crnさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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泳ぎすぎた夜(2017年製作の映画)

3.0

雪国で父を訪ねる子どもの小さな大冒険。最初と最後の数分、そしてカメラのメモリーを通して垣間見る父子の関係があたたかい。

一方で、一歩間違えば子どもが死んでしまう展開が多過ぎて、テーマと反する印象も受
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Summer of 85(2020年製作の映画)

3.5

少年が一夏に経験した激しい恋愛感情と喪失。軽い口約束がオブセッションになり、それに従った行動を自ら物語として記すことで昇華させるという展開が、痛々しくも純粋で美しく見えた。周りの大人たちが優しいのも良>>続きを読む

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

3.5

家族の間でも、鑑賞者にも語られない旅の目的。母の悲しみや父の憮然とした態度が表すものから状況と感情を推しはかりながら、別れの旅だと知っていく作品。おなじような家族が沢山いる場所から現実に戻るところで迎>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.0

大人のお姉さん役の広瀬すずちゃんと、高校生らしくまだ子どもっぽい男の子が新鮮。その他の方々も含め、キャスト(と大森の食べ物)の印象がストーリーを食ってしまっていた。

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.0

たやすく友人を傷つけてしまうという思春期にありがちな経験が、完全な喪失の体験となってしまった少年。その喪失との向き合いをじっくり見せる作品。

少年たちの表情と視線を見せるクロースアップがとても印象的
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アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

3.5

自分のためにアルゴリズムを最適化していく存在は、本質的に他者ではない。それを認識してもなお、自分と寄り添いコミニュケーションをとってくれる存在を求めてしまう人間の性質がよく描かれていた。アルマのレポー>>続きを読む

パリの家族たち(2018年製作の映画)

4.0

様々な母親たちとその子たち、あるいは母親になるかならないかを問う人たちの群像劇を、母の日を通して見る作品。普遍的なテーマを、現代のパリを舞台に見せるとこうなるのかと興味深かった。挿入される引用や絵画、>>続きを読む

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

4.0

史実で筋書きは想定できたので、最も気になったのは終わり方。同胞殺しを別の立場から経験した人々とともに次の世代を見守るアイダの姿に、今この時をスレブレニツァでこのように共に生きている人々がいる事実を改め>>続きを読む

デンジャラス・ビューティー(2001年製作の映画)

3.0

20年で性についての表現がここまで変わったのかと驚かされる。今この作品をリメイクしたらどうなるのかばかり気になってしまった。

作品そのものはわかりやすい筋立てで、冴えない見事に女性がヒロインになって
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痛いほどきみが好きなのに(2006年製作の映画)

3.0

一方的に父親に棄てられた傷が、彼女に棄てられることで深く自覚され、今度はなりふり構わずしがみつく未成熟な子どものままの主人公。そこから、きちんと対峙したからといって他者との関係は思い通りにならないこと>>続きを読む

キッズ・オールライト(2010年製作の映画)

3.5

個人の人付き合いや行動が家族からすると不安や怒りを呼ぶものであったり、それが家族の関係性にも影響を及ぼすものであったりすることは、程度の違いはあれど(両親の性別に関わらず)当たり前のこと。それでも子ど>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

ワンショット風の撮り方に目線を持っていかれ、現実と舞台、現実と幻想の境目のない世界に引き込まれる。ドラムの音もアドレナリンの放出度が感じられるようで迫力があった。

精神分裂の悲劇、かと思いきや、再生
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美徳のよろめき(1957年製作の映画)

3.0

本当に美徳がよろめいただけで終わっていた。道徳的観念が転換してからずぶずぶの関係になっていくからこそ、ラストの手紙が効くのだと小説の良さを発見。映画版は旧態の価値観の描写が多めだった。

小説を読み終
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.0

過剰飲酒についての物語の帰着点が想像とあまりにかけ離れていて、恐ろい映画、というより文化を見た気になってしまった。友人との輪の中で最後まで理性を保てず、妻に暴力的な態度を取り、友の破壊的な飲酒を止めら>>続きを読む

私が棄てた女(1969年製作の映画)

3.0

人間の弱さと純粋さ、そして傲慢さや執着をじっと観る2時間。映画としては尻窄みな印象。原作本より吉岡の内省的な面が少ないのか、時代性を感じさせる表現が露骨なのか、視覚的にややうるさい印象だった。

この
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仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

4.0

サスペンスの緊張感から転換するラストが見事。エンディング後を想像させ、余韻も強かった。劇中音楽が主人公がかけるレコードのものというのも好きだった。

鑑賞後に残像が浮かぶほど気味悪く見えた主人公。他人
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ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.5

シニアのお伽話。色々強引なストーリーに目くじらを立てず、パリの街で水を得た魚のように生き生きとするミセス・ハリスの可愛らしさと夢に向かう一途な姿を見守る気持ちになる。

ディオールのオートクチュール製
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83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)

3.5

かなり介入していくので一般的なドキュメンタリーのイメージと異なり、社会実験を記録したような作品。その介入者が、現場の人たちにとってのピアであり、積極的に優しさを示していくというのが独特でおもしろかった>>続きを読む

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)

