ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ひでやん

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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.5

人格を形成するものは己か他人か。

いまいち分かんなかったけど、なんかすげえもんを観ちまった。2回観ちまった。もう冒頭から強烈なインパクトあり。映写機、蜘蛛、性や暴力、罪をイメージさせるモンタージュ映
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狼の時刻(1966年製作の映画)

4.1

夫から妻へ、妻から観客へと伝染する得体の知れない恐怖。

カンカンとセットを作るトンカチの音が鳴り響き、ガヤガヤと騒がしいスタッフと監督の声が聞こえるタイトルバック。「静かに、カメラ、スタート」という
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不良少女モニカ(1952年製作の映画)

3.8

享楽的な日々に漂った刹那的な幸福。

八百屋で働く自由奔放な少女と、陶器店で配達係をする青年が恋をし、自由と幸福を求めて逃避行。社会に反抗とか、束縛からの解放とか、そういう逃避行は好きだ。自分の願望な
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カツベン!(2019年製作の映画)

3.6

さあさあ! みなさん、お立ち合い!

時は大正。映画が「活動写真」と呼ばれていた時代、無声映画の上映中に楽士が奏でる音楽とともに独自のしゃべりで物語を解説し、観客を熱狂させた活動弁士を描いた青春喜劇。
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

3.3

デビュー作にしてミステリーランキング4冠達成という今村昌弘の原作はずっと気になっていたが、結局未読のまま映画を観てしまった。

ペンションという閉鎖空間で、ホームズとワトソンによる謎解き、犯人の意外性
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

再生のブレーキか、崩壊のアクセルか。

欲しい物があればネットで検索し、ポチッと押せば明日届いちゃう。便利な世の中だと思う自分は、宅配ドライバーの労働事情など考えなかった。荷物を受け取る時はいつも無言
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.5

この世はでっかいVR。そうさ今こそアドベンチャー!

最近「メタバース」という言葉を耳にするたびに「なんのこっちゃ」と思っていたが、今作は入門編のようにそれを体験できる。ゲームのプレイ開始時に表示され
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.9

最終決戦の舞台に興奮。

蜂の巣のような六角形をあしらったカーペット、その上を三輪車が走る序盤にゾクゾクした。キングが不満だったキューブリック版『シャイニング』の再現は予想外で嬉しい。それにしても「あ
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.2

自由と引き換えに背負うもの。

『ひとよ』という平仮名から『人よ』を思い浮かべていたが、『一夜』で家族が激変する物語だった。子供に暴力を振るう父を、母が車で轢くという衝撃の一夜ではじまるのだが、こんな
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アップグレード(2018年製作の映画)

3.8

一捻り加えたラストに思わず唸った。

AIチップを脊髄に埋め込み、超人的な身体能力を手に入れた男の復讐劇はよくある設定だが、終盤にかけての予想を裏切る展開に目が離せなかった。脚本が『ソウ』シリーズのリ
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.0

名声を得るほど募る背徳感。

『Yesterday』は名曲ですね。なんと言っても歌い出しの歌詞がいいよね。イエスタデイ〜ふーふっふっふんふんふんふぁーふぁふあ〜♪知らねえのかよ!

世界規模の大停電が
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天気の子(2019年製作の映画)

3.5

少女の犠牲で成り立つ多くの笑顔と、多くの犠牲で成り立つ少女の存在。

雲間から射し込む光や、その反射。窓に流れる水滴や、水溜りに落ちる雨。泣いたり微笑んだりする空模様の表現など、繊細なタッチの風景描写
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劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん(2019年製作の映画)

3.8

ほっこりする父と息子の大冒険。

突然退職した父と、正体を隠した息子がオンラインゲームの世界で交流する物語で、夜中に食べるお茶漬けのように心が温まった。

FFは、初のオンラインゲームとなった11を飛
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トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

3.9

同性愛への理解を持たぬ保守的な農村で、芽生えた愛と覚えた嘘。

都会から田舎へやって来たよそ者が、閉鎖的な空間で自由を奪われ、逃れたくても逃れられない状況に陥るのはなんとも息苦しい。トムの視点で村人を
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冬の光(1962年製作の映画)

3.8

牧師の苦悩を描いた「神の沈黙」三部作のひとつ。

最愛の妻に先立たれて以来、 失意のどん底に沈みながら、信仰に疑念を抱く牧師が主人公になっているが、彼の姿にベルイマンは父親を投影していたのだろうか。或
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処女の泉(1960年製作の映画)

4.2

牧師の家に生まれたイングマール・ベルイマンが描く信仰の深淵。

純真無垢な少女が凌辱の果てに命を奪われ、その父親が復讐する物語は、1960年の公開当時は大きなショックを観る者に与えただろう。凌辱から殺
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第七の封印(1956年製作の映画)

4.5

沈黙する神と、対話する死神。

第七の封印てなんのこっちゃと敬遠していた今作だが、覚悟を決めて鑑賞。もうね、海岸で死神とチェスをするオープニングが心を鷲掴み。打ち寄せる波をバックに生と死が対話するショ
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.1

カッコ悪くたっていいよ
そんな事問題じゃない
君の事笑う奴は
トーフにぶつかって死んじまえ
(THE BLUE HEARTS)

激し過ぎて疲れちまった。縁側で猫を膝に乗せて、お茶を飲みながら空を眺め
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.7

白石和彌の作品は、殺伐とした重い空気の中に暴力と犯罪があるイメージだが、この作品は予想以上に内容が深く、冒頭からラストまでその世界に引き込まれ、あっという間に2時間が過ぎた。

信頼と裏切り、家族と他
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

恐怖のフォーチュンクッキー。未来はそんな悪くないよ。Hey! Hey! Hey!

