あしからずさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

あしからず

あしからず

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宇宙人東京に現わる(1956年製作の映画)

3.4

日本初の本格的カラーSF特撮映画。
宇宙人がいいやつで地球のことをめっちゃ心配してくれる。

核兵器廃絶の注意喚起映画で、博士が発明した原水爆以上にヤバい元素の開発をやめろと全力で阻止する宇宙人。
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エデン、その後(1970年製作の映画)

2.4

エデンという名のカフェで起こる即興演劇とその反復。
血と毒薬、オブジェ、イメージ、亡霊、絵画、死、金髪、おっぱい。なんてそれっぽい言葉を並べてみても薄っぺらい。退廃音楽のMVで充分では。

ドッペルゲ
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麦秋(1951年製作の映画)

4.0

しみじみとしみじみと、なんていい映画だろう。日本人が思い描く心の奥底の永遠の故郷のようなラストの情景。回帰本能を震わされ言葉にできない哀愁が漂う。

あの部屋の完璧な構図。
低いカメラの平面と襖の向こ
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.5

冒頭の滲んだネオンとムーディーな音楽でこれはアカンな予感は確かで恋に破れたズタズタハートの八つ当たりに失敗した男は結果的に英雄の名を授かれどやってる事は正義の皮を被ったストレス発散。こいつは運がいい世>>続きを読む

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.8

自転車も映画のフィルムもどこまでもどこまでも転がっていく。巡礼者のお経から始まる冒頭はラストを予感させていたのかな。
「どうしたってのよ、お入んなサイ」としっとり喋る映画館の寂しい奥さんの陰影のある色
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パンドラの箱(1929年製作の映画)

3.9

悪女には2種類ある。
悪意がある悪女と悪意がない悪女である。
悪意がない悪女というのは本人に邪な意図はないが結果的に周囲が惑わされ自滅するファム・ファタールのこと。
この「パンドラの箱」におけるルイー
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肉弾(1968年製作の映画)

5.0

たまげたなあ。戦争って豚になったり牛になったり神になったり忙しい。

監督自身の戦争体験が色濃く反映されており、その青春と戦争への想いの墓場のような作品。岡本喜八にとって戦争は“ささやかながら強烈だっ
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

4.0

こんなに分かりやすく人間の醜さがみえる映画があるだろうか。
聖書の東方三博士の名を持つロバの一生を寡黙な映像で追っていく。物語の中でキリストのように扱われるバルタザールの目がただただ優しくて心が痛い。
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愛のお荷物(1955年製作の映画)

3.5

川島雄三特集にて。
第一次ベビーブームの日本で人口増加抑制政策を約束した山村聡演じる厚生大臣。ところが妻や娘など家族や周囲に一斉に赤ちゃんができて…というドタバタ喜劇。
撮られた年代が年代とは言え少子
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最初の教師(1965年製作の映画)

3.4

ソ連万歳、レーニン万歳、社会主義万歳のプロパガンダ映画。
ソ連からキルギス共和国の村に派遣された教師が村人たちや古い風習と対立しながら子ども達に勉強を教え、学問の大切さを説いていく。

ただこの先生が
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.8

もうなんと言っていいのか分からないけど制作側のすずさんと作品への愛がとめどない。何回見てもずっと同じところで泣いてしまってもうだめ。OPからだめ。

前作の立ち位置から一歩下がって更に視野を広げ、世界
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.7

‪人生ってそんなものだよね。‬
‪ガン検査の結果を待つ歌手クレオの5時から7時までを描いた作品。‬

‪‪ヌーヴェルヴァーグとフランスの風を感じてモノクロだけど色彩豊かで軽やか。‬
‪その帽子の趣味
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炎上(1958年製作の映画)

4.6

なんて美しい映画、なんて美しい炎上。

三島由紀夫の「金閣寺」をもとに市川崑が監督した傑作。
市川雷蔵が時代劇の月代も着物も剣も封印して孤独な青年をあまりにも見事に演じている。吃音という事もあり台詞は
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現金に体を張れ(1956年製作の映画)

3.6

キューブリックのハリウッドデビュー作。手堅く秀逸な構成に大胆な演出が光る。

競馬場を舞台にその売り上げの強奪を企む男たちのフィルム・ノワール。男の1人が美しい妻に口を滑らした所から犯行計画が狂ってい
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女のつり橋(1961年製作の映画)

3.4

さて今週の大映は、中村玉緒のちゃきちゃき切ないマッサージ物語、野添ひとみの危険なパパ活生活、ダンサー叶順子と伊藤雄之助のしんみり春の夢の3本です。

3話とも適度に面白くておつまみに最適。
好きだった
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アンナ(1966年製作の映画)

-

ゴダール作品のアンナ・カリーナとはまた違う、ただただかわいいアンナが堪能できる。最初から最後までひたすらかわいい。
丸メガネも最高に似合ってて、そんなキュートに微笑まれたらいっぺんに恋に落ちちゃう。
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ファンシイダンス(1989年製作の映画)

3.6

禅寺修行コメディ。
本木雅弘や大沢健、若かりし頃の彦摩呂などみんなの坊主姿がハマってて美しく目に優しい。全員本当に頭を剃っている気合いっぷり。

実際の禅寺修行の生活の様子がよく分かる構成。そのあまり
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熱砂の秘密(1943年製作の映画)

3.7

ビリー・ワイルダーはコメディの印象が強かったので、冒頭、死体を乗せた戦車が砂漠に突然現れた時は少し驚いた。死を乗せて静かに進む戦車の描写はなかなか強烈。

第二次世界大戦下の北アフリカを舞台に、この戦
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一等女房と三等亭主(1953年製作の映画)

