りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 79ページ目

やくざの墓場 くちなしの花(1976年製作の映画)

3.7

麻薬を吸わされラリった画面が印象的。
電車の車輪音が轟き、画面が黄ばんでいく。
暴力団を取り締まろうとして、結局暴力団と強く結びついてしまう渡哲也はなんとも皮肉。
癒着構造を自らの手で暴き出し、
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暴走パニック 大激突(1976年製作の映画)

5.0

犯罪はボロイ稼ぎか?
銀行強盗に明日を賭ける(ニューシネマ的)
スクリーン突き破る
200台の大暴走
なぜ走る巨大な狂走集団
現代の狂気を鋭利なタッチで描破する
本格的カーアクション超大作

激突!破
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資金源強奪(1975年製作の映画)

3.9

『県警対組織暴力』『仁義の墓場』そして本作。
この3本を一気に撮り上げる深作欣二が恐ろしい。
しかも全て任侠の世界を描きながら、全く異なる視点でその世界に斬り込んでいく。
本作は3本の中では、最もエン
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.5

ハイテンションな演技と演出で一気に観れる。
親分を殺しかけ、親友を殺し、妻の遺骨をかじる。
ただし、渡哲也はモンスターではない。
彼なりの理想の「仁義」を振りかざし、思いのままに生きてやる。
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

3.9

ハイテンションな演技と演出で一気に観れる。
親分を殺しかけ、親友を殺し、妻の遺骨をかじる。
ただし、渡哲也はモンスターではない。
彼なりの理想の「仁義」を振りかざし、思いのままに生きてやる。
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博徒外人部隊(1971年製作の映画)

4.5

沖縄を舞台に陣取り合戦
1度散り散りになった男たちの再集結
語り口が非常にスムーズ
役者も動くカメラも動く
沖縄返還前の異国感資料的価値
没落と挫折と躍進と破滅
怨みつらみがラストの一刺し
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博徒解散式(1968年製作の映画)

3.5

ヤクザがどんどん生きづらくなっていく世の中で、主演の鶴田浩二はもちろん、相手方の組織の親玉だって世のシステムからやくざがいなくても回るようになってきた。逆にヤクザがいることでシステムの邪魔になっている>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.5

濱口竜介の『PASSION』は、厖大かつ必ずしも「自然」ではない台詞の応酬を通じて「日本映画」の通念を爽快に破壊する。それでいてお仕着せの企画も難なくこなすであろうと予想させる演出力が頼もしい。俳優た>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.1

ストーリーとしては解り易いが、何だかこの映画は、濱口監督らしい「カメラ」への思考と考察が行われていて、望外なるDEPTH=深さ、深度を感じる。

登場人物であるペファン(キム・ミンジュン)の職業が「カ
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親密さ(2012年製作の映画)

4.6

対話から人間関係を引き出す濱口監督らしく、自分と他人は違う人間であるという前提から、他者と対話することで相手を知り、関係性を構築していくという過程をワークショップで見せる場面が上手い。

そこで人間な
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なみのおと(2011年製作の映画)

4.4

インタビュー形式によるドキュメンタリーであるが、カメラを通じて撮る側と撮られる側が一方通行ではなく、対話式によって相互の関係性や当時の記憶、故郷の想いなどが「物語」として浮かび上がってくるので全く飽き>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

身体的・言語的コミュニケーションを理詰めで冷たく突き詰めていく視点と、笑いを交えて温かく解きほぐす視点と両方向から男女の関係性を描き出してみせるマクロとミクロが同居した壮大な意欲作。会話場面がほとんど>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.0

モニターから女性の喘ぎ声が聞こえる中、岡部尚と小川あんが同じ部屋にいる。このシチュエーションで並び立つ男女とは一体どういう関係性なのだろうか。小川あんの顔を正面と横から捉えるふたつのカットだけで、この>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

