ケンヤムさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

ケンヤム

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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.8

なんなんだろう、この映画。
この既視感はなんなんだろう。

はっきりとした理由なしに、原爆を作る。
国を脅す9号。
それを嬉々として取り上げるマスコミ。
呑気に盛り上がる無知な大衆。
自分の作り出し
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

4.3

日本の伝統的なヒューマンコメディを地でいったような気持ちの良い作品。

劇中のセリフにもあるが、「活動家魂の復活」を深作欣二は夢見ていたのだろう。
ハデなことをやってやろう、めちゃくちゃやってやろうと
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鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

4.3

感想を書こうと思っても、この映画を見た感情を書くことがそのままネタバレになるので書けない。

とにかく、楽しい映画なのは間違いないです。
楽しいというのは、感情がごちゃごちゃになるという意味での楽しい
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.2

自転車を盗まれて、自転車を探しにいくただそれだけの話。

このストーリーだけで格差社会を描ききる姿勢には頭が下がる。
盗んだ兄ちゃんにとっては、たかが自転車だったのかもしれないが、主人公にとってはその
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悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

4.5

怖い、残酷な映画。
正義を通そうとする人間が、一番損をする社会。
そんな社会を現代人は見て見ぬ振りをするが、黒澤明はこの映画で残酷な社会を表現した。

作られた時代は古いが、今のことを言い当てられてい
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カリートの道(1993年製作の映画)

4.5

銃を使った人間は幸せになれない。
この映画は、そんな映画です。

カリートは一流のギャングだったが、五年間の懲役を終えて、人並みの幸せを望んだ。
愛する人と南の島で、レンタカー屋を営んで慎ましく暮らす
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カジノ(1995年製作の映画)

4.3

滑稽で愚かな人々の物語。

華やかなラスベガス。
華やかなドレス。
華やかなスーツ。
華やかなダイヤモンド。

映画の序盤はそんな風にカジノの街に生きている人々を羨望の眼差しでみていたが、映画が進むに
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BROTHER(2000年製作の映画)

4.3

「ファッキンジャップくらいわかるよバカやろー」
のシーンに代表されるかっこいいシーンがたくさん詰まった映画。

北野武がこの映画から、大衆迎合的な姿勢を見せはじめたと自称映画通たちは言うが、私は北野監
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母なる証明(2009年製作の映画)

4.5

愛は最大の暴力である。
なんかの本でこんな言葉を読んだ気がするが、この言葉をよく表した映画であると思う。

この映画の場合の愛は、母から息子への暴力であり、母が自分自身へ向けた暴力にもなった。
それは
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(1954年製作の映画)

4.0

フェリーニ作品初鑑賞。

愛が身を滅ぼすこともある。
いい監督は死を題材にして、物語を紡ぐ。
それは、死を描くことでしか生を描けないから。

フェリーニも生に向き合った人なんだなぁとこの映画を見て感じ
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父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.0

「退屈だ」とこの映画を批判している人がいる。

戦争は退屈なものだ。殺し合いの日常は、この映画のように退屈なのだと思う。
戦場では仲間の死でさえ、日常だった。

それは日本もアメリカも一緒だった。
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ジャム・セッション 菊次郎の夏<公式海賊版>(1999年製作の映画)

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北野映画ファンとしては、たまらないドキュメンタリーでした^ ^

北野監督は撮影のテンポが早いというのを聞いていたが、1日に40シーン撮るのはすごい。

その日の空気みたいなのを、大切にしてるんだと思
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イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)

5.0

メタファー。
映画はこのテーマを避けては通れない。
どんな映画でも、現実のメタファーでなくてはならない。

友とは何か。
恋とは何か。
故郷とは何か。
政治とは何か。
言葉とは何か。
自然とは何か。
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みんな〜やってるか!(1994年製作の映画)

1.0

北野武って天才ではなく、バカなんだってことがわかる映画。

こんな映画見ないほうがいい。
カーセックスしたくてしたくてしょうがない人が、ハエ男になって死ぬ映画です。

「なんだそのストーリー。見てみた
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アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

4.0

アウトレイジの続編。

引き続きヤクザのリアル、現実世界のリアルを書いている。

本作は前作よりも、暴力描写は控えめで、それよりもヤクザ界のゲーム性を丁寧に描いているように思う。

アウトレイジ(2010年製作の映画)

4.1

初めて、北野監督がヤクザを正面切って描いた映画だと感じた。

ヤクザの滑稽さ、残酷さ、権力欲をクールな視点で描いている。
義理や人情のかけらもないリアルなヤクザの世界。
それに対比するような存在の、義
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海の上のピアニスト(1998年製作の映画)

4.5

この上ない現代へのアンチテーゼ。

海の上でしか生きられないピアニストは、現代社会を俯瞰することができた。

限りないビルの高さ、限りない道の本数、限りない金、限りない女、そして限りない戦場。
すべて
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

4.5

立川談志は「落語とは人間の業の肯定だ」と言った。

北野映画には「人間の業の肯定」という姿勢が一貫して、取られているように思う。

菊次郎のいたずら、悪業、非常識、エゴイズム。
菊次郎の坊やに対する本
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HANA-BI(1997年製作の映画)

4.6

「俺はああいう風には生きれねぇんだろうなぁ」

この映画は、後輩刑事が主人公を見ながら言ったこの一言につきると思う。

人のために生きることは、それくらい難しいことだ。