KentFさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.8

余計なもののない、シンプルで研ぎ澄まされたストーリー。だからこそ、雄大な世界観がより輝きをもって魅了する。

ルークが酒場で見渡すシーン。同じように好奇心と警戒をもって異形の客を堪能する。

エピソー
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クィーン(2006年製作の映画)

3.2

国民的プリンセスのあの死の直前から、死後数日にわたる女王の葛藤のストーリー。時の宰相ブレアの立ち位置と共に、90年代の英国政治がわかる現代史的作品。

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.3

映画の真髄と可能性をまざまざと見せつけられた。90分に満たない白黒の世界で、鮮やかな光と闇をもって、多彩な音楽を織り交ぜて、いかに物語と美を表現するか。これこそ第七芸術。

映像美をじっくり堪能する至
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.5

理不尽で圧倒的な暴力。
近年の“売れる”戦闘物作品にはすべからくその要素がある。しかしそれも救世主たる主人公がいるからこそ成就する話。本作は、救いようのないスリルに包まれている。

一縷の光を当てるの
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麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)

4.1

兄弟が軸ではあるが、いわゆる主人公はいない。虐げられる社会が、集団自体が中心にあり、目撃する目線でドキュメンタリー風に進んでいく。闘う監督Ken Loachの真髄。

冒頭、スポーツという正々堂々とし
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キングダム(2019年製作の映画)

3.2

原作の漫画は、史実を基に、溢れんばかりの想像力と構想力をもって魅力的な人物を創り出し、壮大な物語を情と夢に満ちた言葉で紡いでいる。
そこには伝えたい想いがあって、表現者のフィロゾフィーとプライドを感じ
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.9

セクハラとパワハラの社会。
真っ直ぐ健気にもがく青年、宮本。死んだネズミや小鳥を運んでくる猫のよう。

こんなにシリアスで一生懸命で報われなくて残酷なのにクスリとしてしまう。極限の人生讃歌。
突き破れ
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.6

反社会集団をいかに魅力的に描くかは、映画の宿命と言っていい。その中心には、God Father以来、常に男性が君臨し、強さと野望で魅了してきた。本作は楔を打ち込む新時代の記念碑的価値がある。
白人に捉
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めまい(1958年製作の映画)

3.8

私たちは、自らの目と感覚を通して、世界を捉えている。
ひょっとしたら、もっとシンプルかもしれないし、複雑なのかもしれない。
知覚に情感が合わさって、時に眩暈すらおぼえる。そのまま立ちすくむか、負けじと
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サイコ(1960年製作の映画)

3.8

不条理な死。視界と思考の外から突如振り下ろされる理不尽な刃。流れる血は非情にシャワーの水が流していく。

殺害の核心を見せないスリル。刃、滴る血、踠く手など周辺のみ映されていく。
不可視が煽る恐怖。ま
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天気の子(2019年製作の映画)

3.8

混沌としたTokyoの酸いも甘いも瑞々しく描く。異常気象と気候変動に、10代の淡い恋と苦い現実が絡み合う。
東京タワーとスカイツリーが、天気に合わせるようにすっと姿を現す。こんな世界があってもいい。
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ライアンの娘(1970年製作の映画)

4.0

とある村の奔放なプリンセス。
ライアンさんとこの娘さんは、と噂する粗野な住民の声が聞こえてきそう。

不貞な若妻の話、で片付けるにはあまりに雄大なアイルランドの自然、時代の境目。

差し込む光ときらめ
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シャイニング(1980年製作の映画)

3.8

気が狂う。
この異常な環境のせいか。
孤独なおれは、わるくない。

几帳面な完璧主義者Stanley Kubrickの独特のローテンポと長回しが引き立てるスリル。意欲的なカメラチェイスで山脈の奇妙なラ
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

3.5

中世の階級社会で成り上がる。
欲望を秘めて、決闘にのぞみ、社交会に繰り出すBarry Lyndonの物語。

Stanley Kubrickの真髄ともいえる石橋を叩いて渡るような緻密で繊細なテンポ。淡
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ルイ14世の死(2016年製作の映画)

3.2

死。ルイ14世の死。
いわゆる歴史物語ではない。しかし死生観を掘り下げた純文学的作品にしては、主体が余りに有名な王の中の王。
絶妙なバランスの上に成り立つ、ルイ14世と死。

蝋燭の揺らめく光。伏し目
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ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション(2015年製作の映画)

3.6

力任せの殺し合い。
その奥にある権力闘争。

単なるバイオレンス作品には終わらない、女性の視点で描き切る、実にしなやかで本質をついた物語。

二人の男のあいだで揺れる、普通の女の子の、妹を守ることで始
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ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス(2014年製作の映画)

3.4

ゲームの続き。
大きな歴史のうねりの中で、弓が少し得意な若き女性にできること。
プロパガンダを振りかざすアイドルとなりて、戦意を高揚し、潮流を生み出す。
まさに現代のジャンヌダルク。

流血戦を制する
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はじまりのボーイミーツガール(2016年製作の映画)

