りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 71ページ目

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)

4.2

本作では映画史を語る上で欠かせない、ジョルジュ・メリエスという人物にスポットライトを当てる。
いわゆる「トリック撮影」によって作られた彼の映画は、当時の人々からすれば、まさに「マジック」であり、「イリ
>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

5.0

パワフルな演出三時間あっという間
各シーンのエネルギー記憶に残る
不道徳不謹慎不潔パワーに変える
ん〜ん、ん〜ん、先輩の教え
マシューマコノヒー最高!
ドラッグとセックスと金
コールガール
>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

深く感動した。それはキリスト教のみならず普遍的なメッセージを静かに、それでいて力強く投げかけてくるからだ。

人の心の中に容易く他人が介入し、その自由を奪うことは出来ない。いや、させてはならない。形式
>>続きを読む

ざくろ屋敷 バルザック「人間喜劇」より(2006年製作の映画)

2.7

バルザックの物語をまるで絵本のようなタッチの画と、ひそひそとささやくようなナレーションで進行していく朗読劇。ラストに愛人を旦那に殺され、2人の子供を残して屋敷の寝床で息をひきとる夫人の姿は、そのまま「>>続きを読む

歓待(2010年製作の映画)

4.3

ひとつの家をめぐり、他人がズカズカと土足で上がり込むことにより、自分の存在意義を意地悪く問うた喜劇。

特に図々しく人の心にまで土足で入り込み、人の弱みや隠し事を嬉々として炙り出し、悪魔のように囁く古
>>続きを読む

いなべ(2013年製作の映画)

3.7

人それぞれ違う時間が流れている。本作で17年ぶりに突然実家に子供を抱えて帰ってきた姉が言う台詞。まさに深田晃司作品の重要なテーマである。

水が不可逆的に登っていく滝を効果的なきっかけとして、いなべと
>>続きを読む

さようなら(2015年製作の映画)

3.5

前半から中盤にかけては、原発やら放射能やらアパルトヘイトやらネグレクトやら現代社会が抱える問題を全てセリフで語るのでゲンナリ。だが、登場人物が姿を消していくに伴い、映画は全く違う顔を見せる。静謐で神秘>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.5

深田晃司の最高傑作だろう。特に最適なタイミングで観客に情報を伝えることで、画面に緊張感が漲る。各々が隠していた過去が露呈されることで、その画面に映っている人物たちがどのような行動を突然とるのか分からな>>続きを読む

海を駆ける(2018年製作の映画)

3.5

その土地の歴史と怪談的なファンタジー要素に加え、具体的に滝が逆流していく描写も含め、深田監督の過去作で最も近いのは「いなべ」であろう。深田監督の過去作の要素が盛り込まれた、興味深い野心作だと思う。>>続きを読む

よこがお(2019年製作の映画)

3.5

人と一緒にいる顔と、ひとりになるときに見せる顔。そんな表情の変化と、それを切り取るアングルによって物語の様相も劇的に変化を見せるスリリングな構成と、フレーム外から時折けたたましく聞こえてく生活音や機械>>続きを読む

ナチュラル(1984年製作の映画)

3.7

野球にまつわる1人の男の寓話であるので、ご都合主義的な展開や超自然的な現象は目を瞑るが、肝心の野球場面で心踊らないのが残念。ただラストはホームランボールがライトに直撃し、暗闇の中火花がまるで花火のよう>>続きを読む

レインマン(1988年製作の映画)

3.5

ロード・ムービーというジャンルがある。
旅を通して登場人物の愛や友情が深まったり、人間的成長を描くことが多いが、本作もその類に含まれる。

自閉症の兄を弟が強引に病院から連れ去ってから兄弟愛を深めてい
>>続きを読む

ダイナー(1982年製作の映画)

3.7

1959年のボルチモアで、ギャンブル狂、クイズ狂、フットボール狂、レコード狂、そして大学院に通う5人の男がダイナーに集ってとりとめもない無駄話をすることに大半を割く本作。

そんな変人で大人未満な彼ら
>>続きを読む

楽園(2019年製作の映画)

4.2

吉田修一の短編集「犯罪小説集」の中から、北関東連続幼女誘拐殺人事件をベースにした「青田Y字路」と、山口連続殺人放火事件をベースにした「万屋善次郎」という個々のエピソードに、その事件を生み出したムラ社会>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

