Kenyさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

4.3

弱者への讃歌。権威への嘲笑。屋根と子供達。羽毛とスローモーション。
最高。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.2

バラバラに壊れた心をある街に置いてきたんだ。でも、凍てつく潮風が、その一層冷たくなった欠片を雪と共に運んでは胸を刺す。
心は捨てられないし、空はいつまで経ってもその雲間を切ってくれない。
染み渡る。

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.2

めっちゃジュラシック
ティラノの「おれを出しちまっていいのか?」って顔が最高、ゾクゾクしたぜ。おまえがナンバーワンだ。

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.0

観賞後、口の中で血の味がするような胸糞悪さ満点最高のタランティーノ映画。アガサクリスティみたいな密室劇をこいつが撮るとこうなります。
70mmフィルムの情緒が逆にたまらない。

パルプフィクション観た
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女は女である(1961年製作の映画)

4.5

男と女の縮小図。
"私はただの女よ" あーもうたまらんな。

洒落たセリフを回すビビットを纏ったアンナカリーナ、そしてベルモンドとジタン。
シャンソンのシーンだけでもよだれが止まらない。最高。

アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.0

戦争映画の俯瞰性。白黒なんてつけようとしたら、途端議論の余地もなくなる。
近代的テロを生み出したと言われるアルジェリア解放軍を観ていると、コロニズムの負の遺産を今現在にも感じずにはいられない。
圧せら
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.2

フェミニズムな映画。
いろんな男に踏みつけられ踏みつけ返して。ストーリーと並行して見せる下品なトラックのおっさんとのやりとりが暗示的でいい。

最後の2人の顔がたまらなく素敵。人物描写うまかったなー。
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イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)

4.5

口に出すだけなら人生はくだらない。その大きさが変わるのは歩きだしてから。疑問だらけなのに日々は続くんだ。ただ一歩、勇気ある一歩を。

独りで生きるという選択、それが難しい。
でも、一人で生きている人間
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

2.8

この映画は若すぎる。
まあ概略的には等身大の自分のようでもあるんだけど。しかしそれだけでは満足できない、あまりにも浅い共感の向こう側が欲しかった。題材と題名はいいのになー。

ロケ地の8割は僕の行動範
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.0

ちょっとこれほど芸術性に富んだ映像にはなかなかお目にかかれない。廃屋と水、火とベートーヴェン。すごい。
国境を超えた精神世界の話といったところか。常軌を逸した長回しと知に富んだ台詞回しで紡がれるこの芸
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(1974年製作の映画)

3.5

徹底した詩的映像芸術。ストーリーライン?おれの心の鏡を撮ったまでよ、っていう強気な映画。非常にパーソナル。

冒頭から回顧する気満々。そこからは現在の中に過去があるし、母だか妻だかわかんないし、そもそ
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眺めのいい部屋(1985年製作の映画)

4.1

心の中のあらゆる窓を開け放った時に観える景色の美しさよ。
フィレンツェとイギリス田園風景の撮り方もさる事ながら、光の使い方はもう油絵のよう。特に、男たちが裸で池の中で戯れるシーンがたまらなく綺麗(変な
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地獄の黙示録(1979年製作の映画)

4.6

the horror, the horror

偽りが放つ悪臭には耐えられない。おれを裁くな。
恐怖は人を天に上げ地に返す。

マーロンブランドだけでも観る価値ある。コッポラが借金してまで作った価値
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カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.9

Life is sadistic comedy.
詩的に言えばなぁ。人生は悲劇よ。だからこそ散らばったコメディに喜びを。

30sのLAとNY、アイゼンバーグとクリステンスチュワート、アレンのナレーシ
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グランドフィナーレ(2015年製作の映画)

4.4

画!音!画!音!画!
その斬新さの美への昇華、さながらオルタナティブフィルムといったところ。なんという天才的感性をお持ちか。

望むは重く遠い過去から脱しての人生の最終章。
しかし、外の世界と己の過去
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

真夜中とタクシーと人間と。面白そうじゃんっていう頭の中のアイデアをそのまま突っ走らせましたって雰囲気が好き。

パリもいいけどやはりベニーニが最高。

チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.0

乾いた街LA

犯罪を阻止してるつもりが犯罪を助けてる。
忘れろ、ここはチャイナタウンだ。

よくできてる。久々のノワール。

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

4.6

僕の知る範囲でのアメリカ、ひいては先進国社会が詰まってる。しかし、詰め込んだのになんだよこの無駄のなさ。むしろ美しい。
ビューティーに満ちたこの世界で我々の怒りなんてものは長く持たない、と信じたい。
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.5

