ねこさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

3.9

アンソニー・ウォンが人肉饅頭を作っていた頃の香港映画のように、大雑把なくせに心を掴まれて、登場人物の幸せを願わずにはいられなくなる魅力的な作品だった
自分の夢を追うことだけじゃない、誰かの夢を応援する
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我は神なり(2013年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

同情できるのは二人だけ
これを見て何を思えと言うのだ
そんな冷めた気持ちが大きく揺れた
自分が悪いと思っていなかった主人公
笑ってしまうじゃないか
宗教詐欺の陰にもう一つの闇があったとは
すべてを幸せ
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スワンソング(2021年製作の映画)

3.7

懐かしい場所を辿り、想い出の上書きをしていく
そのどれもが淋しいだけのものにならなかったのが嬉しい
パットの時代、捨てて諦めて受け入れさせられてきたものがいくつあっただろう
「今」という時代は彼らあっ
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おとなの事情(2016年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

一人の賢者のおかげで事なきを得る、とはとても思えなかった
特に新婚妻にとっては不幸の先延ばしでしかなく、妊活も視野にということを思えばなおさら気の毒だ
そもそも家族だから、友人だから、秘密はナシに決ま
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死神の骨をしゃぶれ(1973年製作の映画)

3.3

冒頭のカーチェイスが面白く期待値も高まったのだが、それ以上の盛り上がりが訪れることはなかった
マフィアたちの関係性がわかりにくかったのと呆気ない最後が残念
女子供も容赦なくという非情さは潔い

デジャヴ(2006年製作の映画)

3.4

考察する気などまったくなく、火薬の量とデンゼル・ワシントンを楽しんだ
膨らんだヴァル・キルマーと魅力的なポーラ・パットンという見所もある
システムの説明は…もちろん⁇だった

怒りの葡萄(1940年製作の映画)

3.8

塀をなぎ倒し粗末な家までをも破壊していくトラクターが、数十年の人生で見てきた様々なものに変換されていく
姿形は違えど、この暴力が今も存在し続けていることが非常に嘆かわしい
おんぼろトラックは、一家の人
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サムジンカンパニー1995(2020年製作の映画)

3.6

女子社員への区別という名の差別が、日本でも当たり前に行われていたことを思い出す
実際には不可能に近い内容でも、笑いと涙でエンタメ仕上げ
積もり積もった鬱憤を晴らしてくれる
それでもどこか暗い気持ちが残
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慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ(2014年製作の映画)

3.7

周りはみんな俗っぽいのにヒョンとユニだけは無味無臭で、生きているのかいないのか…といった雰囲気
これだけ多くの「死」がありながら漂う空気はあくまで穏やか
起こりそうで起こらないあれこれ
メルヘンチック
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ディオールと私(2014年製作の映画)

3.9

やはり、世界を作っているのはお針子さんなのだ

表の人の苦悩も映されてはいるが、隅々まで見逃したくなかったのは職人さんたちの仕事場とその仕事ぶり
次から次に降ってくる無理難題を、知恵と技術とチームワー
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.4

“クリスマスの魔法”と言っておけば大概のことは追求されずに済みそう
子供が観ても楽しめるんじゃ…とはさすがに言い難いけども

悪レグイザモ、いいね

Yeonga(英題)(2012年製作の映画)

3.7

理解が及ばない箇所もあったが、背景にある事件を調べてみて少なからずショックを受けた

ただ悲しいとか悔しいとかそんな暗色ベタ塗りの表現ではなく、濁った淡色が混じり合いながら次第に無色へと変化していくよ
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オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

3.2

豪華キャスト以外に印象に残るものはなかったが、この場合仕方がない
何が悪いとかではなく、結末の知れた超有名推理作品のリメイクはそれほど難しいということだろう

ジャッリカットゥ 牛の怒り(2019年製作の映画)

3.3

事件=祭り、なのか
尋常ならざる熱量とリズム
原始の何かが迸っている
絶対絶対絶対無理!と否定しつつも、1ミリくらいは自分のどこかに…と思わされるのが恐ろしかった

もし着替えられたら見分けがつかんよ

ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.7

国の経済を心配することも効率を求めることも間違ってはいないと思う
ただ、数字の単位が「人」であることに思い至らなければならなかった
寄り添うことは難しくても、せめて血の通った対応を
写真で埋め尽くされ
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パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

誰も悪くない
みんな傷付いている
小さなモヤモヤはいくつもあるが、国や文化の違いだろう
そう考えようとしていた
だが、これだけは許せない
“私がいないほうがいいでしょ
 あなたのために”
子供に罪悪感
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犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

4.0

ドンソク兄貴の腕っぷしに磨きがかかり、惚れ惚れというよりスカッとスッキリ!
敵の不気味さも申し分なく、長過ぎないのも丁度いい
班の雰囲気が前作以上にいいように感じるのは、お笑い担当の班長が頑張ってるか
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.5

親や銃よりもっと責任を感じるべきものがある気がする
それは「普通」というもの
許容範囲が狭く、なのに曖昧で流動的な「みんなと同じ」というもの
「普通」に追い込まれ責め立てられ、居場所を失くし孤立する人
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恋のエチュード(1971年製作の映画)

