よーすけカサブランカスさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

よーすけカサブランカス

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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.7

本来は弱者が強者を打ち負かすからこそのドラマなのだが、最後に勝つ主人公たちフォードは自動車産業における帝国であり、その勝因は結局資金力ゆえだと言ってしまえる。つまりこの作品は企業同士の対決ではなくアメ>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

同じ寄生者が現れると団結して革命を起こすのではなく足の引っ張り合いが起こる展開はこの社会の構図そのものなので見てて辛いものがあった。
金持ちは余裕があるから純粋で人を信じやすく、それが彼らにいい印象を
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ヴェノム(2018年製作の映画)

3.0

せっかくトム・ハーディという骨の太い役者が主演なのにヴェノムは人間を完全に乗っ取るタイプのキャラなので戦闘があまり映えなくて残念。ただシンビオートが人間関係の厄介事にアドバイスしてくる構図だけはよかっ>>続きを読む

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

3.5

犯した罪の報いとして命を狙われている者が追手から逃れようとするが、それが落ち度というよりはまるで絡め取られるようにして頓挫する描写は運命論という言葉に回収できそうだが、そう簡単な話ではない。もし運命論>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.2

SWを劇場で観ることは一種のお祭りみたいなもので観れたことだけでもとても楽しい経験だし最低限の面白さがあればいいと思っているのだが、それでも気になる箇所はあって。
最後レイがあの名字を名乗ることには違
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009年製作の映画)

3.6

失われた記憶を求めるという意味ではミステリというかスリラーというジャンル分けにする方が正しい気がする。探してたものが実は近くにあるというオチも定石。ただ記憶を取り戻したとしても、酩酊時にしたことは到底>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

3.8

題材もキャスティングもその長さもマフィア映画のオールスターゲームというか、ゴッドファーザーを始点としてその終点というか、とにかくエポックな作品には違いないと思う。僕はジミー・ホッファに関しては疎くて事>>続きを読む

ザ・アウトロー(2018年製作の映画)

3.6

悪を追ううちに善であるはずの側がだんだんと悪との境界を失い……みたいな展開自体はベタなのだが、初めから保安官が「おれらはギャングだ」と言い張るのは斬新だった。ポスターの構図からもわかるが、保安官たちと>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

4.0

いわゆる神隠し的な事象の現代にも通ずるアクロバティックな解釈よりも中盤からの、外連味たっぷりの霊能力バトルに釘付けだった。パンク少女という意外性だけに留まらず、隻腕の柴田理恵も、噛ませ役のユタばあちゃ>>続きを読む

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.9

人間の生活に溶け込んでいる彼らに対して抱いてしまう嫌悪は、彼らが異なる種族だからではなく、その風貌を醜いと思い不快さを覚えるからなのだが、この快/不快という原理はあらゆる差別において正当化のために使わ>>続きを読む

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)

3.3

前作でかなり強く描かれていたアポカリプスを軽く捻って倒す最強のミュータント、ジーンに焦点が当たる、つまり実質ファイナルディシジョンのリブートになるのだが、そこまで明確に何かが改善されたわけでもない、い>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

今作のジョーカーがこれまで様々な俳優によって演じられてきたジョーカーと一線を画するのは、悪のカリスマというあのイメージが格差社会に不満を持つ者たちによって祭り上げられたことによってできたものだという解>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

3.9

もはやこの時代に探偵になるにおいて高度な知能は必要なく、検索の手段だけ心得ていれば誰でもなれるのであり、捜査と推理はパソコンの前から動かずに行うことができる。現代人はそれほどに自身の歴史と感情をネット>>続きを読む

アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.9

宇宙といえば少し前までなら次に開拓すべきフロンティア、あるいは移住先としての意味合いが主だったのが、いよいよその本質には地球でのしがらみからの逃走がある、という言及がされはじめたなかで、そこに巧みに家>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.4

好きになった女の子のために世界の形を変えてしまうことに対しては別にやったったらええやん、としか思わないのだが、ここまで明確に警察や大人そのものをとにかく自分達を妨げ、理解しないものとして描いてるのは笑>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.4

「ゲットアウト」のときから思ってたのだが、この監督は社会に巣くう問題を告発するためにホラーという方法を使っているのではなくむしろ逆で、その問題を使って自分のホラーに満ちた世界を表現したい人で、この作品>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.7

イングロリアスバスターズ、ジャンゴに続く歴史改変もの、復讐ファンタジーもの?なのだが、見比べるまでもなく前二つの題材とは改変される歴史のスケールがまったく違う。あの事件には多数被害者はいるが、タランテ>>続きを読む

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.5

邦題とは裏腹に、彼は何かを盗んでもいらなくなってしまえば誰かにあげてしまう、所有の概念がない存在として描かれるのだが、そんな彼に自分のものにしたいと思わせる男が現れ、という話で、身も蓋もないことをいえ>>続きを読む

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

3.3

例えば万引きを繰り返す主婦のその目的が商品そのものではなく緊張感や現実逃避で、それはひとつの依存症、病気として扱われるように、この主人公も単なる依存症だと扱われていいケースだとは思うのだが、彼が常に逃>>続きを読む

