atsukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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三人の妻への手紙(1949年製作の映画)

4.5

回想形式によって結婚生活の限界を暴露するアディ・ロスというマクガフィン。とすれば、限界と思わされる結婚生活を回想することの無意味さをマクガフィン(無意味なもの)であるアディ・ロスに収められる。つまり、>>続きを読む

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

4.0

『夜の獣たち』のテーマは復讐それ自体ではなく、守ることができなかった弱さであると思う。つまり、スーザンの脆弱性を顕している。この露呈は、レストランへ足を運んだにもかかわらず救済なのではなく、レストラン>>続きを読む

美少女戦士セーラームーンR(1993年製作の映画)

4.0

構成力がすごい。60分でだいたいぜんぶわかる。舞台版もそうだったけど、ある記憶を語り、それに則って行動して見せて、物語様式や登場人物たちを変え続ける。女子中学生のキス/窃視/コメディ→セーラームーンの>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.5

カリウスマキたのしい。あるぱちかぶと『元少年ライカ』のアイデアの源泉らしい。「けれどきっと私は愛しておりました」=「たとえどんなに辛い記憶であっても、まったく記憶がないよりはいいというような意味」だと>>続きを読む

東京干潟(2019年製作の映画)

4.5

「生きる権利持ってるんだもんこいつらも」という言葉は愛護それ以上に、必要とされる(と思う)ことがおじさんの生を肯定しているような気がした。例えば、浮浪者が賃金を稼ぐために獲った特大シジミが高級料亭に仕>>続きを読む

蟹の惑星(2019年製作の映画)

4.0

400m×200mの世界(ミクロコスモス)に生息する蟹を接写(マクロ撮影)することでマクロコスモスが見えてくる。蟹は目が運動機能であり、月齢を知っていること。爪は、死から逃れるための自切と生を呼びこむ>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

すべてが主観であるとすれば、仮面を被ることは正しいと思う。それは隠れることではなく、むしろ「何ものも道化師の鈴つき帽子ほどにわれわれのためになるものはない」とある。付言するために尚も引用しておけば「自>>続きを読む

東京ワイン会ピープル(2019年製作の映画)

2.0

整形やフェイクワインの話からアイドルに思いを巡らせてもいいけど、映画そのものが不味ければ、紫野のように情景を思い描くことはできない。だから一番いい銘柄は「乃木坂46」だなと思った。これ乃木坂ファンが見>>続きを読む

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

3.5

SNS時代の映画ってあるけど、36年前にスコセッシが完成させていたと思う。「いいね!」を押すことは、メインタイトル‪=勝手に人の車に乗るシーンみたいなこと?「一夜の王でありたい」という炎上商法。SNS>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.0

「クラスで最も無口な子」であるケイラがインターネットを媒介してコミニュケーションの端緒を開こうとするのは、SNSあるいはYouTubeチャンネルが想像的自我に他ならないからだと思う。つまり、「世界でい>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.5

言動それ以上に「叫ぶ」ということに意味があるように思えた。例えば、ドゥルーズの「人が叫ぶのは、いつも不可視の、感覚不可能な諸力に襲われてのことであり、そういう諸力は見世物を攪乱し、苦痛や感覚さえも逸脱>>続きを読む

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.5

リハーサルの反復から表面化する差異は、カメラや役者の位置関係、仕草や行動もさることながら、例えば、「グロッケン叩きのマッキー」だったのか。それとも「マッキー・ザ・グロッケン」だったのか、というような認>>続きを読む

秋のマラソン(1979年製作の映画)

4.5

ダメ男が人間関係のジレンマに陥りながら選択肢を「はい」か「イエス」で答えていく。そのシチュエーションがすばらしい。

嘆くな!(1970年製作の映画)

3.5

目には目を歯には歯をアナル接吻にはアナル接吻を。それは無論「don't」であるということ。決闘沙汰や病気ばかりで憂えることばかりだけど、嘆くよりも宴会してるほうがいいのかな?ちょっとだけ身の上話をすれ>>続きを読む

きえてたまるか(2019年製作の映画)

4.0

モノづくりへの熱誠。届けられたものを聞けば、見えてくる。ちなみに留学申請のポスターで判明するけど、過去=2019年。つまり、「むかし、むかし(Il y avait une fois……)」ではなく、ブ>>続きを読む

フォルナーリャの聖泉(2019年製作の映画)

3.5

たそがれの映画。古跡に差す光は偶然なのか。遠吠えに反応する犬は意図的なのか。キアロスタミの『そして人生はつづく』における「家」の暴露のように、移動映画館における演出がドキュメンタリーを破綻させてしまう>>続きを読む

私はモスクワを歩く(1964年製作の映画)

4.5

空港における男女の切り返し=結婚と幸福についての対話という「(その時点では)何でもない場面」のすばらしさ。それ以降にもつづく「何でもない場面」=満員電車のおじさん、噛み付いてくる犬、音漏れしてる店、4>>続きを読む

