Kogarathさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

逆光(2021年製作の映画)

3.7

舞台、衣装、三島由紀夫、煙草、熱い言論。
しっかりと70年代の雰囲気が出ている。
といっても自分は80年代生まれなので、リアルタイマーの方々が観たらどう感じるのか分からないけど。

タイトルどおり逆光
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.0

よく分からんけどメタファーに富んでそうな寓話だなあ、うんうん…とか思いながら観ていたら、最後にデヴィッド・ロウリーの魔術が炸裂していて震えた。
事前に原典をざっと読んでから観たので、余計にびっくり。そ
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あのこと(2021年製作の映画)

4.1

人工中絶が違法とされていた60年代フランス。
主人公アンヌの傍を離れないカメラが、彼女の感じる不安や恐れ、味わう痛み全てを隠さず見せる。冗談抜きで、全部見せる。目を背けるな、と言わんばかりに。鑑賞後ど
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

3.6

国際養子縁組による市民権問題に光をあてるという点で非常に意義のある作品。
こんな理不尽なことが実際にあるのかと驚いた。エンドロールは言葉が出ない。

フィルムの質感と夕陽の撮り方が綺麗。
しかし音楽を
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

4.1

「アヴァ」が鮮烈だったレア・ミシウス監督の新作。
寒々しく閉ざされた山村の風景、ザラついた質感の映像、「ゲットアウト」や「アス」を思わせる謎の叔母の存在。ホラー/サスペンスの匂いをプンプンさせながら、
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田園の守り人たち(2017年製作の映画)

3.9

フランスの田園風景と、そこで種を撒き収穫する人々の組み合わせが見惚れるほど美しい。
まるでミレーの絵画がそのまま映像になったみたい。ただそこにいるのは女性と老人のみ。男手は戦争に取られてしまったから。
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.0

ラヒムはきっと本当に善良な人なんだろう。
だけど小さな嘘をついて結果それに振り回されたり、ついカッとなったり、おだてられて調子に乗ったり。人間臭さが何ともリアル。こうなった原因は彼にあるんだけど、とて
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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ(2021年製作の映画)

3.9

尖り過ぎてて笑っちゃう。冒頭から一体何を見せられているのやらと戸惑う。
第2部は何なのあれ!?しばらくポカンとしてたものの、そのギリギリな笑いとユニークな視点、謎のテンポ感がなんだか心地よくなってきて
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さがす(2022年製作の映画)

4.0

だんだん緊張の糸が張り詰めていき、それがずっと緩まない。先の読めない展開が面白かった。
ミステリアスなエンタメを楽しんでいたはずが、いつのまにか重いテーマを突き付けられる。構成が上手いなあ。
明らかに
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ロニートとエスティ 彼女たちの選択(2017年製作の映画)

3.8

びっくりするほど厳格で閉鎖的なコミュニティと、そこで生きることの苦しさ。
色味を抑えた寒々しい風景が息苦しさをより際立たせる。
二人の過去の関係について分かりやすく説明せず、回想も使わないところが好印
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天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

4.5

メキシコの太陽の下で、青臭さと、エロ衝動と、生と死が煌めく最高のロードムービー。
若きガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが眩しい。海の家みたいな場所で飲んで騒ぐ長回しがめちゃくちゃ良い。

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生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

3.8

来年の朝ドラの主演が決定した趣里。
そういえば代表作らしきこれを観たことがなかったと思い観てみたら、その存在感と演技力に脱帽した。
寧子という人間のどうしようもなさと愛おしさを生々しいくらい表現して駆
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.4

面白い。めちゃくちゃ好み。
淡々と静かに進んでいくけど、ユニークなプログラム内容と時折「ん?」と違和感を抱く描写が挟まれることで全く退屈はしない。

同じギリシャのランティモス監督を思わせる作風から「
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君だけが知らない(2021年製作の映画)

3.6

韓国産の良質なサスペンスであり、"記憶"にまつわるヒューマンドラマでもある。うまいこと両立してるなあという印象。
これはミスリード狙ってるんだろうな~という描写もちょこちょこあって、あれこれ真相を推測
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.2

何も知らずに観たら「センスある若い監督が撮ったんだろうなー」と思って疑わないような作品を、70歳で撮っちゃうジャック・オディアール監督。瑞々しさにビックリ。

ちょっと引いちゃうと同時に興味深く見てし
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真夜中のパリでヒャッハー!(2014年製作の映画)

3.8

想像通りのアホアホ映画でひたすら笑える。
やりたい放題なんだけど、最後はホッコリさせて、なんかいい映画観たな~的な後味にさせてくれるのがニクい。フランスにもこういう映画あるのね。
主人公が善人で共感し
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クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男(2021年製作の映画)

3.6

ジザメリ、マイブラ、プライマル、オアシスといった単語に反応してしまう人に向けた、アラン・マッギーの伝記映画。
ダニー・ボイルやアーヴィン・ウェルシュが関わってるだけあって、アッパーでグルーヴィでドラッ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.3

ジブリ映画や「ミツバチのささやき」を思い出す、子どもを主役に据えた映画の傑作。

「燃ゆる女の肖像」のように作り込まれた絵画のような映像美を予想していたら、もっとナチュラルでさらっとした印象。短い上映
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エル プラネタ(2021年製作の映画)