5.0

濱口竜介監督をずっと好きで追いかけてきた身としては、本当に最高の形で商業映画デビューを果たせたこと、思わず自分事のように嬉しくなってしまう。

濱口監督ならではの男女が織り成す会話劇と、どのカットもさ
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ホットギミック ガールミーツボーイ(2019年製作の映画)

4.2

幼馴染や仲の良い兄妹といった純粋無垢な男女の関係性から、身体が成熟していくことによって異性を意識し、その関係性が揺らぐ狭間で心と体と頭のバランスが崩れ、自分の性を、そして自分の存在を初めて意識した少女>>続きを読む

われに撃つ用意あり READY TO SHOOT(1990年製作の映画)

3.6

全共闘世代の青春。
些細なきっかけで事件に巻き込まれ、もう一度その頃の熱い想いに身を浸す。
原田芳雄の武骨さと、桃井かおりの気だるさ。
それが妖しく光る新宿の街と溶け合い、異国のようなムードを漂
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Endless Waltz エンドレス・ワルツ(1995年製作の映画)

3.8

学生運動時代を生きた人間を客観的に見た際の面倒臭さや滑稽さ。
時代の変遷と共にそういう状況へと追いやられる男を、きちんと引いた視点で捉えられている。
「前衛的」「芸術とは破壊」「消費社会の奴隷には
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海燕ホテル・ブルー(2011年製作の映画)

3.0

紫の傘を差し、白いドレスを着た女。
本作の中心には、謎めいた女性が佇んでいる。
その女に翻弄され、骨抜きにされていく「愚かな人間」たち。
「デジャヴ」感を味あわせる、トリッキーな構成。
この女に取り込
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千年の愉楽(2011年製作の映画)

3.3

物語は美形&ヤリチン野郎どもの自業自得のように見えなくもない。
だが、宿命を背負った男たちを包み込む寺島しのぶの「母性」が、この世界をギリギリ成立させている。
この世界の「生」を取り上げる「母」のよう
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盲獣(1969年製作の映画)

4.8

触覚と視覚、芸術と猥褻、肉体と物質、苦痛と快楽、抑圧と解放、フェティシズムとエロティシズム、サディズムとマゾヒズム、そして生と死。相反する要素が綯い交ぜになり、これぞ芸術、これぞ映画としか呼べない境地>>続きを読む

ある殺し屋(1967年製作の映画)

3.8

表向きは寡黙で温厚な小料理屋の料理長、でも裏では必殺仕事人のように針で相手を仕留める殺し屋。そんな二面性を持つ主人公を含め、カラー映画ではあるがモノトーンのような色彩が印象に残る作品。

彼も含め、セ
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赤い天使(1966年製作の映画)

4.5

健気な若尾文子を戦場の最前線の病棟に置くとどうなるか。男たちは若尾の美貌に狂い、そして若尾は男に尽くし、そして破滅させる。四肢が鋸でバラバラにされ、死体が転がっているグロテスクな世界の中で、若尾文子と>>続きを読む

「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

5.0

これは恐ろしい話だ。男の夢と、女の愛とが激しく交錯し、エゴイズムと欲望むき出しの人間たちが、自らの手で自らの首を締めあげ悲劇的な結末へと転がるように落ちていく。

全編にわたって名言のオンパレードであ
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妻は告白する(1961年製作の映画)

4.5

若尾文子はその美しさゆえ、男を虜にしてしまい、自分も相手も不幸にしてしまう。ただしファムファタールや悪女ではない。なぜなら彼女は純粋に男を愛しているだけなのだから。だが、傍から見るとその姿は狂気的であ>>続きを読む

恋人(1951年製作の映画)

3.3

結婚前夜、自由な時間を夫婦となる前の恋人、さらにはその前の友だちとして付き合える貴重な時間として過ごすという発想が逆に新鮮。「ハングオーバー」のように、結婚前夜だからこそ、最後の女遊びに走ったりする考>>続きを読む