3.7

心に穴の空いた整備士の父が語りかける、« Le regard, c’est le premier chapitre de l’histoire d’amour. »

それぞれの朝。少女マリーは朗らか
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ジュリアン(2017年製作の映画)

3.7

小刻みなオープニングロールと共にテキパキとした司法官のヒールの音が響く。彼女の前には一対の中年男女が天秤にかけられる。各弁護士も加わり、やや冗長に天秤の揺さぶりが始まる、11歳の息子のため。

正邪の
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(2002年製作の映画)

3.0

生死をかける戦国時代。
恋も自由にできぬ身分社会。

シリアスな世界を人気コメディアニメに取り込み、見事な緊張と緩和を創り出している。ある種事情知ったる“おとな”を巧く参加させたことも成功のヒケツ。

ルーム(2015年製作の映画)

4.2

二人だけの小さな世界。
渦巻く二つの感情。
母と、息子ジャック。

共有しているようで異なる。
共存のようで対立している。
極限状態と、生来の環境。

似て全く非なる親子に、交互に感情移入を試みながら
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セルピコ(1973年製作の映画)

3.7

使命感と正義感に突き動かされた型破りなアウトサイダー。
秩序と慣習に絡みとられた社会でもがく、意志の強さとある種の狂気を、Al Pacinoが自然体で表現。ゴッドファーザーシリーズに通ずる独特の個性、
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デッドゾーン(1983年製作の映画)

3.5

思い通りに人生はすすまない。
生死の境を彷徨い手にした、超人的な能力も、婚約者との約束も。

力を手にした華やかなヒーローの話ではなく、希望を失った平凡な教師の悲劇的ストーリー。
憂いを帯びたC.Wa
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ドラキュラ(1992年製作の映画)

3.4

異国情緒。
妖しげな色彩に誘われて、艶やかな目の魔力に誘われて、毒牙の虜と化していく。
ハロウィン定番のアイコンを超えて、妖艶なロマンスに仕上がった。シンクロする軽妙な画面の切り替えが芸術の域。

スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)

3.4

18世紀末。中世から近代へとうつる境目の時代。
首無し騎馬兵の襲撃に怯える封建社会の村に訪れた、科学を信奉する気弱き青年。ミステリアスな世界との邂逅が言い知れぬ気品あふれるサスペンスを招く。まさにT.
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キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)

3.4

それぞれの家族、それぞれの生活。互いに生きるため、守るため、大海原で相見える。
時代が、情勢が異なっていれば、漁師になるはずだったアフリカの角の住人たち。囚われのキャプテン以上に彼らの境遇に心惹かれる
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

3.6

「ジョジョ・ラビット」(2019)に通ずる、瑞々しさと真っ直ぐな想い、自立心と反抗、恋とユーモアとアイロニーが詰まった作品。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

3.8

老いて生まれ、歳を重ねる毎に若返っていく。“当たり前”が覆されたベンジャミンのケース。彼に関わる様々な人生を、尊く浮かび上がらせる。
この奇妙な人生がスキャンダルになることもなく、溶け込んでいる世界も
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ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

3.7

姿は見えず、攻撃を受けることもない、どこへでも自在に出入りできる、いわば最強の主人公。しかしハッピーエンドはこない。
天井を突き破る。あの世との不思議なつながりが始まる予感のする冒頭。愛しい幸せの絶頂
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ヒート(1995年製作の映画)

3.7

Al PacinoとDe Niroの役が逆だったらどうだったか。いやこのままでいい。De Niroの真直ぐさは悪役ながら応援したくなる魅力があり、Al Pacinoの揺れる警察像は醸し出すコンプレック>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

3.3

Godardの映画史。
イマージュへのオマージュ。

朝までゴダール、最後の五本目。

Nuit blanche 2020 @ L’Institut du Monde Arabe

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

3.3

3Dに対するGodardの挑戦。
見事なマリアージュ。
錯覚を生む永遠の挑戦者のエスプリが21世紀の新たなディメンションの中で言い知れない眩暈を起こさせる。残像と幻覚の世界。

Nuit blanch
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ゴダール・ソシアリスム(2010年製作の映画)

3.4

旅。
アニマル。
男の子。見えないふりをして探し求め、見えているか定かでないものを鮮やかに描き出す。
肢体美しい黒人女性の懸命な撮影。

Nuit blanche 2020 @ L’Institut
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アワーミュージック(2004年製作の映画)

3.4

60年代から戦い続けてきたJ.L.Godardによる、人類の闘いと命を落とした者たち対するオマージュ的作品。
« Les racines communes de toutes les guerres 
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グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)

3.6

闘士Godardの愛と革命の物語。原題Le Redoutable(戦慄)に監督がのせた想いは革命家への畏敬の念だろう。Godard的な音と画のあそびにも表れている。
« Je change toujo
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激動のカンヌ 1968(1968年製作の映画)

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1968年2月9日、「mythe」「rock star」「sacré 」と評されるHenri LangloisのCinémathèque française会長職解任劇から始まる騒動の記録。
Père
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