3.1

轟夕起子のレオタード姿がたくましく眩しい映画。
美人で才色兼備なエアロビ教室のコーチの妻と、お人好しで冴えない夫の攻防戦。

主演は轟さんだけど、三等亭主の優秀な部下役の関千恵子さんがかわいすぎて釘付
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隣の影(2017年製作の映画)

3.4

北欧の映画らしい静かな恐怖。寒い地域の映画は淡々とこわくてたまらない。
てんやわんやの最悪ご近所トラブル。
わんちゃん事件はぶっ飛んでて可笑しいやら、犬と暮らしてる身として実際あれやられたら精神狂っち
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典座 -TENZO-(2019年製作の映画)

2.9

仏教の表面の表面を撫でただけの浅漬け。やや長い予告編かな?という感じ。

典座とは禅宗の役職の1つ。
主に僧侶の食事をつかさどる僧で、この典座の役割の僧侶や3・11と向き合う僧侶、いのちの電話問題など
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州議会(2006年製作の映画)

3.3

ひたすら法律の検討や議員の討論場面を永遠と撮っているので、油断すると画面にうつされる退屈そうな議員たちと同じような顔になってしまう。
盗撮問題、SNS問題、教師の給与問題、雇用問題、税金問題etc…。
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女は二度生まれる(1961年製作の映画)

3.7

ああ若尾文子はどんな瞬間も美しい。
芸者から銀座の蝶になり自立の影を見せ、また芸者へと移り変わる女の一生。
藤巻潤からフランキー境から山村聰から高見国一までくるくると止まり木を変え時には娘のように、時
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ドウエル教授の首(1984年製作の映画)

3.8

だからソ連映画って好き。
生首が動いて喋ったってなんとなく受け入れられちゃうこのシュールな空気感。生ける生首が実在したって不思議じゃないソ連マジック。

交通事故死したはずが生首のまま生かされているド
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雲の上団五郎一座(1962年製作の映画)

3.7

宝塚映画祭にて。舞台劇で大ヒットした菊田一夫原作作品。
榎本健一や三木のり平、八波むと志、花菱アチャコ、由利徹などなど豪華メンバーのドタバタ喜劇。と言っても世代的にも知識的にも彼らの事を存ぜず観終わっ
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(1976年製作の映画)

4.0

生まれ変わったら牛になりたい。舌はタン塩に、皮はハンドバッグに、身体はステーキで胃袋はトリッパ、頭蓋骨は美術予備校にモチーフとして置いて欲しい。余す事なく食材として使われるあの効率のよさと解体の手順の>>続きを読む

劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~(2019年製作の映画)

2.9

完全なるエンタメ。応援上映でみんなで笑って騒いで観るのにはピッタリ。
ドラマのノリを壊さず新キャラも盛り込んで綺麗にまとまってるように見える。

見えるけどなんだろう。これでほんまにええんか?ごまかさ
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

直前になってなんで自分はこんな地獄のように長い作品を観に来ちゃったんだろう帰りたいと激しい後悔に襲われたものの観始めると意外と大丈夫なもんだなあ。

土地が腐っているのか人間が腐っているのか卵が先か鶏
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.8

こりゃすごい。愉快軽快爽快もひとつ痛快の極上のごちそう映画。落語の「居残り佐平次」を話の軸にその他「品川心中」や「お見立て」など色々詰め込んだバラエティセット。

「お前さん、これからわっちと心中する
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.9

なんだかんだタイムリープものって好きだなあ。
高慢で自己中な人気気象予報士が同じ2月2日を延々と繰り返す傑作SFコメディ。

最初の印象は完全に某天沢聖司的やなやつやなやつ!って感じなんだけど、同じ1
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日日是好日(2018年製作の映画)

3.3

じっくりと非常に丁寧なお点前の描写。お茶室のしんとした空気やお抹茶の香りまでさわれたような気がした。

茶道経験のない黒木華と多部未華子の視点で、1つ1つの作法や季節で変わるお点前まで細やかに描写され
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あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

4.1

良い映画を観ると胸がいっぱいになって感想がうまく出ない病に名前がほしい。

軟らかな雰囲気とリズムの心地よさや異国の空気を味わえる喜びと、インドの階級制度や時代遅れの風習への理不尽さ。色とりどりの気持
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緋牡丹博徒 花札勝負(1969年製作の映画)

3.6

加藤泰監督目当てで観始めた緋牡丹博徒シリーズ。1作目も2作目も思った以上に面白かった。
3作目の本作は念願の加藤泰で緊張感とローアングルの構図がクール&ビューティー。物語にも奥行きが出ててお竜さんの細
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グロリア(1980年製作の映画)

3.3

「レオン」の元になった作品。中年女性グロリアが家族を殺された少年を守り、ハンドバッグから取り出した銃を容赦なくぶっ放す。

背伸びする生意気な少年と頑固で無愛想なグロリアの関係性の変化が見所。
なぜか
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緋牡丹博徒 一宿一飯(1968年製作の映画)

3.3

常々思うのですが任侠映画の一宿一飯のお礼に人を斬るという超仁義ルールすごい。でもこれが様式美のようで任侠映画は義理と人情。義理と人情ですばい。
この世界には警察がいないんか?と思ってたけどちゃんといて
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アス(2019年製作の映画)

3.7

こういう自分たちとそっくりの人間がとつぜん現れる漫画流行ってたなあと思いつつ、そこに前作「ゲットアウト」と同様に強烈に人種差別と社会批判を織り込んだホラー作品。

ミラーハウス系のホラーとか特に苦手な
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