1966年。アルジェリア独立戦争終結と1968年5月革命の狭間の時代、フレンチ・ナショナリズムが大きく揺らぐ時代に製作された、反乱の美談。
パリ“解放”は受動的な歴史ではなく、レジスタンスが勝ち取った>>続きを読む
神話、特に悲劇的なそれは、人間の言いようのない恐れや妄想が昇華されたもの。その主役たる神々は、喜怒哀楽、人間的な部分を強く示し躍動する。
現代人間社会に落とし込まれた神秘の物語。したがって当然”説明>>続きを読む
厳格な信仰中心の社会に生きる人々を、文字通り“足元”から描き出した意欲作。サウジアラビアに生きる少女のおしゃれやこだわり、女性が重苦しい漆黒のベールの下に隠す美しい素顔など、同国の女性監督ならではの視>>続きを読む
凍てつく北方僻地への過酷な逃避行。そうせざるを得なかったネイティブアメリカンの負の歴史。入植者は言うだろう、虐殺はなかった、奴らは自然に死んでいったんだ、と。
作中で敢えて選ばれた「死に方」には、“建>>続きを読む
「一生愛されない人生」と悲観的に振り返りながら、「ロックな生き方」とノスタルジックに振り返りながら、成功も挫折も昇華させて、また前を向いて歩いて行こうとする自伝的エンターテイメント。文字通り、Osca>>続きを読む
「時間」の描き方に息を呑む。
観ている側に想いを巡らす贅沢な間を与えてくれる長尺カット。監督も演者も相当の度胸と覚悟がいる。特にRooney Maraの食事シーンは圧巻。昨今の目まぐるしく視点が変わる>>続きを読む
相反する異質なものというより、コインの表と裏のように共鳴する。よって標題は、vsでなくスラッシュが合う。
それでいて各々が抱える苦悩の描写は秀逸。高みから落ちる恐怖に抗い孤独な闘いを続ける王者の若かり>>続きを読む
映画という世界は、いかに善悪の観念を問い直すか、に醍醐味がある。マフィアやヤクザの世界然り、この類稀な“ナンバー2”についても、前半のアメリカンドリームが憎らしいほど魅せる。
“What I beli>>続きを読む
野望と葛藤を抱えた米国地方の若者の冒険譚。「若気の至り」として片付けられたであろう“A True Story”を、本人へのインタビューを交えて蘇らせ編纂した意欲作。
いわば結末がわかっている、冒険の張>>続きを読む
名監督のフィロゾフィーが詰め込まれた第二作。この神聖なる太古の生命に手を出す人類への痛烈なしっぺ返し。
皮肉にも、前作の壮大さがすぼんだ印象は否めないが、後悔はないと信じたい。
天才監督の傑出した世界観の一つ。異形の恐怖は映画のお気に入りの対象だが、エイリアンやゾンビなどと異なるのは、彼らは倒すべき“敵”として描かれていないこと。むしろ、エイリアンは人間の方。壮大な世界を呼び>>続きを読む
とんでもない戦争映画。否、そのジャンルにとどめていいのかも困惑させられる。空間と異次元の魔術師Christopher Nolanの真髄を見た。「あらすじ」からでは到底伝わらない。
場所も長さも異なる三>>続きを読む
未明のパリ、薄暗い一室。スウェーデン外交官の静かなるも熱き声が、苛立ちほとばしるドイツ人将校の冷たき声とぶつかり合う。華の都は破壊すべきか守るべきか。
次第に夜が明け、面するチュイルリー公園も姿を現>>続きを読む
Jon Favreauの、Jon Favreauによる、Scarlett Johanssonのための映画。
…と思い違うくらい、彼女の用い方と演出が秀逸。僅かな時間で些細な役ながら、いやだからこそか。>>続きを読む
戦争を仕掛けたのはどっちだー。
霧の中冗談も言いながら迷い込むボスニアの兵士たち。敵襲にあい塹壕に陥ったチキは死の危険に怯える。ここまではよくあるタイプの戦争映画だが、敵国セルビアの新兵との遭遇によ>>続きを読む
前作からの高まる期待に、まずはひねりと、広がる雄大な自然でこたえる。
知り尽くした敵と、信頼できる仲間。定番の設定なるも、第二作目の監督John Wooの色が濃く出たアクションとスリルが見応えを増幅。>>続きを読む
フレンチ俳優陣を率いて、科学技術と機転と強さをフル回転して、絶妙のチームワークで繰り広げる、人気シリーズの第一弾。
だまし、だまされ、ハッタリとトリックに塗れた大どんでん返しへの期待はここから始まる。>>続きを読む
無駄に美しい風景で繰り広げられる、西部劇への最高のアイロニー。強き男と野望が荒れ狂う、John Wayneに代表される、坂の上の時代。そこに口ばかり達者なオタクがいたら世界はどう見えるのか。「テッド」>>続きを読む
