KentFさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

KentF

KentF

映画(681)
ドラマ(0)
アニメ(0)

レナードの朝(1990年製作の映画)

4.2

ポーラとの食堂での時間。コーヒーでもと誘う助手との距離。添えられた挿話が実話を引き立てる。
“Excuse me”と“Sorry”が似合う稀有な役者R.Williams。卑屈なわけでなく、むしろ主流に
>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.6

几帳面なPatersonのルーティン。穏やかなPatersonで交わされる会話の数々。原題通りの邦題に共感。何気ない街の何気ない日常に流れる、詩的な雰囲気。
異なるけど似ていて、似てるけど異なる。
>>続きを読む

アルゴ(2012年製作の映画)

4.1

イランと米国の関係が急速に悪化する今、この作品を観たあと、ある人はイランへの恐怖と敵対心を募らせるだろうし、またある人はペルシアの人々の尊厳に想いを馳せるかもしれない。
特に声明を読み上げる女性や、市
>>続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

3.8

「クズ」という言葉が並べば並ぶ程、この作品の価値が証明されていく気がする。触れたくない、見たくない部分を描き出し、主演の鮮やかな表現がそこに見事に光を当てるから、露わな愚劣に途方にくれる。嫌悪し、怒り>>続きを読む

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.2

ぎこちないファミリー。威信が揺らぐ。観ている側は、そしてMichaelも、ある想いがよぎる。
ー 彼はどうしてきたのか。
救いを求めて、Vito Corleoneの家族譚を追う。栄光の上り坂に居心地の
>>続きを読む

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.4

抑制の効いた、最初の約30分がたまらない。身の毛もよだつ話は飛び交うが暴力的な映像は一切なく、それどころか陽気で華麗な結婚式が、却ってスリルを掻き立てる。
優雅で情緒に溢れつつも、怒哀渦巻く、カウンタ
>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.8

使命感をもって、俳優のHumanityとVulnerabilityを引き出し、声なき人々を描き出す、Ken Loachの集大成。

ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生(2016年製作の映画)

-

救いのない人々、声なき人々へのシンパシーと使命感に燃え、俳優の演技力でなく資質を重視してHumanityを引き出す。

「多くの俳優は自分を守り何かを表現するための技術を磨こうとする。大事なのは本来彼
>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.9

“未知の生物と清掃員の恋”という十分耳目を集めるテーマ。そこから監督は何故、主人公に「声」を失わせ、舞台を1960年代に位置付けたのか。
露わな生と性。彼女たちだけ、静寂な水の中に常に存在しているかの
>>続きを読む

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)

3.5

亡き祖父が好きだったという作品。モノトーンの中にウェールズ炭鉱の緑を想像しながら。
昔日の活気への郷愁をかりたてるゆえ、恐慌とニューディールを経て大戦の最中にある1941年には特に、強い光を放ったのだ
>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.6

言葉に詰まる場面で、そっと歌が始まり、セリフにはできない“想い”を曲に乗せる。ミュージカル映画の魅力。
「Sing/シング」と続けて鑑賞しなくても、二つの作品の類似性に気づく。満たされない思いを抱えた
>>続きを読む

SING/シング(2016年製作の映画)

3.7

擬人化されたアニマルワールドの中では、登場人物のキャラクターがその見た目等からもわかりやすい。同時に、そんな明瞭な違いが存在しないかのようなファンタジーを作り上げる。
特に、歌うことを通じて垣根を取り
>>続きを読む

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命(2017年製作の映画)

3.0

無垢な動物たち降りかかる戦禍に始まり、ナチスからユダヤ人を救う美談へ。
緊張と弛緩。危うさの同居する元動物園の養豚場には、時折優しい音色が響き、愛くるしい小動物が姿を見せる。
ベッドルームのシーンは夫
>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.6

ジェンダーやRace、腐敗政治に銃社会。冒頭真っ直ぐ語りかけるJ.Chastainは、多様なチームを率い、旧態依然の男性議員を笑い飛ばす、中華料理店の常連。痛快な展開だが、痛切な問題意識が基盤。原題ど>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.5

運命の列車に乗った三人の若者を、またその列車に乗せて、「英雄伝」に至るまでをリアルに描き出そうとする意欲作。
この試みゆえ、監督の欧州への羨望のようにすら映るベネチア等のシーンが、英雄達へのオマージュ
>>続きを読む

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

3.9

平凡な離婚話に終わらない。仕事と家庭、人生の意味、ジェンダー、親子の絆、愛情ゆえの狂気。普遍な主題に同居する、D.HoffmanとM.Streepの特異性。
女性は名前をつぶやき、突然の別れが始まる、
>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.4

南欧の日差しに誘われたかのように、異なるものが集まり共存する時間。カトリックの国のユダヤ系家族は、英仏伊の言語が飛び交う中で、食卓を囲み、abricotの語源に微笑み、知性と欲求が交錯する。
映像に、
>>続きを読む

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)

3.0

Time and talentを捧げて。
出来上がった作品は、最初に思い描いていたシナリオとは大きく異なるかもしれない。
葛藤と苦悩の中で、周りの人々、B.Nighy、双子姉妹に米国人、情報局の人々、
>>続きを読む