4.2

美女を即物的にしか見ていないイケイケのカメラマン。撮る側という主導権を握った圧倒的な存在だが、彼の周りには鏡やスクリーンが所狭しと配置されており、見る見られるという関係が強調され、さらに人工物で埋め尽>>続きを読む

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.2

登場人物の言動、作り手の音楽への向き合い、そして画作りに至るまで、非常に厳密で繊細で隙がない傑作。天才たちが集う鼻持ちならない感じや、日本映画で英語が飛び交う失笑感、さらには演奏場面に安易に感動に逃げ>>続きを読む

コレクター(1965年製作の映画)

4.5

ひょんなことから大金を手にしたにもかかわらず、誰にも理解されていないであろう昆虫採集に勤しみ、美しい標本を作り上げる男。人気の無いあまりにも大きな家で、彼は社会や不特定多数の人間とコミュニケートするこ>>続きを読む

ミラーズ・クロッシング(1990年製作の映画)

4.0

森の木々を見上げる移動撮影。そのうち、カメラは枯れ葉で敷き詰められた地面に固定される。そして、風もなく舞い上がり、音もなく森の奥に飛び去って行くタイトルバック。これはトムの見た夢であり、このイメージが>>続きを読む

ライオン・キング(2019年製作の映画)

3.5

ほぼアニメに忠実な実写ではあるが、動物たちの実在感が驚異的。それでいて、例えばティモンとプンバァの掛け合いの楽しさをきちんと実写でも成立させてみせた点など、各キャラクターの魅力を実写にも引き継いでいる>>続きを読む

イカロス(2017年製作の映画)

4.3

ドーピング検査の脆弱さを暴こうと共犯関係を結び軽いノリで始まったかと思いきや、ロシアという恐ろしき国家に飲み込まれる、実録巻き込まれサスペンスの傑作。不可抗力的な面白さで引っ張る一方で、手際の良い語り>>続きを読む

マッドバウンド 哀しき友情(2017年製作の映画)

5.0

戦争から帰国後PTSDで苦しむ青年を描いた映画は数多くあるものの、本作は肌の色を越えて国のために戦った戦友が、白人と黒人という旧来の役割を押し付けられ無駄に生きる日常からもがき脱出する様を描いたひとつ>>続きを読む

最後の追跡(2016年製作の映画)

4.5

追う側と追われる側の各々のバディムービー。計画の歯車が狂い出し片割れが殺され、いよいよ残されたブリッジスとパインが歩んだ二本の線を交差させるシェリダンの脚本が見事。アメリカの歴史や土地、利潤を搾取する>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.1

無法地帯の中での正義や仁義といった西部劇のルールとは無縁の不意に訪れる死の物語。各々のエピソードが短尺なためキャラクターに思い入れする前に絶命するため、もはや運命と諦めのつくようなコーエン兄弟ならでは>>続きを読む

7月22日(2018年製作の映画)

4.4

序盤の実際の事件パートの緊迫感が脳裏にこびりつく傑作。地理的な位置関係や人物を見事に交通整理しながらサスペンスを盛り立てるグリーングラスの手腕が冴え渡る。容疑者、弁護士、被害者、首相が各々の立場で事件>>続きを読む

アナイアレイション -全滅領域-(2017年製作の映画)

4.5

SF映画の傑作「エクスマキナ」監督の最新作は、世の生き物はひとつの細胞から分裂して形作られたという出発点から、自己や他者の存在に疑心暗鬼を抱かせ、破壊衝動を駆り立てる。腹を切り開いて内臓が蛇のように動>>続きを読む

不屈の男 アンブロークン(2014年製作の映画)

4.0

半日映画というレッテルを張られた大変不幸な映画であるが、ロジャーディーキンスの撮影、コーエン兄弟の脚本、アレクサンドルデスプラの音楽と超一級のスタッフをそろえた本作は一難去ってまた一難というサバイバル>>続きを読む

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.3

オープニング=エンディング
あれがフォーク歌手として最後の日
前日ヤジった歌手の夫に殴られる
人生が輝く瞬間は遂に訪れない
堂々巡りの人生
また場末で歌ってるんだろな
だけどそんな男の人生
>>続きを読む