とうじさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

とうじ

とうじ

映画(1743)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー(1974年製作の映画)

4.5

技術はA級なちょうどいいb級映画。見た後スッキリと寝れそう。セリフもところどころださかっこいいし、主役のメアリーとラリーの絶妙にタイトル負けしているカリスマ性もそれはそれで味がある。訳のわからない執着>>続きを読む

断絶(1971年製作の映画)

5.0

最高。何回でも見直したくなる。ここまで一貫とした物語が見えてきたと思ったらそれが指の間からサラサラとこぼれ落ちて消えてしまうような感覚のある映画はない。しかし、そのような本作の雰囲気こそ、流浪の精神性>>続きを読む

シシリーの黒い霧(1962年製作の映画)

4.0

すごいカメラワークが満載の傑作映画。しかし、後半30分は少しペースが落ちるのがたまに傷。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.5

救いなんか嘘だ。というめちゃくちゃ暗くなりそうな話を、不器用で愛おしく、正直に描く人間ドラマ。秀作。希望が無いわけでもないのも心が温まる。が、少し長いのと、監督のフェティシズムが感じられず、のっぺりと>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

5.0

難解なことで有名な本作だが、「見えるものに執着している人が見えないものに圧倒される話」という点では非常にわかりやすい。そのふわっとした物語から考えさせられるのは「では見えないものを存在たらしめているの>>続きを読む

CUT(2011年製作の映画)

5.0

本作は「何かを愛することはそれ自体で力になる。」ということを描いた映画だと言えば、陳腐に聞こえるが、これが今までに見たこともなく新鮮で、醜く歪なものに仕上がっているのだから、映画というのは面白い。主人>>続きを読む

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)

4.5

ノワールのあるあるを詰め込んで、荒々しい雰囲気のアクション映画に仕立て上げた傑作。この荒々しい「雰囲気」であることは大切で、ウォルターヒルの脚本・ペキンパーの演出は、ともにものすごく緻密な職人芸であり>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

胸が苦しくなる。ゆったりとした贅沢な時間をばさばさと切り捨てて進んでいく感じ。時が流れることそれ自体の切なさをここまで情緒豊かにうつしとったのはすごい。

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

3.5

昔見た。時間軸をずらすというめちゃくちゃ作為的な演出と、アドリブをバンバン入れる&手持ち中心の鮮やかなカメラワークという自然体の生々しい演出が見事に融合して、小粋で素敵な映画になっている。
ストーリー
>>続きを読む

ハイ・シエラ(1941年製作の映画)

5.0

話はシンプルで、それにノイズにならないように演出も基本はシンプル(ショットの中でドリーを多用するのは、この時代の映画特有の良い傾向)。しかし、キャラクターが俄然面白い。特に、あの足が悪い女の子。あれは>>続きを読む

できごと(1967年製作の映画)

4.5

「召使」は、絶対に安定して面白くなる設定とストーリーラインを、あえて崩して語り、変な味付けの映画にしてしまったのがかっこよかったが、同監督の本作にも同じことが言える。若い女生徒と中年も終わりかけの大学>>続きを読む

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ面白い。非常に元気な映画。
ミュージカル調で、ムーラン・ルージュ創設までの物語を描く。目に突き刺さるような色とりどりの美しい画面で展開されるのは、ルノワールお得意の緻密に計算された混沌であ
>>続きを読む

舞台恐怖症(1950年製作の映画)

5.0

本作は割と評価が微妙なのだが、正直、ヒッチコックの中で名作と言われているほとんどの映画よりも、本作の方が面白い。「疑惑の影」「見知らぬ乗客」「レベッカ」は普通に割とつまらないと思うのだが、「海外特派員>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

4.0

b級ホラーを大真面目にやることで独特の作品を作り上げるのが得意な黒沢清だが、本作はそのような怪奇の枠組みだけそのままで、その形骸化した恐怖に優しさと悲しみが優しくなだれ込んでくるような印象を持つ、不思>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.5

映画というのは、特別素晴らしいわけでもない場面の連続なのに、全体として見終わった後深い感動に包まれるものがある。本作は、その逆である。素晴らしい場面がたくさんあるのに、全体を通してみるとどうもつまらな>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.5

ゴダールっぽい映像を撮ろうとしているのがかなりわかりやすく出ており、直接「勝手にしやがれ」オマージュが出た時はげっと思ってしまった。結局スタイルの模倣に過ぎず、その改良の域にまで達せていない。しかし、>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

2.0

長すぎるしつまらない。途中から早く終わってほしかった。「戦争」はそういうものだというテーマを訴えようとして、わざとそうしているのかもしれないが、それならそれで逆に娯楽的に見せようとしすぎだとと思う。>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

2.5

論文のような映画。
人々はなにかを成し遂げようとして対話をするが、それを達成できなくても、対話自体を一種のゴールとして捉えても良いのではないかと訴え続ける100分。
「対話」だけで満足してはいけないが
>>続きを読む

