もうトロトロになる美しさ。ファーストシーンから非の打ち所のないカメラや音楽の連なりがすさまじい。
けど、そこらへんの安っぽい映画に堕ちないのは、デル・トロらしいグロテスクな描写と、『パンズラビリンス』>>続きを読む
テキストの内容はあまり頭に入ってこないけど、それを読み上げる人たちの演技なのか何なのかよくわからない佇まいが気になる。あとハサミ。すごい切れそう。
黒みと音楽でスクリーンを消してからの、目の覚めるようなファーストカットの切れ。鮮やかな赤いマフラーを巻いて朗読する男の声のかたちと、それを囲む自然の対話が禁欲的に描かれる、
鳥のざわめきや、車の通る音がざわざわ不穏なワンショットが面白かった。
サンタになってもちっとも報われないけど、強がるレオは可愛い。でも、なんだかもの悲しいのが続いてるのはどうしてだろう。
ユスターシュのカメラは、ヌーヴェルヴァーグのなかでも柔らかいと思う。荒々しくない。
わるいやつらなのか、よいやつらなのかよく分からなかったが、人間らしくカッコ悪いので好き。
静かに、厳かに抵抗する少年の瞳が映すのは、アルゼンチンの歴史の暗部と、その時代を生きた人々のリアル。ラジオから流れる過去の英雄への賞賛や、団結がどうとか謳う柔道へ、ビー玉で挑む少年が頼もしい。母親の死>>続きを読む
小津に限りなく寄ってるようで、成瀬だなあってなる映画。夫婦の不和をすれ違いのワンショットで見せるのは流石。映画史上まれにみるクズ旦那に、堪え忍ぶ原節子の泣き笑いの顔が凄い。起こっていることはえげつない>>続きを読む
脚本と演技は文句なしに素晴らしいのですが、音楽はどうにかならなかったのでしょうか?大袈裟すぎて、引いてしまう。
ラストはあれでおわってくれて、ほっとしました。たぶん観客は主人公に全力で感情移入しようと>>続きを読む
これまで観た映画で、いちばん完璧な映画かもしれない。言葉が出ない。
それぞれが独立して美しく存在するショットの連なり、陰影の強い照明、深い青色の寂寥。
人間の弱さ、醜さ、そして愛情が、戦後のアメリカ>>続きを読む
登場人物たちのセリフはほとんどなく、ナレーションの映画って言っていいが、そのナレーションが映画の内容と噛み合っていてとても良い。普段なら余分な説明として排除されうるが、この映画においては障害者のコミュ>>続きを読む
最初からずーっとクライマックの緊張が続く異常な構成と映像で、ほんとに戦場に投げ込まれたみたいな疲労感が残る。
あの警官たちは、気の狂った悪党ではなく、そこらへんにいそうな人間だから怖いのだ。そのあた>>続きを読む
ジャ・ジャンクーの映画は、今を生き抜く羅針盤。
風景と小道具と人間が、完全に一体となって物語を押し進める。もうワンカットワンカットが凄すぎて、泣きそう。これが映画なんだと言いたくなる。
崩壊と急激な変>>続きを読む
こんなシンプル設定で、こんなに面白いなんて。人生の境目にある若者たちが、死と愛に直面するお話。ヌルーとしたカメラの独特なリズム、プールという舞台のよさが生きる。
あいつからは絶対逃げられないから、手を>>続きを読む
ロバに人間的なものを見ようとしても、ロバはロバでしかなく、何を考えてるかなんて分からないよと、ブレッソンの骨のような映像は言ってるよう。完璧なモデル。だからこそ、人間の仕打ちは醜く、儚く、滑稽でもある>>続きを読む
女にさんざん弄ばれて、最後にはポイッと揚げられるカエルの映像を見ながら、必死で自慰する男たちの可笑しさ。
女性の自立や世代間格差なんか語れるんだろうけど、深刻にならず、あくまでこの映画の女性たちはき>>続きを読む