逃走迷路(1942年製作の映画)

4.0

思いがけない出会いが、拘束するために近づき、暖をとるために近づき、蛇から逃れるために近づき、「どうしたらいいの」「ここにいよう」→踊る→「100年前に どこかのビーチで出会いたかった」「100年前の水>>続きを読む

ゴダールの映画史 第5章 絶対の貨幣(1995年製作の映画)

5.0

『コートールド美術館展 魅惑の印象派』に行ったから見た。『フォリー・ベルジェールのバー』を真正面から眺めた数分間にゴダールの「JE SAIS A QUOI TU PENSES」というタイポグラフィを感>>続きを読む

スピオーネ(1928年製作の映画)

4.0

「世界中で事件が起こっている」のモンタージュ→「神の力なのか?」に思しき人物のショット→「ICH=私だ」という冒頭がすごい。結局のところ、「ICH=私だ」の指示対象は不透明なまま(ということにしておく>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.0

7時間18分。ほんとうに飽きることなく見続けられたのだから面白かったとは思うのだけれども、じゃあどこが面白かったのかを問われると答えに困ってしまうので、やはり7時間18分の映画を見たという事実を面白が>>続きを読む

ハタリ!(1962年製作の映画)

5.0

仲間たちとともに出かけていって動物をつかまえにいき、一日の終わりにはいっしょに飲んだり笑ったり、そして次の日はまた動物を・・・・という反復がしあわせ。狩りそのものを楽しみ、その歓びが伝わってくる。ホー>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.5

レジャーシートの水玉模様にフリスビーが重なるシークエンスがあって、そう言えば、此の頃ミンティアが出しづらすぎてほんと泣きそうになる。蓋のくぼみに1粒を重ねて取り出せるけど、それが上手くいかない。だから>>続きを読む

ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

3.5

「音楽が聞こえるたびに歌い踊り出すカラダ」になってしまうからだと思うけど、脚を映し続けてる。とくに序盤はすごい。三吉彩花のファーストカットはシュレッダーを閉める脚。ランチ終わりには物語の契機となる遊園>>続きを読む

リオ・ロボ(1970年製作の映画)

5.0

ホークスの遺作。ジョン・ウェインが窓を開けたときに見える「≈(レッド・リヴァー)」に泣いてしまう。なおも「運動」に感動する。金塊輸送列車強盗の際の止め方は『キートンの大列車追跡』だと思う。大佐の南軍追>>続きを読む

エル・ドラド(1966年製作の映画)

4.0

石鹸を持ってくる女たちにチンコを見られたくないロバート・ミッチャムが可愛い。酔い覚ましのレシピ(トウガラシ、強力マスタード、下剤、虫くだし、ハズ油、火薬)は酷いけど、それくらい酒には気をつけたほうがい>>続きを読む

果てしなき蒼空(1952年製作の映画)

3.0

断指がすごい愉快。ただ『赤い河』の下位互換に思えてしまう。ストーリーラインはだいたいぜんぶ同じであるから、やっぱりジョン・ウェインの不在かな。カーク・ダグラスも相当いいけど。たんに関係性もイマイチ。

人生模様(1952年製作の映画)

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『赤い酋長の身代金』のみ。これは逆転というよりも、むしろ、組織的犯罪集団ではないのかと思う。原作未読だから分からないけど、やっぱりホークス的な動物たちがすごい。肛門を見せるスカンク。パシられる熊。手紙>>続きを読む

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

4.5

冒頭(〜4分52秒)とラストで言う「逮捕する」がいい。見守る者として捕まえるの意味の変化。裏口ではなく表から入る、植木鉢で窓ガラスを割る→ライフルを渡す。つまり、出来事から友情が生まれるのではなく、友>>続きを読む

ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

1.0

そいうことが成功してるのはシュルレアリスト(と先駆者)くらい。だからほんとうに不快だけど、ほんとうにやりたいのならば『黒いユーモア選集』でも貸してあげる。エモいドラマを作りたいのならば、ブニュエルやジ>>続きを読む

赤い河(1948年製作の映画)

4.0

ロングドライブによる越境、あるいはホークス的な殴り合い—— すこし飛躍しながら「叩く」と言い換えれば、「叩くことは(…)それは形を無効にすることの媒体であり、時間的なものを形象的なものの核心に移して形>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

チャールズ・マンソン(・ファミリー)の連続事件と『オルタモントの悲劇』がヒッピーの幻想を破壊したのであれば、『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ 繋がれざる者』と、歴史改変してきたタランティーノ>>続きを読む

温泉しかばね芸者(2017年製作の映画)

1.0

「成功(性交)しようよ この映画」。結局のところ、性交(成功)していない。「ドブみたいな個性をぜんぶ捨てること」が自己言及的なものに思えてくる。