カウボーイと僕と惑星さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

オクジャ okja(2017年製作の映画)

4.6

最高。純真な少女と、愛らしいオクジャは出会うも、空虚な社会は邪魔をする。真っ直ぐでいて厳しい視点のポン・ジュノは、宮崎駿や押井守を横断しながら、資本主義を描く。だがポン・ジュノは、娯楽の豊かさも思い出>>続きを読む

スノーピアサー(2013年製作の映画)

3.4

今思うと、「オクジャ」(それを踏まえたパラサイト)に対する習作だったのかなと憶測する。
アイデアに関しては流石に頭抜けてるけど、凡作と快作を揺れ動くだけの映画になっちゃった。

母なる証明(2009年製作の映画)

4.7

演技、演出、撮影、編集、照明にキャスティングと、映画を成り立たせる要素がすべて一級品である事実、興奮しながら見るも、突飛でサディスティックな壮絶ホームドラマであることを知る。超過激派!

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

4.5

全ジャンルを飲み込む、娯楽エンターテインメント大作。
スクリーンに映る情報量に唖然としながら、語り口の端正さにまたしても驚嘆。

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.8

ありえないほどの王道を、2作目にして作り上げたポン・ジュノの凄まじさ。映画はこんなに面白いんだと初歩的なアジテーションを思い出させてくれる。最高峰と呼ぶしかない、韓国映画を代表する名作。

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.5

才気走った初期ポン・ジュノ作品の傑作活劇。
狂おしい、恐ろしい、愛らしいの感情を行き来させ、観客に困惑を誘うその時点で、とんでもない作家が現れたとまたしても困惑を誘う。

岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.0

物議を醸すショッキングな題材を、人間のしょうもなさを含む喜劇に落とし込んだ監督のこれからを応援したくなった。狂気のような本作は、現代におけるアートの価値観に何かの回答を示した気もする。

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.0

届かぬ愛にすべてを捧げ、そこから生まれる自分の肯定。Bitterな人と現実を、それでもラストで監督は、永遠の物語として映画に吹き込んだ。
森田芳光映画の笑みが溢れるほど平和な幸福論や、小沢健二が謳う街
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.9

人類を、宇宙という大きな存在で覗くなら、きっとそれは握って潰れる小さな出来事だ。
だからといって人々の生活は、進化がもたらした巨大な宇宙なんだ。

葛城事件(2016年製作の映画)

4.8

カルチャーにとって、奇跡のような傑作年だった2016年を表す日本映画の重鎮。
実はその後のアニメーション作品、もしくは日本映画の集大成的な永遠の作品「この世界の片隅に」とのメッセージに近いものがある。
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何者(2016年製作の映画)

4.0

3年を経て気づいた。変化した日本を象徴する物が本作にはあまりにも多すぎる。「就職戦線異状なし」のその後、オールスターキャストで再び描く「就職」と「若者」。美化せずハードコアに見せた重要作。

十三人の刺客(2010年製作の映画)

4.2

10年代初頭、三池崇史時代が長く続いていた。
相変わらず多作だと思ってた最中、これはどの映画作家も届かないダントツに血湧き肉躍る娯楽映画を撮った事実がある。まさかその9年後の日本映画が三池時代から更新
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クリード チャンプを継ぐ男(2015年製作の映画)

4.8

この10年の歴史を代表するスポーツ映画の金字塔。敗者の視点から時代を生きた先人たちへと語り継がれ、どんな時も折れることなく、永久不滅の大傑作。

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

4.5

信じられないほど、生まれて初めてヒッチコックを見た興奮を思い出す。
ビックリした、2019年ベスト級の傑作!

きみはいい子(2014年製作の映画)

4.5

教科書のような、最高峰の日本映画。
メッセージを超えた先に待っている大名作を見た記憶。それなのに、味わいは実にスマート。彼らの目つきは映画である。

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)

3.8

大傑作「マジカル・ガール」で映画ファンを驚かせた新鋭監督、カルロス・ベルムト。
二作目にして、オリヴィエ・アサイヤスやロマン・ポランスキーにさえ接近しようと試みる。その挑戦が生んだ背筋も凍るヘビーな愛
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.5

家族というアイデンティティー。お互いめんどくさいけれど、家族になると言うことは身体の一部になること。どうしようもなく愛してしまう。

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)

