KentFさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

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氷の微笑(1992年製作の映画)

3.7

本当の悪魔は、自分の中に巣食い目には見えないものかもしれない。
“本能”を抑える理性を鍛える。それが大人になる条件の一つ。破天荒な刑事でさえも、女と酒とタバコを絶っていた。それなのに、それだからこそ。
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ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ(2010年製作の映画)

2.8

ヴィクトリア時代の前作から数十年後、戦時中の英国社会。かわいいこぶたたちとの農村での生活。

ナニーと子どもたちは魅力的な田園さえも飛び出し、前作に負けじと数々の冒険に繰り出す。

売られたこぶたたち
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ナニー・マクフィーの魔法のステッキ(2005年製作の映画)

3.6

家族として暮らしていく。
そのために必要なことを不思議なナニーが静かに厳しく教えてくれる。
子どもたちの奔放さも憎たらしくも痛快。そこには彼ら彼女たちながらの事情もあって、変わらなければならないのは大
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止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)

3.6

1970年前後、“世界”をかえるようと主張することが全盛期。終戦前後に生まれたの若者がストリートにあふれ、声高らかに変革を叫ぶ時代にあって、映画を通して「この世で自分が表現したいもの」を訴えようともが>>続きを読む

王になろうとした男(1975年製作の映画)

3.6

酒も女も絶って、雪山を越え、意気揚々と踏み出す未開の地。遥か昔の大王に負けじと、中世のままの部族社会に乗り込むフリーメンソンの冒険譚。王になる野望を抱いて。
ジャングルブックのJ.R.Kiplingの
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.8

ひとつの画面からほかの世界の動きを覗き見る-。この革命を最初にもたらしたのはまさしく映画。技術の進歩は19世紀末の発明を追いやったように思えたが、鮮やかに取り込まれてしまった。
交流も可能になった画面
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ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.3

長く続く冷やかな病棟廊下に、果てしない時の流れが投影される。老婆を往訪した中年医師は、看護師と共に、その長い時間を辿っていく。旧教と新教、アイルランドと英国の狭間で翻弄される魅惑の女性をR.Maraが>>続きを読む

ディザスター・アーティスト(2017年製作の映画)

3.4

これはコメディかそれとも。
どこまでも恐ろしくピュアで真剣なアーティストの、ディザスターな創作の話。どれだけ蔑まれようが笑われようが崇拝されようが、本人にはサクセスストーリーしか見えていない。それが何
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ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年製作の映画)

3.2

“A Star is born”(2018)が頭を過ぎる、デュエット。Johnny Cash好きにはたまらないだろう。J.Phoenixの歌声に聞き惚れて白熱の演技に手に汗握る。

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

4.0

ゴッドファーザー然り、なぜアウトローは銀幕の中でこれほど眩しく輝きを放つのだろう。治安を守る者に頼って普段は生きているはずなのに。
白か黒か、いやはっきりさせるべき色さえもわからなくなる。まさに作品自
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フレンチ大作戦 灼熱リオ、応答せよ/OSS 117 リオデジャネイロ応答なし(2009年製作の映画)

3.2

前作からの期待と高揚が初っ端から溢れ出てくる。突き抜けて明るく異様に強くて最高にKYなフランス人スパイOSS117は、今回はどんな差別用語と自惚れで世の中をかき乱すのか-。
前作の標的はアラブとイスラ
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エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)

3.4

公害に立ち向かう破天荒なシングルマザー。もちろん正義感はあるが、自身が抱える葛藤とジレンマ、認められたい欲求がいかにも人間らしくていい。単なる「特別な実話」に留まらず、社会派なメッセージがつまる。

フラガール(2006年製作の映画)

4.5

斜陽の炭鉱町に訪れた借金まみれのダンサー先生と、希望を抱く乙女の涙と笑顔。おれの人生はおれのもんだ、と叫ぶ姿は高まるウーマンリブの萌芽。それと対照的な炭鉱の現実。
福島の片田舎の実話は、この世界的な時
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ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)

4.1

“間”がいい。観ている側の思考を許容する。冒頭の鏡に映る画家と、メインである橋での交換は、実に印象的なシーン。
一方で、法廷から教室へ戦場へと効果的に切り替わる、S.Spielbergのマジックに時を
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スノーデン(2016年製作の映画)

3.7

セキュリティがこの社会でもつ意味を強く意識させられる。監視されてもなお、平穏に包まれた社会がいいのか。欲するのはフリーダムかセキュリティか。
強くて重い、巨大な一石を投じた青年の物語。英雄かそれとも和
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.1

サイエンスフィクションの真髄。荒れ果てた大地を発ち、泣きじゃくる娘に背を向けて、漆黒の宙をすすむ旅路は、奇想天外な時空に包まれる異次元の世界。にもかかわらず、大切なものは朽ちることなく作品を通じて訴え>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.9

ジャーナリストと治安当局。ある時はヒーローに、またある時は悪役として描かれる。それぞれの正義を強く求めるために。
その間で翻弄される正義感の強い青年。情に厚い型破りな弁護士に支えられて、母に付き添われ
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ブラッディ・ミルク(2017年製作の映画)

