もの語りたがり屋さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

アイスと雨音(2017年製作の映画)

3.1

舞台畑の監督が目指す映画のかたち

ワンカットチャレンジはもちろん、MOROHAの歌がその場に同居する演出など、終始とても演劇的。最後のカーテンコールまでこだわり抜いて、新しい演劇映画というジャンルを
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今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)

3.2

この世はみんなが思っている以上に輝いている

個性を失い、思いやりの優しさに欠けた世界にもそれぞれの色がある。ただそれに気づかないだけで、輝かすもくすませるのも自分と目の前の相手次第だ。

モノクロ映
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

2.3

ひとことで言っちゃうと、バカップル!?苦笑

不思議ちゃんなふたりがいきなり惹かれあって、一気にのめり込んで、夢との葛藤でくっついたり離れたりを繰り返す、ちょっと着いていけない映画。でも、好きな人は好
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誰も知らない(2004年製作の映画)

3.5

これが是枝監督の原点か

なるほど。スター監督になってからこの出世作を観てしまったが、ドキュメンタリー出身のフィルメイカーとして、役者や時代感のリアルさを追求した演出が目に見張るものがある。
どこか本
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カメラを止めるな!リモート大作戦!(2020年製作の映画)

3.3

リモート映画が映画作品データベースに載ることが感慨深い

新型コロナウイルス感染拡大に対する自粛期間に、完全リモートで製作された「カメラを止めるな!」のスピンオフ短編映画。まずもって、上田監督の心意気
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

3.6

タイトルにそれを持ってきたか

さすがクリント・イーストウッド監督、完成度が高い。堅物な老人が多感な年頃の少年と、不器用ながら心通わせていく物語。
自ら主演で、何とも味と深みのある主人公を演じきってい
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

3.3

アクティビストな監督の上澄み

短くてなんだか少し変な映画なんだけど、それでも生きる本質を抉られた分厚いものを受け取ったような感覚になった。

お恥ずかしながらこれまで濱口竜介監督の作品を観たことがな
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DEATH BIKE(2019年製作の映画)

2.7

正直なんやよう分からん!(笑)これが永野ワールドなのだろうか。
今後も着いていけるか分からないが、、MANRIKIの活動には要注目だ。

映画の妖精 フィルとムー(2017年製作の映画)

3.3

ノンバーバルで言語や人種の壁を超えて、映画のパワーで人々に豊かさを届けられる素晴らしい作品。その支援活動も含めて、日本映画界の大切な資産。

TOKYO TELEWORK FILM(2020年製作の映画)

3.3

逆境を逆手にとった取り組みで、押し付けがましくなく、齊藤工らしい悠々と、しかし芯には静かな闘志を燃やしている想いが伝ってくる活動。

オンライン映画館「STAY HOME MINI THEATER」で
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バランサー(2014年製作の映画)

3.1

齊藤工の遊び心とアイロニーが前面に醸し出している作品。このキャストでこんな映画を本当につくっちゃうかという(いい意味で)雑食さが逆にクールで素敵。

監督はもちろん、俳優以外の映画にまつわる今後の活動
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写真甲子園 0.5秒の夏(2017年製作の映画)

1.2

やはり何でもプロは違う

オンライン試写会で観ることができたが、結構前に劇場公開された作品だったのね。

高校生による写真コンテストの大会ということで敢えてなのかもしれないが、演技、演出、映像にインデ
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ステップ(2020年製作の映画)

3.6

映画は観る人によって完成する

(何でもそういうものだろうけど)それぞれのライフステージや境遇、経験で輪郭が変わる作品。
涙腺が崩壊する部分は、その人の人生が滲み出る。

僕は同じぐらいの小さな子ども
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

3.7

人生にゆとりを、日常に生きがいを

人は「人生に生きがい」を必要とし、「日常にゆとり」を求めてしまう。でも実はその逆で、「些細な日常に生きがい」を感じ、「人生全体にもっとゆとり」を与えた方がいいのかも
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黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

4.8

法や権力はなんのためにあるのか

何が真実なのかは当事者にしか分からないかもしれないが、こんなことがまかり通るなら人が生まれ存在する意味はなんなのか。本作は事実に基づく映画だ。

そこまで話題になって
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.2

映画が大好きになる映画

たった数行の心に響く詩を読んでいる間に気づいたら3時間経っていたというような感覚。
3時間と長い映画だが、タイムアウトのない濃厚な時間の映画と、一緒に生活をともにする季節を過
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.6

人生はカットも編集もないドラマ

『24』のようにリアムタイム編集をしても十分緊迫感はあっただろうが、戦場のリアルを描くためにワンカットにこだわったのは圧巻。そこには編集のきかない希望も残虐も同居する
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.7

人生は小説のように作家の思い通りにいかない、でもだから面白い

手紙っていいな。アナログっていいな。
次届く手紙や、来週放送される連ドラの続きが気になって仕方がなかった、あのそわそわ囃し立てられる感覚
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

