アベ二ティKazumaAbeさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.8

150分弱の上映時間で贈られる、老衰と死の疑似体験。本作において、2分割の画面は喪失のショックを拡大することに成功した。

老人1人だけでなく、老夫婦の経験というのが辛い。『ザ・ファーザー』もそうだっ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.8

台詞がところどころ臭いとか、ラストバトルの静音パートはいくらなんでも溜めどころじゃ無いでしょ!とか気になる点がないわけではないが、かなり好きだ。

CGクリエイターとして現場に立ち続けたからこそ得られ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

5.0

原作好きで実写化はかなり楽しみにしてたんだけど、軽く予想を超えてきた印象。

割合で言えば原作パートと同じくらい実写オリジナルパートもあった気がするが、世界観を壊さないトーンで綴られたオフビートなやり
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.9

霊的ハプニングの演出光る力作。

監督らが過去に目にした子供のSNSチャレンジ(※薬物を摂取した状態で配信する)が本作の発想元とのことだけど、時代性を色濃く反映しつつ、純ホラーとしての手堅さも備えるバ
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HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY(2017年製作の映画)

4.1

つるべ打ちのアクションに涎を垂らす思いで観た。USB争奪戦という間抜けすぎるストーリーをキャストの魅力のみでカバーしていく方向性、一個も間違っていないと思います。

バオ(2018年製作の映画)

4.6

自分の分身(のような存在)に愛を捧げる上での悲哀、からのグロテスクさにしっかりと向き合った一作で小憎い。

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

5.0

鑑賞しながらここまでコミカルに、愛らしく女性らの解放と活躍を見せ切った作品が他にあっただろうかと考えた。そこに男性の性的欲求を喚起するような演出はなく、ただただコロコロモコモコと揺れ動き、跳ね回る存在>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

5.0

常に自分の可能性を過信しつつ、傷つきたくないと人に舐めた態度を取り続けるイーニッドの姿に若干苛立ちつつも、その生々しい苦悩が手に取るように理解できて辛かった。

どこにも居場所がない、どこにも行けずに
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.9

主人公が抱える空虚さと愚かさを伝える本作は、そのまま多くの人が苦しむ風景を写しているようだった。家父長制から来る搾取構造、人を人と思わない人間が跋扈する姿に戦慄しつつ、黒い箱の中で3時間の煉獄を過ごす>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

5.0

提示された世界観に対して綴られるストーリーがミニマムだな、と思って観たけど、それが良かった。

炎のエレメントであるヒロインの祖母が死の間際に「炎の男と結ばれなさい…!」と言っていたくだりがギャグっぽ
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SAND LAND(2023年製作の映画)

4.9

原作は未読ながら、鳥山明特有の「この絵柄・作風だから許容される物語」を全身で体感できたいい経験だった。
今回は風刺西部劇であって、ドラゴンボールと違ってかなりシビアな気持ちにさせる側面があるもノリがラ
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.7

セカイ系のラブストーリーを、女性の性欲を主体にして綴るととてもフレッシュなんだな!という感動があった。

生々しいやり取りを魅力的に見せていくアニメーションと、山戸結希監督作品を思わせる台詞運び。MA
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

2.8

決して退屈ではないものの、前振りがあまり効いてこない展開、胸糞展開のやりたさにオモシロが伴わない点にとてもイライラさせられた。

痴漢まがいのオッサンはしっかりあの子にシバかせないとダメでしょ。主人公
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.4

AI技術に対する見解が示されていくSFなのかなと思ったら、『アニマトリックス』の一編のような「細かいところはそこまで気にしない」タイプのストレートなレジスタンスものだった。

AIは既に新種の生命とし
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.8

日本人には馴染みのない土着的な信仰の魅せ方と、観る側に様々な解釈を齎すような現象の置き方が非常に上手くて見入ってしまった。
西洋のエクソシズムものの10倍は怖い!!

途中、国柄か"非常に緩い"監禁方
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忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

3.9

ジョーズよろしく浸水した床上を迫り来るホラーモンスター、二次元と三次元を行き来する鳥居。
この二つのビジュアルショックを目の当たりに出来ただけでも、映画代くらいの価値はあるなと思った次第です。

どう
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.9

娯楽作としてかなり高密度な一作だったと思う。いろいろあって純粋な気持ちで待てなかったエズラフラッシュだが、どう頑張っても"彼にしか演じられない"フラッシュの物語と、それに圧倒的な演技力で応えたエズラミ>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

5.0

ドラマパートを伝える手管の見事さ、誰かも言っていたけど「実写でもそうそう上手くいかない複雑さ」を見事にやっていて凄かった。
重力に抗って座る2人のシーンなんて特に好きだが、製作陣談によると「果たして"
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.1

ブロムカンプ監督はやっぱりストレートな熱さを帯びた作品が映えるな〜と思いつつ、まだメカメカしいガジェットで魅せてほしいなとも思いました。いつもの作品の方がまだ、足りないとこはあってもお腹いっぱいにはな>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