これはー、Les Miserablesだな。(もちろん気持ちの良い歌はない)
汚ったない娼婦街やスラム街なんてものが目に入ってこないだけで人は安心する、昔よりは良くなったと、自分たちはいい国に住んでる
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ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)

4.3

これはもうただ好きなのである。
The Beatlesについて語らえる仲間4人組が欲しいのである。

昔は帰る場所があったのにってのが段々わかる歳になる悲しみよ。

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(2016年製作の映画)

3.7

世に残すべきは虚栄心の上に立つ伝説か、愚かしい歴史か。真実に奏された記憶こそ、キャメロットを幻影に留めずにいてくれると信じて。
人並みに悩んで泣いて、死にたい、だけど...。そう、彼女はただケネディに
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家族の肖像(1974年製作の映画)

4.0

本物の家族を得ずとも、知れるであろう家族の肖像からその愛の形は。
騒音とも取れる不協和音さえ、愛おしく思える。寂しかったのだな、爺さんよ。左翼も右翼も、年も性別も関係ない、食卓を囲もうではないか。
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ウンベルトD(1952年製作の映画)

3.9

さあて、やっぱり救いなしのデシーカ。ただただ人生という大きな壁の前で立ち尽くす。こんな冷たいもんかね。それでも体裁を守ろうとする爺ちゃんが切ない。

僕の犬映画史上最高傑作。
なんだかこんな時代がまた
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戦火のかなた(1946年製作の映画)

3.7

暗い短編がシチリアから上陸したアメリカ軍と共に北上していく。終戦へ向かうと共に移ろうイタリア人の心と、異民族間交流の変化。
重ーい戦争映画を何本も観たのかってくらい、もうやめてってくらいの6編。しっか
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階段通りの人々(1994年製作の映画)

4.5

沁みるなあ、オリヴェイラ。

盲目で生まれた男を幸運と呼ぶ階段通りの住人たち。箱を置いときゃ金稼げるんだもんなって、すごい考え方だなおい。でもなんかみんな楽しそうで。派手じゃない1日をただ生きる人間ら
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.9

お固い宗教映画かと思いきや、片田舎の敬虔なクリスチャンの老人たちの微笑ましいお話。そこにささやかな文化交流と、人生の讃歌を散りばめて。
魔女の料理さながらのフランス料理におののく爺ちゃん婆ちゃんたちが
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シングルマン(2009年製作の映画)

4.5

季節と共に移り変わる我が感性そのスピードは女心に負けず劣らずな気がする今日この頃。

わっかんないなーと思ってた作品が今やふとしたら観たくなる。もう、ただ好きなんだろうな、この色が。この映像を着て歩き
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ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

4.0

目を背けるな、これが世界の今だ。って言われた。
夫、妻、娘。そのトライアングルさえ不和なのに、異国での明日にどうやって希望を見出す?ただ、生きるため。生きるために生きる。守るために殺める。
あんな子供
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.0

夢追い人は輝いている、と信じたい夢追い人たち。現実と理想の狭間を盲目に楽しんでるうちが花ってことかね。枯れようとしている花を追わず、新しい種を植えるものにならなきゃいけないってのもまた正論。

こうい
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存在の耐えられない軽さ(1988年製作の映画)

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善戦はしたと思うよ。ただあまりにも原作が強すぎて。
映画と本の根本的な表現の質の違いを感じたね。
プラハの春のクールなビジュアライズとか、サビナの官能さとか、テレザの田舎なピュアリテイは映像の強さ、よ
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いとこ同志(1959年製作の映画)

4.0

相反するいとこに見る迷える若者としての共通性。空虚な乱痴気と信念なき励み、向かう先は?
あえて短絡的に言うなら50年代パリの低俗な学生物語なわけだけど、その俗っぽさにこそこの映画の深みがある。
あっけ
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たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

4.9

愛の深みが 痛いのに 時計の針は 止まらない

居心地がいいのに幸せじゃない

家は港じゃない

Oh Lordy

サクリファイス(1986年製作の映画)

4.8

美しい庭を壊してしまった。
罪悪という名の不必要なものが。死への恐怖が。

黙示録的風情漂う形而上劇。この救いようのない世界という舞台の上で。
"俳優は自分自身が芸術になろうとする"
なるほど、タルコ
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.3

うーん、なんじゃこりゃ。
ソラリスの海、自分の心の中のモヤモヤを見ているよう。
記憶の中に生き、記憶に苦しむ。
"人類を愛したことはあるか"
"彼は恥のために死んだ"
人間の深層心理に投げかける爆弾。
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スモーク(1995年製作の映画)

4.2

1秒が1分にも1時間にもなることがないのなら、その濃淡と重さに目を向けなきゃな。
見てくれだけではわからない、人それぞれが抱える人生。その朧げさに幸福を見る。

このアメリカ映画らしさ(ハリウッド的と
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