3.2

映画とは歴史に刻まれ語り継がれるもの

ご都合主義で好き勝手言われる原発問題で、あのとき現場で必死にもがいていたのも同じ人間。そこにノンフィクションで何があったのかフィクションで描く。風化させない歴史
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.7

最後は正義が勝つ!真摯に生きよう

権威とメディアに侵される人権の戦い。

警察もメディアも大した確証もなくそんな安易に決めつけ報道をするのか、そんな簡単なアリバイで無実を信じるのか、弁護士は大した仕
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

みんな自由だ!自分にできることをやろう

この世界はみんなが認知している以上の生きづらさが蔓延っている。でも、それ以上に可能性に満ち溢れているんだ。押し付けがましくなくコミカルに背中を押してくれる作品
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blank13(2017年製作の映画)

3.3

ぼくは嫌いじゃない

そんなどうしようもない父も、この齊藤工長編監督デビュー作品も。
いい役者と、これでもかと仲の良い人たちを無駄遣いして遊んでいる(良い意味で)笑

1時間ちょっとなので、もう少し他
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初恋(2020年製作の映画)

4.1

ぶっ飛んでるのにど真っ直ぐな"バ愛オレンス"ムービー

まるで和製恋愛「レザボア・ドッグス」!?
入り乱れる群像クライムアクションで、途中から誰が誰を恨んでたんだっけ?と訳が分からなくなる…というより
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ロマンスドール(2019年製作の映画)

3.4

ラブドールだからってディープに捉えないで

もっとドロドロの愛情が交差するドラマかと思ってたけど、軽快でポップな物語だった。
それゆえ訪れる結末も重く受け止めすぎず、ときに微笑ましくじんわりと味わえた
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劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-(2018年製作の映画)

2.6

結局はテレビドラマの範疇

映画版といえるスケールもなく、主役相澤に訪れるクライマックスもなんかあっけない。
テレビドラマで十分かなと思う。

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.5

単純な日常をドラマチックに

是枝裕和監督らしいなぁと感じる優しく温かくも鋭い作品。何気ない日常をリアルに描きながら、そこに生きる人と活きるメッセージを存在させる。

樹木希林という大女優を観るだけで
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億男(2018年製作の映画)

3.6

お金は時間であり恩贈り、円は縁

川村元気の才能よ!
(原作を読んでないから知ったかぶりはできないけど)映画は俳優陣もあってか規模の経済が働き王道に寄ってしまったかもしれないが、この時代のこのタイミン
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劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん(2019年製作の映画)

4.4

ゲームの派生映画だ思ってみくびるなかれ

隠れた名作になるだろう。
ゲームを通して微妙な溝があった親子が心を通わせていく物語。

プロットだけ見ればよくある話に聞こえるかもしれないが、現実とゲームの中
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.9

ジワる

すごいインパクトのある映画というわけではない。なのにボディーブローのようにじわじわくる。
それがミニシアター系から徐々に火がついてきた理由なのだろう。

人を愛することに不器用な人たちが織り
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マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)

2.8

原作はどんな感じなのだろう…

東野圭吾さんのシリーズ作品だから絶対面白いはずなんだけどね。
多種多様な人物が登場し犯人は誰だ方式の群衆劇をイメージしていたのに、それぞれがただの単体で伏線も繋がらず中
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Red(2020年製作の映画)

3.3

物語より役者で語る映画

とにかく主演の夏帆の演技が圧巻。大きな目の奥から滲み出る、そこに生きる女性の機微がビンビン伝わってくる。
あまり多くを説明しないストーリーと、多くを語らない登場人物たちが織り
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コンプリシティ/優しい共犯(2018年製作の映画)

3.1

優しい嘘を共有する繊細な人情ドラマ

タイトルの通り「優しい共犯」を繊細に紡いだ作品。それは罪なのか、愛なのか…
国際事情や貧富の格差など、現代社会と生きることの本質をじんわりと問いかける。

展開に
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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

3.2

大ヒット作続編の壁

やはりあれだけ評価の高かった前作を超えるのはなかなかの重圧だと思う。

環境破壊や民族紛争など今伝えるべきテーマを取り入れ、大人から子どもまで楽しめる映画に仕上げていたが、ちょっ
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

3.1

「死ね」という言葉がチクチク突き刺さる

最近で言うと『愛がなんだ』と似たザワつきを感じて、レビュー好評化にも引かれて観たが、正直僕はそこまでヒットしなかった。
確かに一見よくある原作ありのラブコメ的
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.1

※エクステンデッド・カットでの鑑賞レビューを転記

クールなスクリーン遊び

タランティーノ監督は本当に映画づくりを心から楽しんでいるんだろうね。随所に粋なこだわりの演出が光る。

「レザボアドッグス
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