5.0

"飛んだり跳ねたり踊ったりする"グラフィティ風キャラをそのまま動かすアニメーションを面白れー!と思いながら観た。この作風がティーンズ文化の感触をリアルに伝えている点とか上手いなーと思いつつ、悩める亀ち>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.1

面白くみられる所は結構あったんだけど、いかんせんシーンの繋ぎ方に違和感を覚えるところやグリーンバック・予算の都合を感じるカットが多すぎて徐々にテンションが下がった。大量発生する触手猫〜のくだりもご都合>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

5.0

超面白かった。

かなり全方位の人がカチンと来るような物語構成が用意されておりながら、最後は主人公"バービー"の今後に思いを馳せさせられる。一玩具メーカーを背負った作品にしては〜というレベルでは無く、
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人狼 JIN-ROH(1999年製作の映画)

2.6

デカダンを薫らせながら、大きな力に翻弄される者の悲哀で締めるセンスは悪くない…ものの、主要キャラみんな詩を口ずさむようなセリフ回しなのがややしんどい。登場人物みんな押井守なんだもん、

観る者皆を惹き
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“それ”がいる森(2022年製作の映画)

1.7

令和のこの時代にスピチュアル系SFホラーをやる大胆さ。

作品に敷かれた前振りが後半で全く機能してこない不備と、低クオリティな脚本&CGクリーチャーで大爆笑(笑えない)。俳優陣の演技に関してはまぁ…ナ
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夜を越える旅(2021年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

アイディアが上滑りしないガチの恐怖体験が心臓に来た。俳優陣の自然な佇まいも、とても良い(「コップ一個多くね?!笑」の自然さよ)。

大きい音に頼らないジャンプスケア、絶望的な空気が滞り続けるラストシー
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.5

ヤンチャな冒涜と信仰心入り乱れるトンチキアクション!!の中で光るラッセル・クロウの佇まいたるや。

「祈りに匹敵する力は母の愛だ!」みたいな台詞が飛び出してオゲゲー!!と思ったけど、最強悪魔には"親の
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アンダーウォーター(2020年製作の映画)

1.8

深海でのアドベンチャー/モンスターパニックものと来て、どうしてここまで凡庸未満の作品に仕上がったのかが解せない。どこか惑星探索系の作品との類似を見せる既視感バキバキのシークエンスが続き、睡魔に襲われ(>>続きを読む

トランスフォーマー/ビースト覚醒(2023年製作の映画)

4.8

ビースト戦士たちの活躍の場の少なさにはムムムと思うところがあれど、冒頭で肩を裂かれる前司令官・ベイ版よろしく顔面破壊大帝と化すプライム・ラスト駆けつけてくれるプライマル〜等のアゲポイントでかなり盛り上>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.8

暗澹たる空気・荒んだ世界のモラルと内臓生み生み男。

痛みが消えた世界での、新しいセックスとしての傷つけあい。
「感染症を克服」と「痛覚が麻痺」はあまり関連がない…のでは?とは(野暮ながら)一瞬思った
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

4.5

ヘンな映画である。家は自己実現の象徴というんだから、まあこうなるだろうというのはお察しとして、共感できない物語を淡々と綴る主人公の語りは爆笑ものだった。

エンドロールに流れる曲まで聞いて、ようやくこ
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永遠のこどもたち(2007年製作の映画)

3.7

雰囲気・画作りが良い。
ただ、(泣きの要素が付与されたホラー自体にアレルギーはないが)母の愛が最強!といった方向性で進む物語の時代錯誤感が凄まじくやや辛い…。

15年前の映画ではあるけど、"母性"な
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キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

3.6

前作、前々作同様みんな頑張っているものの、引いて観た時の戦場の画・(少数精鋭に関わらず)死なずに敵を押さえるメインパーティの様子に違和感が。もう一越え、惜しい感じが拭えない。

鍛えすぎて衣装作り直し
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

1.7

"丁寧に作られた作品"風ではある。これは全部、70超えたスターを冒険の主人公に据えた企画者が悪い。モタモタ眠たい活劇と全然ピンとこない「インディが憧れた人」。

マッツ・ミケルセン率いるナチ残党の追跡
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キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.3

邦画にしてはかなり頑張っている!出来がいいアクションのつるべ打ちを、原作から野蛮さを脱臭した平坦な脚本、ぬるい演出が相殺する。

俳優陣、皆かなり頑張っているのだけど、清野菜々は何故か顔が疲れており、
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(1949年製作の映画)

3.9

時代を反映した、まるで演歌みたいなフィルムノワール。

辛く悲しげな物語ではあるんだけど、脇に至るまでキャラクターの演出が面白いなあと思って観た。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.3

宮崎駿監督作品の中で、一番"作品"っぽいなあと思った。ツイストした性癖や、グロテスクな設定、不気味なキャラクターらが生き生きと綴られている。宮崎駿が今まで表現できなかったものをあえて拾って一本の映像作>>続きを読む