とんでもない戦争映画。否、そのジャンルにとどめていいのかも困惑させられる。空間と異次元の魔術師Christopher Nolanの真髄を見た。「あらすじ」からでは到底伝わらない。
場所も長さも異なる三>>続きを読む
未明のパリ、薄暗い一室。スウェーデン外交官の静かなるも熱き声が、苛立ちほとばしるドイツ人将校の冷たき声とぶつかり合う。華の都は破壊すべきか守るべきか。
次第に夜が明け、面するチュイルリー公園も姿を現>>続きを読む
Jon Favreauの、Jon Favreauによる、Scarlett Johanssonのための映画。
…と思い違うくらい、彼女の用い方と演出が秀逸。僅かな時間で些細な役ながら、いやだからこそか。>>続きを読む
戦争を仕掛けたのはどっちだー。
霧の中冗談も言いながら迷い込むボスニアの兵士たち。敵襲にあい塹壕に陥ったチキは死の危険に怯える。ここまではよくあるタイプの戦争映画だが、敵国セルビアの新兵との遭遇によ>>続きを読む
前作からの高まる期待に、まずはひねりと、広がる雄大な自然でこたえる。
知り尽くした敵と、信頼できる仲間。定番の設定なるも、第二作目の監督John Wooの色が濃く出たアクションとスリルが見応えを増幅。>>続きを読む
フレンチ俳優陣を率いて、科学技術と機転と強さをフル回転して、絶妙のチームワークで繰り広げる、人気シリーズの第一弾。
だまし、だまされ、ハッタリとトリックに塗れた大どんでん返しへの期待はここから始まる。>>続きを読む
無駄に美しい風景で繰り広げられる、西部劇への最高のアイロニー。強き男と野望が荒れ狂う、John Wayneに代表される、坂の上の時代。そこに口ばかり達者なオタクがいたら世界はどう見えるのか。「テッド」>>続きを読む
昼ドラさながらの愛憎の物語。歴史の表舞台で葬り去られた野望高きアン・ブーリンを、目立たずとも肝となる妹メアリー・ブーリンと共に描いた史実を基にした歴史フィクション。世継ぎをめぐる王の苛立ち、アンの焦り>>続きを読む
前二作のS.Spielbergの手から離れて、空高く舞い上がった90年代を代表するサイエンス・バイオロジカルフィクション。前作で名監督(今回は製作総指揮)のフィロゾフィー故に皮肉にもすぼんだ印象だった>>続きを読む
“中”の大事な部分を丹精込めてつくっていく。光にあふれるこの世界。水や地の恵みへの讃歌。尊い四季の移ろい。
河瀬直美という監督は、私たちが自然と共生していることを思い出させてくれる。
社会的問題が主と>>続きを読む
長く苦しい法廷闘争。
対するはSocial death。
助けを得つつ、闘病し闘争する同性愛者の弁護士を若きTom Hanksが熱演。人権を象徴するフィラデルフィアの地で、法廷を越えた社会の偏見と対>>続きを読む
セピアで彩る20世期初頭、米国に辿り着いたあるポーランド人移民の物語。濁流のような見知らぬ大陸の流れに翻弄され、自身では抗う術もなく、眼前の藁に縋るしかない境遇。
支えとなるのは島に幽閉された妹への想>>続きを読む
作品、それはフィクションに限らず形態に捉われず、生みの喜びと共に想いがつまった自分の一部。まさに家族、家族をめぐる二つの物語。
怒りと喜びが対照的な、時代と場所を隔てた二つの物語は、絶妙にシンクロし始>>続きを読む
英国生まれ、米国育ちのエールに満ち溢れた讃歌のファンタジー。
耳と心に残る音楽と、らしさ満開のアニメーションと共に、明るく美人でミステリアスなナニーが織りなす世界が弾ける。
空を見上げて口ずさみながら>>続きを読む
人種問題を“描く”という言葉では足りない、核心をついた傑作。George Floyd騒乱もこの表層。暴力とヘイトの悪循環の渦の中で「何がRightか」強く問う。
ある蒸し暑い一日の話。
平和な日中の>>続きを読む
ロシアの中枢やドバイの高層での派手なアクションに加えて、お馴染みハイテク機器、咄嗟の機転など知的なスリルと刺激を生む。味方との連携も、思い通りにいかないもどかしさと併せて、魅力的。
映画という時間の限られた世界を、一言やワンシーンにメッセージを込めて、緻密に作り上げた巨匠に感服。多くの“不完全”と”矛盾“、“理不尽”を抱えて見事にまとまった作品。
表面的には死刑制度が主題だが、>>続きを読む
パルプフィクション、三文話、くだらない話の料理を堪能する。シェフは若き鬼才Quentin Tarantino。
豪勢な食材より、日常に近い出来事を切り並べ繋ぎ合わせる。たわいもなく続く会話、ダンスや日>>続きを読む
