猫田さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

猫田

猫田

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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.9

自分は役にたつと死体が言うなら、生きてる人間はもっと役にたつはず。生きることから逃げ出した主人公を死体が哲学的な禅問答を繰り返しながら少しずつ生きることを諭してくような設定がなんとも斬新だった。お尻丸>>続きを読む

ごっこ(2017年製作の映画)

3.7

ごっこが本物に見えてくる瞬間がたまらんかった。たまに映画出てもこういう役ばっかな気がするジュニアだけど、演技が上手。子役の子がこれまた上手で。この2人のやりとりが演技してないみたいに、めちゃくちゃ自然>>続きを読む

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.8

噂のカメラワークを体感。のっけからすごい。韓国映画はクオリティーがほんと高くなっていて観るたびに驚かされる。ウェディングドレスで武器を構えるのって、他の映画でも見たことあるけど、やっぱりクールだわ。ハ>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

4.5

色んなカルチャーがパーツとしてパズルみたいに組み合わさってく感じにゾワゾワが止まらなかった。好きな要素だらけの玉手箱映画。何回観ても意味はわからずとも楽しめる。野暮な答え合わせなんかしなくてもいい。前>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.3

前作と同じく、ポップな見た目でピリッと辛口。それを重くなりすぎずにさらりと見せてしまうバランスの良さ。子役の子たちの小憎らしさも可愛くて可愛くて。夢と現実が混ざりあったような場所に暮らす彼女たちの生活>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ピュアなラブストーリーにも見えるし、口が不自由でも貧しくとも神(半魚人)に愛された彼女は結局幸せな人生を歩みましたとさという幸せな話にも見える。
手放しでハッピーエンドにはせず、観る方に委ねるラストと
>>続きを読む

暁に祈れ(2017年製作の映画)

3.6

2度見レベルの顔面や体中タトゥーだらけの人たち。言葉も通じない。劣悪な地獄の刑務所のリアリティがすごい。先進国とはまた違うアジア圏の独特な陰全開の雰囲気とムショ内でのえげつない描写とで、不快感とハラハ>>続きを読む

神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)

3.5

印象的に使われる音楽の相乗効果なのか、ヤク中の人間独自の映像フィルター越しにフィクションとノンフィクションの狭間でゆらゆら揺さぶられてるような気分だった。生活の描写は超ノンフィクション、恋愛に関しては>>続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

3.9

不器用すぎて見てられない。世間で美化されすぎた愛は、本当は醜くてこんな風に他人には理解されないものも少なからずあるだろう。千差万別にある愛のカタチを、当事者たちが愛と呼ぶならば愛には変わりないんだろう>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

軍隊養成所さながらにも見えるし、やりたい放題の家畜小屋にも見えてくる大学寮。思春期のタガの外れ方は、動物のそれに近いかもしれないなぁ。人間と動物を隔てる理性がなくなれば同じ。人間がまるで動物に変化して>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

見えないなにかの掌の上でむだに踊らせられ続ける成すすべなしの無力感。シナリオは端から決まっていて、結局どう足掻いても着地点は同じになりそうな理不尽さ。ほんと聖なるなにかに操作されてるような話。吹き抜け>>続きを読む

静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.7

3つの視点で描かれる事件の描写は、ほぼモノクロでも十分に生々しく感じた。犯人は女を憎んでたわけだけど、事件から30年以上経った今でも社会のなかで“男だから” “女だから”と言われる場面はざらにある。劇>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

4.0

事件の胸くそ悪さでみるみる憂鬱に。差別にプラスして、職権乱用まで繰り出してくる胸くそ悪さ。時代はトランプ政権に変わり、幸か不幸か差別問題が一段とクローズアップされるようにはなったものの、依然なくならな>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.5

癒された。あのでかい体からは想像もしなかったアダムドライバーの繊細な佇まいが素敵。繰り返す日々の中に、毎日なにか新しい発見をしながら生きるのは難しい。だから、日々を敏感に大切に生きる主人公の姿に憧れる>>続きを読む

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

男の遠回しな攻撃が陰湿だと思いきや、被害者ぶってる女の方が実はやってることひどくて、一気に男に同情した。富裕層インテリ女にしかわからない隠れメッセージを詰め込んだ創作小説で念願の賞を取り、それを因縁の>>続きを読む

裁き(2014年製作の映画)

3.9

嘘みたいな罪で捕まるおっさんに、アメイジングなインドの予感。案の定、インドの法廷内の様子や やりとりがツッコミどころ満載で「笑ってはいけない裁判所」のようにも見えてきて妙に笑えた(多分、自分だけ)。裁>>続きを読む

プリズン・エクスペリメント(2015年製作の映画)

3.6

同じ実験の映画なら es の方が有名だけど、実験に対する忠実さはこっちの方が上かもしれない。時代背景・小道具・服装・実験会場の雰囲気やら、昔ネットでチラッと見た実際の写真とかなりそっくりに作ってある。>>続きを読む

グッド・タイム(2017年製作の映画)

4.3

ちょっと目を離せばストーリーが分からなくなりそうなスピード感のある展開に釘付け。貧困であるがゆえのジレンマが招いた積み木崩しのような成り行きにハラハラしっぱなし。ただ、土壇場での判断力や機転には感心し>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.8

金があっても満たされず、些細な不満を隠して嘘で塗り固めて普通のふりしながら生きてる人を虚しく切り取る。幸せは人それぞれ。自分にはラストの彼の後ろ姿が解放されて幸せそうにすら見えた。監督らしい毒のある皮>>続きを読む