タロットカードとか、「ファック」と腑抜けた声を出すオウムとか、果てしなくシュール。でも、フィルムをビリビリにしたり、写真を見たり、鏡を見たりして、何が虚構なのかよく分からないなかで続く悪ふざけのテンポ>>続きを読む
ミサトさんの最期のセリフに、ずっと背中押されてた中学生のころを思い出す。
他人は怖い、けど頑張って受け入れる、でもやっぱり怖い、っていうのを正直に残酷に体感するシンジは、嫌いになれるはすがない。
日本で公開されてないけど、めちゃくちゃ話題のスペイン映画。弱冠30才の監督のデビュー作。
控えめの演出、ドキュメンタリー的なカメラから、驚くほど親密で、確かな肌ざわりの映像が生まれてる。びっくりした。>>続きを読む
筋はよく分からないけど、会話のシーンのカメラのアングルとか、奥行きとか変なので、ショットはどれもよく覚えている。おばあちゃん、かっこよすぎ。
カメラがけっこう奔放で好き。でも、あまり気持ちが乗らないのなんでだろう。素晴らしいお話のはずなんだけど。
すごく寝てしまった。すごく楽しみにしたいたのに…。イレーネ・ジャコブ好きだし、設定も好きなんだけど、キェシロフスキの映画は感傷的すぎるのかもしれない。
省略の効いたリズムよい映画。ふとした視線の意味とかが、いやらしくて人間的。みんな顔が似ていて見分けるの大変だった。
これを一番最初に見るんじゃなかった…。
この監督の映画って何か変なんだけど、それが何なのかまだよく分からない。
岩井俊二的なぼやーっとした映像やドキュメンタリー的撮影から始まって、フェイクのSNSなど使いながら、とても現代的な、他人と自分、リアルとヴァーチャルの境界があいまいな主観的な世界が展開される。こういう>>続きを読む
これぞ映画だなあってかんじで、ライター1つの出し入れで物語がどんでんばってん揺れていく。陽光穏やかな前半部に不穏な音楽が流れる違和感から、驚きの結末へ。
白と赤の対比が素晴らしい。
シャブロルははじめ>>続きを読む
すごく面白い。戦後日本の情けなさをうまく愚連隊に重ねつつ、次から次へとの展開で、ぐいぐい引っ張る。ヘラヘラした若者と、仁義のアニキ。カッコ悪くも覚醒する松方さんがかっこいい。
顔にだんだんクローズアップしていくだけで、超こわい。人間ってすごいなあっ、てなる。
あと、やっぱりヌルヌル動くカメラによる迷宮の追体験。
「今日死ぬかもしれない」のに、少年はホットドッグを何個も何個も食べたり、雪のなかに落ちた宝石を探したりして何の意味があるのか分からない時間を重ねる。彼はもしかしたら今すぐに死んでもいいと分かってるから>>続きを読む
言ってみれば、壮大な逃げ恥。この新しいシリーズの魅力は、要は「カッコ悪い」ことだと思うけど、このエピソードがまさにそれ。伝説的な格好良い先人たちのあとで、レイやフィン、レンが悩みながら、もがく話だから>>続きを読む
勢いだけしかない映画に見えて、笑いと恐怖のリズムとか演出が考えられてて、めっちゃ面白かった。みんなの演技がすごい。動きとセリフの切れが半端ない。
死ぬのも殺すのも軽くない、重いんだよなと分かったので、>>続きを読む
サスペンス展開が次から次へとやってきてお腹一杯。落下の恐怖とか、帽子への執着とか見どころ多い。カメラのフラッシュと一緒に発砲するのも。
でも、なんで好きになったのかとか、結局お父さんは何がしたかった>>続きを読む
ボタン1つで殺される人かわいそう。スパイものなのに、全く勤務遂行できてないのでほぼコメディ。
謎のテンションのメキシコ人とか、都合の悪そうなやつだけ全部殺すラストは唖然。
超傑作。団地のとなり、ビニールハウスで必死にトマトを守る男の粗野な性格のうらにある優しさと真剣さがいい。ニューシネマ的なあっけらかんとした展開だけど、セリフを大事にして、着実な演出で日常の一瞬をかけが>>続きを読む