ピカルさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.6

松田龍平の飄々感が、侵略者に乗っ取られた男にびったりだった。人間の概念を知ろうとする宇宙人はしきりと言葉じゃダメだといっていた。言葉ではなく直接感じとる。相手の悲しい気持ちを言葉ではなくそのまま感じと>>続きを読む

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

3.6

アンモナイトが目覚める物語だった。その目覚めるのが、愛に目覚めるのか、それが自分を縛るものであることに気づくことなのか。愛、自由、孤独の繰り返しが、人が生きるということなのだろう。

香川1区(2021年製作の映画)

4.3

真面目な情熱が有権者に伝わっていく過程に感動した。どうか党派の縛りにとらわれず、自らの判断で衆議院議員としての権利を行使して欲しい。地元に橋を作ったのはオレの仕事だと言う昭和スタイルの政治家や、威圧し>>続きを読む

アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

3.8

懐かしい。キャメルの箱を白いTシャツに絡めて腕に留めているのがカッコいいと思って見ていたことを思いだした。アメリカの叙情的な、高校生の旅立ち前夜映画。

あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.9

昔、車で松濤に迷い込んだ時、白衣のコックやお付きのもの数人が、運転手が開ける車のドアから降りてくる家族を出迎えていたっけ。あれは貴族だったんだ。通勤電車にも乗らないし、コンビニにもスーパーにも行ったこ>>続きを読む

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

3.9

違法だろうが、人に役立つためなら、嫌なこともでも、やらなければならないことがある。運命もサイダーハウスに居られない流れで、主人公は決断する。アービングの小説は、めちゃくちゃで悲惨な出来事に遭いながら、>>続きを読む

エール!(2014年製作の映画)

3.6

勘違いした。リメイクがアカデミー賞だったのか。フランス人って家族でもめても個人をしっかり尊重するのだな。音楽の先生の厳しさ、優しさとジョークのバランスが良かった。性の垣根が低いのか、実存していた。あの>>続きを読む

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

3.7

か弱くて強い。壊れていて明るい。破綻していても求めている。ティファニーの世界に、私を連れて行ってくれる男を毎日求めている。誰も信じない。なぜ破綻して壊れても明るくしていられるのか。そうしなければ生きて>>続きを読む

ストロベリーショートケイクス(2006年製作の映画)

3.2

描かれた女性達は、既に傷ついていた。失恋とか、失恋にすらたどりつけず、肉体はすぐ繋がれるのに、心はどうしてもつながれず、傷の痛みを紛らすために、もっと深い傷を進んで求めている感じがした。そういう痛々し>>続きを読む

マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

3.5

どうしてそうなるのかわからない点があった。そしてもう一回丁寧に見て、確かめようとカミさんは、言っていたが、私には無理。しかし無理は禁句だとホテルマンはいっていた。いくらお客様の要望とは言え、気になる女>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.8

出会いなんて因果をたどれば、全員運命的だし、趣味、好みが合うから惹かれていくこともあれば、あまりの違和感でもたまらなく好きということもある。しかしああいうのが、花束みたいな恋なのだろう。花束の記憶を胸>>続きを読む

ネバダ・スミス(1966年製作の映画)

3.5

皆、やめろと言っていたが、その境地に到達するのには多くの他人の犠牲があった。あそこまでやるなら、日本人なら本懐を遂げて、公儀のお沙汰に服する、というのが潔い結末だが、忠臣蔵じゃなく西部劇だから仕方ない>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.8

蟹江敬三似の男、と岸田今日子風の救世軍の女、異国の景色なのに昭和を感じる。フィンランドのノスタルジックな時代という設定なのか、2002年にもある発展の遅れたフィンランドの街が舞台なのかわからなかった。>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.6

謎解きは、なるほど腑に落ちた。しかしスカッと感がない。移民で看護師の彼女があの屋敷でこれでもかとチマチマいじめられていた挙げ句の結末だったらスカッとできた。韓ドラにどっぷり首までつかって、これからもズ>>続きを読む

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(1987年製作の映画)

3.9

道士の剣技と、道士が道!道!道っ、と歌う踊り、両側をいくつもの灯火にてらされた長い桟橋の先の水上で琴を弾くスーシン、大きな水瓶の風呂にツァイサンを押し込めるスーシン、妖艶、なぜか何度も見たくなる。あや>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.6

92歳とは驚き。高校の映画鑑賞会でハリーキャラハンに出会った。ハイジャックを軽く朝飯前のお仕事のように、蹴散らしていたっけ。この映画では、どうやってピンチを切り抜けるのか、何度もヒヤヒヤした。ジーンズ>>続きを読む

シャイン(1996年製作の映画)

3.6

お父さんはなぜあんなに、息子を外の世界に出したくなかったのか。発達障害っぽい息子を慮たからなのか。音楽会で倒れて、次はあの青年が一気に風貌はオヤジ、中身は子供みたいになっていて驚いた。その間何があった>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

なぜか見入ってしまった。冷静すぎる深い夫婦愛。能面みたいに表情がないから、感情を想像する。能ってこの映画の面白さなのかなと、逆に思うくらい無表情。まだ止まらない内に、ドアが開く路面電車。トランプで決ま>>続きを読む

