KentFさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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パリに見出されたピアニスト(2018年製作の映画)

3.4

“Good Will Hunting”に通ずる作品だが、進退伺に追い詰められ、聖人のような教育者でないあたりが人間味溢れる。フランス的とも言えようか。
仏現代社会の頻出トピックである郊外の低所得家庭を
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パパは奮闘中!(2018年製作の映画)

3.4

職場も家族も守れない。闘争(Bataille)に満ち溢れたこの薄暗い社会。同僚も、妻も子どもも、妹も自分も、上司でさえも。

“物語は必ずハッピーエンド”
家出(Fugue)した彼女の言葉が虚しく響く
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

4.0

顔に重傷を負った帰還兵“Gueules cassées”を、これほどの尊厳と気品をもって蘇らせた功績は計り知れない。あの大戦で露と消えた多数の絵描きの弔いとも言える。仮面を始めとした美術が実に鮮やか。>>続きを読む

12か月の未来図(2017年製作の映画)

3.7

“向き合えばうまくいく、子どもは変わることができる”、そんな理想の下に組み立てられた教育モノの部類には入るが、色濃く現実的。一方で、深刻すぎることなく、適度なユーモアとロマンスを交えて仏映画らしい。>>続きを読む

負け犬の美学(2017年製作の映画)

3.7

ボクサーがテーマ、には思えない。主人公はその肩書き以上に、フランスの低所得家庭を体現する。
13勝3分33敗。大きく負け越した人生。貴重な勝ち数も不吉にみえる。家族のための見切りまであと一歩。
共済組
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マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)

3.4

ボルドー色に身を包み、風変わりな挑戦を始める他所者に投げつけられる偏屈な視線。彼女はめげない、本への情熱を胸に抱き。
そして意思は小さな手に受け継がれていく。偉大で勇敢な先駆者に対するオマージュ。荒涼
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SPY/スパイ(2015年製作の映画)

3.5

人気ジャンルへのアイロニーを笑いにかえたパロディかと思いきや、意外に王道のスパイ映画。
コメディアンの新境地。Melissa McCarthyの魅力そのままに、見たことのない諜報とアクションが炸裂。

プリデスティネーション(2014年製作の映画)

3.7

驚きがもたらす快感。
流れる時間が突如乱れる興奮。
Christopher Nolanに通ずる、不思議な違和感が解けていく感覚。
翻弄し、翻弄され、立ち尽くす。Ethan Hawkeだからこそ表現でき
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未来を乗り換えた男(2018年製作の映画)

3.4

ファシズム、迫害と亡命、検挙。どれも過去の遺物ではない。世界のどこかで絶えず渦巻き、たとえ平和でも危機は常に潜む。希望のち絶望、時々希望。世界はこうも変わらない。

ラスト・オブ・モヒカン(1992年製作の映画)

3.2

1757年、もののけ姫の世界を彷彿とさせる霧に包まれた山奥の世界。原住民の野蛮さが際立ち、災厄の元凶であるはずの海の彼方からやってきた侵略者たちには情すら感じる設定。
歴史映画とは言い難い。
歴史のテ
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マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

3.0

ああしたい、こうしたい、想いと欲が渦巻く社会。カオス、混沌。一貫性を欠くも、きらきら光る物語が散りばめられている、異文化大都市。

ロッキー(1976年製作の映画)

3.8

アインシュタインにベートーヴェン、ヘレンケラー。障害を乗り越え偉業を成し遂げた努力と意志の系譜。
I was nothing.
一人では強くなれない。支えを得て、あの人がいるゴールまで走り続ける。

真実(2019年製作の映画)

4.1

私は女優。仕事に生き、闘ってきた。本当のことは話さない。私の自伝、何を書こうと自由。
第一、真実なんて面白くない。

時と空間が不思議に交差するパリの冬。
ミステリアスで魔法すら使えそうなベテラン女優
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

3.7

曇った窓ガラス越しに外を見るように、血で充満した頭と目からは周りの世界が霞んで見える。
只々、愛娘への想いを抱いて、盲目に突き進む。全てはあの子の生命と安全のため。子を思う親の気持ちに胸を打たれそうに
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アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

3.7

純愛かストーカーか、高いプライドを身に纏って盲目に突き進む。高名な作家を父に持つ困ったお嬢様の恋物語。
…に見えるよう仕立て上げたヌーヴェルバーグの巨匠と、新進気鋭のIsabelle Adjaniの乱
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.8

一度きりの人生、上を向いて歩こう、一緒に。
カラーテレビを心配しながらローンで購入するような慎ましい夫婦。突然のリストラと、勤務先の閉店が続く。世知辛い世の中にあって、手を差し伸べてくれるのは心優しい
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ドライヴ(2011年製作の映画)

3.6

ドライビング技術だけではない。先を見通したスマートな判断がキラリと光る。スピード狂なレーシング映画とは一線を画す。
内面も周りとの関係も繊細。熱い恋愛ではなくプラトニックな距離感。光り輝く一瞬の至福に
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レオン(1994年製作の映画)

4.0

映画と植物好き、几帳面にアイロンをかける風変わりだが最強の殺し屋。アパートのドアを泣きながらノックする孤独な少女を受け入れて、戸惑いながらも少しずつ打ち解けていく。
フランス人監督Luc Besson
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.5

