yoshiyukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.7

この手の群像劇で、恋愛の要素が極力排除されている点に関しては新鮮であるなと考えている。

ちひろという人物が、彼女の言動により、周囲の人物に癒しを与える存在であるということを強調するために、「ちひろと
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.1

やっと観れた。『君の名は。』以降の新海誠作品では1番好み。

土着信仰を絡め、常人では太刀打ちできない、気づかないうちに人間の生活を脅かす強大な運命に抗う展開を、新海誠は『君の名は。』以降で繰り返し描
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ヴィジット(2015年製作の映画)

4.1

祖父母の家に生まれて初めて行くことになった兄妹の物語ー

最後のどんでん返しを振り返ってみると、ほぼ全てのシーンの意味が変わってくるというか、恐ろしくなってくるというか、そういったどんでん返しの趣深さ
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花様年華(2000年製作の映画)

3.8

自分自身の好みとウォン・カーウァイの作風が本当にマッチしないんだなと感じさせられた。残念。お洒落さを全面に押し出しただけの作品が苦手なのかなと再確認。まあ切ないのは良かったけど。

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.7

結婚して5年が経ったある日、急に妻が失踪するー

もうあっという間に9年前の作品になってしまったが、#Metoo運動や『プロミシング・ヤング・ウーマン』といったフェミニズム的作品が世に送り出されている
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.1

重大な国家機密を知ってしまった夫と、夫の行動に翻弄されていく妻の物語。

ライティングとかカメラワークによってこの作家の作品だということが一目でわかるのって、現代の日本の作家だと黒沢清ぐらいなのではと
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カランコエの花(2016年製作の映画)

-

とある高校のクラスでの出来事から、自分たちの価値観が絶対だと思っていた人間の、その価値観の揺らぎによる戸惑いから生じる、言動や行動の暴力性を改めて思い知らされた。

作中のクラスにおける価値観は、普段
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.9

アントマンシリーズ3作目、アントマン一家が量子世界に迷い込む話。

アントマンやワスプというヒーローが持つ魅力を再確認させられた。父親であり、市民であり、ヒーローであるというアントマン自身の"等身大"
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.2

他愛も無い殺人事件の被疑者に、刑事が翻弄され、静かに人生の歯車が狂っていくー

被疑者の部屋を掲示が監視しているが、あたかも室内に刑事が存在し、被疑者と話しているように見せる編集、あるいは水の中から刑
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.6

サイレントからトーキーに変わる頃の映画業界、時代の変化に適応せざるを得なくなった者たちの物語。

リナを徹底的に貶める構造にはモヤっとさせられたけど、あまりにも完璧すぎる喜劇に圧倒させられた。夢と幸福
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お嬢さん(2016年製作の映画)

4.3

1930年代の日本統治下の朝鮮半島で、メイドとして富豪の娘に仕えることになった女性。彼女は数奇な運命を辿ることとなるー

ジョージ・ミラーが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で見せたような、バイオ
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スプリット(2017年製作の映画)

3.7

女子高生3人vs23人格の誘拐犯。今、脅威の24人格目が誕生するー

今となっては「3部作の2作目」という認識が定着している今作だけど、まあ地味な作品という印象が否めない。最後の反撃シーンもあまり心動
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.2

南北戦争下で生きる、4人の女性姉妹の物語。グレタ・ガーウィグって、社会で生きていくことで経験する苦味や気持ち悪さを描きながら、自分らしく生きることの大切さを説くことが非常に上手い監督であると、今作で確>>続きを読む

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

4.1

ベンジャミン・バトンは作中で多くの人々の死(あるいはそれに近しい出来事)を目撃する。ベンジャミンだけ若返りながら歳をとるからこそ、老いて死ぬ、あるいは戦争の犠牲になるという「死」の重みが凄まじいものと>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.0

大切な友人マリコの遺骨と共に、シイノトモヨは旅に出たー

旅先で出会うホームレスや女子学生といった、シイノが出会う運命になかった人間との一瞬の連帯と、マリコの自殺を止められなかったという出来事が対比の
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サイコ(1960年製作の映画)

4.3

大金を持ち逃げしたマリオンが辿る悲惨な運命ー探偵は真実に辿り着けるのか?

とにかく怖いし面白い。サントラは不気味だし、人物を交互に映し出すショットも、その時その時の人物の表情がわかるから、心底不安感
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.9

コーヒーとタバコを交わしながら繰り広げられる、11編の会話。

洒落てはいたけど、それぞれのエピソードにあまり思い入れを見出すことができなかった。11個のストーリーで同じような話が繰り広げられている点
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.2

アフガニスタンからの難民のゲイの男性が、これまでどういう人生を辿ってきたかを示す物語。

基本はアニメーションだが、トラウマ的シーン(父親が連れ去られるところ、姉2人が密入国するシーン)で絵のタッチが
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.8

4週間に渡り灯台と島の管理を任された2人の灯台守、やまぬ嵐、尽き果てた食糧、不潔な環境、若者が老人に抱く不信感が、次第に増していくー

ウィレム・デフォーの胸糞悪いパワハラと、ロバート・パティンソンが
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ハロウィン(2018年製作の映画)

4.1

殺人鬼と、それに狙われた人間ー40年越しの対峙、勝つのはどっちだ!

