dojiさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

空白(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

なにも知らずに観たので冒頭の事故シーンがあまりにショックすぎて手に口をあてたまま呆然と観てしまった。

空白、くうはくとはなんだろうと考えながらみたけれど、彼女の死がひとつの空白となって世界に生まれる
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

フェミニズムやアクティビストと呼ばれるような女性たちへのあこがれのような気持ちはなんだろうと、ここ数年を通して考えてはいたのだけれど、この映画はそういったキーワードではなくても、行動することで自ら変化>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映画としてのルックを構築するセンスはさすがだし、テンポもよければ話の運びもドラマチックではあるのだけれど、それぞれの要素がいまひとつ噛み合っていないように思う。男性たちによって傷つけられた女性が、顔の>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

なんとなくあとまわしにしていた映画の中でもこんなに距離を感じてしまった映画はそうないのかもしれない。2015年で21歳だったひとたちをある種のペルソナとして描いているというか、その「書かれている」感じ>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

本作について方々で「リベラルの限界」と言われているのを聞いた。たしかに笑いながら観ていたのは事実だけれど、マーク・ライアンスが出てきたあたりで徐々にいやな気分になってくる。『フリーガイ』のタイカ・ワイ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介さんは会話による地獄のような空気が流れる時間つくるのがうまいなといつも思うけれど、悲劇を喜劇に転換するということは、そういえばこの映画ではじめてなんじゃないかなと思う。声を上げて笑ってしまった>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

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トーベ・ヤンソンというのはおそろしい作家だなと思う。ムーミンシリーズの随所にそれは感じるけれど、とりわけ短編小説の中で、寒空の下でナイフのように尖らせた感性から生まれたようなことばの数々から、彼女の殺>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

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じぶんの知らない世界で暮らすひとたちがそこにいて、そこで話される言語や纒う衣装、伝承されてきた文化が感じられること。そして見たこともないテクノロジーと、あらゆる造形的な豊かさを感じる街や建築、室内意匠>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

あらためてダニエル・クレイグのシリーズを観返すと、シリーズとしてはかなり歪というか、3作目の『スカイフォール』でマニーペニーとQがよくやく登場し、Mの死と交代が生じ、中締めどころかやり直そうとされてい>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

異なる共同体におけるしきたりがぼくらにとって奇異に映るのはどうしてだろうと思いながら見ていたところ、冒頭の老人たちの投身自殺に関しては、ある種の自然信仰というそれなりに筋の通った説明がきちんと英語でな>>続きを読む

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

スナイダーカットを待望するファンたちの声によって実現したセカンドチャンスという、とても稀有な機会によって生まれた本作。賛否が真っ二つにわかれているのは観るし、それには作品単体としてだけではなくて、ファ>>続きを読む

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

DC映画の中でいちばん好きな作品であり、もしかしたら女性たちのアクション映画としても上位に入るかもしれないなと思う。なによりいいなと思うのが、彼女たちが男をぶちのめす上で、腕力や脚力といったものではな>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

そういえばデヴィッド・エアー版もそうだったとは思うのだけれど、悪人たちがすべて感情移入不可能なサイコパスというわけではなくて、どれも現実的な規範から外れざるを得なかったアウトサイダーとしての悲哀を抱え>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ひと頃の世代にとってのスティーブ・ジョブズへの憧れというのも気付けば全体主義的なデジタルモノポリーへの反感へとなり、独裁者としてのそれへの嫌悪感へととって代わってしまった。フェイクニュース以降のFac>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

傷つけられたひとは傷つけたひとの名前があたまから離れないのに、なぜ傷つけたひとたちは、わたしたちの名前を忘れてしまうんだろう。キャシーのことばを聞いてはっとさせられたし、そこには加害側である男性たちが>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「U」の世界の没入感とさまざまなタッチで描かれるキャラクター造形、そして現実世界における高知の美しい景色や太陽を反射する川の煌めき、ゆっくりとかたちを変える雲の動きなど、あらゆる描写にちからが入ってい>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

先週亡くなった祖母は数年前に認知症と診断された。ぼくが最後に会ったときには、ぼくのことがわかっているのかわかっていないのかはっきりとせず、隣の母に対して繰り返し同じ話をしていた。ときどき思い出したよう>>続きを読む

2分の1の魔法(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

亡くなった父を復活させること、それがこの映画のストーリーだと予告編で知ったときは、正直あんまりいい予感はしてなかった。幼いものたちを導く「父性」の存在は普遍的なテーマとして語られていることだけれど、父>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

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ストレートな感動ものにしてしまうには繊細なテーマだと思うので、語り部を交代させることで、オギーを中心とした群像劇として描いているのはすごくいいと思う。オギーや家族に対してシンパシーを抱かせるのではなく>>続きを読む

マイ・ファニー・レディ(2014年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

話としてはばかばかしいスクリューボールコメディといった感じなのだけれど、次々と登場人物に不都合な鉢合わせをさせ続ける脚本はなんともおかしくて、俳優たちは愛嬌たっぷりに演じている。ウディ・アレン的といっ>>続きを読む

ジェントルメン(2019年製作の映画)

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ガイ・リッチーが好きなことだけやってるこの感じ、振り返ると2008年の『ロックンルーラ』以来かぁと思いながら冒頭からチャーリー・ハナムのブリティッシュイングリッシュによる“f**k”が聴けて最高の気分>>続きを読む

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

救いようのないやつらがこの世にはいるんだ、というセリフに象徴されるように、環境や血の影響によって現れてしまう悪魔のような暴力が、時間の流れの中でも失われることなく続いてしまうというおそろしさ。弱きもの>>続きを読む

チェリー(2021年製作の映画)

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戦争から帰ってきた若者たちの不安定なこころを、手軽に手に入ってしまう薬物が蝕んでいくというアメリカの現実。戦争も薬物も、こんなにも距離が近いものなのだということがなによりおそろしいし、イラク戦争のおい>>続きを読む

ファンタスティック・フォー:銀河の危機(2007年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

サノスの次に続くMCUのビラン候補としてあげられているギャラクタスというキャラクターは、惑星を丸呑みしてしまうほど巨大な存在なのになぜか人型という、コミック然とした設定のため、けっこう映画にするとなる>>続きを読む

ファンタスティック・フォー(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジョシュ・トランクのような作家性のある監督が撮るヒーロー映画として、当時製作が決定した際にはそれなりに話題になったとは思うのだけれど、プロセスの難航ぶりが報道されて、結果批評的には完敗を喫したという感>>続きを読む

サンシャイン2057(2007年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ダニー・ボイルのカットイン的な映像編集手法は、ときどきやりすぎな感じもしてしまうのが正直なところだけれど、この映画ではホラー要素やサスペンスとしてのドライブ感を生むための映像のギミックとしてかなり成功>>続きを読む