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)

2.8

主題は黒人青年のはずだが、あくまで白人社会の視点から描かれ、黒人は下劣で危険、救うべき存在。優しくも哀れを誘う眼差しのマイケルと、S.Bullock演じる金持ち博愛白人女性のするどく強い眼光。スポーツ>>続きを読む

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.8

女性に対するひとつの賛歌。
巧妙であり、かつ乱雑なシーンの切り取りと組み替え。
わかりにくくして判然としないところがまたいい。観終わって、いろんなシーンが蘇るがよく繋がっていない。でも現実ってそういう
>>続きを読む

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

3.5

様々な音楽を聴くのを楽しみながら。セリフも制限して映像で語りかけてくる。
長尺のカメラワークに引き込まれる。螺旋階段や踊りのシーンの回転は、目まぐるしい人生の動転を表すかのよう。

ブラックパンサー(2018年製作の映画)

4.2

“ヒーローもの”の枠を遥かに超えた社会派作品。大地の中から生まれる王は、強き賢い女性達に支えられ、難民流入に悩み、黒人の解放を訴えられて、内戦と分割に直面する。夢と希望のワカンダを描くだけでなく、その>>続きを読む

去年の冬、きみと別れ(2018年製作の映画)

3.0

冒頭の点字書簡をしたためるシーンに引き込まれる。
音が効果的。次の展開に誘う。

ベイブ/都会へ行く(1998年製作の映画)

3.7

世知辛い都市に隠れるサンクチュアリ。前作の農場とは設定が異なっても、ちがう視点から動物いっぱいの世界を描く。
礼儀正しいこぶたと早口マダム、“ノブレス”アヒルの冒険。ひとりぼっちを乗り越えていく。

シザーハンズ(1990年製作の映画)

4.0

夢を見ているよう。ファンタジーをすっと受け入れてしまう変わった現実世界。
天賦の才がある人気者が、それ故に、次第に世間から疎まれていくことの暗喩でもあるよう。
エドの目が美しい。

新しい人生のはじめかた(2008年製作の映画)

3.0

英国で起こる、みじめな“KY”米国男のロンドンマジック。D.Hoffmanが醸し出す、みじめさの中でも真っ直ぐな強さ。
ハグさえ躊躇うほど心閉ざした母親と、隣人とのサイドストーリーも彩りを添える。

ダウンサイズ(2017年製作の映画)

3.4

人口増加や環境破壊への危機意識が監督を突き動かした意味深なサイエンスフィクション。テクノロジー、カルト、選挙権、情けない男、生き方の選択。散りばめられた現実的な要素によって、将来起こりうるんじゃないか>>続きを読む

パディントン(2014年製作の映画)

3.2

ロンドンの街並みとユーモア、そして礼儀。国内向け、子ども向けはもちろん、英国の“良さ”を世界に向けて発信するのに適した作品。
冒頭は、移民を少し連想させ、“寛容な社会”をアピールしているかのよう。

ダウンレンジ(2017年製作の映画)

2.6

理由がわからない、何が起こっているかわからない恐怖が一番怖い。
理不尽。
それを極限まで高めて表現した作品。

フル・モンティ(1997年製作の映画)

3.6

ひと肌ぬぐ一夜。失業や家庭問題に効く特効薬はなくて当然。それでも一時の発散はあっていい。
作品の中の男たちも、この作品自体も、これでいい。自然と体が踊りだす。
六人の中の一人に希望を残したことがささや
>>続きを読む

インビジブル 暗殺の旋律を弾く女(2018年製作の映画)

2.4

ボスニアの悲劇、ロシア、盲目、暗殺者を組み合わせるだけで、一定のサスペンスができる。
カフェの前のバイオリン弾きが印象に残る。

聖なる嘘つき/その名はジェイコブ(1999年製作の映画)

3.8

屋根裏でのラジオの真似からのシーンが心に温かく残る。あのファンタジーを最後まで味わいたかった。
嘘は希望の灯火か、破滅への磁石か。屋根裏のちいさな秘密と相まって、Ghettoを大きく揺さぶっていく。冒
>>続きを読む

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

3.9

また、Maryに会いたくなる。隣人Robertaとの交流も心温まる。
時々、海や空の青さ、夕焼けの鮮やかさに惹きつけられながら。
片眼のフレッドが、Maryや周りの人々の不安定さをも表しているよう。

ベイブ(1995年製作の映画)

3.8

ときに映画の中で、飛行機に乗って空を飛んだり、レンガの家を作ったりするPig。「食用」という冷然な現実も描きつつ活躍する、新たなPigのファンタジー。
寡黙な主人が、そんな二つの相反する世界をうまく繋
>>続きを読む

コーヒーが冷めないうちに(2018年製作の映画)

2.4

4本のオムニバス。単なる並列ではなく、起承転結を成し、奇妙な設定の特徴を活かしている。但しテレビドラマでも十分。

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

2.0

自然体な大泉洋。小松菜奈のぎこちなさが際立つほどに。