もの語りたがり屋さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

演じる女/A Woman Who Acts(2020年製作の映画)

3.4

演じる女を見事に演じ切った満島ひかりの目の演技に注目。

感動のラストが…

SSFF&ASIA2021ジャパン部門ベストアクター賞受賞。

Viewers:1(2021年製作の映画)

3.6

5分という短いなかにアイデアと技術と時代性が詰め込まれている。スマートフォンを見事に活かした作品。

なにより『viewers:1』というタイトルとラストがいいよね。

SSFF&ASIA2021スマ
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大学での出来事(2020年製作の映画)

3.7

引き算のスリラー

視覚を制限することで、出演者ひとりの声と表情と周りの音だけで想像を掻き立て、短時間なのに引き込まれる緊迫感。

狭い画角の固定カメラで観ている人も一緒に身を隠している感覚になり、さ
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フィリピーニャ(2020年製作の映画)

2.2

格差社会を生き抜く姿を、言葉少なく見事な構図で描いた映画。

SSFF&ASIA2021グランプリ作品。

ソラニン(2010年製作の映画)

3.3

幸せのかたちは人それぞれでいい

夢を叶えられなくても、当たり前にある目の前の細やかなものごとに幸せを感じられるか。それができるかで人生の生き方は大きく変わってくる。「幸せに向かっているときが一番幸せ
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くれなずめ(2021年製作の映画)

3.3

青春や友だちを思い出して「くれなずみ」たくなる

まず『くれなずめ』ってタイトルがいいよね。さらに言うと、主題歌であるウルフルズの『ゾウはネズミ色』も。センスを感じる。

中盤そういうことかってなって
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ピンポン(2002年製作の映画)

3.7

独特な革命児の掛け合わせによる唯一無二の世界観

松本大洋×宮藤官九郎×窪塚洋介なんて変数の掛け算による化学反応で面白くないわけがない。なんともクセになる映画。
池袋ウエストゲートパークのキングを彷彿
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キセキ あの日のソビト(2017年製作の映画)

3.4

夢と現実にどう折り合いをつけていくか

決して夢物語のシンデレラストーリーではない。現実はもっと泥臭く理想通りにはいかないものだ。

誰しもに天賦の才能があるわけではない。そして好きなことと得意なこと
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.5

認知症を疑似体験し酔う新感覚の映画

時間軸と人物関係が入れ違い、観ている方も何が真実なのか分からなくなってしまう。
記憶に迷うシーンはBGMも相まって(羊たちの沈黙なアンソニー・ホプキンスだからなお
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.2

今作はストレートなサイコスリラー

サイコスリラーとしてハラハラドキドキ手に汗握る展開はあり引き込まれるが、ストーリーや仕掛けは単純で予測でき少し物足りなかった。

前作の全編パソコンの画面の中で物語
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.4

策士ガイ・リッチーここにあり

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『スナッチ』とクライムサスペンスの金字塔を打ち立てたガイ・リッチーが帰ってきた。
最近はシャーロックホームズ、キン
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街の上で(2019年製作の映画)

4.7

日本映画史に残る恋愛群像劇の最高傑作

絶妙な間と、痒いところに手が届き過ぎてさらにむず痒くなる会話劇に、ボディブローのように笑った。
特に見事なまでの五角関係の鉢合わせシーンは最高。

複雑に絡み合
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his(2020年製作の映画)

3.7

現代社会における恋愛と家族のあり方を問う作品

これはただのゲイ映画ではない。

同性愛者への差別問題だけでなく、仕事と家庭の両立や核家族での育児、都会と田舎暮らしの現実など、現代を生きていくうえでぶ
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るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

3.6

漫画の映像化を超えた超大作の完結編

足掛け約10年に及ぶ5部作がついに完結。きっと原作を知らなくても楽しめるシリーズ作品となっているだろう。

「The Final」に続いて、壮大なセットも練り上げ
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茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.4

どんなに不条理であっても前を向いて生きていかなくてはならない

この世には誰が決めたか分からないルールや、理不尽なことに溢れている。
自分を何かに合わせて演じて誤魔化していかないと生きていくのがつらい
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カランコエの花(2016年製作の映画)

3.5

多様性が求められる現代に必要な映画

これほどまでにシンプルかつストレートにLGBT差別問題を描いた映画があっただろうか。
40分ほどで観やすく、映画の通り学校教育でも最適な作品だと思う。

そしてこ
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親密さ(2012年製作の映画)

3.3

言葉が刺さりまくる作品

ひとつの演劇作品を創り上げるところから実際の舞台公演までを、4時間半という壮大な時間で描いた作品。
冗長に感じるかと思ったが、特に公演パートは普通に演劇作品の記録映像として楽
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ほとりの朔子(2013年製作の映画)

