社会的権力構造を背景に持つ
あらゆる暴力は醜悪で奇怪。
沈黙する被害者の心を切り刻む。
作品の緊迫感はそこから来てる。
鮮やかに反転する関係性、
主役二人の刹那の息遣い。
城定監督作品の中でも
スタイリッシュでキュート。
偶然見れた舞台挨拶で
有起哉さん自身言ってたが、
令和のズルくて格好いい
探偵キャラの輪郭がクッキリ。
些細な辻褄やお涙パートの
甘さには引っかかるが、
重層構造のエンタメ貫徹姿勢
全く怯まず、近年ず抜けた出来。
努力と研鑽に裏打ちされ、
生来のポジティブさが
過酷な人生を切り拓く。
胸の奥に火が灯る思い。
かつて辛い経験に否応無く
傷ついた多くの者同士、
いつかきっと助け合える。
強いメッセージが響く。
作品が求める演技と
唐田エリカの空気感が
微妙に食い違ってる。
それも少し魅力かも。
主人公の甘き追憶の中の
とことん愚かな父親は、
印象的に描かれるが、
彼女の人生は消化不良。
多様性って大仰にせずに、
多くの小さな正しい事や
沢山の大切な事を拾い集めて
たどり着くラストが嬉しい。
破天荒な時代に陽気で退廃的な
人生を謳歌する印象深い人物像。
ジンジャークッキーと
駆け抜けた一幕の夢。
主役二人の牽引力で幕を開け、
日本スタイルの歯痒さから、
カウントダウンに至り
疾走する爽快さに転じる旨さ。
アンディとレッドの距離感に、
不屈の自由への逆転劇に、
胸の奥底からジンワリと
暖かくなる確かに名作。
陰鬱な時代背景に、
ポーを配した筋立てと、
ベイルの重厚さが活きた
正統派本格ミステリの俊作。
前半のPOVはいらんし、
タイムリープ展開も面倒。
頑張ったけど本田望結は素人。
恒松祐里は無駄遣い。
過酷で凄惨な境遇の中ですら
灯る希望と生き続ける尊さ。
二宮の中に配役としての人生を
生きる覚悟を見た気がする。
岸井ゆきのを観に行ったのに、
ケイコという実在の女性の
闘いと苛立ちと喜びに、
いつか寄り添っている驚き。
現実化する罪悪感に材をとり、
触れられたくない感情に
無理に爪をたて引き裂く、
A24暗黒作品群のひとつ。
愛する人達との別離を胸に、
ジョンが、栄光への道を、
そして自らに死を招く道を、
選び取った運命の時代。
静かに死と向き合う人、
戸惑いそれを見守る人。
諦念や怒りではなく、
生きる定めへの寛容として。
前半ギクシャクして
行きつ戻りつする感情が、
後半一気に多幸感に転ずる
城定さんでは珍しい展開。
井上雅彦の映像化への覚悟が
痛いほど伝わってくる。
アニメに、また新たな地平を
切り拓く凄い完成度。
前半の脚本の緩さを
中盤以降の怒涛の展開が
全部まとめて巻き返す。
韓国らしい明快さ。
陰鬱な中世ものながら、
A24にしては王道。
ラストに至る流れは
想定内だけど納得する。
ナイルの凡庸さに比べ、
ブラナーと共演陣の力が拮抗し、
トリッキーなミステリーが
重厚な人間ドラマとなった。
記憶の空白を越えて
自らに向き合った瞬間、
惑いを一人受け止める男。
香川君やっぱいい役者だな。
母娘にあるべき和解は無く、
湊かなえの心理描写の
怖さだけが際立つ。
高畑淳子さん定番の怪演。
街並みの模型にカメラワーク
爆破シーンに怪獣の造形。
いかにも尽くしで吃驚。
庵野さんの原点らしい出来。
カイア役の明晰な演技と、
湿地の自然と流麗なスケッチ。
共同体の差別意識を背景に、
物語が深い印象を刻む。
窪田の背負っていたものが
明らかとなるに従い、
妻夫木の日常が歪んで行く。
納得し辛いバランス感。
グロテスクな怪物を演じる
ファインズとアーニャの
全編を通しての緊迫感に
物語の異様さを忘れかける。
放射能に取り憑かれ、
自我と愛に生きながら、
人類への功罪を受け止める
パイク渾身の演技に感銘。
光るイマジネーションと
頭抜けた作画の煌めきに、
展開の破綻や稚拙さはあるが
作品の構想が追いついた。
食と暮らし食と生きる。
自然を馳走とし、
寂しさを受け容れる。
良き人生かな。
ワカンダクロニクル第二章。
マーベルなのに人種の壁を
相対化しようとする意志は
貴重だが次の展開が難しい。
これぞ王道マ・ドンソク。
純粋にストレートな痛快さで
渾身の肉弾戦に目が覚める。