3.7

フランスの田舎で、実直な青年と、家族、友人、村人が織りなすリアリズム。YouTubeも交えた社会派ドキュメンタリーのような作品。

ディパーテッド(2006年製作の映画)

3.5

ある意味、正義も悪もない。社会の悪が、必ずしも悪にならないのは芸術の魅力。「Goodfellas」から連なる監督の世界観。
NicholsonとDiCaprioが重なる。

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.4

まっすぐ、真摯で愚直。それが強さ。“おもしろく棲みなすものは心なりけり”を体現した作品。
最もインディペンデントな人物に宿る真の強さ。他に委ねる強さではなく、環境に不平不満もない。自然の美しさを見出す
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.0

カリスマ性の理由は垣間見た。カーアクションの金字塔。立ちくらむ派手な演出は、どこまでCGか撮影そのものか境目がわからなくなる。その夢現が良いのかもしれない。

ザ・インタープリター(2005年製作の映画)

2.9

国連通訳と、とある国の大統領、米国シークレットサービスを巡るサスペンス映画。国連でなくとも成り立ちそう。国連だからこそ、通訳だからこその奥行きを感じたかった。

ショコラ(2000年製作の映画)

3.4

50-60年代のフランスの田舎町を舞台に、保守的な人と社会に甘美な楔を打ち込んでいく物語。68年革命より10年近く前。英語の違和感は傍に置き、ショコラの織りなす魔法を楽しむ。
J.Deppは存在感示す
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博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.7

級友と自転車で学術の都を駆け抜ける。迸る若気と才気は、却って危うさを彷彿とさせる。
ゴスペルに限らず頻出する神的な描写。無神論の天才科学者と実に対照的。その悲運のcreatureも階段上の幼な子を、救
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.4

宣材から窺い知れるコミカルさに引き摺られるかと思いきや、実に骨太な作品。やられた、と思わず呟く。S.Johanssonは凛とした強さと美しさで引き込み、それを存分に引き出す映像美も見事で、親子の時間は>>続きを読む

8人の女たち(2002年製作の映画)

3.8

F.Ozonが描くフェミニズム。
一部ミュージカルと言えばそうだが、それも一つの表現として溶け込んだ世界。8人が交互に行うその表象を他の7人が微笑み眺め、とある屋敷での奇妙な時間が展開していく。
Qu
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OSS 117 私を愛したカフェオーレ(2006年製作の映画)

4.2

オリエンタル風の軽快な音楽にのせて、次々に運ばれてくるアイロニー。宗教、男社会、植民地主義を始めとした歴史が料理されていく。
救いようのない低知力のフランス人スパイが、それに微塵も気づかないまま驚異の
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若草物語(1994年製作の映画)

3.2

良くも悪くも、Winona Ryderの作品に仕上がっている。2019年のLittle Womenを観た後に感じるのは、オーソドックスに原作の良さを表そうとした一方で、90年代的強きフェミニズムか。

君が君で君だ(2018年製作の映画)

3.7

これは「姫」の物語だ。異文化の中で不器用でも懸命に生きる女性への屈折したエール。
表立つ三人の設定からはコメディと先入したが、男の恥部を痛々しくも掘り下げた純文学。ピュアとは言わない。異性には理解され
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.0

強い意味をもつ 「1917」という数字。その呪縛から生み出された過去100年の作品とは一線を画す。
余りに牧歌的な光景から始まる一本の線。過酷と悲哀が混じり合い息苦しさがのしかかる。
編集という第七芸
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.1

強い叫びと共に、女性の弱さも赤裸々に表した真のフェミニズムムービー。実に清々しい。共感できない声が男性の側から上がるのは当たり前で、むしろこの傑作の価値を証明していると言っていい。
後半に向けて加速し
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

4.0

抵抗を感じていたCG映画への観方が大きく揺すぶられた。
物語は突然、真空の世界、静かで途方のない世界から始まる。
これまでの映画の常識を大きく越えた360°×360°目眩く撮影と、静寂を巧みに交えた音
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

3.9

米国Civil Warの2年前。奴隷制が当然の南部。Black Panther(2018)を前に、黒人ヒーローはここで誕生していた。
人類史上の悪を前に、Q.Tarantino独特の過激なシーンに胸が
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ミッション(1986年製作の映画)

3.4

あまりにHopelessな、18世期の南米原住民とイエズス会の実話を基にした力作。大自然の中、地面を這いずり濁流に飲み込まれるシーンが印象的。異国での殉教としてM.Scorsese「沈黙 -サイレンス>>続きを読む

星に想いを(1994年製作の映画)

3.4

1950年代を舞台に、アインシュタインと三人の仲間の科学者が、若い自動車整備士のロマンスをサポートしようとおちゃめに奮闘するコメディ。
この”Boys”が主役の二人に負けず魅力的。米ソ宇宙開発競争にも
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