いざ決戦!の2章は、冒頭で登場するグザヴィエ・ドランに驚き、大人を襲うピエロに首を傾げた。前作では、ベバリーの父には
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.4

立ち向かえ!愛しき負け犬たちよ。

水溜りに浮かべたボートを黄色いレインコートの子供が追いかけるオープニングに惹き付けられた。27年ごとに起きる子供の失踪事件、その恐怖を初っ端から植え付けられたが、ル
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

「狂っているのは僕なのか? それとも世間?」

物語の肝となるその問いかけは、そのまま見る側にぶつけられ、アーサーの生い立ちを追う中で答えがボヤけていく。不条理な世界が狂人を生むのか、狂人が狂った世界
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燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

4.7

深く考えなければ、熱く感じる不朽の名作。

メインテーマ曲がたまんない。これを聴くと胸に熱いもんが込み上げてきて心が躍る。悪の道に手を染め、少林寺を破門となった男が孤島で武術大会を開き、その参加を依頼
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.9

「はじめまして、お隣さん」

タランティーノがシャロン・テート事件を題材にし、ブラピとディカプリオが初共演で挑んだ話題作だったので、かなり期待した。そしてW主演2人の登場に胸が熱くなったが、思っていた
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みんな〜やってるか!(1994年製作の映画)

2.9

「女とヤリたい」という男の欲望によるコント集。

ベタなギャグの連発がしょうもなくてバカバカしいんだけど嫌いじゃなかった。前半はね。淀川さんが「サイレント映画時代の短編コメディだ」と絶賛していたが、「
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ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

3.8

タイムループ地獄からパラレルワールドへ。

前作の主要人物に新キャストを加え、見事な変化球で楽しませてくれた続編だった。ベビーマスクの登場で死亡フラグが立ち、ナイフを振りかざした瞬間に目覚めフラグが立
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.0

何度も死んで無限ループから脱出する痛快ホラー。

コーラとカルピスを合わせてコーピスという新商品を作った感じ。分解すると既存の味だが、混ぜると新感覚。面白いって言うのはちょっぴり悔しいんだけどね、はい
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第三の男(1949年製作の映画)

4.2

戦後のウィーンを舞台にしたフィルム・ノワールで、アメリカからやって来たよそ者が旧友の死の真相に迫る。

ヱビスビールのCMでお馴染みの曲がオープニングで流れ、この映画のテーマ曲だったのかと初めて知った
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新聞記者(2019年製作の映画)

3.6

国家権力に抗う新聞記者とエリート官僚の葛藤を描いた重厚な社会派ドラマ。

首相御用達記者の逮捕状差し止めや、森友公文書改ざんなどといった実際の事件が下敷きになっている今作は、権力の暗部にかなり踏み込ん
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.6

限界を認めちゃうと絶望になるが、否定すると希望になる。

落ちこぼれの烙印を押されたマサルとシンジを演じた2人は、無名の新人から抜擢されたとは思えないほどハマリ役だった。カツアゲしても金が欲しいわけで
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あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

3.8

青く静かな世界に溶け込む旋律と反復が心地良い。

壊れたサーフボードを拾った若者が波に乗る、そんなシンプルなストーリーの中に挑戦、失敗、努力、協力など、人生に於いて必要不可欠な事が凝縮されているようだ
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

過激な発言によりカンヌ国際映画祭から追放処分を受けたトリアーが、7年ぶりにカンヌ復帰を果たすも途中退場者が続出し、賛否真っ二つに分かれたという問題作。

「話してみたまえ。ここに来た人間はどうせ話さず
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ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

3.8

語り手に散々寄り添った聞き手が、最後にやらかす。

色情狂なのに突然オーガズムを感じなくなったジョーの行く末は…?という事でVol.2。シャルロット・ゲンズブールが回想の主役となり、いよいよ彼女の本領
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ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

4.1

色情狂の女の半生を描いた「鬱三部作」の最終章。

いやあ、面白かった。各章のエピソードがどれも面白い。前二作の重苦しさは今作にはなく、哲学的でありながらポップな仕上がりだった。

先ずは、路地裏を縫う
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.3

SNS時代に生きるティーンたちの「いま」を繊細なタッチで描く。

自分の学生時代を思い出すとちっちゃな事で悩んで、随分と人を傷付けて、とにかく不器用だった。「無我夢中」とか「一心不乱」なんていうカッコ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.2

王室で巻き起こる女たちのドロドロ愛憎劇。

奇妙な過去の3作品が強烈だったので、今作はヨルゴス・ランティモスの作品なのか?と疑うほどまともに思えた。脚本が彼によるものではなく、舞台設定も18世紀の史実
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