4.0

僕にとって、需要も知識もなかった題材である溺愛カップル物。実生活にも関わりがなく、きっと山のように大量生産されてるジャンルである。だがそんな僕ですら本作を見ると、2人を思い入れ、愛おしく感じてしまう。>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.2

映画を復活させた「ジョーカー」の後に、手練れた映画的技巧で、この長尺な大河ドラマを一瞬たりとも飽きさせずに見せ切るマーティン・スコセッシに拍手喝采!。
時代は終わり、人々が消え去った後でも、1人の男の
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失くした体(2019年製作の映画)

3.5

奇々怪々なアイデアを、ここまでスペクタクルに、そしてメロドラマに仕立て上げた監督は、よっぽどのテクニシャンなんだろうと思ったのだが、監督はこれで長編デビュー。脱帽しました。

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.8

予想以上に超能力バトル、からの続「シャイニング」、からの……まさかのシャマラン!。後味は「パラノーマン ブライス・ホローの謎」に通ずる、温和な余韻。

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

4.0

失敗が続く日々で。いつも顔色を疑い、肩をほぐす大切な存在を知りました。
バディと共に生きる不器用な毎日はなんて幸せなことなんだ。何度でも会いに行きます。

天気の子(2019年製作の映画)

3.5

「東京の行く末は沈下したのか?」「日本に希望はあるのか?」
だからこそ、この先の未来を信じるしかない。

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)

4.5

誰かを思いやる事ができたら、世界はもっと楽になるのに。

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

3.8

オモチャ論というか、痛烈な「トイ・ストーリー」カウンター作品。賛否両論も納得。今年最大の問題作!

海獣の子供(2018年製作の映画)

3.9

思ったよりもエキセントリックな弩級SF。国宝級の圧倒的描出の悦楽、開いた口が塞がらない。

アクアマン(2018年製作の映画)

2.5

思いっきりがいい風呂敷の広げ具合も、ケレン味を意識したコテコテのVFXも、バーフバリが好きすぎるのか?と問い詰めたい。センスのないデザインを疑うばかり。
楽しんだ分、途中から真剣に見るのをやめました。

ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.4

相変わらずキレッキレ。出演者・スタッフ一同、怒りを込めて楽しく企業を訴える。富裕層に流通する税金逃れのマニュアル「パナマ文書」の暴露を肴に暴れるメリル・ストーリープ、さすが。
そうだ、カニエ・ウェスト
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

3.8

黒沢清がこんなにも前田敦子に愛情があるとは思わなかった。というか黒沢清がこんなにもポエティックな作家だとは思わなかった。働く人に送る。心にゆとりを持とう。

メランコリア(2011年製作の映画)

4.2

くだらない大人たちが罵り合ってケチつけあってる世界。想像してみて、すべて破滅したら。
ダウナーな様で実は人間賛歌。恐怖のメランコリアが地球を襲い来ることで知る現実の価値は、計り知れなく尊いものなのだ。

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

4.0

一部を除いて文句なしの傑作!
前半、あまりに追い詰めていく子育てや家事の描写に、男として思わず目を背けてしまった。
厳しさを徹底した序盤とは対照的な中盤のタリー登場シーンは、あまりにも優しく、ここで涙
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アフターショック(2012年製作の映画)

3.9

おぉ、こんな教科書があったとは。
パニック映画が必要としてるアクションがすべて詰まってる。
イーライロス的、言い換えればヴァーホーヴェン的人間描写にも痺れる。
この上なくオーセンティックで正統派ホラー
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アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)

4.0

誰だってそうさ、自分を追い込んでいるのは結局自分。
才能に脅かされ、老いに悩み、プライドに阻害されるジュリエット・ビノシュは、若きクリステン・スチュワートとの交流で知った。瞑想や冗談が心を救う。
山の
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バイス(2018年製作の映画)

3.7

呆れを通り越して失笑。モラルが堕ちた世界で、どんなに情熱や野心があっても、許せないことはあるんだと再認識。安倍政権や小泉政権を舞台にこんな作品が見たいという願望・憧れもあった。アダム・マッケイの批評精>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

3.8

誰も触れない2人だけの国は、メロディアスでソウルフルな旋律と共に、子をプロテクトし、生きていく。