昼ドラさながらの愛憎の物語。歴史の表舞台で葬り去られた野望高きアン・ブーリンを、目立たずとも肝となる妹メアリー・ブーリンと共に描いた史実を基にした歴史フィクション。世継ぎをめぐる王の苛立ち、アンの焦り>>続きを読む
前二作のS.Spielbergの手から離れて、空高く舞い上がった90年代を代表するサイエンス・バイオロジカルフィクション。前作で名監督(今回は製作総指揮)のフィロゾフィー故に皮肉にもすぼんだ印象だった>>続きを読む
“中”の大事な部分を丹精込めてつくっていく。光にあふれるこの世界。水や地の恵みへの讃歌。尊い四季の移ろい。
河瀬直美という監督は、私たちが自然と共生していることを思い出させてくれる。
社会的問題が主と>>続きを読む
長く苦しい法廷闘争。
対するはSocial death。
助けを得つつ、闘病し闘争する同性愛者の弁護士を若きTom Hanksが熱演。人権を象徴するフィラデルフィアの地で、法廷を越えた社会の偏見と対>>続きを読む
セピアで彩る20世期初頭、米国に辿り着いたあるポーランド人移民の物語。濁流のような見知らぬ大陸の流れに翻弄され、自身では抗う術もなく、眼前の藁に縋るしかない境遇。
支えとなるのは島に幽閉された妹への想>>続きを読む
作品、それはフィクションに限らず形態に捉われず、生みの喜びと共に想いがつまった自分の一部。まさに家族、家族をめぐる二つの物語。
怒りと喜びが対照的な、時代と場所を隔てた二つの物語は、絶妙にシンクロし始>>続きを読む
英国生まれ、米国育ちのエールに満ち溢れた讃歌のファンタジー。
耳と心に残る音楽と、らしさ満開のアニメーションと共に、明るく美人でミステリアスなナニーが織りなす世界が弾ける。
空を見上げて口ずさみながら>>続きを読む
人種問題を“描く”という言葉では足りない、核心をついた傑作。George Floyd騒乱もこの表層。暴力とヘイトの悪循環の渦の中で「何がRightか」強く問う。
ある蒸し暑い一日の話。
平和な日中の>>続きを読む
ロシアの中枢やドバイの高層での派手なアクションに加えて、お馴染みハイテク機器、咄嗟の機転など知的なスリルと刺激を生む。味方との連携も、思い通りにいかないもどかしさと併せて、魅力的。
映画という時間の限られた世界を、一言やワンシーンにメッセージを込めて、緻密に作り上げた巨匠に感服。多くの“不完全”と”矛盾“、“理不尽”を抱えて見事にまとまった作品。
表面的には死刑制度が主題だが、>>続きを読む
パルプフィクション、三文話、くだらない話の料理を堪能する。シェフは若き鬼才Quentin Tarantino。
豪勢な食材より、日常に近い出来事を切り並べ繋ぎ合わせる。たわいもなく続く会話、ダンスや日>>続きを読む
少女役を務めたHailee Steinfeldの表現がかざらず、のびのびとしていて清々しい。復讐の念に駆られながらも、瑞々しさを残しつつ、人を殺すことの意味を知る旅にでる。人誅を果たしたのち降りかかる>>続きを読む
美術品を守るため、モダンソサエティを守るために、戦場に向かう年配の美術専門家。
George Clooneyが監督を兼ねるゆえ、彼が劇中で発する言葉から伝えたいメッセージがよくわかる。戦時中の隠れた問>>続きを読む
由緒ある大会に、正統に選ばれた年長者にまじり参加することになり、いわば“蛇足”として扱われるHarry Potter。前作までの同年代が中心だった世界から、少し背伸びをし大人の階段を急いで登っていくよ>>続きを読む
濃淡のコントラストが美しい。レンブラントの絵画を彷彿とさせるよう。川の流れのような滑らかなカメラワークと、心地よいサウンドとあわさって、魔法使いたちが幼さを残しつつも大人っぽく躍動する。まさにAlfo>>続きを読む
のどかな田園と邸宅に不思議なノスタルジーを感じたかと思えば、華やかな社交界のステップに心乱される。
夜会の喧騒を表現するのに、足下のリズムを写し続けることがいかに巧妙か。緩急ある展開がまさに狂騒の20>>続きを読む
原作小説を映像化するにあたりA.Hitchcockが選んだのは、“主人公と共に部屋から出ない”視点。
暑苦しい季節、やるせなく窓の外を眺める。暑さ故に開放的な向かいの住民らを覗く快感が増してゆく、と同>>続きを読む
何気ない日常。
穏やかな家庭。
異様な一夜がごく自然に溶け込み、狂気と人間性とが交錯する異様な世界。そのバランスも脆く崩れ、外圧に良心は駆逐され、家族の絆に亀裂を生む。
余りに現実離れしており安心し>>続きを読む