milagrosさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.9

すごく長い会話のシーンがだらだら続くから、扱ってる政治的なテーマのわりに緊迫感があまりなくて、ただアンナ・カリーナが可愛い。
右と左もどっちもそっくりで、それに振り回される恋人たち。結末が悲しい。

リュミエール!(2016年製作の映画)

4.0

「映画は民衆のもの」
リュミエールの映画は、カメラをどこに置くかに全てがある。子どもの目線で後退していく、ベトナムで撮られた映像がほんとに泣きそうになるくらいすごい。

ビジランテ(2017年製作の映画)

4.2

地方都市テーマの映画って、けっこうあるんだけど、その中でも群を抜いて面白い。徹底した暴力と、中上健次的な濃い血の話。

省略が効いてる演出。篠田さんの切り返しのアップに、服を脱ぐ動作1つでみせる。
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

4.1

本を開くとき、紙で手を切る痛いシーンが最高。

トム・フォードの作品は初めてだけど、物語を引っ張る力と、うっとりする画づくりの力はすごい。一見複雑なストーリーながら、きれいにまとめている。

美しさと
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ダイアモンド・アイランド(2016年製作の映画)

4.0

ゆったりした画面なので少し寝た。重機やネオンの明るい色や、夜の黒。切なさと儚さばかりが残る、カンボジアの若者の青春。

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.3

いつもの無表情ながら、そこから零れ落ちる怒りや悲しみが、現在に対するカウリスマキの態度の変化なのだろう。あの取り調べ室みたいなところで、とうとうと語られる主人公の過去に絶句するも、それは現に起こってい>>続きを読む

なっちゃんはまだ新宿(2016年製作の映画)

4.0

すごいジワジワくる。型にはまる寸前で何度もするって抜けていく怖い映画。もう一人の自分を、他人の姿で再生しきった勇気と、仕掛けが素晴らしい。人間の残酷さと、切なさの新たな提示。音声とか粗いとこあるけど、>>続きを読む

テザ 慟哭の大地(2008年製作の映画)

4.1

エチオピアの歴史をきっちり描いて、かつキャラクターを立てていくけど、詩的な躍動感もある。つまり個人の強さが歴史の非情に立ち向かってる。革命の行く末はキューバしかりいつもこうなるのかと思うと、つらい。

日本の悲劇(1946年製作の映画)

4.2

戦争を知るための入門映画。こんなにバシバシ戦争責任追及する映画があったなんて。ナレーションの切れがいい。
問題の軍服天皇がタキシード姿になるシーン以外にも、躊躇なく天皇を批判してる。
ただ人民と権力側
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戦ふ兵隊(1939年製作の映画)

4.2

全く戦争行きたくない気持ちになる。ロングショットの多用と、いきなりの長回しで観客を感情移入させない。画面に従わない音声もすごい。
クローズアップされるのは兵隊ではなく、一人の人間としての顔のみ。

映像の発見=松本俊夫の時代 第Ⅰ部 記録映画篇(2017年製作の映画)

4.0

『母たち』の撮影秘話がすごく面白い。ベトナム潜入記。
あと、松本映画のキーワードがけっこう出てくる。即物的映像、虚構と現実などなど。サイコロ降って映画をつくる、無意識への志向も。

薔薇の葬列(1969年製作の映画)

4.2

最初からフィルムのつなぎがおかしくて面白い。オイディプスの逆のお話。映画の一番悲劇的なところで、淀川長治がいきなり解説始めるのにビビる。虚と実が、鏡のように反射して反転する。
その鏡に向かって、化粧を
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つぶれかかった右眼のために(1968年製作の映画)

4.0

これは好き。本来繋がらないはずの安保、ダンス、バイク、ナチの演説などが三面マルチで強引に映される。
「世界をそのままに記録する」みたいなことを言ってたけど、松本俊夫の即物的な映像は、確かな肌触りがある
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ファントム=幻妄(1975年製作の映画)

3.7

ギョロッとした目玉がフワフワ浮かんで、その下でカラフルな西郷どんたち。
他にもいろいろみたけど、全て物凄いしつこい反復と変化で、でも懐かしいんだよね。

エルネスト(2017年製作の映画)

4.0

結局、フレディのことはよく分からなかった。彼は今の人が失った何かを持っていて、その落差が見えた。映画は、頑張って日常に光を当ててたが。
けど、その落差を自覚しながら、がんばるオダギリさんと、監督の苦闘
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.2

物語の形状がもはや神話の域に達している。「人間とは何か」を問うために、ここまで未来をすり減らして孤独を生きる彼らを見ていて、悲しくなった。「リアル」と名のつくものが、どこまでも曖昧。でもそのなかで生き>>続きを読む

(1926年製作の映画)

4.1

プドフキンのモンタージュはあくまで繋がることを意識している。衝突ではなくて、イメージを重ねて少しずつ前進していくこと。

視線による誘導がうまい。母親の力強い演技にすごい編集が相まって、ものすごい高揚
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モテキ(2011年製作の映画)