ブギーマンのマスクを見せてマイケルを挑発、周囲の人間がローリーの言うことを聞かないということなど、序盤でこれでもかというくらい不穏
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月世界旅行(1902年製作の映画)

4.0

世界初のSF作品らしい。サイレントだから、登場人物が何言ってるかわからなくて、想像しながら楽しんで鑑賞することができたし、最初から最後まで楽しめるような構成だったのが良かった。ここからSF映画が始まっ>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.7

アイスランドの山間に、羊飼いの夫婦がいた。ある日、飼っている羊が、体は人間、頭は羊という生物を産んでしまう。そこから、運命が動き出していくー

思ったより暗くなかったのが良かった。ヘレディタリーやミッ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.3

映画における「クライマックス」って、その登場人物の人生が、プラス方向で考えるならば1番輝いている、あるいはマイナス方向で考えるならば、取り返しのつかない局面を迎えている、そう言った場面を切り取っている>>続きを読む

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

4.2

今年ゴジラの新作を世に送り出す山崎貴監督、Netflixの見放題配信が終了するので鑑賞してみたが、とんでもなく面白く、社会風刺の効いた作品であった。

「戦争はいつだって老人が始め、若者が犠牲になる」
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.2

「どんな作品?」と聞かれても、返答に困る。そういった作品。会話の一部始終を、他の監督よりも比較的長時間、それも長回しで映し続けるから、自分自身が作品の世界の住人となった気にさせられる。なので、鑑賞後に>>続きを読む

アバター(2009年製作の映画)

3.8

あけましておめでとうございます、今年も映画鑑賞楽しんでいきたいと思います。どうぞよろしく。

ということで、1本目。当時森林破壊・環境破壊等が叫ばれていた記憶があるが、それと植民地支配に対する、キャメ
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.3

年末に良いもの観ました。

テレビアニメの同じ枠の視聴率争い、BDの売り上げ争い、テレビ局やスタジオ、プロデューサーやスタッフから並々ならぬ影響を受け、2人のアニメ監督は苦悩していく。自分自身が、社会
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.8

アダム・ドライバーとグレタ・ガーウィグの夫婦の関係が好みだった。結局は似たような悩みを抱えていたとわかるシーンから、彼らの夫婦関係が回復していくというところとか。

死=無という論題を、なんとか解決し
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.6

成功を手にした途端豹変し性悪になる岸井ゆきのと、始終性格悪い若葉竜也の演技、絶望を観にまとったムロツヨシの不器用哀しい姿など、役者陣の演技の凄さは特に際立っていた。

しかし、作品に目をやれば、リアリ
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恋は光(2022年製作の映画)

3.7

大学生4人の、それぞれ異なる「恋」の定義についての話。異性愛を普遍的なものとして描いてしまっている点に関しては、画家の女子高生にまつわる同性愛のエピソード、及び彼女の口から発せられる恋愛とは関係のない>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.1

BLマンガという、残りの人生の拠り所になるものに出会えた雪さんの実感が込められていた作品であった。実話をベースにした作品でもないのに。夫に先立たれた雪さんが、本気で心を許せる相手に出会えて、心が再生し>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.1

「この作品は前作の続編ではない」とライアン・ジョンソン監督は口にはするものの、登場人物が辿る展開に社会風刺が含まれている点は前作と同じである。なんなら前作と全く同じことをしている。ライアン・ジョンソン>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.7

この作品を鑑賞する以前の自分には、もう戻れなくなってしまった。それほどの意義を持つ作品。見えなかった、見ようとしてなかった事象に目を向け、それに真っ向から取り組むことの重要性と、意義深さが画面から凄ま>>続きを読む

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

3.6

世界で評価されるジャーナリストの苦悩の物語。

映像が技巧的かつ壮大で、その点に関する満足感は大きいが、その分展開がとっ散らかりすぎている。何が起こっているのか、進んでいるのかが全く持って掴めない。そ
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.8

「自分は無敵である」という幻想が崩れる作品だったけれど、2年後パートが始まった時点で、主人公が破滅するという展開が予想できるのが惜しい。3つ目のホルマリン漬けの赤子等の、不穏な空気を演出する小道具類は>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.9

是枝監督の作品は久々の鑑賞だが、子どもに対する責任感のある大人の存在が映し出され、社会がまだ優しさを内包し続けているんだという主張が確かに感じ取れた。イ・ジウンやぺ・ドゥナのキャラクター造形も好みであ>>続きを読む