恋におちたシェイクスピア(1998年製作の映画)

3.6

 あの時代は女優は認めれてなかったのだな。
 シェイクスピアは、妻子持ちだし、恋の相手とは、身分違いで結婚できず貴族の嫁になる。昔は、人妻や、人の夫だけでなく、家柄や身分とか道ならぬ相手が沢山いたのだ
>>続きを読む

クローゼット(2020年製作の映画)

3.5

 家の中でクローゼットに隠れた記憶がある。ハンガーの衣服の匂い。幸い異界との接点ではなかったが、子供の頃の、衣服の向こうの暗闇の見えない奥行きへの不安を思い出した。そこは親から隠れる場所であり、閉じこ>>続きを読む

ヒア アフター(2010年製作の映画)

3.6

 腑に落ちなかったが、ずっと見入った。女性キャスターが木の葉のように濁流にのまれ、漂流物に打たれ沈んで行く津波の描写と、交錯する臨死体験の映像が圧倒的だった。確かにあの時期には、公開できなかっただろう>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

3.9

数かずのチャイナドレスの薄い身体、百済観音像を横から見たみたいな。グリーンがかった画面。思い出はいつの日も雨。そして線は越えないが、抱き締める、肩に涙の顔を埋める。死ぬまで忘れない究極の切なさが、あふ>>続きを読む

弱虫ペダル(2020年製作の映画)

3.5

自転車競技の団体戦の仕組みが、よくわかった。天才肌なのか、アクシデントはあるが挫折はなかった。ママチャリのサドルを高くしてみようと思った。さかなクンのような口調だった。新歓レースで渡された自転車は、レ>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.3

どん底でも、自分の存在する世界を幸福と感じられた場面に感動した。昔の映画だから、彼自身の徳が、彼を救って素晴らしきかなってなるのだが、追っかけてきた警官にジョージと呼ばれ、殴られた口角から血が流れる。>>続きを読む

一家の主(2022年製作の映画)

3.5

お父さん家事はやらないんだな。出だし安楽椅子から動かない。10パーセントの手付金200万元って言った気がした。3400万円だ、ってことは、3億4000万のマンションを買おうとしたのだろうか。台湾の富裕>>続きを読む

天使のくれた時間(2000年製作の映画)

3.8

私には、結婚してない現実も結構幸せに見える。しかし、あの子ども達や、犬が、天使がくれた時間の中でしか存在しないなんて、寂しい。娘にやっと認めてもらったのに、宇宙にかえらなければならないなんて。急にサヨ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.9

過去と現在が移動するのが分かりにくい。若草物語とは、こういう話だったとわかった。独身を貫ける女性の条件は娼婦か、女優か、資産家であるかだと資産家のおばさんが言っていた。結婚すると女性の財産は、夫の物に>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.1

しびれた。この仕事が好き、と言っていた。仕事だから、漁師が魚を〆るように、私達が浅利を釜茹でにするように、獲物へのなんの感情もない。悩みは社会への不適応だが、所詮バイトだし、本業に専念し、友情を維持出>>続きを読む

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)

4.1

いい映画だった。人が笑ってこっちを見ると、たまたま目があっただけでも、自分を笑ったのではないか、と思う時はある。常にそう思えてしまう過去の強烈なストレスが発症の原因なのだろうか。愛が人を救う時の転換点>>続きを読む

カルマと言わないで!(2022年製作の映画)

3.3

確かに、子どもの頃からの思い込みはある。結局、カルマと言わざるを得ない。うんみょんですね。初恋と運命、韓ドラと同じテーマかも。

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.7

佐々木をあんな姿にさせてたのは、本当は俺たちなのかなぁ、って言ってだけどそれが佐々木なのだと感じた。あんなに親しい存在だったのに、自分でもびっくりするくらい会わなくなった友人を、この映画を見て思い出し>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.6

働いてようが、暇してようが、いつも情熱の行き先を求めている。そして、ある日それを手に入れる。すごい熱情と例えようのない幸福感、今が最高と思える日々、それがしかし急に、なんだかなぁと思う瞬間がたびたび訪>>続きを読む

ペイ・フォワード 可能の王国(2000年製作の映画)

3.6

それでも10歳の少年がクソみたいな世界を変えるために、受け取った好意を次の3人に引き継がせなければいけないのか。重い十字架だった。

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.2

本当は、ひどい状況なのに、のどかで夢見がちなタッチで、そこを酷く描かれたらやだなというところを、軽やかな音楽とともに、通り過ぎた映画だった。挿入された映像でヒットラーに歓喜して、右手をあげるドイツ国民>>続きを読む

クラウド アトラス(2012年製作の映画)

3.7

死は終わりではなく、次の世界を開く扉だという意味の言葉が印象に残った。幸福感とか、郷愁とか、絶望とか、陶酔とか、パラレルな出来事が、更に重層して、時間の前後も曖昧に繋がっている。こんなことを感じたこと>>続きを読む

説得(2022年製作の映画)

3.5

説得とは、パパに説得されて、大好きな男を諦めたことだろうか。よい話相手、おいの遊び相手、イタリア語の通訳など便利な独身娘はいいように使われていた。偶然の再会、すれ違い、誤解、韓ドラっぽい展開。羨ましい>>続きを読む