ケンヤムさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

ケンヤム

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山河ノスタルジア(2015年製作の映画)

4.8

何か特別なことが起こるわけでもなく、ただただ、人生に翻弄されている人たちを描いた映画が大好きだ。

特別に不幸なわけでもなく、それなりに幸せで、それでも何かを求め続けてしまうのが人間だ。
求めるものが
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.7

人間の愚かさや滑稽さ、この世の非情や理不尽を描き切った作品。

韓国の田舎で実際に起こった連続殺人事件。
刑事は顔の見えない犯人に、踊らされるわけだが、その過程で刑事たちは自白を強制したり、拷問まがい
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平成ジレンマ(2010年製作の映画)

4.8

困ったことに、この映画を観た後戸塚ヨットスクールを全否定できなくなってしまった。


こんなことを書くと、体罰肯定、いじめ肯定と思われてしまうかもしれないが、そうではない。
体罰は悪であるし、いじめは
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アラビアのロレンス(1962年製作の映画)

4.4

超大作という言葉がこれほど似合う映画は他にない。

アラブの苦悩を一身に背負ったロレンス。
イギリスの三枚舌外交。
アラブ人差別。
戦争の悲惨さ。


様々なテーマが絡み合い壮大な映画に仕上がっている
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殺人狂時代(1967年製作の映画)

4.0

今年初映画は、まさかの岡本喜八作品!
渋すぎだろ自分!笑


理屈抜きに面白かった。
アクションシーンはめちゃめちゃエキサイティングだし、ところどころに挟まれる社会を風刺したギャグも秀逸。
シークエン
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ヤクザと憲法(2015年製作の映画)

4.6

フィルマークス記念すべき100本目!
2016年映画納め!


正義や悪という分別がどれだけ無駄なものであるのかよくわかるドキュメンタリーだった。


ヤクザは悪である。
この事実に異論は無い。
クス
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

4.8

素晴らしすぎ。
レザボア→パルプフィクションのあとにこれを撮ったと思うとさらに痺れる。
「俺を色モノ監督みたいな目で見んじゃねぇ!こういうのも撮れるんだよバーカ」って感じの映画。


こういうしっかり
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.8

それぞれの幸せと、それぞれの不幸せ。

心に染みるいい映画だった。

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

3.8

いじめやスクールカーストとそれを解決できないというよりする気のない、官僚主義に侵された大人たちの対比がうまかった。

最終的にはみんな死んでいる。
久野だけは、鬱屈した現状にファイティングポーズをとる
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スティング(1973年製作の映画)

4.5

変な説明いらない!


かっこいい!
面白い!
楽しい!
騙された!
最高!


こういういい意味で情緒的じゃない割り切った映画大好きです。
以上!

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.8

私たちは、この世界で起こること、存在するものを分けることで、自分たちの生きている世界を単純化して生きているように思う。

良いことと悪いことを分けたり、幸せと不幸せを分けたり、善悪を分けたり。
本当は
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花とアリス(2004年製作の映画)

3.6

独特の雰囲気、感じたことのない雰囲気を持った映画に出会えた。

夢を見てるような気分になるのはなぜだろう。
日常の美しい些細な場面を切り取って、繋ぎ合わせたような映画だからなのか。
青春を映し出してい
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ファーゴ(1996年製作の映画)

4.6

コーエン兄弟二連続鑑賞。


バカとバカとバカとバカと妊婦警官の話。

どんどん犯罪がエスカレートしていく様が、すごくリアリティがあった。
少し欲を出して、楽に借金を返そうとした人間が計画したことが、
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.5

ものすごい個人的に好みの映画。

才能はあるがとことん報われない男の一週間。

こういう報われない人の声を拾うのも映画の果たすべき仕事であると感じる。
「才能のあるものは報われる」とか「努力は必ず報わ
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

4.4

ぶっ飛んだ映画。
ファックって言葉何回出てきただろう。
コカイン何回吸ってただろう。
おっぱい何回出てきただろう。
バカで、デタラメで、トンチンカンな登場人物たち。
これが実話っていうのが、またびっく
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.6

好きすぎて何回も観ているのだけど、まだレビューを書く気がしない。

来年「アイリッシュマン」が公開される。
死ぬほど楽しみ。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.6

普通より少し不幸な人が、普通に幸せになる話。

私たちは私たちの周りの事象を、すべてコントロールできるといつしか思うようになった。
全てのことを「ちゃんと」できると思い込んでしまっている。
そんなのは
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わらの犬(1971年製作の映画)