3.5

バカリズムさんの脚本目当てで鑑賞。突拍子もない展開のおもしろさと、人の良い脇役が主役になる瞬間続きのあたたかさ。どたばたなのに、笑いながら癒される感覚もあってよかった。

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

3.5

粋がって小さな冒険に出る少年たちの無鉄砲さにはらはらしたり、打ち明け話に同情したりしているとあっという間の90分。大人になった主人公の語りで物語が閉じるのがとてもよかった。

子どもの頃に見てからは情
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シリアにて(2017年製作の映画)

3.5

紛争の描き方として、最前線の戦闘そのものを見せず、マンションの一室の一日を切り取るというのが新鮮だった。女性子ども老人が、あらゆる暴力に襲われ、他者の命を天秤にかけなければならず、先の見えない状況で恐>>続きを読む

真人間(1938年製作の映画)

3.5

前半のコメディ部分から、前科者同士と分かってからのどたばたあたりまではとても面白い。後半になると作品の都合で主人公他多くのキャラクタに一貫性がなくなる。ついていけなくなったところで典型的な出産ハッピー>>続きを読む

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)

3.5

テーマとタイトルがまさに今の日本の関心事で、着眼点勝ちな作品。

ここまでコメディに振ったことに驚くとともに、テーマを真っ向から回収せず人間関係が大事と丸く収めるのが、かえって当世を反映しているのかも
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.5

作り手の思いと優しさを強く感じる映画。言語、宗教、文化、障がい、貧富といった人と人を隔てやすいものがあっても、共に生きていくことはきっとできると、タレンタイムを通して、音楽の力も借りながら伝えていた。>>続きを読む

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

4.0

映像美と生命の循環に圧倒される。動物や自然の姿をゆっくり見せながらも90分にまとめられている編集も上手。

人間の手で、わずか7,8年で生態系を作ることができるとは。自然が主人公だけれど、必要な助力を
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近松物語(1954年製作の映画)

4.0

前半と後半で人間関係もテンポもがらりと変わり、最初と最後の磔シーンで見えるものも違う。まとまりのとても良い、きれいな作品。浄瑠璃を意識させる音とストーリー展開が、カメラの動きで映画化されているのもおも>>続きを読む

チケット・トゥ・パラダイス(2022年製作の映画)

3.0

主演2人が20代30代の頃ににやっていたことを、50代60代版にしたような作品。ビアポンまでさせるとは。同世代のファンが昔を懐かしがりながら、リッチなバリ旅行への憧れとともに見る感じかも。

エンディ
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パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

3.5

イスラム原理主義の圧政のもとで人権を奪われていく女性たち。考えの異なる級友たち、芯のある姉、女性軽視を内面化していく男たちに対して主人公がとる言動に、自由を求めるということを見る。

主人公が無鉄砲す
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カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.5

ウディアレンは作品ごとに個人的な好き嫌いがはっきりするけれど、これはエンターテインメント作品として好きだった。キャラクタと設定に引き込まれ、物語の展開がとてもスムーズで、苦さと甘さが混じったエンディン>>続きを読む

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.5

10代のメンタルヘルスの問題をテーマにしたミュージカルがあったことに驚く。エヴァンとアラナがお互いを見つけたところが特に良かった。孤独や恐怖、理解への渇望を歌に乗せて強く訴えられると、観ていて感情が揺>>続きを読む

もしも君に恋したら。(2013年製作の映画)

3.0

ストーリーは期待通りの(もしくは想像を上回らない)展開だけど、見慣れた役者たちが見慣れない役どころで集っているのがおもしろかった。特にアダム・ドライバーは印象的。トロントとダブリンが舞台というのも珍し>>続きを読む

バックコーラスの歌姫たち(2013年製作の映画)

3.0

バックシンガーのドキュメンタリーという着眼点のおもしろさ。有名歌手たちが次々インタビューに出てくるのも見ものだった。

音楽業界の中での米国黒人歌手たちの位置付けや70年台の興隆、そしてアップトーンの
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15年後のラブソング(2018年製作の映画)

3.5

色々あり得ない設定や展開が続くのに、最後まで白けずテンポよく観られる。脇役までキャラクターが皆個性的でわかりやすく、田舎と都会の街の転換も効果的で、何より主役2人の人間味が魅力的だからか。ラストの少し>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.5

皆が自然に誰かを受け入れて励ましていて、観ているこちらも励まされる作品。岡田惠和さんの脚本とエンドロールで知り納得。

宮本さんの愛らしい言動と、愛菜ちゃんの素直な表情に心をつかまれる。悪い人が一人も
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私の名はパウリ・マレー(2021年製作の映画)

4.0

RBGからの繋がりで鑑賞。要素が多く複雑なマレーの人生と歴史を、短時間でよくまとめている作品。

ブラウンの肌に生まれたことで黒人差別の対象となり、女性の体に生まれたことでも差別の対象となり、かつその
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RBG 最強の85才(2018年製作の映画)

4.0

最高裁判事のニュースで聞いていたいくつかの出来事が、この一人の女性によるものだったと知り驚く。そしてその背後に、彼女が怒りを抑えて知性で積み重ねてきた判例が歴史としてあったことを知り敬服。

彼女に似
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