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.9

西部劇において暴力を否定するトリックスターとして思い出すのはコルブッチの「ガンマン大連合」の教授なのだが、あの作品においてはその主張はほとんど作用せずがんがん暴力に突き進んでいった一方で、この作品にお>>続きを読む

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

3.8

思えばサノスとの戦いで命を落とした面々は地球の守護者ばかりだったので必然的にクイーンズ坊やがヒーローとして守るべき範囲はクイーンズのみに留まらなくなり、世界中の親愛なる隣人とならざるをえなくなるのだが>>続きを読む

スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

4.3

リメイク元を観るつもりが観れなかったのだが、どうやら監督が同じらしく驚いたのだが。
ともかく物語は息子を殺されたリーアムニーソンという状況からは予想できない方向へ進んでいき、それは決して悪い意味ではな
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プロメア(2019年製作の映画)

3.7

冒頭の場面から作中の発火現象、ひいては炎がヘイトの感情に繋がるものとして描かれていることは明らかだが、それを消す存在としての主人公と、単なる二項対立には陥らず、悪として排除せず「合体」し、しかもその源>>続きを読む

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

3.8

ここ数年ブームの「なめてた相手が実は」系の復讐アクションをコミカルさ抜きでジャッキーにやらせるという点と、ポランスキーを思わせる、上品さのあるポリティカルスリラーと、北アイルランド自治の問題とを組み合>>続きを読む

シャザム!(2019年製作の映画)

3.3

一番子供なのはあの歳にもなってまだ父と兄への復讐心を捨てきれず家族という概念そのものを憎んでいるヴィランのほう、というお話。大いなる力には大いなる責任が、とか言うまでもなくほんとにヒーロー本人が子供な>>続きを読む

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)

3.8

一点、ロシア側の政治家も英語話者だったという横着が気になった以外は楽しい作品だった。Uボートに代表される潜水艦映画がなぜ楽しいかというと海のなかという逃げ場のなさ、潜水艦の狭さ、目視できない敵と魚雷、>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

アイアンマンが、そしてアベンジャーズ1が公開されてからの月日を思いながら、フェイズ1たちの物語をこんな手つきで完結させられるのかとなかなかない感動を味わった。「タイム泥棒」という、まあ広義のタイムトラ>>続きを読む

ザ・テキサス・レンジャーズ​(2019年製作の映画)

4.0

ボニー&クライドといえばやはり「俺たちに明日はない」で、アメリカの犯罪史においてもどちらの意味でもポピュラーなのだがこの作品では彼らの悲劇的ヒーロー性、アイドル性を徹底して否定にかかる。ガンマンの時代>>続きを読む

バイス(2018年製作の映画)

3.8

実在の人物による実際の出来事について描くなら通常もっとドキュメンタリーを押し出すところだとは思うが、ここまでコミカルにしてしまうとは。確かにアダムマッケイに限らず割りと洒落にならない事実をジョークを交>>続きを読む

トリプル・フロンティア(2019年製作の映画)

3.6

資本主義の犠牲者を描くのはJCチャンダーお得意なのだが、今作扱われたのは任務を終えても傷が癒えず生活の破綻しかけた兵士。彼らが金に溺れていくのは国を背負って心身共に傷つきながらも何もしてくれない怒りが>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.9

スパイクリーはタランティーノのジャンゴに対して「黒人奴隷問題はマカロニウェスタンじゃない」と批判をしていたが、これは黒人差別を撮るとしてもそれをエンタメとしての枠組みにはめることに抵抗したかったわけな>>続きを読む

バンブルビー(2018年製作の映画)

3.1

トランスフォーマーシリーズだとはいえ、ヘイリースタインフェルド主演でケリーフレモンが脚本という時点で僕はこの作品にスウィート17モンスターそのものを求めてしまっていたのだが、やはりそうはいかなかった。>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

3.6

スパイダーマンという存在は当初より他のヒーローとは違い力を得る主人公は若く、それ故正義についての葛藤がマーベルDC問わず繰り返される中ビルドゥングスロマンで突っ走ってきた。特に近作のホームカミングは学>>続きを読む

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

3.6

一見それらしく聞こえる、感情を力を制御しろという言葉を男性からの抑圧に読み替えた(あるいは始めからそうだった?)のは見事だった。終盤のコミカルでさえある無双状態も解放される前の抑圧の大きさを意味する。>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

3.9

やっぱりイーストウッド自身が主演している以上彼の出演作監督作との関連抜きで語るのは難しく、今作の彼が抱く贖罪にはこれまで彼がアメリカのアイコンとして体現してきたマッチョで暴力も厭わない放埒な像すべてを>>続きを読む

アクアマン(2018年製作の映画)

4.0

まさかニコール・キッドマンによる近年でも抜きんでたアクションシーンが見られるとは思わなかった。冒頭でその高揚を保ったままあの水族館の魚を従えてのタイトルカットは天才の所業という他なかった。かと思えば潜>>続きを読む