3.0

どこかで誰か分かってくれる人がいる

自分のことは意外と自分が分かってない。他人だから分かることもある。
ほとりから温かく見守ってくれる、そんな優しい映画。

まだ売れる前の仲野太賀の芝居が見られるの
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.7

クレイジーでアイロニーとユーモアの詰まった芸術作品

もはやただのストップモーションアニメーションでもない。
これだけCGでリアルな質感の映像ができる時代に、敢えて精巧で緻密なクレイとセット、VFXで
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最低(2009年製作の映画)

3.5

世にも微妙な六角関係

ただの最低な浮気男の話なのに、浮気相手の女性や姉妹やストーカーも絡みあって、シンプルなのにどこか複雑で不思議な男女関係を描いた作品。

最低なのに滑稽な娯楽に仕上げる脚本力。
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AWAKE(2019年製作の映画)

2.6

もうちょっとAWAKEさせてほしかった

あらすじをそのままなぞっただけのような内容で、特に惹きのある展開がなかったのがもの足りなかった。
そのため同期に敗れて夢を諦め、AI将棋と出会いプログラミング
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

3.7

色がなくても生きている愛が鮮明に伝わってくる

全編モノクロで音楽もないので淡々と静かに進む印象だが、ドラマチックな展開をスマートに差し込んできてその世界に惹き込まれていく。情報が少ない分、役者の機微
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.1

生き方のバイブル

タイトルから流行りの「ノマド」や「ミニマリスト」の話に思われがちだが、ノマドライフを称賛するだけの映画ではない。ミニマルな暮らしも資本主義経済どちらの良さも描かれている。決して文明
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るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

3.3

最終章二部作の助走

序章の誤字ではなく、本当に助走にあたる作品。
緋村剣心(人斬り抜刀斎)の過去に何があったのか。頬の十字傷に秘められた真実とは。『るろうに剣心』の根幹となる物語が明かされる最終章後
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いのちの停車場(2021年製作の映画)

3.1

命の価値を問いかける

コロナ禍や続く自殺のニュース、超高齢化社会による介護問題…改めて人の命、生きることについて考えさせられる機会が増えている。
そんな現代で命の尊さについて見つめ直すことができる作
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.3

庵野秀明補完計画

終わった後膨大な数の関わった人たちの名前が流れるエンドロールを目の当たりにし、最後「終劇」の文字が現れたら、しばし茫然としてしまいどんな感想を言っていいか分からなくなった。それほど
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ミナリ(2020年製作の映画)

2.8

これが映画賞というやつか

数々の映画祭で受賞し、アカデミー賞最有力候補の呼び声が高い本作。それで期待値を上げすぎてしまったか、うーん…という落胆が大きかった。
評論家ウケする作品なのかもしれないが、
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

3.6

単なるボクシング映画ではない。優しさと強さの物語

一生「青(ブルー)コーナー」=挑戦者でありながら、ボクシングに打ち込み続けた男の生き様に胸を熱くする。

ボクシングが中心ではあるが、試合にも恋にも
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.2

幸せの教科書

世界一幸せな国と言われているブータン。それは人それぞれの主観で、もっと幸せな場所は他にもあるだろう。
ただ「国民総幸福量(GNH)」を導入し数値化しようとした、その決断と思考が人の心を
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ゾッキ(2021年製作の映画)

3.3

他愛もないのに、なんかクセになる

タイトルの『ゾッキ』の通り、いくつかの短編を「ひとくくり」にした群像劇。オムニバスでありながら、同じ街の人たちが微妙につながり合う構成になっている。(かと言ってスト
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.7

最後にタイトルがずっしり響く

この世は「すばらしき世界」だ。
原作の題名「身分帳」をこのタイトルにしたことがすべてを表している気がする。

人はどこで誰から生まれるかは選べない。人生とは時に残酷なも
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水を抱く女(2020年製作の映画)

2.2

ホラーかファンタジーか、不思議な水のラブストーリー

原題は「UNDINE」。「ウンディーネ」、主人公の女性の名前でもあるが、水の精霊のことである。

「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.2

「好き」はすべての原動力

いくつになっても夢中になれるものと、それによって結びつけられる絆が力をくれる。

ストーリーは淡々と進むが、クセのある俳優陣が一味も二味も加え、今泉力哉監督らしい優しい間合
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.5

ハッピーエンドでもバッドエンドでもなくグレー

でもそれが生々しいリアルで恋愛の面白さ。

さすが坂元裕二の脚本。独自の細かすぎる皮肉の効いた穿った視点のオンパレードで、終始ボディーブローのように笑わ
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.3

カッコ悪くてもカッコ良く生きたい

ヤクザとして生きていくしかなかった男が、不器用ながらも愛を求め続けた物語。しかし時代は変わりゆき、残酷にも社会が存在を抹殺していく。それでも仁義を貫き、家族に憧れ、
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映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)

3.7

圧倒的熱量の応援歌

西野亮廣の反骨精神からのメッセージがこれでもかと詰め込まれている。制作の過程を知っている贔屓目なしでも、よくここまでの完成度の作品を創り上げたと尊敬する。サロンメンバーの提灯レビ
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