3.8

監督・脚本・主演を務めたアマリア・ウルマンの魅力をたっぷり味わえる作品。
貧乏暮らしの閉塞感をスタイリッシュに映すモノクロ映像が決まっている。会話シーンとか、ジャームッシュあたりの影響を感じたり。
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女は女である(1961年製作の映画)

3.9

ゴダールによるアンナ・カリーナ賛歌。
最初から最後までアンナが様々な髪型・衣装をまとって魅力的に映されている。
二人は当時新婚だったらしい。早く子供がほしい!っていうのも、ゴダールが実際に言われていた
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歌え!ロレッタ愛のために(1980年製作の映画)

3.8

先日90歳で亡くなったカントリー界のレジェンド、ロレッタ・リン。
そんな彼女のことを知るのに最適な伝記映画。

歌い始めるまでの前半がちょっと長く感じるけど、終わってみるとこれは彼女の音楽的自伝じゃな
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うなぎ(1997年製作の映画)

3.6

血飛沫が飛ぶバイオレンスに、穏やかで温かい人情物語、ハチャメチャでコミカルな大乱闘。なかなか振れ幅が大きいけど、しっかり一本筋が通っているように感じる。役所広司の演じる山下の、良くも悪くも真っ直ぐな性>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.4

容赦ないバイオレンスと、沖縄のゆるくて開放的な空気の、いびつな融合。いや全然融合してないか。
それでも終わってから「完璧やないかい」と呟きたくなってしまう。画面からにじみ出るノスタルジーと虚無感に、他
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ハートブルー(1991年製作の映画)

3.9

若きキアヌがびっくりするほどカッコイイ。
キアヌがサーフィンしたり銃を構えてアクションしてるだけで2時間余裕で画が持ってしまう。
夕陽が当たる波やサーフボードの美しさ、スカイダイビングの迫力、今観ても
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ときめきに死す(1984年製作の映画)

3.8

彼が何者なのか、何のためにここにいるのか、よく分からないまま物語が進む。でも"その日"が近づいているのがなんとなく分かる。
そんな不穏な緊張感の中で、海で泳いだりドライブしたりする変なユルさがなんとも
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.1

すごい。さっぱり分からん。
だけどクラクラするほどエレガントでミステリアスな映像が目を引き付けてやまない。
絶え間なくゆっくり動くカメラと、ストップ&ゴーを繰り返す人々。耳に残るパイプオルガンの音色。
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地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

4.0

本当に「死刑台のエレベーター」と同じ人が撮ったの?と驚くくらいカラフルでポップで可愛らしいドタバタコメディ。
ゴダールに続けと言わんばかりにジャンプカットをガンガン使って独特のテンポを生み、早送りも交
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街の灯(1931年製作の映画)

4.5

映画史に残る名作と呼ばれるのも納得。
これだけ娯楽が発達した現代に観ても思いっきり笑って泣けて、映画を観ることの原初のヨロコビを思い出させてくれる至高の作品。チャップリンすげえなあと改めて恐れ入る。特
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裏窓(1954年製作の映画)

3.7

部屋から出られない設定をうまく使ったサスペンス。
ストーリーにもうひと捻り欲しいところだけど、ワンシチュエーションでも飽きさせない展開はさすが。作り込まれた舞台セットも見ていて楽しい。
覗き見しまくる
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.2

ホラーと思いきや…!な作風が板に付いてきたジョーダン・ピール、今度はスペクタクルなSF×西部劇。
UFOが異星人の乗り物じゃなくてそれ自体が捕食者っていうパターンは初めて観たので新鮮だった。エヴァの使
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セブン・サイコパス(2012年製作の映画)

3.6

サム・ロックウェルのイカれっぷりが最高。もはや主役。
他にもクリストファー・ウォーケンやウディ・ハレルソンといった名優たちが期待を裏切らない演技をしてくれるので観ていて楽しい。
ノリの割にテンポが良い
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マジカル・ガール(2014年製作の映画)

4.1

タイトルとポスターからシュールなコメディを想像してたら全然違った。でも面白い。
負の連鎖が続く脚本に、センスを感じる編集。構図もやたらカッコイイ。コーエン兄弟の諸作を連想した。

バルバラやダミアンの
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.7

続編ながら8割以上新キャラで彼らの話がメインなので、前半は特についていくのが大変。聞き取りづらいセリフも多く、何度か止めてあらすじ整理しながら観た。
そんな訳で出番が少ない広能アニキだけど、いざ出てく
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町田くんの世界(2019年製作の映画)

3.6

初めはちょっとキツいなあ点…と思いながら観てたけど、だんだん面白くなってくる。
主演の初々しい2人と、彼らに影響を与え合う魅力的な脇役たちに次々スポットが当たる展開が連ドラっぽい、というかむしろ連ドラ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

ヨアキム・トリアー監督は過去に「母の残像」で心震える素晴らしい放尿シーンを撮っているが、本作でも恋の始まりを印象付けるポイントとして排尿する場面が魅力的に描かれている。すごい。他にも脇の匂いを嗅いだり>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.3

2人が離れたりくっついたりするストーリーは正直どうでもいいし、特に感情移入もしない。
なのにスクリーンから一時も目が離せない。キャストはもちろん美術や衣装、小道具に至るまで、映るものが全部かっこいい。
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