そんな彼の永遠の名作だ。

家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.6

ケン・ローチのようなアーティストは、どの時代にも必要だ。目に見えて廃れていく今この瞬間、家族にも追い詰められ、労働にも追い詰められ、制度にも追い詰められ、果たしてその声はどこにいくのか?。しかしアート>>続きを読む

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)

4.3

反骨精神を逆手に取って、まるで「ベター・コウル・ソウル」のソウル・グッドマンよろしく、邪道を突き抜けるあっと驚く発想に唸るばかり。歴史的大傑作「デス・プルーフ in グラインドハウス」期にタランティー>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

4.8

Facebookに視点を置き、若者の出会いと別れ、権威と孤立を緻密に演出するも、印象としてはとてつもなくエキセントリック。フィンチャーの偉大さを知った、傑作中の傑作。

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.0

「ソナチネ」級の連続したアクションと、瞬間で変容する光景。寒さが襲う舞台で、スコセッシを彷彿とさせる生々しい暴力世界。気品とアイデアを兼ね備えるテイラー・シェリダンのとてつもない才能が、アメリカ映画を>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.6

将来のアメリカ映画の希望を背負ったかのような、堂々たる傑作。
ジェームズ・マンゴールドの強い意志と達成。「フォードvsフェラーリ」の実像は、彼自身なのかもしれない。

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.9

ポン・ジュノがいる時代を生きていて光栄に思う。エンドロールを迎える頃には、感謝すら覚えた。
4本分の面白い映画が同時進行で滑走していき、現代社会に指を指しながら、言葉を超える感情へと突き進む。
間違い
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アス(2019年製作の映画)

4.2

いつも通り、頭の良いジョーダン・ピール。今日的なテーマを扱い、そこには痛烈な批評性もあるんだけど、ゾンビ映画としてもしっかり楽しめ、スリラー映画の枠組みを軽く凌ぐパワフルさもある。ごっつええ感じを反転>>続きを読む

ミスミソウ(2017年製作の映画)

3.8

おそらくバイオレンス史上、過去最悪。
暴力と裏切りと卑怯者が歩行するこの世界で、モラルは狂気に反抗するのか?

50/50 フィフティ・フィフティ(2011年製作の映画)

4.2

開始早々、題材に対する作り手の切実な距離感に早くも涙腺が緩んだ。

机のなかみ(2006年製作の映画)

3.8

すげー面白い。
基本コミュニケーションは自分勝手な一本道。女子高生に対して、勝手な愛を寄せ、頭がいっぱいに。滑稽だよと言うけれど、その下心こそむしろ本質的な一目惚れ。
あべこうじも素晴らしいけど、何よ
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