3.7

こんな男のどこがいいのか…と思いながら観ていたのだが、身綺麗で教養があり嘘をつかないというのは当時としては上出来なのかもしれない
しかしまぁ、そんな些末な事はどうでもいいと言いたくなるほどの映像美
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

言いたいことはひとつのようだったが、付随するものが多くて集中しづらい
尺ももう少しコンパクトにして欲しかった

今の自分が最底辺なんて知りたくもないし、太り過ぎと繰り返し言われるのもご免
愛があっても
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355(2022年製作の映画)

3.1

それぞれが米、独、英、中の国家機関に所属する人間たちとは思えない緊迫感の無さに違和感
余計に内容の薄さが目立っている気がする
肝心のアクションシーンも、いまひとつ印象に残らなかった
女優陣の頑張りはわ
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ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

3.4

ジャンルという壁の上をすいすいと泳いでいるような印象
そのとき撮りたかったものを詰めこ込んだようにも見える
悲劇も喜劇も人生のひとこま

ディアスキン 鹿革の殺人鬼(2019年製作の映画)

3.3

なぜ鹿なのか、なぜジャケットなのか
そんな疑問はまったくもって無意味
変な奴が変なことしてるだけのように見えて実は大事なメッセージが込められている…というのは深読みのしすぎか?
とりあえず、アレを武器
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狼たちの墓標(2021年製作の映画)

3.4

“他に何ができた?”
理不尽な暴力に抵抗できるものが、それを上回る暴力以外にあるのだろうか
理想論では解決しない
二度と元には戻れないとしても

“江陵を地獄にしやがった”という台詞に、すべての感情が
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冬時間のパリ(2018年製作の映画)

3.0

そこそこいい暮らしをしているそれなりの知性派たちの日常
あんな手近な所でばかり繋がっていたら面倒臭そう
コメディ要素もあったが、全体を通して感じたのはつくづく日本人とは違うなということくらい
あの文化
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チャーリング・クロス街84番地(1986年製作の映画)

3.8

時間がまだゆっくり流れていた頃の話
そこには本への愛とユーモア、そして人のぬくもりが確かに存在していた
良かったね、と言っていいのかどうか迷ってしまうラストシーン
その余韻に浸りながら、胸の隅っこが少
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.5

人間の生態が利用された、ということかな?
確かに環境も子供も不気味だったが、それ以上にあんな状況下でも家事育児は女が、男は我関せずという日々にモヤモヤが募る
それこそが最も標準的な人間の暮らしだと、外
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サード・パーソン(2013年製作の映画)

3.6

終わってみればなるほどね…なのだが、なんせわかりにくい
せめてもう少しリーアム・ニーソンがしょぼくれオヤジになってくれていたらと思うのだが

作家とやらは常に自己を見つめているものらしい
たとえ隣に誰
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走れロム(2019年製作の映画)

3.3

走って走ってロムは、一歩も進まぬ今日を生き延びる
貧困という無間地獄
金はなく、信頼もなく、愛もない
悲しいかな、最後まで一筋の希望すら見当たらなかった

ポスタル あの日、僕の人生は壊れた(2019年製作の映画)

3.4

カスタマーセンターとのやり取りは共感することだらけで面白く観ていたのだが、その後はどんどん笑えなくなっていく
似た者同士の相乗作用はホラー並みの恐ろしさで、愛という言葉さえ不気味に響いた

最後に出て
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地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.3

予想外の終盤で驚いたが、案外話はわかるものだと感心してしまった
欲望にまっしぐらな人間は滑稽だったり憐れだったりするのだが、当の本人たちに「後悔」という言葉は必要なさそう

違和感をすんなり飲み込んで
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.2

アクション映画なのにカッコよくない
期待していたミシェル・ヨーも、これだけ?という残念さ
そして敵がつまらない
ただの、主要キャストを女性に変えて撮ってみましたというだけの作品に見えてしまった

百日告別(2015年製作の映画)

3.5

法要が果たす役割に改めて気付かされる
それはもちろん弔いであり、且つ現実を受け止めるための手順でもあるのだった

眩しい陽射しと映える緑
どれだけ悲しみの底にいようと、この世は生命に溢れている
そして
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.5

現代にも通じる風刺の効いた作品
ソビエト時代に製作されたのだから、このとぼけた雰囲気が必要だったのだろう
“クー”と“キュー”でほぼ会話が通じる設定など、発言の自由がない社会主義を極端に表現しているよ
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.3

出演者は豪華だし面白くないわけでもないのに、気持ちが盛り上がらないのはなぜだろう
鑑賞後に残ったの本物の自然の美しさと、さぞかし撮影は大変だっただろうということだけ
時間も少々長かった

聖なる泉の少女(2017年製作の映画)

3.3

聖なるものと文明
継承と犠牲
どちらの問題も、静かな営みにじわじわと侵蝕してくる
気付いたときにはもう手遅れ
せめて犠牲だけは免れて欲しいのだが

“わしの人生は何だ?“
そっくりそのまま娘に言わせた
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