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

3.9

タハールラヒムと黒沢清のタッグなんて夢のよう。最古の撮影技法ダゲレオタイプに魅せられた人間の成れの果て、みたいな。実際はちがうけども、そんな都市伝説をみてる気分。写真を撮ると魂を抜かれるなんて言うけど>>続きを読む

ザ・トライブ(2014年製作の映画)

4.1

次第に聞こえないはずの会話が聞こえてくるよう。音楽も台詞もなく生活音だけなので、観てる間にこっちも徐々に神経が研ぎ澄まされてゆく。たまに、ふと彼らが聴覚障害を持ってること思い出させるようなシーンが挟ま>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.0

大人が号泣する泣き声に大爆笑。聞いてるだけで死ぬほど笑える。たかが喧嘩、されど喧嘩の目の付け所が面白いシチュエーションコメディ。これ見てたら、夫婦喧嘩は犬も喰わないってのがよく分かる。そして、男と女の>>続きを読む

ヴィクトリア(2015年製作の映画)

4.2

夜明け前から空が白んでくるまでの空気や高揚感が、ノンストップで味わえて気持ちがいい。深夜の解放感とナゾにわいてくる無敵感が若気の至りに拍車をかけてく雰囲気がすごくリアル。人が恋に落ちる瞬間もリアリティ>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.0

漢なマドンソクが中盤を全部かっさらっていった。まさかコンユじゃなくマドンソクにとは…!どうりで借りてきたようなストールとジャケットが似合ってないわけだよ。ジャケットを脱いでからのマドンソク素敵すぎ。フ>>続きを読む

アシュラ(2016年製作の映画)

3.7

「金、暴力、権力」という、や○ざの合言葉みたいなキーワードで構成された町だな…。でも、ここまで見事にクズ野郎ばかりだと逆に清々しい。義理も人情もあったもんじゃない。御仏前での修羅場なんて、反則技がばん>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

宗教的なオカルトと小さなコミュニティ独自の人間の怖さで2倍ゾクゾク。真実を歪めて人をここまで翻弄させてしまう先入観ってのは、恐ろしい。こんだけ振り回されて結局救われないので、実は神様なんて人間が思って>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

4.1

モノトーンの衣装にサングラス、無造作に置かれたレトロなテイストの家具や小物、オレンジの外灯にぼんやり浮かぶデトロイトの廃れた街並み、流れるレコード。どこを切り取っても絵になる。改めてジムジャームッシュ>>続きを読む

ストロングマン/ストロングマン 最低男の男気大決戦!!(2015年製作の映画)

3.4

劇中の穏やかな海と同じくらい表面上は波風たたないようふるまうおっさん6人による(超どうでもいい)NO.1決定戦。姿はおっさんだが、やってる対決のくだらなさは小学生レベル。他人の欠点を見つけたらすかさず>>続きを読む

手紙は憶えている(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

淡々と進むストーリーとは裏腹に、老いてもなお忌まわしい過去の記憶に囚われ苦しめ続けられる姿がすごく残酷に映る。死を前にした人間たちが自分の心に決着をつけるための哀しい復讐劇。あの出来事で心に負った深い>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

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実話を基にしてるなんて信じたくないくらい酷い事件。生々しそうでいまいち観る勇気が出ないままだったのをやっと鑑賞。やはり生々しくて、えげつなかった。観ている間中、心がズタズタに引き裂かれる。正義自由平等>>続きを読む

あなた、その川を渡らないで(2014年製作の映画)

4.5

こんなに泣けんのかと思うくらい涙が出て、見終わって自分で自分にちょっと引いた。離婚も当たり前の昨今で、嘘みたいに仲睦まじく可愛くて微笑ましい夫婦の姿。暮らす場所がまた美しいのどかな田舎町でまるでお伽噺>>続きを読む

ぼくとアールと彼女のさよなら(2015年製作の映画)

4.0

自分らで撮影した名作映画のパロディ群のタイトルと映像のくだらなさに思わず吹き出した。父の影響とはいえ、小さい頃からあんな酔狂な遊びするなんて可愛げのない2人組で好き。題材のわりにあっけらかんとした印象>>続きを読む

バットキッド・ビギンズ(2015年製作の映画)

4.0

こんなことが現実に起きたという事実に感動と幸福感で胸がいっぱい。病気の子供たちのためのmake a wishの活動のことは知っていたけど、ここまでお祭りさながらの計画に変貌を遂げてしまうあたりがすごい>>続きを読む

ハードコア(2015年製作の映画)

4.2

観てるだけで合法的にハイになれる。回転しまくる画面に吐きそうになりながらも、こんなに気分爽快になれるもんを観られた満足感でチャラになった。あんな風に動いてみたいという密かな願望を叶えてくれる仮想現実と>>続きを読む

ギャラクシー・クエスト(1999年製作の映画)

5.0

「んなアホな!」と思うような展開から、ニセモノがあれよあれよと本物のヒーローに。バラバラになった絆や各々が自信を取り戻していく姿は不思議な感動があって、なぜかこっちまで元気が出てくるおバカで楽しいSF>>続きを読む

フィッシュマンの涙(2015年製作の映画)

3.7

金のための治験のせいで魚になりかけてる青年が主人公。コメディかと思えばそんなこともなく、彼を取り巻く周囲の人間や現代社会を皮肉ったような話で、地味に心が痛い。さかな君と化した顔もじーっと見てると、なん>>続きを読む