4.3

大切なものを守ろうとして、全てを壊してしまう男の話。

暴力ってこーゆーもんだよなと思った。自分のプライドとか、恋人とか、家とか、資産とかそういうもの全てを守ろうと頑張ってたら、いつの間にか、人を殺し
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ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

4.8

ジャックタチ作品初鑑賞。

衝撃を受けた。
笑いにはこんな力もあるのか。
現代的な合理主義や技術革新や上流階級への皮肉。そして、最後にはその中でも確かに存在する愛の証明。
コメディには全てを表現する力
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.8


何も語ってない映画であると同時に全てを語っている映画だ。

映画を見終わった瞬間にまず感じたのは「何を見せられてたんだ」という困惑だった。
「かわいそう」と「バカみたい」という感情が自分の中でごちゃ
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.0

巨悪に立ち向かう探偵の物語。

割り切った映画で、びっくりした。
探偵の捜査が、淡々と描写されていき、淡々とした描写が映画の情緒になっていく。
会話や行動を淡々と描写し、事件を描くことに徹することで、
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裸の島(1960年製作の映画)

4.8

私たちが忘れかけた本来の人間の生き方を、思い出させてくれる映画。

人生に本来、暇な時間などあるはずがない。
生きていくために、畑を耕し、水を運び、水をやり、収穫し、それを食す。
そこに、スマホゲーム
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恋人たち(2015年製作の映画)

4.8

「こうじゃなくてよかった。」
「こんな不幸な人生でも希望はあるんだなぁと思った。」

このような内容のレビューが散見されるが、その人たちに言いたい!

「この映画、俺たちの話だよ!」

この映画を、ひ
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.0

権力による抑圧からの脱却。

精神病院の中の構図には、なぜか既視感があった。
婦長による管理された生活。
狂人というレッテルを貼られた主人公。
ミーティングでは、婦長は巧みに患者同士を争わせ分断させる
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とうもろこしの島(2014年製作の映画)

4.7

生きるってこういうことだよなと思わせてくれる映画。

畑を耕す。
種を蒔く。
収穫する。
畑を耕す。
種を蒔く。
収穫する。

本来生きるということは、このようなしんどい作業を淡々と繰り返すことだ。
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赤ひげ(1965年製作の映画)

4.8

様々な貧困を描いた映画。

取り残された人に目を向けるという姿勢がこの映画を貫いている。

赤ひげという医師の存在は、理想でしかないためにセリフは少ないし、登場シーンも意外と少ない。
その分、見習いの
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裏窓(1954年製作の映画)

4.8

ワンシチュエーションで展開していく物語に心奪われた。

なんて尖った映画なのだろう。
サスペンスに徹していて、それでいて色彩も豊かで、人間の愚かさや美しさも描き、隣人たちの人生も描く。

楽しい。怖い
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.6

全てを手に入れ、全てを失っていく男の話。

トニーモンタナという男は、不幸を一番嫌う。
人生を楽しめないのなら、死んだ方がいいとさえ思っている。

トニーモンタナは、
「しあわせになりたい」
というよ
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サムライ(1967年製作の映画)

4.6

映画を構成する上において、無駄なものの一切を削ぎ落とした映画。

セリフもほとんどないし、人物描写、設定の説明なども一切ない。
そうすることによって、映画は映画になるのだと思う。
「削ぎ落とした美」を
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

5.0

ちょっと凄いの見てしまったって感じ。

この感じが、どこから来るのかと見終わった今考えているのだが、いまだによくわからない。

この映画の特徴をあげるとすれば、「くだらない会話」「ハードなバイオレンス
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スモーク(1995年製作の映画)

4.6

久しぶりに心温まる映画を観た。

突き詰めていえば、世の中には「愛」と「暴力」のどちらかしか存在しないと思う。
ということは、映画も「愛」を描く映画か、「暴力」を描く映画しか存在し得ない。
この映画は
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トルナトーレ 我が映画人生(2012年製作の映画)

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トルナトーレの生き方自体が一つの物語になっている。
トルナトーレの悲しさ、怒り、喜び全て映画として表出している。

フルートベール駅で(2013年製作の映画)

4.3

フルートベール駅事件を扱った映画。

人間社会において差別とはなんなのか。
黒人を哀れみの目で見る人々。
黒人を「あっ、黒人だ」と驚いたような目で見る人々。
黒人を憎しみの目で見る人々。
黒人を遠い国
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.6

現代の日本の家族像のみならず、競争社会を的確に捉えた名作。

食卓を囲まず、並んで食事をする沼田家。一人一人が本当の意味で向き合っていない。
2人兄弟の弟は受験が近づき、兄は退屈な学校生活を送っている
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