よーすけカサブランカスさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

よーすけカサブランカス

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イップ・マン 完結(2019年製作の映画)

3.9

イップマンの生涯とは戦中戦後の中国の歴史と不可分でありその戦いは代理戦争であり続けたなかで、最終章における彼の使命はもはや中国本土の敵を倒すことではなく外国に離散した同胞を救うことになった。この点は素>>続きを読む

スリ(2008年製作の映画)

3.0

スリの仕合とかいう謎のシチュエーションのアイデアは素晴らしいと思うし最後の演出は悪くなかったと思うんだが幕切れがよく分からなかった。序盤のヒロインの色気を描写するくだりもベタすぎると笑いにできるかどう>>続きを読む

ホームズマン/ミッション・ワイルド(2014年製作の映画)

4.0

これまで西部劇が隠してきた女性の苦難を映し出す作品は最近になって増えたきたし女性が銃を取ることも少なくない。この作品もそうしたフェミニズムインザウェストな予感を漂わせて始まるのだがメアリーにはその役目>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.8

120分でよくもまあ世界観の説明と三人のキャラの成長をここまでスマートに描ききったもんだなと感心した。CGアクションもあそこまで滑らかなのは初めて見たかもしれない。あとモーターボールが見てて普通に面白>>続きを読む

ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

3.5

まずこのあまりにも「ファクト」という言葉に市民が強く寄りかからないといけなくなった時代において、こういう無邪気な作品を作ったというだけで個人的には評価してしまう。

ザ・レポート(2019年製作の映画)

3.6

権力の不正を暴く際にメディアを使って公開するという手法が現実虚構問わずよく使われてそれがまあまあ有効であると思われてたりするのだが(この国においても最も有効な政権への攻撃は文春が担っている)、この作品>>続きを読む

ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.7

実際の出来事を題材にするのにドキュメンタリー性をほとんど排してここまで作り物感を出そうとするその魂胆は単なる皮肉だろうか。ベーバーカンパニーを提供する会社を設立した二人の側から行われる軽妙な語りは、脱>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

理事長が登場シーンの雰囲気に比して動機がなんか薄い気がしたの巨大化する理由とかなんで現実に侵食してくるのかがよく分からず、そこはあえて説明せずやってるのは分かるし理屈抜きでノリで見ればいいのかもしれな>>続きを読む

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)

3.4

時間を前後させながらの群像劇というもの自体はさほど新しいものでもなく、そこに金と欲が絡むのもよくあるパターンではあるが、犬という共通項は興味深かった。人間たちの苦境を具現化したものでもあり、罰や救いを>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

3.5

信者間でイデオロギーの対立があるときの教会としての立ち振る舞いの難しさには同情するが、いくらなんでも影響受けすぎではないかと思ってしまった。勿論そこに至るには病のこととか失った子のこととかが複数の要因>>続きを読む

スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

3.7

話の筋は一貫してジャーナリズムvs巨悪という構造で進むのだが、デスクがボストン出身であるなどキリスト教が土地と歴史にどれだけ深く根ざしているかという描写が丁寧にされていた印象。腐敗は住民にとって信仰が>>続きを読む

すべての美しい馬(2000年製作の映画)

3.6

スタジオがそう要請したのかは分からないがあの傑作長編小説を120分に収めるのは無理があると思う。変な言い方だが原作はあの迂遠ともいえる風景描写と移動、野宿の場面によってメキシコを描いているのでそこを削>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.7

これまでの2作は復習譚とその反省という普遍的な主題があったのだが今作はもう組織を抜けるか抜けないかの話でしかない。組織の細かいギミックは面白かったが。ただこのシリーズの肝の9割方はアクションなのでそっ>>続きを読む

エスター(2009年製作の映画)

3.9

いい子役に恵まれたホラー映画はいいホラー映画だというのを裏付けていた。エスターちゃんの意地悪さもさることながら、「いい人たちには違いないけど少しボタンをかけ違うと崩れてしまうような」家族の描写がかなり>>続きを読む

アジョシ(2010年製作の映画)

3.5

ストーリーの骨格はレオンなのかターミネーター2なのかいずれにせよ不在の父性ということになるのだが、子供に対してもこの容赦のなさはさすが韓国といった感じ。そしてお涙頂戴的なストーリーだけじゃなくちゃんと>>続きを読む

マーウェン(2018年製作の映画)

3.4

彼のハイヒールへの偏愛だったり、マーウェンではむしろ彼の分身は彼が恐れているマッチョな造形であること、強い女性へのフェテッシュ、つまり彼の欲望も結構ホモソーシャルなものであること、というのが伺えるのだ>>続きを読む

タイラー・レイク -命の奪還-(2020年製作の映画)

4.1

ストーリーに関しては喪失を埋めるために自暴自棄に生き死に場所を求める男が、誰からも命を狙われる少年に出会うことで喪失の傷と生きがいの二つの面で立ち直る、というもので特に真新しさもないのだが、とにかくア>>続きを読む

マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン(2014年製作の映画)

3.8

ヒット作を出すと周囲の注目と重圧にどれほど苦しむことになるのかよくわかるドキュメンタリー。僕はオンリー・ゴッドを生涯のベストだと思ってるほど好きなので、レフンの迷いに心が痛みながら見た。妻のちょっとし>>続きを読む