The Postの存在意義を問いかける。真実を追い求める、ある種の宝探し。印刷技術は秘境に隠された機械仕掛けのよう。Steven Spielbergらしさが、実話を元にした社会派作品に見え隠れする。巨>>続きを読む

メリー・ポピンズ リターンズ(2018年製作の映画)

3.6

Ridiculousな世界で、Ridiculousに前を向いて生きていく20世紀のファンタジーが帰ってきた。歌と踊り、アニメーションは健在。クールになったMary Poppinsもわるくない。むしろ、>>続きを読む

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

4.3

ガラスで隔てられた向こうの世界に羽ばたいてゆく単なるサクセストーリーではない。
傷つくのを恐れ、周りを傷つけ、捨てられる不安を抱えて隠れようとする天才は、自分の力で解いていく。親友に優しく背中を押され
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タッカー(1988年製作の映画)

4.0

エジソンやライト兄弟、フォードに憧れたクレイジーなドリーマーが高らかに訴える。トライした、失敗した、だがIdiotであることは違法ではない!
物語の舞台は、安全より利益優先の自動車産業。しかし1940
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プレステージ(2006年製作の映画)

3.5

人を困惑させて魅了するマジック、時空を自在に操るかのようなイリュージョン。
まさに奇才Christopher Nolanの哲学や真髄を表した作品。突拍子もないアイディアが詰まったこの作品自体がマジック
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

3.2

無感情な四人の物語。根底にある問題意識は是枝裕和に通ずる。
いつだって時代が子供が変える。
大人なりたくねえ、としがみついて今を生きる。
こんな世界。不協和音と棒読みすらもそんな世界に合っている。

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

3.7

異世界の魅力がぎっしり詰まった第三作。逞しさと頼もしさを増し救世主の風格を備えたルークと、因縁の相手ダースベイダーの対峙を軸としながら、ジャバとその手下たちが暗躍し、低身長で小柄な体躯のクマのようなイ>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

3.9

デス・スターを破壊したあとの宇宙。前作での脅威はもっぱら帝国軍だったが、その後退を暗示するかのように、冒頭から雄大な自然そのものと、獰猛な生物と対峙する。創造的なコスモ世界を存分に堪能する。
更にこの
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命みじかし、恋せよ乙女(2019年製作の映画)

3.8

現世とあの世、南ドイツと日本。二本の軸が交差する場所で出会う、活力を失った男と不思議な少女の物語。

妖怪や幽霊。“境”に佇む霊的なものに惹かれて惑わされながら、僕らは生きている。道標となってくれるの
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パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

4.0

男同士、どちらも親父はろくでなし。
外の世界へ夢中に逃げ出す男と、
内の世界に逆らわず留まる少年。
親父が好きだったフォードに乗って、現在から前へ前へ。
“アホな理想”を求めて生きていく似たもの同士の
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運び屋(2018年製作の映画)

3.8

仕事での生き甲斐を、家族よりも優先してきた、居場所がわからない自由な爺さん。朝鮮戦争に行ったという勲章を胸に秘めるも見た目は実に弱々しい。巨匠自らその役を演じた意味は自ずと見えてくる。

今日も勝手な
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.2

逃げた鶏と同じ。声が届かない小屋に戻されるだけ。自由を得れば過酷な現実に直面すると憐れまれながら。オープニングロール直後の暗い一軒の家周り、そこが彼らの生きる世界。
時代遅れの労働搾取。21世紀は人権
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恋愛日記(1977年製作の映画)

3.3

男はいない。女だけ。
女以外には何もない、ある浮気者、好色漢、いや女を好きだった男の話。

「髪結いの亭主 Le Mari de la coiffeuse」(Patrice Leconte)に通ずる、
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ムーラン・ルージュ(2001年製作の映画)

4.1

夜の籠の中で美しく歌う、ある妖艶な鳥の物語。古いようで新しい。現代に蘇る19世紀末の熱気。
NYやロンドンを舞台にしても描けるかもしれない。しかしベルエポックのムーランルージュであるからこその自由と混
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プロヴァンス物語/マルセルのお城(1990年製作の映画)

3.5

南仏の田舎に魅了された秀才Marcel Pagnolの成長の物語。
恋の時代。« Tout »と発する20世紀初頭の裕福な少女は、黒人従僕を従え、バッタを食べさせる。
絵本のような懐古の風景に、子ども
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プロヴァンス物語 マルセルの夏(1990年製作の映画)

3.8

19世紀の風景画が連なるような、美しいプロヴァンスの自然を堪能する。その自然に溶け込んだ人々、セミと蝶、ペタンク。南仏の田舎に魅了された秀才Marcel Pagnolの誕生と出会いの物語。
古き良き少
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

3.5

飛ぶ鳥を落とす勢いのベンチャー企業。現代の働き方や価値観を賛歌しつつも、これでいいのかと皮肉を交える。艶美なAnne Hathawayも不安定さを醸し出す。そこを埋めるように、動じない整のったRobe>>続きを読む

パピヨン(2017年製作の映画)

3.4

20世紀初頭のフランス囚人がおかれた処遇に問題意識を向けさせる構成。しかし本質は善悪ではない。時代は異なり、囚人に人生を狂わされた人もいた中で、人権侵害というのはきれいごとすぎる。
苦しい環境にいて、
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