少女役を務めたHailee Steinfeldの表現がかざらず、のびのびとしていて清々しい。復讐の念に駆られながらも、瑞々しさを残しつつ、人を殺すことの意味を知る旅にでる。人誅を果たしたのち降りかかる>>続きを読む
美術品を守るため、モダンソサエティを守るために、戦場に向かう年配の美術専門家。
George Clooneyが監督を兼ねるゆえ、彼が劇中で発する言葉から伝えたいメッセージがよくわかる。戦時中の隠れた問>>続きを読む
由緒ある大会に、正統に選ばれた年長者にまじり参加することになり、いわば“蛇足”として扱われるHarry Potter。前作までの同年代が中心だった世界から、少し背伸びをし大人の階段を急いで登っていくよ>>続きを読む
濃淡のコントラストが美しい。レンブラントの絵画を彷彿とさせるよう。川の流れのような滑らかなカメラワークと、心地よいサウンドとあわさって、魔法使いたちが幼さを残しつつも大人っぽく躍動する。まさにAlfo>>続きを読む
のどかな田園と邸宅に不思議なノスタルジーを感じたかと思えば、華やかな社交界のステップに心乱される。
夜会の喧騒を表現するのに、足下のリズムを写し続けることがいかに巧妙か。緩急ある展開がまさに狂騒の20>>続きを読む
原作小説を映像化するにあたりA.Hitchcockが選んだのは、“主人公と共に部屋から出ない”視点。
暑苦しい季節、やるせなく窓の外を眺める。暑さ故に開放的な向かいの住民らを覗く快感が増してゆく、と同>>続きを読む
何気ない日常。
穏やかな家庭。
異様な一夜がごく自然に溶け込み、狂気と人間性とが交錯する異様な世界。そのバランスも脆く崩れ、外圧に良心は駆逐され、家族の絆に亀裂を生む。
余りに現実離れしており安心し>>続きを読む
送り出して、見送る決意。
自責に堪え、辛苦を忍ぶ。
My dutyを果たすために。
“生き残ってしまった”想いに駆られる祖父の代の独特の境遇が思い出される。
感染が猛威をふるう今、「家にいること」が>>続きを読む
“異質”な自分を歓迎する視線と身振り。お決まりの警戒も迫害もなく和やかに時は過ぎ、家族の前で繋ぐ手もどこか浮いてしまう、善意に塗りたぐられたコミュニティ。リアリティを切り取ることを生業とするカメラマン>>続きを読む
彼の実際の作品を基点とした、煌くアニメーション。画家の悲劇の最期までの謎を、美術館にて絵画を楽しむように、落ちついて穏やかにたどってゆく。
ロビイストは語る。
Flexibilityが大事。まずは吸うことにサンキューと言おう。
固定観念や善悪の倫理観を問い直す、“憎まれ者”たちの代弁者。
“I talk. Everyone has a >>続きを読む
この世をみる心。
T.Burtonが映画を通して作り出す世界はいつも、まさに父ブルームの昔話のよう。奇妙なはずの人物や冒険が、当たり前のように溶け込んだ世界。
それを観ている多くの人の感覚は、息子ブ>>続きを読む
太陽があるから影がある。眩しい輝きから隠れるようにそこに佇む。自分自身も太陽であることに気づかずに。
月に行くことを夢見る理科が得意な少年をスタートとした、異なる太陽をもった「君」たちの群像劇。
子どもたちがスクリーンいっぱいに躍動する。
ろくでもない大人を出し抜き、心優しい大人に支えられながら奮闘する様子はまさにHome Alone。大きな世界で小さな体から迸る発想と勇気はまさにC.Colu>>続きを読む
この子たちを育てるために、
寄添うあの人を支えるために、
そして自分が立続けるために、
今日も働く。働いて働いて。
1970年前後の大阪の片隅で、人と人とが酌み交わし、熱く重なり、静かに支え合う。ど>>続きを読む
背筋を伸ばし、立ち向かう。
母を支え、弱きものを救う。
それが強さ。
この隆々とした筋肉を奮い立たせ、智略をめぐらし黙々と。
落ち着け、俺は、やれる。
このどうしようもない世界にも一縷の光はきっと差し>>続きを読む
荒れ狂う嵐の中、予期せず集う人々。見た目も雰囲気もばらばら、まさに異なるアイデンティティに降りかかる恐怖の幕開け。理不尽と不可解がモーテルの不気味さを増幅する。
整然とした静寂な世界への突然の切り替わ>>続きを読む
現実世界と背中合わせの特異な世界。奇妙に異なり、絶妙にシンクロするTim Burtonワールドは本作ではまだ片鱗のみ。それでも二つの世界を軽やかに行き来するコウモリとの経験が壮大なワールドをここから洗>>続きを読む