りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 69ページ目

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.2

物語は、芸術家である三姉妹と彼女たちにかかわる男たちとの恋愛、夫婦関係、姉妹関係を軸に描かれていく。建前では割り切れない裏腹な感情を、アンサンブルに配置された人物がモノローグで語っていく手法で、登場人>>続きを読む

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.0

オープニングからパリという街の様々な表情が映し出される。人や車が慌ただしく行き交う早朝のパリ。雨に打たれ湿気を含んだパリ。そして、無数の明かりが灯った真夜中のパリ。そんなパリが1日の中で変貌していく姿>>続きを読む

映画と恋とウディ・アレン(2011年製作の映画)

3.3

本作は「ウディ・アレン入門編」として最適だと思う。少年時代、ギャグライター、コメディアン、映画監督と歩んできた人生を、主に周囲にいた人間たちが語るスタイルで構成されている。

そこから「悲観的」「皮肉
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ブルージャスミン(2013年製作の映画)

4.1

過去を振り返らない女
でもセレブ感覚からは逃れられない
人生の汚点には目をつぶり
脚色して美化し見栄を張る
虚ろな目で独り言をつぶやく様
こんなはずじゃなかった
過去と現在を交互に描く
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ジゴロ・イン・ニューヨーク(2013年製作の映画)

3.0

3Pしたいレズカップル
モテ男とそれを斡旋仲介する老人
ユダヤ教原理主義ラビ宗派の未亡人
彼女を追いかける幼馴染の自称パトロール
徐々に濃厚になる人種宗教
真実の愛とは何か?
髪も見せない
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マジック・イン・ムーンライト(2014年製作の映画)

3.3

年齢を重ねても立て続けに新作を発表し続けるウディ・アレン。本作も全く力を入れていないような作りにも関わらず、70点クラスの映画を軽く撮ってしまうところが憎らしい。

テーマは「マジック」。合理的なこと
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教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)

3.7

ペシミストの哲学教授が、赤の他人である悪い奴を殺すことで世直しに貢献するという実感を得ることで人生の意義やスリルを感じ、男として再起していくというコメディ。ホアキンフェニックスの身体を借りたウディアレ>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.5

中二病のロマンチスト青年と、女優を夢見てハリウッドにやってきたが秘書として働く女性と、映画界の中心で剛腕を振るうプロデューサー。この三角関係が織りなす悲喜こもごもの恋愛劇。

愛ではなく恋を描く作家ウ
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メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬(2005年製作の映画)

4.0

ヒスパニック系の不法移民問題を背景にした本作は、偏見と誤解が渦巻き人を分けた死臭漂う国境地帯=ボーダーを越えた友情と贖罪の物語である。

メルキアデスエストラーダという謎の人物の死体。そんな彼と生前友
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ブラック・ダリア(2006年製作の映画)

3.4

主人公の一人称を活かした官能的な愛憎劇として物語を進めつつ、鍵を握る人物や事件の真相を暗に示すことで、めくるめく迷宮的世界を作り上げる。

内臓が抜き取られ、口から耳にかけて裂けた美女の惨殺死体ととい
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殺しのドレス(1980年製作の映画)

4.5

映画というのは普段見れない世界、それもエロやグロテスクといったタブーとされがちなものを「覗き見」できるスリルが醍醐味の一つだと思う。そんな歪んだ欲求を満たしてくれるのがデパルマの映画である。そこには監>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.0

本作の根底には狂信的なキリスト教思想がある。キャリーの母親は男性と交わることを穢れた罪だと信じている。だからこそ、彼女の子供であるキャリーという存在は、言わば具現化された罪そのものでもある。

我が子
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ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

4.2

映画の音響効果の技術者というマニアックな職業を生業とする男が、ある事件をきっかけに普通に生きていれば出会うことのないだろう美女と出会い、事件の真相に迫るが、その恋は成就しなかったという悲恋物語であり、>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.8

3時間弱の物語があっという間。メリハリの効いたバイオレンス描写と、とにかくアルパチーノの狂気と孤独が胸に迫る。「ゴッドファーザーPART2」「狼たちの午後」然り、アル・パチーノが孤立し破滅への道を突き>>続きを読む

ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

4.0

主人公が隣の家を覗いているちょうどそのタイミングでちゃんと必要なことが起こるのか。また、本物の隣人の美女と替え玉のポルノ女優が家にいるタイミングをどのように切り替えていたのかなど、プロットに小さくない>>続きを読む

ファム・ファタール(2002年製作の映画)

4.4

頻出する水、同時刻を指している時計、分割され繰り返される映像、レズビアン、違う役で登場する人物、ダイヤのペンダント、写真、泡風呂。デパルマの夢想する現実と妄想の境界に、夢の恍惚に身を委ねる幸福。覗く覗>>続きを読む

リダクテッド 真実の価値(2007年製作の映画)

3.7

「カジュアリティーズ」でも戦場でのレイプ事件を題材に扱ったデパルマが、フェイクドキュメンタリーという形で現在進行形のイラク戦争で実際に起きたレイプ事件の真相を描いた意欲作。映画学校に入りたい青年が回す>>続きを読む

ラッキー(2017年製作の映画)

3.9

冒頭でまずハリーディーンスタントンの肉体を映し出す。朝起きたら、音楽をかけ、歯を磨き、ヒゲを剃り、ヨガをし、牛乳を飲み、タバコを吸う。一人暮らしの老人=西部がよく似合うアメリカを体現するような俳優が、>>続きを読む

インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

3.3

売れない女優である主人公は、ある映画の主演に抜擢され、最後のチャンスを賭けて挑むことになった。しかさ、この映画はかつて製作中に俳優が不可解な死を遂げたいわくつきの作品であり、やがて彼女はどこまでが映画>>続きを読む

実録・阿部定(1975年製作の映画)

4.0

ほとんど室内で展開される阿部定事件を起こすまでの軌跡を四畳半という限定された空間でここまで描けるのは見事。体を重ね合うのもまるで立ち回りのように創意工夫があり、そこにきちんと情が乗っているからこそ、実>>続きを読む

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

5.0

最高のコメディ西部劇。モリコーネの気の抜けた音楽が、「ざまあみろ笑」といちいちツッコミを入れているようで愉快。善悪とはという倫理的な着地をしないところも最高。

「お前、勝手に善玉ってことになってるけ
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

3.8

イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフによる、互いの帽子の撃ち合い。敵対しているかと思えば、次のショットでは意気投合しているように見える。だが、そんな展開にも思わず納得してしまう。幾度となく繰り広げら>>続きを読む