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

5.0

イーストウッドはやはりあっさりと演出する美学を極めた珍しい監督だと思う。淡々と物語を語っていく。変化球は絶対に投げない。極端な長回しや意表をつくカットなどはいれない。彼の処女作(恐怖のメロディ)はそう>>続きを読む

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

5.0

名作ノワール。
出てくる登場人物が観客より1.4倍賢い(ラッセル・クロウ以外)。そのバランスがこごち良い。

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

5.0

人生ベスト10に入る。
最高。子供達の失楽園の物語と思わせといて。。。

ミクロの決死圏(1966年製作の映画)

5.0

無駄がない名作。
下手に情緒を揺さぶってくることなく、任務が終わるとともに映画がすぱっと終わるのがかなり良い。
そういう面で表れるフライシャーの演出の隙のなさと、クラシックsfらしい明るくて娯楽的なス
>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

5.0

今までぽんぽんと星5をつけていたのだが、本作は正直星100くらいつけたいほど奇跡みたいな映画。一個一個の場面が素晴らしい。映画が成せる全ての技をたった2時間でやってしまっている。かわいい場面、魔法のよ>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.8

話はシンプルでありつつ、その不必要な盛り付けのないストーリー相応な上品さを持つ語り口が特徴の映画。それは一つ一つの筆の運びが無駄がなく、その最低限の組み合わせによって魅惑的な世界が描かれる水墨画を彷彿>>続きを読む

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)

4.0

芸術家が死後評価される場合における、不思議な理不尽さと残酷さを体現する象徴として画商が出てくるのが良かった。あの記号的な存在と現実味のある人物のちょうど狭間みたいな立ち位置のキャラクターは見たことがな>>続きを読む

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)

4.5

カーペンターの作品の中でも屈指の出来。映画史的なことを考えずに、単純な面白さだけで考えたら、「ハロウィン」よりも面白いと思う。と、今書いたが、「ハロウィン」もめちゃくちゃ好きなので、やっぱり同じくらい>>続きを読む

ビッグ・ウェンズデー(1978年製作の映画)

5.0

アナモルフィックレンズで捉えた青春映画の大傑作。ビーチボーイズのペットサウンズの切なさ、甘酸っぱさ、楽しさ、が交錯するバイブスを潮風に吹かれるビールの泡と合わせて一つの映画にした感じ。
ベトナム戦争に
>>続きを読む

その女を殺せ(1952年製作の映画)

4.0

少々脚本が荒いが(なぜそもそもギャングの妻の顔を殺し屋たちが知らないのか?なぜ部屋に鍵をかけたままにしないのか?など)そういうのを気にせずに見ていくと怒涛の勢いでいつの間にか世界観に乗せられ、気がつい>>続きを読む

東から(1993年製作の映画)

4.7

映画館で鑑賞。
観客の視点を誘導して、それをカットとカットのつなぎめにするのが上手い映画。政権崩壊後の生活を淡々と写していくドキュメンタリー。ところどころハッとするようなカットがあった。写真集を見てい
>>続きを読む

シャドー(1982年製作の映画)

5.0

僕は急にカメラが予想もしない方向にどんどん動き出すシーンというのが大好きである。カメラがある被写体に向かって観客を強引に連れていくドライブ感は、映画芸術でしか感受し得ない快楽である。それの最も有名な例>>続きを読む

レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望(1986年製作の映画)

5.0

自分も変態であることを自覚しながら、変態殺人の捜査にのめり込む凄腕FBI捜査官の話。このヒリヒリとした感じが、硬派なマイケルマンの演出で着実に語られていく。本作は、ここぞという時にカメラを動かしたりは>>続きを読む

イノセンス(2004年製作の映画)

5.0

ハードボイルドな傑作。しかし、今まで見たことのある映画の文法とズレた独自の感覚で進んでいき、でもめちゃくちゃ面白いので非常に歯痒く感じた。本作のcgアニメーションの冷たさと、映るもの全てが監督が意図し>>続きを読む

アンテベラム(2020年製作の映画)

4.0

素晴らしい場面がある代わりに、本編のデフォルトとしてある「荒さ」が目立ってしまう。しかし、それはb級映画としては文句なしの形である。
良い点は、最後のドキドキシークエンス、車で襲われるシークエンス、オ
>>続きを読む

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

5.0


「欲望の曖昧な対象」という題名が示すように、主人公が恋に落ちる女性、コンチータは彼にとってふわっとした存在でしか無く、だからこそ自分のエゴイズムに従順でないと腹立たしく感じてしまう(最もブニュエルは
>>続きを読む

忘れられた人々(1950年製作の映画)

-

だいぶ前に見た。
生卵をカメラに投げつけるシーンがめっちゃええやんって思った。夢のシーンもやばいし、登場人物がなかなか変態ばっかりでよかったと思う(というか、ブニュエルの映画は大体そうか)
でも、少し
>>続きを読む

華麗なる賭け(1968年製作の映画)

5.0

大好き。結局金持ちはよくわからんっていう映画。なんも深く考えずに、適当に楽しくてピカピカするものをぶちこんで作った感じが超やばい。でもそれが豪遊する金持ち達の本質をついている。本作と同じことを成し遂げ>>続きを読む