ワイルド・スピード/スーパーコンボ(2019年製作の映画)

3.4

ウイルスやら人工知能やらの設定の軽さはそもそもそんな期待してないからいいとして、チェイスシーンでの遠隔で動くバイクアクションが抜群に良かった。あとはヘリで釣り上げられるのを連結して引っ張るところか。ヘ>>続きを読む

SPL/狼よ静かに死ね(2005年製作の映画)

3.5

いや別に警官殺しの共犯でも十分引っ張ってこれるだろ、と思ったり随所に無茶な展開が見られて、それなら変にハードボイルドぶらずにもっとアクションに振り切ってほしかったなという印象。死亡フラグの建て方があま>>続きを読む

スリング・ブレイド(1996年製作の映画)

2.8

彼の行動に僕らが「正義」を感じてしまうのは非常に危険なことで、やってることは法では裁けないし正規の手段ではどうもできないクズを、法律などの健常者の慣習を理解できない障害者に対処させる、殺人教唆に近いも>>続きを読む

ゾンビランド(2009年製作の映画)

3.8

最初のモノローグの「ここはもうアメリカではない。ゾンビランドだ」というセリフはふざけてるわけでもなんでもなく本当に新たな国を再建しようとしているのだと見ていくうちに分かってくる。主人公が述べるルールは>>続きを読む

アルカディア(2017年製作の映画)

2.8

もう少しその超越的存在が自分にとってもありがたいものであってほしかったのが正直なところだしいわゆるループものとしても、退屈な日常とマシな生活のループという対比はこの国のアニメに通じてるなら真新しいもの>>続きを読む

キャビン・イン・ザ・ウッズ(2012年製作の映画)

2.4

なんか面白くなりそうな風呂敷を少しずつ広げたのにそれを畳まずに終わる謎さ。

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)

3.6

途中やや釈然としない展開があったが(情報院もCIAも油断しすぎ)、復讐劇かと思わせといてそこさえ越えてくる、ある意味観客の忍耐が問われる筋書きだったのは驚いた。とにかくアメリカに南北問題に口出ししてほ>>続きを読む

クライム・ヒート(2014年製作の映画)

3.5

マフィアの金を預かる傍らで捨てられた子犬を拾うトム・ハーディ、というファンの需要を理解しきったキャスティングと展開が少し裏切られるのでそれは新鮮でよかった。周りを固める脇役もなかなか魅力的だったのだが>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

やや長すぎるし中盤が冗長なのは明らかなんだがそのせいなのか、ずっと悪い夢を見ているような気分になったのでそれはそれで悪くないのかなとも思った。文明人と未開の地という対比では食人族やグリーンインフェルノ>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.3

背景の描写もなくひたすら金に目が眩み他人をコケにする姿が展開されるのでだんだん気持ちがバッドに陥っていくが、その分オチで少し爽快になってしまう。あとオープニングとエンディングは、アフリカで掘られたダイ>>続きを読む

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

3.7

神はいつ応えてくれるのかという問は最近だと「沈黙」が記憶に新しいがあそこまでグロテスクな状況ではないにしろ、教皇という位置から、だが一市民と変わらない目線での信仰に対する価値観の衝突が語られる。
僕個
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五人の軍隊(1969年製作の映画)

3.0

メキシコ戦争への内政干渉もの。最後裏切りによる内ゲバかと思いきや反乱軍に祭り上げられてなんとなくハッピーエンドってのはある種皮肉が効いてるといえなくもないのか?丹波哲郎のまったくサムライっぽくない全力>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.3

全編ワンカット(風)というギミックだけがどうしても目立ってしまうが、なぜこの物語がワンショットで撮られなければならないかという問いにもちゃんと答えを用意しているかなり真摯な作品だと感じた。そもそもワン>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

3.4

奇しくも国内の某アーティストの薬物による逮捕と鑑賞のタイミングが重なってしまったわけだがそれはともかく、スターと呼ばれる存在には常に孤独が付きまとうが、彼の場合もっと人生の根本の部分から大きな孤独を背>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

一組の恋人の別離だけに留まらず、そこから時空を超越して人類史を描くテレンスマリック的な快作だった(あるいは残穢?)。幽霊の造形に関してはシュールでありながら、視覚効果が一切ないため生者と並列に見せるこ>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.9

ライアン・ジョンソンといえばLOOPERのときからなかなか凝ったストーリーテラーぶりを発揮してたのだが、たたでさえハードルの上がるミステリーという舞台でもそれは発揮されていた。古典的な装置に移民と差別>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.9

冒頭のキャンプの場面が見てて不安になるくらい出来が良いジュブナイルものだった。少年に巣食うレイシズムを解いていく展開のためにはこれ以上ないイントロだったと思う。
そのほどき方にしても愛だ、と言うのは簡
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悪魔を見た(2010年製作の映画)

3.8

これまで映画が復讐というものを娯楽として人々に提供してきて、それは復讐者にとっても快楽をもたらすものでしかないことをここまで言及しつつ容赦なく観せた作品はあんまり記憶がない。
序盤の初めて宿敵と対峙す
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