3.8

過剰な情報のパレードでクラクラさせる映画だから、高校生で初めて見たときは鼻血出そうになった。
あざとい音楽やカメラからはみ出そうとする人間関係がよかったな。

ゆきおくんは、のびたくんみたいなキャラク
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アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

4.1

『ソナチネ』並に虚しく、悲しい世界なのだけど、何かが決定的に違う。海が汚い。もうあんなに死を美しく撮ることは今ではできない。

死の娯楽化が突き詰められた本シリーズの最後は、 もはや全ての倫理が欠落し
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立ち去った女(2016年製作の映画)

4.3

映像に体を馴染ませるのには時間がかかるが、一旦馴染むと全てちがってみえる。人物の輪郭がくっきりして、セリフの1つ1つが浮かびあがり、所作が美しくなる。それを感じることのできる数少ない映画だった。

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鶴八鶴次郎(1938年製作の映画)

4.5

めちゃくちゃよかった。笑えてしんみりした。山田五十鈴のキッパリしたセリフ回しが本当にいい。

成瀬の映画って、すごく見ていて気持ちがいいんだけど、それは動作とか役者の配置とかカット割りの、あんまり目立
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ムーンライト下落合(2017年製作の映画)

4.0

シチュエーションと会話だけで、想像を膨らませる。異常に明るい月光のもとの、二人の男のなんでもなさそうでヤバいやり取り。

小道具の使い方がいいのと、音がすごく新鮮でした。月でかすぎ、人間孤独。

マルメロの陽光(1992年製作の映画)

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これは画家の「失敗」を描くとともに、彼が捉えきれない現実の光に、映画はいかに迫ることができるか、つまり映画の映画。そして、同じく「失敗」を繰り返してきた、エリセの自画像でもある。

マルメロの周りに集
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エル・スール(1982年製作の映画)

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冒頭、エストレーリャが振り子を吊るし、涙を一筋流すときに始まるオフのモノローグを聞いて、僕はスペイン語を大学で学ぶことを決意した。

失われたアメリカ映画への郷愁と、スペインにおける断絶した父娘の物語
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柳と風(1999年製作の映画)

4.2

こうやって子どもを撮れる人は少ないな。可哀想だけど、同情じゃなくて、しっかり一人の人間として強く描く。ロングショットもばっちり。

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

4.0

ヤクザが義理と人情なんて昔話。前作より、もっと冷たく、もっと非人間的になってる。罵りあいのスピードがすごい。
人間がシステムに呑まれてく様が悲しいけど面白いのよね。

アウトレイジ(2010年製作の映画)

4.0

一瞬の殺気こわい。人情とか親子とか、空っぽの言い訳にして、殺しまくるのがいい。この処理の速度はすごい。

グレイン(2017年製作の映画)

3.6

これを満場一致でグランプリに選ぶなんて死んでもないと思う。

サッドヒルを掘り返せ(2017年製作の映画)

4.0

出てくる出てくるスペイン人が皆本気で、興奮してるからかめちゃ早口で、可愛い。

聖地巡礼もここまできっちり熱くやれば、それだけでものすごい映画になることが証明された。日本の関係者のみなさんは学んでほし
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クイーン・ケリー [スワンソン・エンディング版](1931年製作の映画)

4.0

キスのときにスッと伸びる白い靴下とか、白色がとてもいい。
女優はあんまり美人じゃないけど、シュトロハイムのやる気がインタータイトルなどの随所に見られる。
セリフがいいね。

生まれながらの悪女(1950年製作の映画)

3.9

高低の配置と動線が素晴らしい。
笑えてスッキリのノワール。

イスマエルの亡霊たち(2017年製作の映画)

4.2

構成けっこうメチャクチャだし、スッキリする人間関係のお話では全くないのだけど、すごい持ってかれた。
一人一人の人間としての強度が半端ないのだと思う。それがクローズアップの強さと美しさの要因。あんなに強
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.3

ガヤガヤした音と、超絶的カメラによって、ものすごいエネルギーが画面にみなぎってる。転んだり、笑いをおさえきれなかったり、そんなドキュメンタリー的瞬間に泣きそう。

あの泥だらけの地獄に人間の尊厳がある
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.0

爆音上映で見たので、銃声や爆音、水の流れ込む音の氾濫で、まさに映画館が戦場に。どんよりした曇り空の下で、圧迫感の強い映像が、戦争の汚れを実感させる。

3つの視点を時系列を微妙にずらして交わせているか
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大列車強盗(1903年製作の映画)

3.9

クロスカッティングの驚きもだけど、構図や奥行きがすごくいい。
観客に向かって発砲するなんて刺激的。

石と歌とペタ(2012年製作の映画)

4.0

カットがどれも最高。
とにかくみんな楽しそうで、その楽しそうなのがだんだん伝わってきた。妙な会話のグルーヴ感。はまってくる。

自然のいろいろなものの色がとてもきれいに映ってる。素材のよさがこんなに鮮
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